武人勇者の戦闘記 ~最強殺人剣の継承者、勇者に選ばれたので、異世界で死合を謳歌する~   作:カゲムチャ(虎馬チキン)

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28 黒刀

 今のはガルドン殿の声であった。

 つまり、これは依頼していた刀という事だろうか。

 思い返せば、製作を依頼した日から約10日が過ぎ去っている。

 私は咄嗟にその刀を受け取った。

 それは、漆黒の刀身を持った美しい黒刀だった。

 ここ最近の癖で、反射的に鑑定を使う。

 

ーーー

 

 魔刀『黒鬼丸』

 

 耐久値 8000/8000

 効果 『攻撃+3000』『自動修復:Lv60』

 

ーーー

 

 凄まじいな。

 繋ぎとして頂いた無名の刀とは比べ物にならぬ。

 魔族が持っていた魔剣すらも遥かに凌駕している。

 これならば。

 

「《波動剣》」

「うぉ!?」

 

 衝撃波を起こすアーツを使い、スカルの魔法を一部ではあるが完全に相殺した。

 やはり、武器の性能が上がればアーツの威力も上がる。

 この刀ならばスカルと互角以上に戦えそうだ。

 

 私はそのまま、相殺によって風の魔法に一瞬開いた風穴を抜け、私は空中のスカルへと飛び掛かった。

 同時に、刀を鞘へと納める。

 今必要な最速の型を繰り出す為に。

 

 ━━死条一刀流 ()ノ型 居合い斬り・死線

 

 高速の居合い斬りをスカルに向けて放つ。

 損傷していたない方の翼を狙った一撃。

 しかし、スカルは鉤爪の付いた手で刀を掴んで止めてみせた。

 

「さすがに、そんな単調な攻撃でやられる俺じゃないぜぇ!」

「ああ、だろうな」

「え?」

 

 私は掴まれた刀を起点に、腕だけで自分の身体を持ち上げて飛んだ。

 刀を手放し、体術のアーツである《波動脚》という脚から衝撃波を出すアーツによって擬似的に宙を蹴り、スカルの背後を取る。

 そのまま後ろからスカルを羽交い締めにした。

 翼ごと。

 

「なぁ!?」

「刀に意識が向き過ぎたようだな」

 

 死条一刀流の動きの中には、時に刀を囮に使い、徒手空拳にて敵の意表を突く技も存在する。

 剣士が剣以外を使わないとは限らんのだ。

 

 ━━死条一刀流 番外()ノ型 奈落落とし

 

 本来であれば、組み付いて来た敵を地面へと叩き落とす投げ技。

 今回は《波動脚》によって下向きに宙を蹴り、落下。

 その勢いのままにスカルを地面へと叩き付けた。

 

「ぐぇ!?」

 

 どうやら、それなりに効いたようだな。

 すぐに回復されるとはいえ、スカルのHPが減って動きが止まっている。

 私はその隙に刀を回収し、倒れたスカルの首を狙う。

 

「《フェザーミキサー》!」

「ぬ」

 

 スカルが大量の羽を全方位に向けて射出した。

 この羽一枚に私の身体を容易く引き裂く力がある事は先程の攻防でわかっている。

 やむなく攻撃を中断し、後ろへ下がりながら自分に向かってくる羽を斬り落とす事に集中した。

 その隙を突き、スカルが私から距離を取る。

 そして、再び翼を広げて飛び立とうとする。

 

 だが、それはできまい。

 

「なっ!? これは!?」

「気づいたようだな」

 

 スカルの無事だった方の翼の関節部に、小さな角が突き刺さっている。

 これは先程の魔族から拝借した角だ。

 さすがに、素材として幼子の頭部を解体させるのは忍びなかったので先に角だけ頂いておいたのだが、それがこんな所で役に立つとは思わなかった。

 

 この角をスカルの翼に突き刺したのは、奈落落としを仕掛ける直前。

 羽交い締めにした痛みと区別がつかないように刺した。

 普通ならバレそうなものだが、痛覚耐性が災いしたようだな。

 私もあれには悩まされた。

 痛みで身体が硬直する事を懸念して取得した痛覚耐性だが、痛みを苦痛として感じづらくなるこのスキルには、こういう弊害がある。

 完全に痛覚を失う訳ではないので、トータルではプラスだとは思うがな。

 いずれにせよ。

 

「その翼では、もう飛べまい」

 

 角を引き抜くなり、翼を千切って再生するなりすれば問題はないのだろうが、そのような暇を私が与える筈もなし。

 スカルが次の動きに出る前に、私はまたしてもスカルとの距離を詰めた。

 ここは私の間合いだ。

 もう逃がさぬ。

 

 ━━死条一刀流 (さん)ノ型 正中頭蓋割り

 

「なろぉ!」

 

 私の刀をスカルは鉤爪で受け止め、そのままつばぜり合いとなった。

 

「遠距離を封じたくらいで勝った気にならないでほしいなぁ。勝負はここからだ!」

「ふっ、望むところだ」

 

 互いの間合いに入った状態での斬り合い。

 これこそ、私の最も好きな戦いだ。

 存分に楽しむとしよう。

 

 私は目の前の強敵を斬るべく、再び刃を振り上げた。

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