辺り一面は黒い炎で燃え盛っている
その炎は
そして、その中心には二頭のドラゴンが睨み合っていた
『終焉帝!こんなものか!!?以前のお前はもっと楽しめたが!!』
『...私も年だ。だが、あのバカ娘がいる限りは...死ねん!!!』
終焉帝は傷だらけの体を動かして私に掴み掛かる。
『...そもそも、なぜ傍観勢の貴様がこんな事をする!!『バハムート』!!?』
―バハムート 偉大なる私の名前。
全ての竜を圧倒する力、全ての海を統べる者
...それが、私。私という存在
『暇つぶし。』
そう、全てを圧倒する力に付くデメリット。それが退屈と言う名の『渇き』だ。
強過ぎるゆえ、仲間がいない
強過ぎるゆえ、傲慢となる
強過ぎるゆえ、感情に欠落が生じる
強過ぎるゆえ...
『...なら、
終焉帝は異世界の扉を作り出した。
『...何だ、異世界に飛ばしても無駄だぞ。私はすぐに戻って来る。』
『貴様は...小さな世界しか知らん。
...私は他の世界に興味はない。示した事もない。故に言う
『...面白い...』
私は終焉帝がこじ開けた異世界への扉に一歩一歩大地を踏みしめて歩く。
『一つだけ、言わせて貰うぞ。終焉帝。』
『何だ。』
私は終焉帝を鋭い眼光で睨み付ける
『くだらない世界であれば、その世界を焼き払い、お前を殺す。』
私はそう言い残し、異世界の扉に足を運んだ
異世界の扉を通ると、私の肩ぐらいの高さの山がずらりと並んでいるのが確認できた。そしてその奥には明らかに高度な技術で作られた鉄箱のような建造物などもあった。
そしてなによりマナの純度が低すぎる。
私は自ら生み出す事が出来るから問題ないのだが他のドラゴンにとって生きるのは厳しい世界だろうな。
...だが、あの鉄箱のようなものに関してはどう説明する?これだけマナのない世界であの鉄箱は常に光を灯しているのだ。ランタンではあんなに目立つ光は出せないだろうからな。別の何かを利用しているのだろう。
『...成程な、私の知らないモノがこの世界にはあるのか。』
―面白い
精々楽しませてもらうとしよう。
―プロローグ―
鉄箱だらけの場所は人間の集落だった。私は人間に化け、人気の少ない場所であぐらをかいて一人考え事をする。
―知らない世界を一人でぶらぶら歩くほど私は馬鹿ではない。そんな事をすれば路頭に迷い道端で泣き叫ぶ羽目になるだろう。バハムートともあろう私のプライドがそんな惨めな行為は許さない。
ではどうするべきなのか。その答えは非常に簡単、この世界は恐らく人間が食物連鎖における最上位種なのであろう。ならば存在する人間の中である程度世界の常識について詳しく、尚且つ面白そうな奴を私の配下にすれば良いだけの話だ。
...となると、今度は配下にする方法を考えなければならないのだが......
「......すいません、そこのお姉さん?」
ふと私に声がかけられる。声の主の方へ顔を向けると全身紺色の服装で胸の辺りに『警察』と書かれた刺繍を縫っている男がいた。私を見る視線に警戒が感じ取られる。
「お姉さん夜中にこんな所で何しようとしてるんです?見た目的に大人の方なようですが布切れ一枚の服装、角や尻尾はどうなんですかね?署に来てもらいましょうか。」
私の肢体をじろじろ見ながら恐らく失礼であろう事を言ってきたので、私は男に怒鳴りつけた
「不敬であろう!!人間風情が!!!」
瞳の奥の瞳孔を開き、男に威圧をかける。男は圧に押されたのか「ヒィッ!!」と言って地面に尻餅を付け、怯えるそぶりを見せ始めた。
「......全く、これだから人間という輩は」
私はその人間をそのままほったらかして、再び思考の海に沈むことに......
.........いや、待てよ?この男を我が配下にすれば良いのではないか?
先程の言動、この男の服装から察するに、この男は人間に注意を促すつまり取り締まる立場に位置していると考えられる。そう言うことはこの世界の秩序を知り尽くしていなければ不可能な事だ。
面白さに関しては期待出来んが、好条件ではないか...!
それらの事を踏まえて、私は再び男の方へ向き、しゃがみ込んで男の目を見る。
「...先程はすまなかった、多少苛立ちを覚えた故大人げもなく怒鳴ってしまってな。」
「.........何が目的だ...!」
男は懐から鉄で出来た何かをこちらに向けた。視線に怒りの色が表れている以上、恐らくは武器なのだろうか。
...私の知らない物だ、気になる。
「ッ!!お、おい!!取るなッ!!」
私は男からそれを回収し様々な角度からそれを眺める。
「...これは何と言う物だ?」
「......は?」
「聞こえなかったのか?この鉄の塊は何であるのかと聞いている。」
「............え?ぴ、
「どういった用途で使うのだ?」
「......人を殺す為」
男は私の事をぽかんとした表情で眺める。私の前でそのような
「...成程、理解した。それでは返却しよう。」
未だにぽかんとした表情でいる男の手に、そっとピストルとやらを握らせる。
「...え、え~っと、本当に何が目的なんだアンタ??」
「そんなこと決まっておろう!人間を一人我が配下にすることよ!そして、丁度良い時に主が現れた。私は主を我が配下にしようと考える!!」
「......」
男は遂に黙り込んでしまった。どうやら私の素晴らしく偉大な目的に言葉も出ないようだ。
「沈黙は了承だと認定する、さあ、主の住処を教えよ!今からひとっとびするぞ!!」
男の首元を掴み、私は両足に力を込めて、思いっきり跳躍した
「うわぁああああああああああああああああああ!!!」
「黙っていろ舌を噛むぞ」
私は空中で男を背に担ぎ、自らと男に透明化の魔法をかけた後、
『ふぅ...やはりこの姿が一番楽よ、さあ男よ、貴様の家を教えろ......ん?』
首を曲げ、背中に乗せた男を見ると、泡を吹いて気絶してしまっていた。
『貴様が気絶したらどこにゆけばよいか分からぬではないかぁ!!......むぅ』
これは私が無事この男の家を探し当て、届けなくてはならなくなったと言うことか。全く、この世界の人間はどこまで貧弱なのだろうか。