SW2020 スペリオルウィッチーズ   作:グリーンベル

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なぜ月曜日の8時と9時という変な時間に投稿したのかというと、リアルと時系列を合わせたかったからです。時系列を合わせるのはあと数話くらいですので、それ以降は決まった時間(未定)に投稿したいと思います。
また、今回のように連続で投稿するのは今後はあと2回くらいしかない予定なので、あまり期待しないでください。


第2話 記念すべき一日

「そういえば、ジャニスさんのお母さんってもしかして……」

基地の中を案内され、新しく私の部屋になった一人部屋に来た時のことだった。荷物を大体運び終えた時、レイが唐突に口を開いた。

「残念、『40秒』のジェニファー・ボイドはおばあちゃんだよ」

「ほんとですか!?いや〜、やっぱりそうだったんですね!あんまりボイドって名前の人いないし、偶然の一致かとも思ったけど、本当にそうだったんだ!」

キラキラと目を輝かせながら話すレイ。やはり祖母の知名度は並々ならぬものがあるな、とジャニスは思った。

ジャニスの祖母は優秀なウィッチだった。第2次ネウロイ大戦中期にリベリオン陸軍に入隊したにも関わらず、驚異的なスピードで頭角を現し、入隊から2年も経たぬ内に、激戦地である欧州方面に派遣された。

各国のエリート達が集う欧州においてもその実力は一流であり、わずか10ヶ月でネウロイ70機撃墜の偉業を成し遂げた。終戦後もリベリオンで教官を務め、独自の空戦論を語るなどして、歴史にその名を刻み込んだのだった。

ちなみに異名の「40秒」とは、教官時代に「不利な状況から模擬空戦を開始し、40秒以内に位置を逆転させる」という賭けを行い、3年間の通算で無敗だったことから付いたものである。ジャニスも同様の賭けを本国で行っていたが、どれほど頑張っても40秒を切ることはできず、「50秒」のあだ名に甘んじていた。

「やっぱり、戦ってみたかったですか?」

「うん、そうだね。なんせ相手は自分の家族だからね。人間なんだから、先人を超えてこそでしょ?」

「か、かっこいい……ジャニスさんかっこいいです!」

「んふふ、ありがと」

感極まったように、レイがジャニスの手をがしりと握ったのと同時に、甲高いサイレンが基地内に鳴り響いた。瞬間、サイレンに反応した二人が身を固くする。

「お出ましかな?」

「そうみたいですね。格納庫に行きましょう、着いてきてください!」

「オッケー!」

部屋から飛び出たレイを追って長い廊下を走り、ジャニスは格納庫に辿り着いた。そこでは、游隼とアナが二人を待っていた。

「来た日に出撃とは運が良かったね、ジャニス」

「随分と歓迎されてるみたい」

「ネウロイもせっかちだよ。まだ部屋に荷物運び終わっただけだってのにさ」

「ちゃんと揃ってるわね?うん、上出来じゃない」

どうにも緊張感のない会話がされている中、フラムとカニンガムがゆっくりと格納庫に入ってきた。

「お嬢様はのんびりさんだこと。ティータイムには早いんじゃない?」

レイが左手の腕時計を覗く。時刻は午前10時を5分と少し過ぎたところだった。

「余計なお世話よ。それに、私は少しくらい遅れてもいいの。私はあなた達とは違うんだから」

「『あなた達と違う』と来ましたか。全く、貴族さまには参るね」

「……ついさっき来たばかりなのに随分と生意気ね、ボイド中尉。私の階級は覚えてるのかしら?」

「そっちこそ、学校で時間は守りなさいって教えられたのは覚えてない?あっ、もしかして、ガリアじゃ教えてないのかなぁ」

どこか棘のある口調で話すフラムに、過剰な猫なで声で返すジャニス。たちまち、二人の間に険悪な空気が広がる。その様子をレイと游隼は心配そうに、アナは表情を変えずじっと見ていた。

「おやめくださいお嬢様。中尉もです。今はネウロイが迫ってきています」

抑揚のない、感情がほとんど込められていないカニンガムの声による仲裁で、二人は睨み合うのをやめた。

「うっ……わかったわよ」

「はいはーい」

「……良いですね。ではネウロイの説明を始めます。中尉、この部隊では私が指揮を努めさせて頂いています。戦闘隊長はお嬢様です。異論はありませんね?」

「うん。説明してちょうだい」

ヒラヒラと手を振り、ジャニスが話の続きを促す。

「では。目標は全長50mの大型1機です。稚内市上空を通過し、時速700kmで南下中。そして……」

手元のタブレット端末に目を落としながら、カニンガムがすらすらとネウロイの情報を述べる。

「……例の光学迷彩型です。しかし、射程距離内であればミサイルは感知しますし、私も位置を教えますのでご安心を。では皆さん、出撃用意をお願いします」

「「「「「了解」」」」」

口を揃えて返事をした5人は、それぞれのストライカーへと走り出す。ストライカーが固定されている台座の近くには、数人の整備兵が待機していた。

「9X-2は2発、AMRAAMは4発積んであります!」

ストライカーに脚を入れ、無線機兼HUDの役割をなす多機能ゴーグルを着けながら、早口言葉のような整備兵の武装の説明を聞くジャニス。9X-2とは、ジャニスのストライカーであるF-35Aに積める短距離用ミサイルAIM-9X-2のことであり、AMRAAMはAdvanced Medium-Range Air-to-Air Missileの略、つまり中距離空対空ミサイルのことだ。

「これは何発入れてあるの?」

「SAPHEIを180発です!」

「よし、バッチリ!」

台車で運ばれてきた黒光りする物体を指し、ジャニスが聞いた。その物体とは、リベリオン製の25mmガトリング砲、GAU-22/Aイコライザーである。その隣には、給弾ベルトが溢れんばかりに詰まったバックパックが鎮座していた。

「レイ、出撃しまーす!」

「フラム、出るわよ!」

声に反応したジャニスが左を見ると、レイとフラムが滑るように格納庫を飛び出していった。ジャニスも負けじとイコライザーを持ってバックパックを背負い、ストライカーの回転数を高める。回転数が一定以上になると、ストライカーを据え付けている台座のロックが外れ、ジャニスの体がゆっくりと前進し始める。

「ジャニス、出るよ!」

気合を入れ直す為に一際大きな声を出し、一気に加速する。真っ青な霧のような魔法力がエンジンから放出され、ジャニスは格納庫を飛び出した。

『幸運を、ミス・ボイド』

「ありがとう、頑張ってくるわね!」

無線機から入ってくる管制官の声に、ジャニスが元気に返す。

「ジャニス、少しいい?」

「ん?どしたのさ、アナ」

レイとフラムをジャニスが追っていると、右後方からアナが接近してきた。ついさっきとまるで変わっていないような、仏頂面だった。

「来て早々あのお嬢さまに口答えするなんて、ジャニス、結構度胸あるね」

「別に、大したことじゃないでしょ。偉そうにしてるのがちょーっと頭にきただけだし」

済ました顔でジャニスがそう言うと、アナはどこか哀愁を感じる表情を浮かべた。

「あの子はちょっと肩肘張ってるだけなんだ。ちょっとくらい生意気でも、大目に見てあげてよ」

「ま、わかってるけどさ。さっきのも別に本気だった訳じゃないし」

ジャニスの言葉を聞き、アナは仏頂面に戻った。

「そう……それだけ」

「そっか」

ジャニスとアナは横に並んだまま速度を上げ、レイ達と合流する。

「みんな早いよー!ジャニスにいい格好したいのはわかるけど!」

「そんなわけないでしょ!早く並びなさい!」 

「はーい……」

フラムに怒鳴られながら4人の後ろから游隼が合流し、5人はフラムを先頭にした楔形に並んだ。

『目標確認、方位340。高度25000フィート、距離約20マイル』

「そろそろね……全員、ちゃんと私の指示を聞くのよ!わかった、ボイド!?」

「うん。あんまり無茶なのは聞けないけどね」

無線から届いたカニンガムの冷静な報告を聞き、フラムがキンキンと神経質そうな声を上げる。呼び捨てにされたことには触れず、ジャニスはそれに落ち着いた声色で返す。前方のフラムは、返事を聞いてウンウンと頷いていた。

「よしよし……そう、あなたもよスリャーノフ大尉!いつもいつも私の指示を聞かないで……」

「……先行する」

ぼそりとそう言い残し、アナが急加速した。呆気にとられた4人から、猛スピードでアナが離れていく。

「ちょっ……ああもう!攻撃開始!行くわよ!」

「「「了解!」」」

全員がエンジン出力を上げ、ぐんぐんと加速する。5人の体が風を切り、エンジン音が甲高く鳴り響く。

『スリャーノフ、交戦。FOX3』

無線からアナの澱みのない声がしたかと思うと、4人の視線の先の斜め左上の空で爆発が起き、それまで何もなかった空間に、今まさに生み出されたかのように黒い物体が現れた。角の丸まった十字架を、下に伸ばしたようなフォルム。ネウロイだ。

「へぇ〜。攻撃が命中するまでは本当に見えないんだね」

「最近時々来るんですよね、迷彩型」

「一発でも機関砲当てちゃえば姿は見えるし、そんなに厄介な相手でもないんだけどね」

「フラム交戦!ボサッとしてると獲物は貰うわよ!FOX2!」

呑気な声で話していた3人に、フラムが叫ぶ。HUDの役割を果たすゴーグルは、既にネウロイを射程圏内に収めていると表示していた。

「じゃ、行きますか。游隼、交戦。FOX3!」

「レイ、交戦っ!FOX3!」

「ジャニス、交戦!FOX3!」

4人が一斉にミサイルを発射し、白い筋が8本空に走る。ステルス能力をアナによって無効化され、丸裸の状態になったネウロイは、怒りの叫びのような金切り音を発した。

全身からハリネズミの如くレーザーを放ってミサイルを迎撃するネウロイ。が、ギリギリで残った2発が十字架の中心部、いわば胴体中央に異なる角度から命中し、表面を大きく崩壊させる。

「やった!今の私の撃ったミサイルですよ!」

「私のミサイルよ!」

「まだ落ちてないよ、二人とも」

「うん。コアはなんとか守ったみたいだね」

『コアの反応あり。翼の付け根の少し後ろです』

ネウロイに接近していた4人に、カニンガムが告げる。ジャニスが目を凝らすと、確かに崩壊した胴体の一部から赤い光が漏れ出していた。

「一気に畳み掛けるわよ!」

「言われなくても!」

「今日は私がいただきますよー!」

「私だって!」

4人と先行していたアナが攻撃を再開し、怒り狂ったようにレーザーをばら撒くネウロイに、散開しながら短距離用ミサイルと機関砲が叩き込まれる。ネウロイの表面が崩れ、白い破片を羽根のように撒き散らす。それによって、漏れ出すコアの光もどんどん大きくなっていく。

「これで……!」

ネウロイの真上にいたレイのAAM-5が命中し、十字架の先端部が折れた。通常の飛行機ならば機首が切り落とされたような状態であり、そのまま墜落する運命を辿るだろうが、ネウロイは止まらない。レーザーで巧みに迎撃し、致命傷を避けようとする。だが、進化した魔女たちにそんな苦し紛れの延命策は通用しなかった。

「もらったーっ!」

赤い光を右に左に避けながら接近したジャニスが吼え、右手のイコライザーのトリガーを引く。軽量化された給弾機構が唸り、音速で放たれた25mmSAPHEI弾がコアに突き刺さり、貫通し、打ち砕いた。首を失った十字架は、そのまま光に包まれて雪のように消えていったのだった。

『目標の破壊を確認。皆さん、お疲れ様でした』

平坦で一本調子ではあるものの、どこか安心しているようなカニンガムの声を聞き、5人はほぼ同時に溜息を漏らした。

「もうこの付近にネウロイは居ないのよね?」

『はい、反応はありません』

カニンガムの返答を聞き、フラムが長方形のゴーグルを額に上げる。それは、一応の戦闘隊長であるフラムがもう戦闘が終了したと認識したのを表していた。それに倣い、4人もゴーグルを上げる。

「よし、全機帰投するわよ!」

「早く帰ろーっと」

「あ、コラ!編隊組みなさいよ!」

フラムの指示に食い気味にジャニスが言い、基地の方角へと向かい始めた。ジャニスとそれを怒って追うフラムを、残った3人が呆れたように追い始める。

「まさか、来て数時間で初戦果とはね……」

「流石は『50秒』」

「ジャニスさん……かっこよかったなぁ」

顔を見合わせる游隼とアナを尻目に、レイがうわ言のように呟いた。




自分で隊の編成を考えてみて再認識したのですが、501って超豪華な部隊なんですよね。11人全員固有魔法持ち(しかも半数近くが希少)+各国のエースばっかりっていう盛り盛りの設定なんて、そう真似できませんよ。
勿論この部隊の皆も自国では結構名の知れてるエースなんですが、それぞれの国により強いエースがいるので、言うなれば「(トップじゃないけど)エースばかりの部隊」という立ち位置です。トップの人たちを描写するかは未定ですが。
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