メ ン タ ル ヘ ル ス 秒 読 み ド ク タ ー   作:pilot

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第2話

「お゛な゛か゛す゛い゛た゛ね゛ぇ゛レ゛ッ゛ド゛くん゛」

 

「えっ。」

 

我ながら、地獄の底から響き渡るような低音だ。うるさい。

でも叫ばずにはいられない。

 

何故なら。

 

「お゛な゛か゛す゛い゛た゛ね”ぇ゛レ゛ッ゛ド゛く゛ん゛」

 

「れ、レッドもそう思う......よ......?」

 

私は、今!死ぬほど!腹が減っている!

キョトンとした顔をしても無駄だ!私の腹ごしらえに付き合ってもらおう!

 

「というわけで私が作るから待っておいてくれ。」

 

「うん......」

 

用意するもの!鍋!野菜!肉!なんかいい感じの塩入り調味料!麺!

そして一番大事、社員食堂の使用許可!以上!

 

「フハハハハ!カップ麺とはレベルが違うのだよ!製薬会社ロドスのドクター足るもの健康には気を付けんとな!」

 

笑いが止まらん。躁状態だ。一生これがこのまま続けば良いのに。

 

フードの中ではにやにやしながら、肉を鍋に突っ込む。

鳥の肉だ。

出汁が出てとてもよい。

サイレンスは旨いのかな。

いや私は何を考えてるんだ恐ろしい。

 

「それ、ドクターが言っても、説得力無い。」

 

やめろ!私は完全栄養食サプリメント様のお陰で栄養面は問題ないはずなのだ!大丈夫なのだ!

ただ満腹中枢はそんなものを飯とは認識してくれない。

黙れ私の本能!

すこしばかりヤバイ薬キメて一生脳に直接負荷かけてるだけだから!

ダメじゃないか。

自分で考えて辛くなってきた。

 

「私をなめてもらっては困るぞレッドくん。

一度は研究者でもあった身、今はもう一度勉強中だが少しは自信がある。料理は化学、健康は料理。

つまり化学=健康!化学ができる私は健康!QED!!!」

 

取り敢えず勢いで押し通す。

鬱と躁を行き来する私は、自分でもよくわからない。

 

「ええ......」

 

疑いの目を向けられる私。

ヤバイ鬱になる。やめてくれその目。

やめてくださいお願いします。

 

「おほん......疑うようだが、適当に調味料ぶちこんで材料も投入し適当に煮れば完成する効率的な料理だよ。シンプル故に失敗はありえない!万に一つもだ!私の腕は自動指揮を習得しているのだ!」

 

肉が煮えてきたので次いで野菜をぶちこむ。

 

レッドも、初めは疑ってかかっているが、時期にもぐもぐ食べてくれると私は信じている。

 

オラァ!醤油ベースの出汁を食らえっ!

うーんいい色合い。絶対旨い。

この瞬間がたまらんのだ。

立ち上る湯気が香ばしい。芸術品だろこれ。

文明の利器様々だ。(?)

 

「すごく、匂う......多分、いい匂い?」

 

そうだいい匂いだ、私の好きな香りトップ3に入る。

醤油はいい。

 

「いい感じだろ?」

 

旨いのだこれが。

 

はい!麺をドーン!

白く太めでかみごたえのあるこの麺が、このだしと絡まって舌と体に直接旨さの暴力を伝えてくれるのだ。

あとは少し煮るだけ。

火を通すだけだ、あまりふやけさせると不味くなるからな。

 

「出来たぞ!料理かと聞かれると疑問符が着くが、味と栄養と食べやすさは保証する。」

 

丼に盛り付けた、私の作った料理を彼女の前に置く。

 

ふんふんと匂いを改めて嗅ぐレッド。

箸を渡し、私も席につく。

 

「頂きます!」

 

「?......頂きます。」

 

真似して食前の挨拶をする姿は中々珍しい。

常識が欠けているところに親近感を感じるのもまたおかしな話かもしれないな。

 

「上手くできたかな?」

 

「熱い。でも、多分、美味しい。」

 

「それはよかった。」

 

本当に、良かった。

腹が減ると鬱になる。

空元気でもしなければもう直ぐにでも死にたくなる。

人間のからだとは、こうも脆く度し難い。

 

ただ、ほんとにぶちこんだだけの、料理力の欠片もない、言わば味と消化性を整えただけの料理なのだが、私たちのような家族がいなかった、あるいはまともじゃあない、めんどくさがりかもしれない人間には、こんなものが一番旨いし、最も食べやすく安心できるのだ。

 

だからこそ私は、少しでも健康には気を使わなければならないんだ。

 

心も、体も。

もう壊れかけてるけども。

 

 

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