メ ン タ ル ヘ ル ス 秒 読 み ド ク タ ー 作:pilot
肉を割く。
内臓を抉る。
とりだし、発生している鉱物へ直接触れる。
絶叫。悲鳴、おぞましい。
叫ぶな。
手が震えるだろうが。
まだまだ私には見地が必要なのだ。
そのためには、死にかけていたお前を治療して、そのまま実験台にしても問題ないだろう。
「____!!!_____!!!」
口を塞いでいてもうるさい。
やめろ。そんな目で私を見るな。
私が怖いか?私も怖い。人が怖い。
だからどうした?怖くてもやらなくてはならないことも多いんだぞ。
生きた鉱石組織に、さまざまな実験を施していく。
面白い。とても面白い。面白いが、頭がいたい。
一番オリパシーの影響が出るとされる脳は後回しだ。
今すぐにでも切開して、中を覗いて、実験して、ぐちゃぐちゃにしたい欲に負けそうになるが、あまり都合のよい体は早々手に入らない。
死体の山からやっと見つけ出した、生きた組織なのだ。
まったくオペレーターたちは、頼もしいが殺意が高い。
「私は人くらいいくらでも、殺して、騙して、そして進まなければならないんだ......」
だから、許せとは言わない。
レユニオンの一般兵、ありがとう。
反応を片っ端から画像データに残し、多種多様な試薬で化学変化を記録し、そして物理的性質も平行して調べる。
アーミヤだって頑張ってるんだ、私も進まなければならない。
徹底的な効率化で、無駄なく、美しい手順で、こいつの体は余すところなく感染者の未来のために利用される。
前の私も、こうやって実験していたのだろうか。
不思議と、罪悪感よりも高揚感の方が大きかった。
しかし、自分という存在への不安と、嫌悪感は増大する一方であった。
こいつ、鳥の形質持ってるのか。
嫌なことだ。
「いやし......」
精神的に疲れたときはこの手に限る。
実験で精神的に疲れた私はいつもいつもこうしている。
レッドの頭を撫でるのだ。
「えぇ......ドクター、血生臭い......」
風呂には入ったんだけどな。
まあそうそう取れもしないか。
「すこしだけ、作業をしていたんだ。殺さずに捕獲してこいっていったって、殺しに来る相手を殺さず捕らえることは難しい。
やっと手に入った、珍しい検体だったから、新鮮な内に作業したかったんだ。」
なんともまあ、醜い人間だな、私は。
片手間に感染者を殺し、その中の生き残りを漁り、苦しませて殺す。
その一方で、こうやって普通に、レユニオンのような影とは離れた普通の生活も送っている。
躁鬱だ。
実験中の高揚も、後から見れば自己嫌悪に陥る物でしかない。
肉を裂くその手でまた別の肉を裂き、レッドと一緒にご飯も食べている。
この前の鶏肉と、きょう引き裂いた鳥っぽいやつの肉が思い出で重なり、すこしばかり吐き気を覚える。
いつか、割りきれればいいな。