メ ン タ ル ヘ ル ス 秒 読 み ド ク タ ー   作:pilot

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レッドのかわいさはすばらしいぞ
シージも頼もしくてすばらしいぞ
シルバーアッシュはイケメンですばらしいぞ
アークナイツはいいぞ


第8話

レッドは有能だ。

それは間違いがない。

 

レッドは幼い。

しかしそれは、欠点ではなく、むしろ美点だ。

素直で、吸収も早く、純真である。

 

素晴らしい。

心、技、体全てが揃っている。

 

しかしだ。

私は今レッドに関してすさまじい難題の処理に追われている。

オバアサンだかなんだか知らないが別にそいつのことではない。

 

いや十二分に怪しいのだが、今のレッドならケルシーの方に靡くだろうという謎の信頼がある。

 

問題はレッド自身の中にある。

 

しかもその問題の大きさはロドス内のみで終息せんのだ。

デカイ。デカすぎる。

 

その問題とは。

 

「匂いだ。狼の匂い。レッド、ハンティング開始。」

 

「ヤメロォォォォオ!!!」

 

テキサスがっ......犠牲になったっ......!

 

尻尾だ。レッドの尻尾への探究心、それこそがこの問題の根底にある。

はじめはループスのみだったというのに、最近は尻尾さえあれば時間もところも構わず触りにいく。

 

ああそうだろうな、モフモフの尻尾はいい。

が、ダメっ......!急に触るのだけはダメっ......!

公共の場で触るのにも問題があるっ......!

セクハラは......同性でももちろん成立してしまうっ......!

 

更にこれは私が医者、ひいては学者だからよくわかる、というか誰でもわかると思うんだが尻尾ってわりと急所である。

背骨の延長線上なので神経がつまりにつまった最高クラスのデリケートゾーンなのだ。

 

しかもこれは別に触られると力が抜けるとかそういう都合の良い物ではない。

痛いのだ。純粋に。

 

だって急にだぞ?感覚神経に過剰な刺激を与えればそりゃ痛いのだ。

 

テキサスはまだいい(よくない)。

シルバーアッシュにでもしてみろ。

軍閥と敵対するのは良くないぞ。

私の技術と対外交渉の能力ではカバーしきれん。

まあレッドの直接の責任はケルシーにもあるが、もちろん私も彼女を保護する人間だ。見過ごすことはできない。

 

というわけで。

 

「めっ!」

 

「ごめんなさい......」

 

「そこまで長考して考え出した注意がそれしかなかったのか???」

 

テキサスが尻尾をさすりながらこちらへ逃げてくる。

レッドはしょんぼり、うーん衝動的にやっちゃうんだろうなぁ......

 

注意に関しては、力及ばずすまないとしか言いようがない。

......語彙力無いんだ......記憶喪失の影響かな......

 

「とりあえず触ってもいい尻尾とダメな奴を区別しような。」

 

「いやほとんどダメだろ。」

 

「えっ......」

 

テキサスは厳しすぎる。レッドがそれだとかわいそうだ。

みろこの上級術師の群れのなかに群狼だけで突っ込まされたときの顔を。

 

「うーん......合法で尻尾のモフモフ......あっ!人形とかどうだろうか?どうせ毛など死んだ細胞なのだ、限りなく近いものもしくは()()()()を人形に加工すれば誰の許可取るのでもなくモフモフ出来るじゃないか!」

 

パアァッと輝くレッドの顔。

テキサスの反応も悪くない。

 

「それは名案だな。」

 

そうだろ?

 

というわけで早速行動開始だ。

 

「よし、君にも協力してもらおう。」

 

「まあ、私とロドスの尻尾の安寧のためだ、臨時手当ては出してもらうぞ。」

 

「いや、普段通り皆で出撃すればいいよ。ただしレッドは出さない。」

 

「「どうして?」」

 

両方、きょとんとしている。

 

「レッドにサプライズしたいのさ。」

 

それに、材料なんてどこにでも転がっているだろう?

いちいち集めに、買いに行かなくても。

 

 

 

 

 

 

 

 

_____________________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日も今日とて機密文書を強奪しに来たレユニオンの死体を漁る。

もうなれたものだ。

初めは嫌悪感を感じ何度も吐いたが、いまはもうなにも感じない。

よくよく勉強すれば、死体も生きている組織も似たような物だとわかった。

 

私は感染者だろうが、非感染者だろうが差別はしない。

 

ただ私たちに反抗するものを人扱いしないだけだ。

私たちを人扱いしない奴等だ、こちらが気を使うのも不等価だというものだろう。

 

「う......あ......」

 

おお、生き残りがいるではないか。

レッドという精鋭が使えなかった今回の作戦は非常に厳しい戦いだった。

全く、私情を挟むとは私も甘い指揮官だ。

 

だが生き残りがいるのは僥倖だった。

 

素材は新鮮でいたみのすくないものの方がいい。

 

重装備をひっぺがせば、中身は怯えた顔をこちらに向けていた。

調子のいいものだ。

先程まで盾で殴殺しようとしてきたというのにな。

入れ換える心は、わりと沢山ストックがあるらしい。

 

「た......助けてく」

 

顔を掴む。

こちらへ引き寄せる。

これでも大事に扱っているのだ。

気を付けなければ、素材に傷が付くからな。

 

「表面上の鉱石病進行はゆるいな......コイツは使える。

ノイルホーン、これを積み込んでくれ。」

 

「おう。

......ドクター、それに何するんだ?」

 

「いや、すこしばかりね。ロドスの未来を守るためだよ。」

 

「まあいいけどよ......声が怖いぜ。俺は()()ドクターも嫌いじゃないが、あんたはあんたでよく頑張っていると思う。突っ走りすぎないでくれよ。」

 

ノイルホーンは優しいな。

でもときたまわからなくなるのだ。

 

私は倫理観も見様見真似。

 

なにもわからない。

 

なんとなく、血みどろなのは嫌な気がしたが、それも慣れてしまった。

 

おかしい、初めは嫌な筈だったんだけどな。

 

忌むべき理由を忘れ去ってしまったのか、私はどうしたかったんだろうか?

 

今はとにかくレッドのための人形を作るんだ。

レッドは超感覚持ちだから、素材に勘づかれないようにしなきゃいけない。

一度でも素材となった人を見ていれば、変わり果てた姿になろうとも判別してしまう。出来てしまう。

だから連れてきてないんだ。一度も見せないために。

 

いや、まて、本当に?

私は倫理観がわからないのか?

それなら別にレッドを連れてきても良かったんじゃないかな。

あれ?

 

......あれ?

 

わかるのに?

いや違う、他人と自分は違......う?

 

あれ?あれ?

 

足取りがおぼつかない。

感覚がわからない。

 

私、私ってどこにあるんだ。

歪む。

脳が混乱している。

不味い、マズイマズイマズイ。

 

どこの立ち位置?

どれがどれだか、重なりすぎてなにもわからない。

 

そうだ、逃げなきゃ。

いや、違う、スカルシュレッダーが。

ちがうちがうちがう、サルカズの傭兵に対抗しなければ。

 

そうじゃない、そうじゃない、今の目的を思い出せ。

ケルシー?なんでお前が出てくるんだ。

 

起きなきゃ。

 

声が数百個も、万も、億も?わからないが聞こえるんだ。

 

記憶が重複してる?

どうしたって急に......

 

頭がいたい。痛い。いたい。いたいいた____

 

 

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