メ ン タ ル ヘ ル ス 秒 読 み ド ク タ ー   作:pilot

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誤字報告いつも助かってます(クソザコ推敲作者)
見直してもすぐ見落としてしまうのつらい


第9話

Dr.■■■

 

性別■

 

戦闘経験無し

 

鉱石病■■■■■■■■

 

■■■■■■■■■■■

 

健康状態は良好。

精神も不安定だったが改善方向にある。

知識の吸収にも意欲的、別段不安要素はない。

君自身も安心したまえ。

君の指揮と医療知識、そしてコミュニケーション能力にはとても助けられている。

 

これからも励んでくれよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上記はDr.■■■閲覧用のダミープロファイルである。

また下記のトゥループロファイルはドクター以外のすべてのロドス人員に周知させるように。

ただし現時点で、外部より派遣されてきたオペレーターへの開示は私の許可なくしないように。

 

Dr.■■■

 

性別 特定不能

 

戦闘経験無し

 

記憶喪失直後のドクターは躁鬱の気はあったものの、重大な病ではなかった。

 

しかし現在、彼、あるいは彼女の精神は非常に不安定で崩壊寸前だ。

見様見真似で自己を構成し、幼く退行したはずの自己をひた隠しにし、築き上げ直している。

 

彼は近い関係のオペレーターの精神面を無意識下で吸収し、そしてそれらのためにあろうと自己を矯正している。

 

当初は規模が小さい、微笑ましい行動指針のレベルで留まっていた。

が、精神面に小さな問題のあるオペレーターのその小さな歪みと、記憶喪失による常識、倫理観の欠如とあいまり異常行動に発展している。

 

性別特定不可能というのは、精神面において現在「あれ」はジェンダーの偏りを持たないからだ。

 

赤ん坊が性徴を示さぬように、あれもまたそうなのだ。

また理性回復剤との相互作用によって一足飛びの思考の暴走が見られる。

 

いわゆる統合失調症の諸症状を顕在化し、一人で行動を完結させる方針が見えかくれする。

 

精神面としての教養はゼロに等しいが、頭脳と知識のみは素晴らしい。

 

そしてそれが良くないのだ。

 

一括して言えることは、その素晴らしい頭脳は素晴らしい精神によってのみ制御される。

しかしあれは今は無垢だ。

何をするかはわからない。

倫理も、常識もない。

枷が無いのだ。

奴は感情を持たない、感情由来に見える行為は全て自己に近い何者かに主体をすり替えて行っている。

 

誰かのためなら、遠い誰かを平気で犠牲にし、最短経路で何かを成し遂げようとするし、更に踏み込めばその「主体」のことを真に考えている訳ではない。

 

迎合しているようで、誰一人として信頼せず、すべてを知り、全てを織り込んで無理矢理誰かのために動こうとする。

 

よりどころが欲しいオペレーターの燃料になりきり、家族が欲しいと言うオペレーターの家族になりきり、そして皆の思いである「良い代表」になりきる。

 

繰り返すが、徐々にこれらの「なりきり」のために手段を選ばなくなっている。

 

最新のインシデントでは手作りの人形をオペレーターへプレゼントするために生きている組織からの採取を試みた。

 

常軌を逸している上に、そもそもの指針がはっきりしていない。

 

加えて、精神面は細かく分離している。

単一化して対策を練ることは最早不可能だ。

多種多様な、表層化したそれぞれの精神に対応した行動を取らなければならない。

 

最も警戒しなければならない事態は、ドクターがロドスという組織に敵対的な者と親密になったときだ。

 

あれはきっと、その親密だと思い込んだ存在のために自己を作り替えるだろう。

 

今ここであの頭脳を無くすわけにはいかない。

 

直近の目標は、ドクターに自己を与えろ。

以上。

 

________ケルシー


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