カズマ「アクシオ! ヴォルデモートの杖! 」 作:たけのこ
ハリー・ポッターといえばいわずとしれた児童文学書だ。かくいう俺も小説はもちろんのこと、映画も何回も見たことがある……はずなんだが。何故かは分からないが展開を思い出せそうにない。いや正確にあらわすなら、ハリー・ポッターという児童書があって、魔法の世界の学校物ということは分かるんだがその先に靄がかかっているというか……。
とにもかくにも一つわかるとことは今俺の前に立っているひ弱そうな少年は
「紹介します、ポッター。この子は今年あなたと一緒にホグワーツへと入学するカズマ・サトウです。」
起きたときに近くにいた女性、マクゴナガル先生は大男、ハグリッドと、その近くにいたひ弱な少年、ハリーをつれて俺のいる席へと戻ってきた。
「初めまして、ハリー・ポッターです。君もホグワーツってとこにいくんだよね。よろしくね。」
「一応サトウ……いやカズマ・サトウだ。よろしくな。」
差し出された手を握り、俺は握手を返した。ここが仮にハリー・ポッターの世界だとして一体なぜ俺をここにいるのだろうか?うーん、全く検討もつかないわけではないが。十中八九アクアせいだろうな。最後の記憶アクアが起動したとかいっていた神器の仕業という説が一番ありえそうだ。ただ神器ってこんなことできるのだろうか?うーん、証拠がないぶんには考えても無駄か。
「それで、カズマって呼んでいい?カズマはその、魔法について詳しい?僕、実は今までその魔法とふれあう機会がなくて……。なにか知ってくれるなら教えてくれない? 」
「別にいいぜ。魔法か、魔法は……。」
いやちょっと待て。今普通に答えそうになったがこの質問、不味いんじゃないか。俺自身は、この世界の魔法については辛うじてわかるかどうかぐらいだ。そして、多分だが、この世界の俺に今まで過ごしてきた経歴というか、過去というかそれに近しいものがあるんじゃないかと思う。経歴不明なやつは学校にいけないはずだ、常識的に考えると。いやもしかしたら、ホグワーツが常識的ではないと言えるかもしれないが、まぁそれはおいとくとして、マクゴナガルと昨日約束をしていたらしいことも理由の裏付けになるな。まさか、この世界の主人公様から会話中にキラーパスが飛んでくるとは思わなかったぜ。……本人にそのつもりはないだろうが。
「ポッター。サトウも、あなたと同じくマグルの世界で過ごしてきたました。きっと仲良くできるでしょう。私は少しハグリッドと話があるのでしばらくふたりで仲をふかめあっていてください。ハグリッド、さあ向こうへ行きましょう。例のあの石の件についてです。……ああそれからサトウ、あなたの朝食兼昼食は出来上がったみたいです。トムのところへ取りに行ってください。」
「ハリー、少しまっちょれ。ちと大事な話なんだ。」
捨てる神あれば拾う神ありとはこの事か。マグゴナガル先生に助けられなかったら危なかったな。それに俺はマグル育ちってやつか。マグルってのはたしか非魔法族のことだったはずだから、マグル育ちってのは魔法に詳しくないないな。発言や行動には気を付けた方が良さそうだな。まぁ、あんまり思い出せないけど。
「じゃあ、朝食とってくるわ。」
この後マクゴナガル先生とハグリッドが戻ってくるまで、ふたりでしゃべっていた。会話にジェネレーションギャップを感じたが。おかげで少しはいい関係を築けた気がする。
「じゃあね、カズマ、また学校で会おう。」
「おう、じゃあな、ハリー。」
ハリーはハグリッドに連れられて、店の裏へと向かっていった。
「あなたが食べ終わったら。私たちも行きましょうか。」
「あ、すみません。待たせてしまって。」
俺は残っていた料理を急いで口の中に掻きこんだ。
「ごちそうさまでしたっと。」
「食べ終わったみたいですね。それでは、私についてきてください。」
俺は言われた通りマクゴナガル先生についていった。マクゴナガルは先にいったふたりと同じように店の裏へと向かっていった。そして店の裏のレンガを自分な懐から取り出した杖で叩いた。すると、レンガをボコボコと泡めきだち、ダイアゴンの名の通り、傾いた町が俺の前に姿を表した。表通りを歩く人は皆一様にローブを着ており、明らかに物理法則を無視している建物では、まさにファンタジーなものが売られている。活気に溢れている町を見て俺は初めてアクセルや王都へいったときのことを思い出したのだった。
凄さに圧倒されている。俺にマクゴナガル先生は少し笑いかけると。
「今のあなたを見ているとここに始めてきたときのことを思い出しますね。あの頃は……、いややめときましょう。さてあなたに渡すものがあります。」
どこかを懐かしむような表情をしていた先生は懐から鍵を取り出し、俺に手渡しした。
「これはあなたのお祖父様の金庫の鍵です。替えはありませんので亡くなさないように。」
これは覚えているぞ。たしかここダイアゴン横丁にはグリンゴッツという、ホグワーツの次に警備固いのなんのと作中で説明されていたものの通帳みたいなもののはず。無くしたら入れないとかヤバイじゃんと童心ながらに考えていたからよく覚えている。
それにやっぱり俺には過去というか経歴というか、そういうものが作られたらしい。少しずつこの世界の俺という人間の立ち位置について理解できてきた気がするぞ。
マクゴナガル先生から鍵を受け取ったあと、俺たちはグリンゴッツ銀行に行きお金を下ろしにいった。その際に驚くほどたくさんの金貨で金庫の中が埋め尽くされていたのはおいとくとしよう。……驚きすぎてマクゴナガル先生に抱きついてしまったのもここだけの話にしとこう。アクア辺りにバレたら何て言われるか。
うん?待てよ。というかアクア達はどうなったんだ?少し離れていた俺がこんな風になっているということはアクアは何かしらの影響を受けているだろう。それにめぐみんやダクネスも俺とそう変わらない距離にいたはずだ。……ということは、アクアたちもこの世界に来ているのか?
妙に日本文化に精通し、転生させている立場のアクアはともかく、めぐみんやダクネスは色々と不味いんじゃないかこれ。俺は仮にここに転移ないしは転生したと仮定すると三回目だ。言っちゃなんだが経験豊富だ。だが、めぐみんやダクネスは違う。あいつらと早く会わないとヤバイことになる気がする。……まぁ今どうすればいいか分からないのは俺も一緒だしなぁ。なるはやで行くから耐えてくれよふたりとも。そんなことを考えながら俺はマクゴナガル先生と買い物を進めるのであった。
「大体のものは買い終わりましたね。後は、杖だけですか。杖ならオリバンダーの店に行くのがよいでしょう。私のこの杖もそこで買いました。ここを真っ直ぐ行くとつきますので、すみませんが一人でいってもらってもよいでしょうか?私自身の買い物がありますので。」
「わかりました。終わったら店の前で待っときますね。」
俺の返事に、わかりましたとうなずきマクゴナガル先生はどこかへと人混みのなかに紛れてしまった。マクゴナガル先生に言われた通り真っ直ぐ歩いていくといかにもな感じの建物が現れた。表にはオリバンダー店とかかれていた。
失礼しますと一言、中に入ると大小様々な箱が散乱している様子が見てとれた。あ、思い出したぞ。たしか、ここはハリーが店主に兄弟杖がどうのこうの言われていたところだな。そして箱の中に思い出した通りの白髪混じりの老人が店内を片付けていた。
「いらっしゃいませ。ホグワーツ新入生ですかな?今日はなかなかに忙しい。」
「マクゴナガル先生に言われて来たんだが、ここで杖が買えるんだよな? 」
「ミネルバ・マクゴナガル、モミの木、24㎝ドラゴンの心臓の琴線。固くしなりにくく、変身術に用いやすい。彼女がここへ買いにきたことは昨日のように覚えています。」
やべぇな、このじいさん。オブラートに包んでもマクゴナガル先生はそう、若くはないはずだ。それを覚えているって記憶力よすぎないか。
「さて、あなたの杖腕は?」
「杖腕? 利き腕は右手ですが。」
「なるほどちょっとそこの鏡の前にたっていてください。」
オリバンダーは俺を立たせると自身の持っていた杖を一振して、メジャーを動かして俺の様々な長さをはかった。
「なるほど、わかりました。これをもって振ってみてください。ポプラの木、26㎝、ドラゴンの心臓の琴線。しなりやすい。」
俺は渡された杖を振ったが、なにも起こらなかった。
「ふむ、では次にこちらをレッドオークの木、24㎝、ユニコーンの毛。しなりにくい。」
俺は杖を取り上げられ新しく渡された杖を振った。何か手応えのようなものを感じたが、さっきオリバンダーが直していた箱をぐちゃぐちゃにしてしまっただけだった。
「ふむ、惜しいですが違いますね。それではこちらを。セコイアの木、27㎝、ユニコーンの毛。驚くほど振りやすい。」
俺はまたも杖を渡された。それを受け取った瞬間これだという、高揚とした気分になった。そのまま杖を振ると、ぐちゃぐちゃになっていた箱は金色に輝き始め、そして鏡をふとみると、オリバンダーの店の外のかなりかわいい女性のパンツが突風によって見えた。あ、どうも、鏡の中で女性と目があったので会釈する。若干涙目である彼女に心の中で感謝の言葉を述べる。ありがとうごさいます。一生忘れません。
「素晴らしい。杖はあなたを選びました。セコイアの木は幸運を運んでくるとも、幸運に満ちあふれている人を撰ぶともいいます。どちらにせよあなたの人生は、幸運に満ち溢れるでしょう。大切に使ってください。」
どうやら俺の幸運の高さはここでもそっち方面に関しても発揮されるみたいだ。