メダロット5? すすたけ村の転生者 作:ザマーメダロット
二次創作といえどメジャーな作品でないため人の入りはまばらであり、目に留めて下さっている方々(や同様に人気でない作品で二次創作を続けておられる方々、さらに過酷な一次創作をされている方々)には頭が下がる思いです。
アクセス数も含め毎日気にしてます。浅ましい人間です。
(用語集含めてですが)10話続いたので、失踪するつもりで短編にしていたところを連載にします。
だからといって失踪しないなどとは保証しかねますが。
ヤマト戦~執事戦~夜寝るまで を1話にまとめようと思ったのですが、予想外に長くなったので分割しました。後半部分は書いている途中です。
そういうわけなので今回はアンケートがありません。
更新の間が急に開きましたが、今の所まだモチベは枯れてません。あれこれ悩んだり、コロナなご時世に無関係の軽い感染性腸炎にかかったりしていました。
メダロットのコミックスシリーズ新装版が3/23にKindle入りだとか。
紙の本より安く、品薄を気にせず読めるのでぜひどうぞ。
道中で弓道部の話を聞かされたりしつつ、御神木の前までやってくると、その付近を掃除する巫女服の影が一つ。バイト巫女のカナエだ。
「こんにちは、カナエさん」
「あら、サキちゃんじゃない。この子は?ボーイフレンド?」
流れるように笑顔でとんちんかんな質問を繰り出すカナエに、サキは大声で否定した。
「違います!!」
が、特にカナエさんは表情を変えずリアクションもしないので、続いてオレが自己紹介をする。
「オレは昨日近くに引っ越してきたテンサン コイシマルです」
「ああ、そういえばそんなこと、ヤマトくんが言ってたわね。ヤマトくんに用事?」
カナエさんの問いかけにはサキが答えた。
「いえ、絵馬を納めに来たんです」
「弓道部の用事だったのね。行ってらっしゃい」
……
カナエに見送られ、御神木からさらに境内を歩き、ヤマト宅(神社)の玄関に到着。インターフォンを鳴らすと、出てきたのはヤマトだった。
ヤマトは引き戸をガラッと開けてオレを見て、明るく挨拶してくる。
「やあコイシマルくん。一緒にいるのは……サキちゃん?」
「絵馬の奉納に来たの。お守りも買いたいから、もう中に入るわね」
ヤマトが出てくるのと入れ替わりで、サキが上がり込む。外に面した窓口などはなく、建物の中でその辺の業務もやっているのか。
「コイシマルくん、改めて、昨日はありがとう」
「どういたしまして」
「あの時訊きそびれたけど、オバケのメダロットをを退治したって、つまりロボトルしたんだよね?」
「そうだけど」
「初めて会った時、メダルしか持ってないって言ってなかった?」
「ティンペットとパーツは拾った。仕方ないから、偶然落ちてたメダロッチを使ったんだ」
言いながら腕のメダロッチを指すと、ヤマトが驚く。
「これ、この辺で売ってない最新モデルじゃないか!」
「今日セレクト隊に届けようと思ったんだけど留守で、仕方なくそのまま帰ってきたわけ」
「なるほどね、事情は分かったよ。一つ頼んでもいいかな」
「何を?」
「ぼくとロボトルして欲しい」
「うーん……どうかなあ、どうするルート?」
「オイラはいいと思うよ」
「やるとしてもパーツのやり取りは無しでね」
隣(?)からベーデンが付け加えるが、その前にルートの声を聞いた辺りから、ヤマトが疑問の表情を浮かべていた。
「メダルは1枚しか持ってないんじゃなかった?」
「メダルも入ってた」
「もしかして、出荷状態のを起こしたの?」
「持ち主のことを聞こうと思ったらうっかり」
「あちゃー……」
下を向いて右手で顔を覆うヤマト。
「まあそれはそれ、やるなら早くしようぜ。時間かかると門限ヤバそうだから1対1な」
「うん。ドーナン転送!」
気を取り直し、ヤマトがパートナーの名を呼ぶ。
「メダロット転送!」
互いの音声入力で、それぞれの隣にメダロットが一体ずつ転送された。
ヤマトが転送したドーナンは男・二脚タイプ・ボーイ型メダロット、ハシムコウ。頭部は対空で威力を発揮する撃つ行動「アンチエア」、腕は右が撃つ、左が狙い撃ちの「ライフル」。一見シンプルな構成に思えるが……
このハシムコウ、ボーイ(少年)型という子供が親しみやすいモチーフをしていながら、ロボトルにおいてはかなり使いづらい。
頭パーツのアンチエアは特に言うことはない、単にちょっと装甲が少ないアンチエアだ。
しかし両腕のライフルは、がむしゃら行動と同様に「貫通」を引き起こすことができる特別仕様……である代わりに、基本性能が低い。充填冷却は速めで手数は多いが、当てても大したダメージにならず、貫通が活きない。それをメダルを並以上に鍛えることで成功を上げて威力を底上げし、更にクリティカルを狙う戦術を組むことで低リスク高火力貫通つきの連続攻撃が成立する、という玄人向けの仕様だ。
その作りは絶対に間違っているし、ヤマトを始め引っかかった子供たちはかわいそうだと心底思う。
一方こちらが転送したのはクロトジル一式を装備したルート。少なくとも、現在のドーナンの攻撃はほぼ効かないと言っていい。
つまり……
……
ルートがライフル発射。ドーナンもライフル発射。互いが脚部にダメージを蓄積させるがその量は雲泥。
ルートがミサイル発射。ドーナンがライフルで迎撃を試みて失敗。ドーナンの脚部が破壊され、貫通現象で左腕にダメージ。
ルートがライフル発射。ドーナンもライフル発射。互いに回避できずダメージを受けるがドーナンの両腕だけが破壊寸前。
ルートがミサイル発射。ドーナンが左腕で防御。左腕破壊から右腕に貫通して破壊。
もう一度ルートがミサイル発射。ドーナンはなすすべなく頭部を破壊され機能停止。
……
「よし、手がたい」
「また勝ったー!」
ルートがバンザイしながら、無邪気に喜びの声を上げる。
射撃戦自体はほぼ互角だがダメージレースは一方的。そんなロボトルだった。
なので、これはひょっとしてヤマト泣くか?と心配してそちらを見やると、ヤマトはむしろ嬉しそうな顔をしていた。
「負けたのになんで嬉しそうな顔してるんだ?」
「だって今のロボトルではっきりしたからね。ぼくより君が強いって」
「へへー、オイラたち強いって」
素直に喜ぶルートをストレージに戻しつつ、オレはヤマトにそこまで言われてようやくその表情の理由に思い当たった。
「ぼくの代わりにメダロット部の部長になってくれないかな?」
原作では部の存続のために嘘泣きまでしたヤマトのことだ。ここで勧誘しない手はないということだろう。
「いいよ」
「……えっ?何も訊かないの?」
即答で安請け合いしたから思わずということだろうか、ヤマトがオレを心配している。
まあ、ここで部長になっておかないと事がスムーズに運ばないというだけの話だが、表向きの理由なら考えてある。
「元々ロボトルできるようになったら入る予定だったし。詳しいことは学校で聞けばいいし。部長っても、ちょっと雑用が多いだけだろ?そのくらいいいよ」
答えると、ヤマトは少し考えるそぶりを見せた。なんだ?と思ったが、そう時間もかからずにヤマトは右手を差し出した。
「うん、ありがとう。よろしくね」
無言で握手に応じようとしたところで、玄関の引き戸が開く音がし、見てみればサキが出てきていた。
「こっちまで音が聞こえてたけど、ロボトルしながら待ってたわけ?」
言い出しっぺのヤマトに任せようとそちらを見ると、オレの反応を見てヤマトが口を開く。
「コイシマルくんがロボトルできるようになったって聞いたし、折角だからね」
「で、初心者相手に負けちゃったわけね」
「別にいいんだよ、コイシマルくんは部長になるって言ってくれたし」
涼しい顔で放たれたほとんど中傷の一言に、ヤマトはややむっとした様子で言い返すが、その内容にサキが吹き出してオレの方を見た。まあ、理由は知っているから特に疑問に思ったりはしないが。
「ふーん?あんた、あの"ダメロット部"の部長になるんだ?あはははは!大変ねえ。それじゃわたし、そろそろ帰るから」
言うだけ言って、サキはさっさと歩き出して行った。
「ダメロット部?」
知らない風にヤマトに確認すると、
「ああ、それは……」
ヤマトが話そうとしたところで、開いたままの引き戸からベニが出てきた。
「コイシマルのお兄ちゃん!これ、あげます!」
ベニが両手で青い箱を差し出す。受け取って確認すると、ロボトルクッキー……ではない、普通のクッキーの箱だ。しょうもない、と思いそうになるが、小学生ならそこそこのプレゼントと言えるか。
「ああ、そうだった。昨日のお礼がしたいって、ベニが貰って欲しいってさ」
「そういうことなら貰っとくか。ありがとう、ベニちゃん」
「うん♪ばいばい」
ベニは手を振ってから、ぱたぱたと家の中に入っていった。
「お兄ちゃん、ご飯できてるよ」
そして一言付け足した。
「ごめん、ぼくも帰らなきゃ。メダロット部のこととか、月曜日に話をしよう」
「わかった。じゃあな」
「うん、またね」
ヤマトもベニに続いて家に戻り、オレも自宅に帰ろうと歩き出した。
ドーナン(ヤマトのハシムコウ)の口調を確認しようと漫画を読んだところ、巻き展開なのもあり、台詞が少なくてわかりませんでした。まさか一人称も二人称も三人称も使ってないとは。
なので話し方を勝手に決めて書いています。今後も同様のことが起きます。