メダロット5? すすたけ村の転生者 作:ザマーメダロット
見やすいパーツ一覧とかがWebにないので中古攻略本ポチりました。この時代にゲームの攻略本を買うことになるとは思わなかった。
例によってシゲユキ機の名前等は捏造です。一応名前の元はあるんですが、ベーデンとかと違って捻ってるので言わなきゃわからない感じのやつです。気になる方はそのうち出るであろう人物まとめをお待ち下さい。
この次でようやくアンケートが追いつきます。
研究所内では危ないからということで、外でロボトルをすることになった。車がほとんど来ないのをいいことに、オレとシゲユキはビルから出て真ん前の道路で堂々と向かい合っている。ミチオは、ビル入口横に立ってこちらを見守っている。
「メダロット転送!」
こちらはこれまでに引き続き、ベーデンがジャングルギボンの右腕だけチェネッツ、ルートがクロトジル一式。
「おや、2体か。なら合わせようかな、メダロット転送」
そしてシゲユキが転送したのは白黒カラーの二脚メダロット2体。
そのシンプルなシルエット、丸みのある頭部から最初はガイコツ型かと思っていたのだが、実際は"逆立ちしたスカンク"がモチーフとなっている、男・二脚・スカンク型のサイゴブ一式だ。
パーツ名も"テールヘッド"、"レッグハンド"、"レッグアーム"、"ヘッドレッグ"と、上下逆転していることを示している。丸い頭パーツは縦に丸めた尾であるわけだ。
「いいんですか?」
「アンフェアな勝負じゃつまらないからね」
「ありがとうございます」
「双方合意と見てよろしいですね!?」
自然な流れで会話に割り込む声が横からしたと思えば、スーツに蝶ネクタイの男がビルから出てきた。カバシラである。いつからそこにいたのかという疑問を口にする間もなく、カバシラはオレとシゲユキの様子を確認すると腕を振り上げる。
「ロボトルー……ファイッ!!」
合図と同時に両チームスタート。
「ベーデン、ルート、右では受けるな!距離を取って射撃!」
「アルド、ティモシー、2番機をマークで」
「ついて来いアルド!」
「はしゃぎすぎるなよティム」
ベーデンとルートが指示通り後退しながら射撃パーツで攻撃、敵は揃って突っ込んでくるが、2番機のアルドが先行する形であり、自分の左腕パーツを破壊されながらも、リーダーにダメージを届かせない。
「先手は譲ったが、これでイーブンだ!」
追いついたティモシーが、卓球ラケットのような形をした右腕でルートを打ちにかかり、ルートはそれを左腕でガード。特段高威力に見えない攻撃だが、ガードした左腕が一撃で破壊されて煙を吹いた。
「うわあっ!?」
これがデストロイ。パーツ冷却中のメダロットにその一撃で以て触れた場合、触れられたパーツはスラフシステムを暴走させられて自壊するという、文字通り必殺の一撃。
「両腕を潰させてもらう!」
さらに後続のアルドがティモシーの横をすり抜けて現れ、右腕のデストロイでルートを狙う。左腕を破壊されて怯み、ルートは回避できそうにない。だから、ベーデンが動く。
「ルート、伏せろ!」
右腕からプレス発射。狙いは先に右腕を振り切ったティモシー。反応が間に合わなかったのか、青いエネルギー弾はその頭部に直撃。
「うわっ……うおおおお!?がっ」
「くっ!?」
「わわわ」
重力フィールドの中でティモシーは空中で頭部を中心に回転し始め、その後投げ出されて頭から地面に叩きつけられた。近くにいたルートもフィールドに巻き込まれ、慌ててしゃがむ。そのルートに殴りかかろうとしていたアルドもまた、攻撃を中断して地面に踏ん張る。
重力フィールドが消滅すると同時に、ルートとアルドから離れた位置でティモシーのメダルが排出された。
デストロイは敵メダロットに触れるだけでパーツを破壊できるが、その機能を実現するためにそのパーツ自体はもちろん使用するメダロットへ強いる負担が大きく、リスクの少ない行動のパーツとして作ることができなかった。サイゴブのデストロイはがむしゃら行動であり、一度使えば冷却時間中は指一本動かせなくなってしまう。
それ故に、無防備な相手に力を発揮する重力系の射撃パーツは天敵となる。
「一発アウト……重力とはいえ威力の低いパーツだから大丈夫だろうと思ったんだけど、そこで頭に当ててくるかあ」
頭をかくシゲユキ。実際その言の通り、チェネッツの右腕、というか両腕は重力系の中でも低威力なので、脚部パーツへの命中だと怪しい。まあ、鍛えているベーデンの場合は普通に破壊できるが。
「よし、降参しよう」
「何故だシゲユキ!?私はまだやれる!」
「デストロイしかないんじゃ無理だし、パーツを壊したといっても2対1じゃねえ」
アルドの抗議を受けつつも、シゲユキはなんでもないように降参を宣言する。
「え?降参?」
「そ、降参。お前たちの勝ち」
目が点になっているルートにシゲユキがそう伝えるが、ルートは喜ぶでもなくしゃがんだ姿勢のまま固まっている。大事な一戦なのに相手があっさり降参したから、頭が追いついていないのか。
シゲユキに続行の意思がないとわかってアルドも戦闘態勢を解き、ロボトルの進行が完全に停止した。カバシラはそれを認めると、役目を果たすべく口を開いた。
「シゲユキ降参により、勝者、コイシマル!」
……
ロボトルが終わった後、話があるからと言われ、研究所2階にあるシゲユキの席まで連れられ、そしてその話とはルートの処遇のことだった。
「きみになら、そのメダルを託してもいいだろう。まあ、ちょうど育ててくれるモニターを探していた所だしね」
「ハンミョウジさんが言ってた意地悪ってそういうことですか」
「ああ。まあ、シゲユキがロボトルが強いってことも含めてだったんだが、デストロイのパーツしか使わなかったしちゃんと考えてあったみたいでよかったよ」
「あのね、カブトのレアメダルは世界でも数枚しか発見されていない貴重なものなんだ。簡単には決められないだろ」
ミチオの言い方が気に入らなかったのか、シゲユキは呆れたように言う。
「そうすると、そんな貴重なメダル、貸し出す形でもなく貰っちゃって大丈夫なんですか?」
「いいよ。ただ、時々データは取らせてもらうよ」
「オイラはモルモットじゃないやい!」
「ごめんごめん。じゃあコイシマルくん、ここに名前とか書いてね」
研究所に取り上げられる心配がなくなったからか、ルートもすっかり調子を取り戻したようだ。
正式にカブトメダルのモニタとして登録するための書類を渡され、個人情報を記入して返すと、シゲユキは思いついたように口を開く。
「ああそうだ、そのメダロッチもあげるよ。どうせもうすぐ一般販売されるモデルだし」
「え、いいんですか?」
「まあ、モニタリング付属の支給品だとでも思って受け取っといてよ。研究所に置いといても廃棄されちゃうだけだしね」
「そういうことならいただきます。ありがとうございます」
「よかったな、コイシマルくん」
「はい。これで肩の荷が下りました」
「ところで確認なんだが、入っていたパーツはKBT型一式だけだったのか?」
「そうですけど」
ミチオの質問に答えると、ミチオとシゲユキが顔を見合わせた。
「ということはシゲユキ……」
「やはり、トルマリンとカイゼリンのパーツは泥棒の方が持っているだろう」
「カイゼリン?」
「コイシマルくんは気にしなくていいよ。盗まれた物を見つけるのはセレクト隊の仕事だ」
ゲームにない言葉が出てきて思わずオウム返しするが、逆にシゲユキはゲーム通りの台詞でこちらの詮索をかわす。
「いや、盗品云々とかじゃなくて、どんなパーツなのかなあと思って」
「発売前のパーツのことだから、どのみち部外者には教えられないよ。残念だったね」
本来はトルマリン型メダロットのパーツも一緒に盗まれたという話で、カイゼリンという言葉は出てこなかった。というか、メダロットシリーズにそんな単語が出てきたことはないはずで、オレはどうしても気になったが、シゲユキにそう言われては追求できそうにもなかった。
「そうだ、メダルを2枚しか持っていないようだから、こいつもきみに育ててもらおうかな。ついでというわけじゃないけど、メダルは多い方がいいからね」
シゲユキはそう言いながらメダルケースを取り出し、その中からクマノミメダルをオレに差し出したが、オレは首を横に振った。
「いえ、メダルは遠慮します」
「どうしてだい?」
「ルートは特別事情がありましたけど、自分が面倒を見るメダルのことは自分で決めたいんです」
「そっか。なら、ティンペットなら受け取ってくれるかな?」
「どうして初対面のオレにそこまでしてくれるんですか?」
「研究員じゃなく個人として、これからメダロッターとして頑張るきみを応援したくてね。ダメかい?」
「ダメじゃないですけど、なんていうか意外でした」
「ははは、たまに言われるよ」
シゲユキが自分の席の機械を何やら操作すると、少し遠くからパチパチというような音が聞こえた。
「部屋の奥の壁にティンペットの入ったケースがある。男型と女型、好きな方を取りたまえ。横のパネルを押せばケースが開くからね」
そう言われて部屋の奥へ行くと、1階でメダロットが入っていた円柱形のケースが2つあり、それぞれにティンペットが1つずつ入っていた。オレは迷わず女型ティンペットのケースのパネルを押し、出てきたティンペットをメダロッチにペアリングしてストレージに送り、そしてシゲユキの席まで戻る。
「早かったな」
「特に悩むほどでもないですから」
「そうか。じゃあ村はずれのバス停まで送るよ」
「いえ、買い物に行かなきゃいけないので帰りは一人で帰りますよ」
「あ、元々用事があったんだっけ。すると帰りは電車かバスか?」
「バスの予定です。学院前の停留所から」
「そこまでわかってるなら大丈夫そうだな。おれも仕事に戻るとするよ。またな、シゲユキ」
「うん。また寄ってくれよ」
軽く挨拶して、ミチオは去っていった。
「シゲユキさん、今日は色々ありがとうございました」
「たまに呼ぶから遊びにおいで」
「はい」
そしてオレも、研究所を後にした。
……
研究所のビルから南の方へ少し歩くと、また大きな建物が2つある。1つはメダロット社江戸紫支部、1つはメダロデパートだ。
メダロット社は建物の中にメダリンクの部屋があるが、ゲームだとこのタイミングでは混雑していてプレイできない。まあ実際は待てばプレイできるだろうが、そんなことをしている余裕はない。後は女・飛行・サファイア型のブルーコランダムのパーツの配布キャンペーンが行われる場所でもあるが、それも先の話。つまり行っても何もない。
メダロデパートは別にメダロッターズのような大型メダロット専門店というわけでもなく、メダロット社が出資しているというだけの普通のデパートだ。最も特徴的なのは2階で売られている食品。明太子ジェラートや焼き茄子プリン、アイスクリームのおにぎりとゲテモノ揃い。もちろん買わない。
というわけで、家庭菜園用のトマトの種を求めてデパートに入り、目当てのものを見つけてレジへ向かったのだが、できすぎたタイミングでセレクト隊員がやって来た。白っぽい制服を着て、バイザー(アメコミに出てくる一つ目巨人の名を冠するヒーローがつけているようなやつ)が一体化したヘルメットを被っている。おなじみの出で立ちだ。
そのセレクト隊員は何も持たずにパーツ販売カウンターに行くと、店員の若い男に向かって話しかけた。
「遅くなったであります」
ちなみにコイシマルになってから知ったことだが、この口調は下っ端隊員だけ強制されているらしい。
「なんでもいいけどさ、早くやっちゃってよ」
「そうでありますな。では、今店に置いてあるパーツと、この2年の間にここでパーツを売った人たちのリストを出して欲しいであります」
「冗談だろ!?」
何をするか事前に連絡がなかったのだろう。セレクト隊員の要求に、店員は"できるはずがない"と言わんばかりだ。
「こんな時に冗談を言うのはロボロボ団だけであります。本官は冗談がキライであります」
「ロボロボ団の連中が言うのはダジャレだろ?それに連中はもういないじゃないか」
ロボロボ団。かつていろんな意味で猛威を振るった犯罪組織だ。その犯行はスカートめくりから世界征服まで多岐にわたる。メダロットDSや7は恐らくパラレルワールドなので、今後復活するかはわからないところだ。
「そんなことはどうでもいいであります!とにかく見せるでありますよ」
「そんなもんすぐに用意できるかよ!」
いきなり大声を出したセレクト隊員に店員の方も耐えかねたようで、一気に険悪ムードに。
「どうして本官が来るまでに用意をしておかなかったでありますか!?」
ゲームではここでセレクト隊員に事情を聞いて違法コピーメダルと盗品パーツについて知るイベントなのだが、正直触れたくない。特に身になる話でもない。
隣で居心地悪そうにしている女店員に話しかけて会計を済ませ、オレはさっさとデパートを出た。