メダロット5? すすたけ村の転生者   作:ザマーメダロット

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今回もアンケート入りです。永続ではありませんが、しばらく残ります。


18.ダブル・アップ・チャンス

サキのリーダー機と3番機は女・浮遊・キヌゲネズミ型メダロットのジャンガリアン一式。パーツをつけるとティンペットの状態から小さくなる機体の1つだ。頭部が味方の成功を強化する守る行動"索敵"、両腕はガトリング。元々成功が高いので、索敵を使わなくても当てるだけなら当てられる。とりあえず、今回は関係ない。

2番機は女・浮遊・エルフ型メダロットのピッコリー一式。充填中のパーツに触れることで強制的に放熱に移行させる、応援行動"転倒"のみで構成されている。両腕ならタッチ、頭なら体当たりで効果が出る。ゲームとは違い転ばせて頭をぶつけさせて命令内容を忘れさせるわけではないので、頭部パーツへの1ダメージはない。これも、今回は関係ない。

 

一方オレは、クロトジル一式のベーデンのみを転送した。

 

「なによ、組み立ててないの?待ったげるからさっさとしなさい」

 

きりっとした顔から一転、メダロットが1体しか転送されなかったのを見て、サキが呆れ顔になる。オレが初心者だと思っているから、そういう結論に達したのだろう。

 

「いいや、これで準備はできてる」

 

「コイシマルくん!?」

 

「ヤマト」

 

軽く手を挙げ、後ろのヤマトを制する。

 

「お前が部長に任命したオレを信じてくれ。もう一度言う、これで準備はできてる」

 

「あんた、前におばあさんから貰ったティンペットはどうしたのよ」

 

「くどいぞ。それとも、お前の準備ができてないのか?トイレに行き忘れたのか?待っててやるから行ってこいよ」

 

「~~~~!!ぶっ飛ばす!!」

 

「合意と見てよろしいですね?」

 

打てば響くとはこういうことか。オレの煽りにサキはたちまち歯を食いしばって拳を握って怒り、ヤカンのピーッという音が聞こえるかのようだった。

続いてメダロット部部室のドアから出てきたカバシラが確認の文言の後にオレとサキを一度ずつ見る。その間に、オレはベーデンを、ベーデンはオレをちらっと見て、お互いに頷いた。これは、おみこし町に住んでいたころによくやっていた無言の意思確認だ。引っ越して一週間と経っていないのに、少し懐かしく感じる。前に向き直ったベーデンは、オリンピックで見るピストル選手のように半身の構え――左肩が前だが――を取り、左腕をまっすぐに伸ばしてピタッと静止した。

 

 

「それでは、ロボトルーー……ファイッ!」

 

 

カバシラが右手を上げ、振り下ろすのとほぼ同時に、ガガガッ、と連続した衝突音と、ガシャッ、という何かが落ちる音がした。ピンッ、とメダルが排出される音がした。メダロッチを構えたサキが、指示を出そうと口を開き、そのまま目を見開いて固まる。2番機と3番機、ウスモンや弓道部の女子共も、音の出どころを見て固まっている。そこでは、リーダー機のジャンガリアンが頭部パーツを破壊されて機能停止して地面に落ちていた。撃ったベーデンは、ロボトル開始前から一切姿勢を動かしていないままだ。

 

「……あっ、リーダー戦闘不能!コイシマルの勝利!」

 

新人だけあってこの展開に慣れていないのか、カバシラの宣言が遅れる。宣言を聞いてベーデンは構えを解く。

 

「……は?」

 

「"は"じゃないよ。とりあえずパーツくれ。あとメダロットしまえよ」

 

呆然としているサキに向かってちょいちょいと手招きして、パーツの譲渡を催促する。

 

「……お、おかしいわよこんなの!もう一回勝負しなさい!」

 

サキがオレを強く睨みながら抗議すると、静まり返っていた女子共がざわつき始める。

 

「いーやおかしかない。お互いに準備が不足してないか確認したよな?お前、この大勝負で待ったをかけるつもりか?」

 

「……!!」

 

抗議に対して、サキ自身がロボトル前に出した言葉を利用して反論すると、サキは睨みながらもその目尻から涙がじわじわと滲み出す。見かねたのか、見守っていたウスモンがサキの前まで出てきた。ウスモンの陰に隠れたサキは、メダルを拾い、メダロットたちをストレージに戻す。その周囲からは、オレに向かって非難の視線が飛んできている。こそこそ話をしている者もいくらかいる。

 

「テンサン!今のロボトルは無効だ!」

 

堂々とそう言い放つウスモンは、果たしてバカだった。勝手にロボトルを無効にされ、カバシラがぎょっとしている。

 

「そんな!約束したじゃないですか!コイシマルくんだって――」

 

オレの後方からヤマトが叫ぶ。賭けの内容が内容なので、サキの状態を差し引いても必死なのが、声を通して伝わってくる。

 

「うるさい!サキは渡さん!オレと再試合だ!」

 

「いいですけど、公認レフェリーが言ったことを捻じ曲げてまで再試合するんですから、ウスモン先生にも同じ内容で賭けをする覚悟はありますよね?」

 

「同じ内容だと?」

 

何のことか分からないのか、オレを怪しんでいるのか、ウスモンは訝る。

 

「はい。ウスモン先生が勝てば、部室は明け渡す。オレが勝てば、さっきのロボトルの無効を取り消してもらって、更にウスモン先生にもヤマトに謝ってもらいます」

 

「だが、それだとオレが勝ったときの取り分が少ないじゃないか?」

 

「じゃあついでにオレが何でも言うこと聞くってことでいいですかね?」

 

ウスモンの片眉がぴくりと動き、それから下品な笑顔を浮かべる。

 

「ほう?テンサン、お前も男だ。それに二言はないな?」

 

「もちろん。男ですから」

 

不敵に笑って見せ、左拳で胸をトントンと叩く。

 

「はっはっは!いいだろう、乗った!サキ、離れていろ」

 

「はい……」

 

"さっきのはマグレだ"、"どうせ自分が勝つに決まっている"。そう思っているであろうウスモンは、すっかり気をよくしてオレの提案に乗った。ウスモンに促され、涙目のサキは、邪魔にならないよう周囲の女子同様ウスモンから離れた所へ移動した。

 

「行くぞ、メダロット転送!」

 

ウスモンがメダロッチを構え、力強い音声入力によってメダロットが3体転送される。

1番機と2番機は男・二脚・ヒグマ型メダロットのヒマグマー一式。凶暴なヒグマらしく両腕はソード攻撃だが、頭部は"ペロリンハニー"のパーツ名に違わず応援行動"変化(回復)"だ。ヒーラヌーラの変化(速度)に輪をかけて使いにくいが、だからこそ使いこなせば度肝を抜けるだろう。ウスモンには無理だと思う。

3番機は男・戦車・イノシシ型メダロットのエルヘッド一式。両腕が牙で、脚部パーツ側に鼻がついているという面白いデザインだ。いずれも守る行動"援護"のパーツで装甲はかなり高い。正直欲しい。

 

まあ、やはり、全部関係ない。

 

「カバシラさん、ご迷惑おかけしてすみません。もう一戦レフェリーをお願いします」

 

「いえ、大丈夫です。それが私の仕事ですから!」

 

オレが声をかけると、困った様子だったカバシラはビシッとして答えた。ロボトル協会からはOK出てるんだろうか?出てるんだろうな。

 

「両選手、準備はよろしいですか?」

 

「はい」

 

「おう!」

 

連続してのレフェリーだからか、大会で聞くような確認の文言が出た。レアだ。確認が取れたカバシラは頷き、ウスモンの3番機がすぐにリーダーを守りに行けるよう身構え、ベーデンはさっきと同じように半身(はんみ)で左腕を突き出して構える。

 

 

「それでは、ロボトルーー……ファイッ!」

 

 

カバシラが右手を上げ、振り下ろすのとほぼ同時に、ガガガッ、と連続した衝突音がした。その音より遅れてウスモンの3番機が動き出し、3番機の背後でメダルが排出される音と、ガシャッという音がした。ほぼリプレイだった。この展開を予想していたのか、カバシラはウスモン側を見て一度頷き、それから手を挙げて口を開いた。

 

「リーダー機能停止、コイシマルの勝利!サキさん、ウスモンさんはパーツの譲渡を行ってください!」

 

「くっ、ぬっ、くそおお~~!」

 

ちょっと震えた後、上を向いて叫ぶウスモン。2番機が、倒れたリーダー機のそばに落ちたメダルを拾ってウスモンに差し出すと、ウスモンはやや苛立った様子でそれをメダロッチにはめ、メダロットたちをストレージに戻した。そしてパーツを一つ取り出して脇に抱え、ずんずんとオレの方に向かって歩いてくる。

 

「持っていけ!」

 

「いただきます」

 

おお、エルヘッドの左腕か。これはかなりありがたい。

 

「……で、何を謝れというんだ?」

 

「それは後日にしましょう。お互い頭冷やした方がいいですよ」

 

そう答えてからウスモンのリアクションを待たず、廊下の壁際に並んでいる女子共のを見てサキを探す。座り込んでるのを見て、"おや?"、と思いつつ近づくと、少し時間を置いて感情の昂ぶりが抜けたからか、単にすすり泣いているようだった。近づくごとに有象無象の視線の鋭さが増すが、それらを無視して、サキのそばで膝をついて目線を合わせると、さっき程力は籠もっていないながらも睨んできた。顔が赤い。

 

「……なによ」

 

サキの肩に手を置く。……本当はここで言いたいことが色々あったのだが、どうもそれはやめた方がいい気がして、オレは一度かぶりを振る。それから、なるべく冷静に、と意識しつつ口を開く。

 

「ウスモン先生にも言ったけど、話は日を改めてしよう。それと、メダロット部には入ってもらうけど、兼部でいいからな」

 

「え……?」

 

「入部しろと言ったんであって、弓道部抜けろとは言ってないからな」

 

まあ、ゲームでの感じを見るに、実際はサキ自身最初から負けてもそのつもりだったんだろうけれども。

 

「さっきは強く当たって悪かった。ごめん」

 

「……」

 

サキがゆっくりメダロッチを操作し、ジャンガリアンの右腕パーツを取り出して、片手で持って無言でぐいっと突き出す。その手は震えていた。オレはそっと受け取ってストレージに送った。

 

「ありがとう。じゃ、また明日な。……ヤマトー!鍵閉めて帰るぞー!」

 

必要なことは伝えたので、立ち上がり、壁際で固まっているヤマトに呼びかけると、ヤマトは我に返った様子で鍵を閉め、こちらへ駆け寄ってきた。何か言いたそうだが、何も言えずにいる。オレも、ヤマトに伝えるべきことがあるような気がするのだが、ロボトルとその前後で頭が茹だり気味で、思考がうまくまとまらない。頭を冷やすべきなのはオレも含めてのようだ。情けない。

 

帰路を行くオレたちの間に漂っていたのは戦勝ムードというよりは戦後処理ムードという様相で、神社の前で"また明日"としか言えなかった。家に帰ったオレは食事と入浴を済ませた後、倒れるように眠った。ベーデンもルートも、ずっと何も言わなかった。




日本語怪しいな、と自分で思った時はググるんですが、"すんすん"でググった結果泣き声の擬音語で合ってるのか怪しいような気がして不安になりました。使われてはいるようですが、Weblio先生とかが検索結果にいない。

取り巻き女子をもうちょっと詳しく描写した方がいいような、そうするとくどくなるような、微妙な感覚で書き上げた結果、なんか中途半端になった気がしないでもないです。加減がわからない。

念の為に言っておくと、これを書いている人間にサキへのアンチ・ヘイト感情はありません。ヒロイン候補には他のキャラにも増して見せ場が必要なんです……許してください……

メダロッターの使用メダル数は一人何枚が基本であるべき?

  • 1枚(メダ8~9,アニメ,漫画)
  • 3枚(メダ1~7)
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