メダロット5? すすたけ村の転生者 作:ザマーメダロット
1.初手説明回
"メダロット、それはテクノロジーが生み出した、全く新しいロボットである"
"ティンペットと呼ばれる基本フレームに、人工知能メダルを搭載"
"更に様々なパーツを合体させる事によって、無限の能力を引き出す事ができるのだ!"
――テレビ番組「週刊メダロット」より
……
気がつけば、オレの名前は"テンサン コイシマル"だった。
それは、ゲーム"メダロット5"の主人公と同じ名前だ。さらに、同じところで生まれ育ち、同じような顔立ちをしていた。
つまり将来、父の仕事の都合で引っ越し、引越し先の村で起こる事件に巻き込まれる予定があるということだ。
村長お付きの秘書――"アラクネ イト"が、メダロットを誘拐したり、村長の屋敷をキャタピラのついた巨大像でぶち壊す。オレはそのシナリオを知っている。
イトの目的は屋敷の破壊そのものではない。半永久的に生き続ける
おとぎ話によると、村長の屋敷の下には宝が眠っているらしいのだが、イトは"もしかしたらそれが使えるかもしれない"という動機だけで、他者を傷つけてまでそれを目指している。
凶行を阻止されなかったとしても、イトの目的が達成される保証がないのだ。"屋敷が壊されるだけなら放っておいても"なんて思っていると、より大事になりうる。
メダロットは、子供向けに市販されているお友達ロボットだ。メダルもまた、メダロットの人格を司る部品にすぎない。
だが、あまり知られていない事実として、メダロットとメダルは元々地球外のテクノロジーで、山や遺跡を掘って出土するようなものでもある。"自分もメダロットになれば"というイトの企みによって、どんな事態に発展するか、想像もつかない。
シリーズ中でも"5"はスケールの小さい話だが、他のナンバリングでは地球規模や宇宙規模の事件が定番。見過ごした結果同じようになる可能性は充分にあるといえる。
ラスボスたるイトを止めるには、当然、原作通りの戦いを勝ち抜かなければいけない。だが、人生にリセットボタンがない以上、オレは通して勝ち続けなければならない。それはとても困難だ。
だから、物心ついたばかりのオレは、可能な範囲で準備をすることに決めた。
シナリオが始まる小学四年生の春までに、誰にも負けないだけの力をつけようと。
……
前倒しでメダロットを手に入れることに際して、最も大きい障害は両親だ。メダロットというものに対して全く理解がないため、高いものを1揃い買い与えることに対する不安で足踏みしていた。
メダロッター――"メダロットと共にある人"程度の意味だ――の最低条件は、メダロット1体と、腕時計型ガジェット"メダロッチ"の所持。
メダロットを構成するのは、骨格にあたるティンペット、頭胸部・右腕部・左腕部・脚部に肉付けする4パーツ、メダル。
合わせて6つの部品だ。
パーツはコンビニに売っている安物でも2,000円から5,000円(これは部位間の差もある)。
メダロッチはピンキリだが、旧いモデルを選べば5,000円程度。
ティンペットは一律20,000円。男女で価格が同じなのは意外だった。
メダルは10,000円で済めばかなり安い方で、30,000円出せば少々いいものといったところ。しかも、購入には身分証明が要る。
定価で安いものを買い集めれば、43,000円という計算だ。高い。
前世の感覚で言えば、スマホを買い与えるようなものだ。
それらの値段を知ったのは、小学校に入学した後。学校にいる同級生たちに訊き回ってようやくのことだった。誰も彼も値段のことを気にしていなかったため、結局、親に話が通されることを覚悟で先生に訊くことになってしまった。
月に1,000円の小遣いを貰えるようになって、それを軍資金とすべく全額貯金する心づもりだったのだが、間に合いそうになかった。
貯金だけでは無理だと悟ったオレは、園芸用のスコップを片手に出かけた。それも毎日。
学校では友達と普通に遊ぶが、放課後、日が暮れぬうちは近所の採掘場跡であてもなく掘る。あるかもわからないメダルを探して。
かつてそこで仕事をしていた父が、"再利用の目処がないから掃除する人もいなくて、今は荒れ放題だ"と電話口で話しているのを、偶然聞いて思いついたことだった。
ちょっと筋肉痛で気が向かないな、という日には、町内を散歩しつつ、ゴミ捨て場に有用なものがないか見回っていた。
……
まず小学一年生の秋。ゴミ捨て場に、メダルが入ったまま電源が落とされたメダロットを見つけた。
急ぎコンビニで安物のメダロッチを購入し、ティンペットとパーツをメダロッチにペアリング。メダロッチに割り当てられているストレージ(遠隔地の倉庫内部)に転送した。
メダロッチが必需品なのは、このようにティンペットやパーツを自由に出し入れできるからだ。
パーツは、二脚・女・観光ガイド型メダロットの、マルシェのものが一式。
メダルは中の人格が持ち主を覚えていて、オレには使えない。民営警察組織であるセレクト隊に、落とし物として届けた。
……
そして次の進展は、小学三年生の夏休みになってからだった。
実のところメダル購入資金は充分に貯まりつつあり、妥協せず高級メダルを買うのも視野に入っていた頃。
もう小学四年生が次に迫っていて、そろそろ対人戦闘――
いつも通り、暇を見ては、外に遊びに行くフリをして採掘場跡に忍び込み、カンだけを頼りに、掘り進めていたある日。
道端に落ちている小銭のように何気なく、スコップの先から、金色に光る六角形のコインのようなものが手元に転がってきた。
"メダルだ"と認識しつつも、オレはしばらく呆然とした。
その後、心臓が早鐘を打ちはじめた。なぜだか、"一刻も早く離れなければ"という気がして、自室まで逃げ帰った。
麦茶を飲み、クーラーの効いた部屋で気を落ち着けてから、改めてメダルを見る。
不完全な人造コピーの市販品とは違う、
そのメダルは……
説明端折る予定だったのに結局説明回という事態
そのメダルは……
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おいおい絵柄もコアもないじゃないか!
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前世では入手に手を焼かされたあのメダル!
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……あれ、4枚も拾ったっけ?
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「落としたのは金のメダル?銀のメダル?」
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ご存知敵専用チートメダル