メダロット5? すすたけ村の転生者 作:ザマーメダロット
1枚派がこんなに少ないのはちょっと意外です。
前回書き忘れてましたが、毎度誤字報告ありがとうございます。
今回のは書き損じというより「ガイア!オルテガ!マッシュ!ジェットストリームアタックを仕掛けるぞ!」な感じでしたが。誰だよ6体目。
アサヒの一人称も"おれ"と"オレ"が混ざっていることがわかりましたが、"オレ"で統一します。
サキのメダロット部入部が決まった翌日、神社の前にはヤマトがいて、いつも通り一緒に登校した。お互い当たり障りのない話をして、昨日のことは話題に出さなかった。学校ではサキはオレを避けているように感じられ、昼休みにも声をかけることができず、そのまま放課後になってしまった。
逃がすとまずいと思い、終業の挨拶の後すぐにサキに話しかけようとしたとき、サキも同時にオレの方を向いた。表情からは何も読み取れない。少し驚いている間に、サキの方が口を開いた。
「コイシマル、今から大丈夫?」
「おう。ヤマトもいいか?」
「昨日の話?いいけど……」
当事者であるヤマトに確認を取った後、オレは自分の席からどいて、ヤマト、オレ、サキの3人が輪になる形にした。
「メダロット部入部のことはもう話したよな」
サキが何も言わないようなので、今度はオレから話した。まずはサキに確認を取る。
「ええ。それで、ヤマトくんに何を謝れって?」
「オオムラ。お前、弓道は真剣にやってるんだよな?」
オレが質問すると、サキは目をパチクリさせる。
「……急に何?」
「いいから」
「本気でやってるわよ。それが?」
一呼吸置いてから、オレは口を開く。
「……武道ってのは、結果さえ出せばいい武術とは違って、礼に始まり礼に終わるもんだろ。それを修めようって人間が、"ダメロット部"なんて言葉を使って、他人をバカにするのか?」
「!!」
目の前のサキと、視界の端でヤマトも驚いているのが見えた。
「顧問の先生があんなんだから、仕方ないところもあると思うけど、オレは、頑張ってるヤマトがそんな風に言われてるのを知って嫌な気分になった。だから昨日、ああ言ったんだ」
言葉を切ってサキを見つめていると、サキがヤマトの方へ向き直った。ヤマトも察して、サキと向かい合う。
「ヤマトくん、これまでごめんなさい。部のみんなにも、よく言って聞かせるわ」
「い、いいよ、そこまでしなくても」
後半部分を聞いて遠慮するヤマトだが、サキは首を横に振った。
「ううん。だって、コイシマルくんの言う通りだもの。……このままじゃ、恥ずかしいったらないでしょう」
元来の気性の差か、ヤマトはサキに対して言うことはないようで、困ったような顔をして黙っている。そうしていると、サキがこちらを向く。
「コイシマルくん、わたしもう弓道部に行ってもいい?」
「いいよ。行ってらっしゃい」
「うん。それじゃ」
サキはすたすたと教室を出ていった。
「……コイシマルくん、そんなに気にしてたの?」
困った表情のまま、ヤマトがオレに問いかける。
「友達が悪口言われていい気はしないだろ」
「そっか。ごめんね、ぼくがしっかりしてれば、そんなことしなくたっていいのに」
「空き巣に遭った時、悪いのは戸締まりを忘れた方じゃないだろ。ヤマトが謝ることじゃない。もっと堂々としていいんだ」
「難しいなあ……あっ」
ヤマトが、何か思い出したような声を上げる。
「どうした?」
「カナエさんに頼まれていた本、図書室に借りに行かないと」
「あっ」
オレも部員のことで頭がいっぱいになって忘れていた。確か、ゲームの方でも元々一日遅れになっていたし、そもそも借りられないから大丈夫だとは思うが……
「ごめん、オレも忘れてた。そっちはヤマトに任せていいか?」
「うん。ぼくは図書室に行くから、先に部室に行っててくれる?」
「あー……いや、オレは勧誘しに行く。心当たりがあるからな」
「えっ、次は誰を勧誘するつもりなの?」
「ヒョウモンに、サメハダを勧誘してくれるよう頼んでおいたんだ。確認しに行って、ダメそうならオレが直接勧誘する」
アサヒとオサムの名前を出すと、ヤマトは少し嫌そうな顔をした。
「お、オサムかあ……うーん、そっちはコイシマルくんに任せるよ」
「おう。ヤマトが来るとちょっとこじれそうだし、そうしてくれると助かる」
「ごめんね」
「いいんだよ。じゃあ、部室でな」
「うん。また後で」
……
図書室へ向かうヤマトと別れ、オレは2組へ向かったのだが、アサヒとオサムはいなかった。教室に残っていた男子に尋ねると、校門から出てすぐ左にある、岬の公園で遊んでいるのではないか、ということだった。事前にアサヒを入部させたことでここの展開も変わってしまうのではと思ったのだが、その男子の口ぶりからしていつもの場所ということなのだろう。オレは一言礼を言ってから、岬の公園までやって来た。
岬の公園。ここはすすたけ村の東端で、学校から見て奥側に海がある。公園といっても遊具はなく、ただ開けた場所にベンチがいくつか置かれているだけだ。
「よう。ちょうどお前の話をしてたとこだ」
近づくと、アサヒが軽く挨拶する。隣のオサムは、不機嫌そうな顔をして黙ったままだ。
「オレの?部員勧誘のことじゃなくて?」
「まあそうなんだけどよ」
「ヒョウモンがロボトルで負けたのを信じてもらえなかったとか?」
「違うんだよ。こいつ、"ロボトルが強いだけじゃ認めねー"って」
「じゃあどうすればいいんだ、肥溜めにでも落ちてこいって?それで入部してくれるならやりますよオレは」
「マジかよ」
半ば冗談で出した言葉にアサヒが目を見開いている横で、オサムがオレに向かって口を開く。
「お前、潜水の脚部パーツは持ってるか?」
「ないよ」
「そうか。なら、頼みを聞いてくれたら、メダロット部に入ってやってもいい」
「頼みって?」
「学校の裏の林に滝があって、その滝壺にパーツが落ちてるんだ。それを自分で潜って取ってこい」
まだ春だ。泳ぐには寒い季節だし、水から上がった後も冷える。だから、2人ともそこにあるのがわかっているのに自分で取りに行かないわけだ。この話を振ってくるのがアサヒではなくオサムなのがゲームと違う点だが、オレの返事は変わらない。
「いいよ」
「おい、オサム……」
アサヒが少し困った顔で、ふっかけるオサムをたしなめるが、オサムは気にした様子がなく、不機嫌そうにしたままだ。
「本当に潜る気か?」
アサヒは今度はこちらを向き、問いかけてくる。
「肥溜めよりは生産的でいいと思う。タイムリミットは?」
「……夕方までだ」
「そうか。これ、預かっててくれ」
言いながらメダロッチ――ストレージの中身は新型の方に統合したので、親に買ってもらった方は家にしまってそのままだ――を1つ外し、オサムに差し出す。
「えーっ、オイラたち人質になっちゃうの?」
「どちらかというと、アリバイ作りだと思うけれど」
メダロッチの中から声がし、オサムはぎょっとした。まあ、いわば中身の入った財布をポンと預けるようなものなので、無理もない。オレがゲームの知識で一方的にオサムのことを知っているだけで、実際はほぼ初対面だしな。
「これでひとりだ。先にコンビニでタオル買ってくる」
……
コンビニへ行って、レジ袋片手に公園に戻ってきて、それから学校の裏手に繋がる方へ。学校と公園がすぐ近くであるため、公園と林もすぐ近くだ。といっても、入って少し進めば、公園の方は見えなくなるくらいには木が茂っている。あと、林といっても平坦ではなく、滝は高い所にある。
林に入って奥へ進むと、水の流れる音が聞こえてきた。聞こえる方へ向かえばきれいな川が見つかり、川に沿って上がって行けば、滝壺も見つかった。この地形、大きさ。間違いなくここに、盗まれたトルマリンのパーツが沈んでいる。パッと見ても深そうだ。底まで行って戻るのに、息が続くか怪しい。
鞄を降ろして中身を取り出す。空の500mlペットボトル5本、ポリプロピレンロープ(荷造りに使う白いビニール紐)、布テープ(ガムテープの紙じゃない方)、普段から筆箱に入れている鋏。
上流の川をせき止めて滝壺を浅くするなんてことをやればどうなるかわかったものではないので、他の方法が必要だ。タオルとは別に、そのために必要なものをコンビニで揃えてきた。ペットボトル飲料の中身は、コンビニでトイレを借りて捨てておいた。
ペットボトル全てに、いっぱいになるまで砂を入れる。それらを布テープとポリプロピレンロープで一纏めにし、重りを作る。重りからはロープを伸ばしておき、ロープの先に輪っかを作る。
5本合わせて、浮力と差し引いた水中の重さは3.5~5kg。人間の水中の重さは(空気を吸い込んだ状態で)元の体重のおよそ1割。小学4年生男子のオレの場合、だいたい3kg。この重りをつけて体を動かさずに沈んだ場合、水中での落下加速度が倍以上になるという寸法だ。
自分の力で潜ると、体を動かした分だけ酸素を消費して苦しくなる。だから体を動かさずに沈めばより楽なのだが、そうすると水底までに時間がかかる。空気と違って水は抵抗力が大きいから、一工夫しなければならないわけだ。
この滝壺イベントのことはずっと前から考えていたので、この策を実行するのはちょっと楽しみでもあった。
重りが完成したら準備体操。それから服を脱ぎ――既にちょっと寒い――、水際に屈んで、水面を掬うように弾いて自分の体に水を掛ける。学校でプールに入る前にやるアレだ。特に今は水温が低いので、きちんと慣らさないと風邪では済まなくなる。
水温に慣れてきたら、いよいよ滝壺へ進む。深いので足はつかない。
さて、パーツはどの辺りだったか。水は透き通っているが、深さゆえに底はよく見えない。まずは潜って探すしかない。
……
数回素潜りし、水底にトルマリンのパーツを見つけることができた。既に水温が気にならなくなり、楽しささえ覚え始めたが、長く続ければ危険なので急がなければならない。
直上が水面のどの辺りかを覚えて、重りの輪を足にかけて、本体を抱え、鋏を持つ。既に沈む力が倍になっているので、水面を移動するのも一苦労だ。覚えていた辺りの位置まで来てようやく重り本体を手離し、素早く息を吸い込んで、砂ペットボトルに引かれて沈む。
水中で目を開け、水底への到達を待つ。思い切り息を吸い込んだのに、結構な速さで沈んでいく。ロープが触れている足が痛い。
余裕のあるうちにペットボトルが地面につき、オレはパーツを拾うために足から伸びるロープを鋏で切り、体を傾けて腕で水を掻いた。途端に――余裕があると思っていたのに――息が苦しくなり始めて焦り、急いでパーツを脇に抱え、バタ足して水面に向かった。途中で少しずつ息を吐き、少しでも楽にしつつ上がっていく。
パーツを取り落とすこともなく無事水面に着いた後は、陸に上がって体を軽く拭き、服を着る。空を見ると、まだ青い。オレは達成感と安堵感にため息をつく。
それから、鋏他数点をしまって鞄を背負い、タオルが入ったレジ袋とパーツを両手にそれぞれ持って、公園に戻るべく歩き出した。
それにしても、わかってはいたんだが、寒い。風邪をひかないといいんだが……
※アンケート設置予定
オサムは本を……
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