メダロット5? すすたけ村の転生者   作:ザマーメダロット

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部員集め編が終わり、そろそろストーリーは折り返し地点?
込み込み50~60話くらいで終わる見通しです。サブタイの数字だと40~50くらい。


23.廃部トラップ解除

初部活の翌日。

偶然本を拾ったオサムが、2組のモブたちに本泥棒ではないかと疑われ、キレて学校を抜け出す……というイベントがあるはずの日だ。

 

しかし、その目印となる始業前の喧嘩騒ぎが起こらなかった。オサムを止められるように早起きして登校したのだが、ヤマトやサキも普通に教室に入ってきたし、誰かが"2組で喧嘩だ!"なんて言うこともなかった。

 

すっきりしないまま時間が過ぎ、昼休みになった。

アサヒとオサムとコノハが1組へやってきた。用事があるのはヤマトのようだ。

 

「ヤマトくんが探していた本、外でオサムちゃんが見つけてくれたのよ」

 

(うち)の近くに打ち上げられてたんだけど、長いこと海水には浸かってなかったから、乾かしたら読めるようになったぜ」

 

オサムが差し出した本を、ヤマトが受け取った。隣の席のオレまで、キツめのミントの香りが漂ってくる。消臭剤か?

ヤマトは表紙を確認した後、パラパラとページをめくる。オサムの処置が良かったようで、よれてもいない。ヤマトはひとつ頷いた。

 

「確かにこの本だね。放課後に図書室へ行って、図書カードを書いておくよ。オサム、ありがとう」

 

「へへ……」

 

照れ笑いするオサム。問題を抱えていないようで、オレも安心した。

 

「今日の部活はどうすんだ?っていうか、今日はサキ来るのか?」

 

「本人に訊かないとなんとも……あいつ弓道部優先だし」

 

「ふーん」

 

先に訊ねておいて、アサヒはどうでもよさそうに鼻を鳴らした。

 

「あ、ヤマト、持って帰る前にその本ちょっと見ていい?」

 

「いいけど、どうして?」

 

「単純に中身に興味があるだけ」

 

「そう?じゃあ、はい」

 

A4サイズの本で、ページ数はさほどでもない。中高の社会科で使う資料集と同じくらいだ。

中のページまですっかり乾いている。そうと知らなければ海に落ちたとはわからないだろう。

 

「何だよ、お前その顔でガリ勉なのか?」

 

「本読むからガリ勉ってのはおかしいだろ。オレ勉強は嫌いな方だし」

 

「よく言うよ。転校して来てずっと、小テストは全部満点じゃないか」

 

「なにいー!?」

 

ヤマトが呆れ気味に余計なことを言ったせいで、オレはアサヒに掴みかかられた。

 

その後、オサムやコノハまで混ざって、昼休みが終わるまで成績のことを根掘り葉掘り訊かれた。

 

 

……

 

 

午後の休み時間に、又借りした本を適当に読み飛ばす。

"すすたけ村昔話"というタイトルだが、昔話とは伝承の現代語解釈のことで、しかもその補足資料の方が分量が多い。

子供が読むような昔話の本、という感じは、あまりしない。大学のレポートに使うと言われるのも頷ける。

 

しばらくページをめくると、目当ての内容が見つかった。

ストーリーの要のひとつでありながら、ゲームでは具体的な内容が明かされなかった伝承。

ヤマトに訊こうと思って忘れていた、太陽と月の宝玉の話だ。

期待を込めて、ゆっくりと文字を追う。

 

 

……

 

 

題:すすたけ村の宝玉

 

 

昔々、すすたけの村には、北に山、東に海、南に川、西に地蔵、まん中に池があり、村人は平和に暮らしていた。

 

ある満月の日、池の北に、空から、とても大きなかたまりが、大きな音を立てながら降って来た。

そのかたまりは昼も夜も光り続け、中では天の使いが眠っていた。

目をさました天の使いを村人たちがもてなすと、天の使いは「お礼に、願いを叶えてさしあげます」と言った。

 

村人の男が「作物が育たない」というと、天の使いは「それじゃあ、雨をふらせましょう」と言った。

天の使いが祈りを捧げると、ひとばん雨が降り、それからは作物がよく育つようになった。男たちはたいそう喜んだ。

 

村人の女が「病気で苦しい」というと、天の使いは「それじゃあ、薬をつくりましょう」と言った。

天の使いが薬を作って、それを飲ませれば、病気はすぐによくなった。女たちはたいそう喜んだ。

 

村人の子どもが「大人が遊んでくれない」というと、天の使いは「それじゃあ、友達を呼びましょう」と言った。

天の使いが連れてきたのは、見たこともないような生き物だったが、子どもたちとなかよくあそんだ。子どもたちはたいそう喜んだ。

 

天の使いが村人たちに尽くすのを見て、村人たちは、いっそう天の使いを大事にするようになった。

 

次の満月の夜、戦に敗れた武者が一人、命からがら村へ逃れて来た。

その武者はひどい怪我をしていたので、それを見つけた天の使いは、不思議な力で武者の怪我を治した。

すると武者は天の使いを拝んで、「一度はなくなったこの命。あなたのために使わせてください」と言った。

 

真面目そうな武者に、天の使いはこう言った。

 

「わたしはもうこの村を去りますが、村人たちへの最後のお礼に、太陽と月、ふたつの宝玉(たからだま)を遺していきます。それを、あなたが届けてください」

「そして、村人たちに、このように伝えてください」

「ふたつの宝玉を近づけてはならない、宝玉を村の外に出してはならない、と。これらを守っていれば、村は豊かに暮らせるでしょう」

 

武者は「わかりました、かならずそのとおりにします」と答えた。

天の使いは、ふたつの宝玉を武者に手渡すと、ふっとすがたを消してしまった。

 

次の朝、武者は村人たちに、天の使いのお告げを伝えて回った。

村人たちは、天の使いがいなくなってしまったことに悲しんだが、今度は宝玉を託された武者のことを大事にするようになった。

 

武者はふたつの宝玉を、離れたところの土に中に埋めてしまうよう言って、村人たちもそのようにした。

さらに、武者は太陽の宝玉の上に自分の家を建てて、その土地を守るようになった。

 

かくして、誰も宝玉の姿を見ることはなくなったが、それから村は豊かになり、村人たちは幸せに暮らした。

 

 

<終>

 

 

……

 

 

太陽の宝玉はタマヤス屋敷の下に埋まっているという話だったから、武者はタマヤス家のご先祖なのだろうか?

 

天の使いというのは、恐らく宇宙人のことだろう。

地球外のメダロットでも天候操作できる程のパワーはない。

それができそうな超越存在といえば、メダロットの枠組みを外れたメダロット――"マザーメダロット"だが、地球付近にはスバルとマーブラーの2体しか存在しないし、彼らは月から動けない。

逆に、マザーメダロットの生みの親である宇宙人はちょくちょく地球にやってきているし、"大きなかたまり"は宇宙船か何かと解釈できる。

メダロット5には宇宙人もマザーメダロットも登場しないが。

 

この伝承の補足には、"すすたけ村での発掘調査は行われていない"と書かれている。武者の身元がわからず、憶測で村長の屋敷を壊すわけにはいかないという事情を始め、様々な障害があるらしい。

 

しかし、知って得する情報は特になかったな。

本をヤマトに返して、放課後に向けて根回しをしよう。

 

席から立ち上がって見回すと、教室の隅に、パイプ椅子に座ってお茶を飲んでいるアキの姿があった。

前まで歩いていくと、ペットボトルの蓋を閉めてこちらを向いた。

 

「アキ先生」

 

「うん、どうしたの?」

 

「メダロット部、部員は集まったんですが、ミヤマ先生は非常勤講師だから顧問として認められないらしいんです。廃部にならないために、名前だけでもいいので、アキ先生に顧問をお願いできませんか?」

 

「んー、いいわよ♪」

 

いつも通り軽い調子で答えるアキ。

ゲームでもあっさり顧問になると知っていたが、それでもオレは拍子抜けした。

 

「いいんですか?」

 

「頑張って部員を集めたんでしょ?なら、私もできるだけのお手伝いはしなくちゃね」

 

何も考えていないというわけではないようで、オレはちょっと尊敬の念を持った。

一瞬、"でも人轢いてるんだよな"と思ったが、振り払い、一礼する。

 

「ありがとうございます」

 

「どういたしまして。でもね、コイシマルくん。私、"名前だけでいい"なんて寂しいこと言わないで欲しかったなー」

 

「どういうことですか?」

 

「だって、それって私のこと頼ってくれてないってことじゃない。私、担任の先生なのよ?」

 

「……」

 

表情を変えずにそのようなことを言われて、何と返せばいいかわからずにいると、アキが続けて口を開く。

 

「子供は大人を、生徒は先生を頼るの。大人だって、困った時は助けてもらわなきゃどうしようもないくらいなのよ。コイシマルくんも、何かあったら素直に先生に言うこと。わかった?」

 

「はい」

 

「よろしい!さ、もう授業始まるわよ。席に戻った戻った」

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