メダロット5? すすたけ村の転生者   作:ザマーメダロット

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27'.せいどう学院ウラ話

せいどう学院、学院長室。

開会式の後、学院長の"アラクネ ヤクモ"は、1回戦第1試合の開始を待たずして、ここへ戻っていた。

 

「……というわけで、メダルの回収は順調ですのよ。わたくしの計画に、間違いなどありませんのよ」

 

ヤクモがそう語る相手――執務机を挟んだ向こうにいる人物は、ニット帽にサングラス、黒いマントを纏った、見るからに怪しい風貌。

以前、ウスモンと取引しているところをアサヒとオサムに目撃された、"黒マント"だった。

 

「ふっ。あの2人のレアメダルを回収できずにいて、"順調"とは」

 

「……!」

 

ヤクモは、珍しく自分の前に現れた黒マントに、企みごとの近況を報告しているのだった。

目的のひとつであるパーツとメダルの収集は確かに順調だが、最も重要なレアメダルについては、成果がないのもまた確か。

痛いところを突かれ、ヤクモの目がつり上がった。

 

「そのことなら既に手は打ってありますわよ。今日の試合で、必ずあの2人――タマヤスとツユクサから、レアメダルを奪いますわ!」

 

「まあ、精々期待して、待っておりますよ……」

 

(どうせ、恒例の学内大会のことだろう。強豪校を招待して、負けた生徒からメダルを取り上げる。あの2人は外部のメダロッターに一度も負けていないが……)

 

「人のことなんてどうでもいいざます!あなたこそ、パーツの売上はどうなったのです?」

 

「そろそろ、セレクト隊の取り締まりも本格的になってきたようです。さらってきたメダロットのパーツをコピーして処分することを、しばらくやめようかと……」

 

「冗談じゃないざます!!あなたの研究に、いったいいくらお金をかけていると思っているざます!学園の運営費やマリンブルー建設の売上だけでは、とても賄っていけないざます!」

 

黒マントがパーツの横流しをやめると言った途端、ヤクモは、レアメダルの話題以上に感情を剥き出しにした。

 

「コピーして作ったパーツを売ったところで、大した儲けにはならないと思うのですが……」

 

「お金は沢山持っていても、決して腐りませんことよ!お金こそが全て!お金で買えないものは何もありませんわ!」

 

論点をすり替え、憚らず欲望を吐き出すヤクモ。その言の醜さに耐えられず、黒マントは目を伏せる。

 

「己の欲望のために大切なパートナーを売り払った、あなたらしい考え方だ……」

 

「たかがメダロット1体と、魅惑の変身セット……年頃の女の子なら、普通は変身セットを取るざます!」

 

「"たかがメダロット"……そこまで仰る。メダルになることで永遠の命を得ようとしているお方の言葉とは、とても思えませんな」

 

「きーっ!いいから、あなたは、さっさと研究を完成させるざます!」

 

「言われるまでもありませんよ……姉上」

 

黒マントは、変わらず平坦な声でそう言った。




この手の短いやつは本筋とセットで投稿するつもりだったのですが、存在を忘れていました。

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