メダロット5? すすたけ村の転生者 作:ザマーメダロット
属性:速度
所持熟練度:「殴る」「がむしゃら」「撃つ」「狙い撃ち」
メダフォース:データ操作、一斉射撃、オールデストロイ
4つの所持熟練度がある類まれなメダル。しかも、いずれも攻撃行動なので腐らない。
メダフォースも使いやすいものが多く、リーダースキルを抜きにしても優れていると言える。
属性が速度なので、KBT型やKWG型のパーツも(手に入れられれば)使いこなせる。
メダルを育てる時、まずは攻撃行動の熟練度を上げるのが基本だ。
しかし、例えば「撃つ」「狙い撃ち」の熟練度は射的で練習すれば上がるのかというと、違う。
こんな実験がある。
まっさらな同じメダルを二つ用意してメダロットを組み立て、片方にはロボトルではない練習を、片方にはロボトルをさせる。
この時、練習した方は的への命中率がきちんと上がっているし、動いているものにも当てられるようになっているが、メダルの熟練度はなぜか上がっていない。
一定期間後、この二機でロボトルを行った際、練習した方はやはり攻撃を一度も当てられなかった。
片方が実戦経験を積んでいるとはいえ、練習したのに全く当たらないのはおかしい。
ということでさらに実験を重ねると、攻撃する側とされる側、両方のメダルのフォースが攻撃に干渉していることがわかった。
熟練度というのは単にその行動に慣れているだけでなく、「メダロットに対して効果を発揮する」ことへの慣れということだ。
「設置」なんかも、ターゲットになるメダロットがいないと熟練度が上がらないらしい。
……そんなわけで、こっそり練習してからロボトルに移るという考えはダメということは事前に本で読んで知っていた。
ベーデンを拾った次の日、オレはマルシェのパーツ一式を装備させて隣町へ繰り出した。
親バレを避けつつレベルを上げる日々の始まりだ。
……
この世界にいる人は基本的にメダロッターだ。メダロットなぞ認めん!なんて人はほぼいない。
道行く人に声をかければロボトルもできる。すごい民度。
「すみません、練習ロボトルお願いできませんか」
オレが声をかけたのは駐車場の警備員さん。おじいさんだ。
「練習?真剣ロボトルは嫌なのかい?」
突然のロボトル自体には疑問を持たない。それがメダロットワールド。
「メダロットは親に内緒で小遣い貯めて買ったんです。だから今お金がなくて……」
「買ったって、一揃いかい?見かけによらずお金持ちなんだね」
「ティンペットは捨てられてたのを拾ってキレイにしたんです。メダルは友達に貰いました」
「ほう……ちゃんと考えてるんだね」
なにやら関心した様子だ。確かに、普通に全部買ったら子供の小遣いじゃ難しいものな。
まあ、だから親には隠しているわけだ。子どもが捨ててあったものを拾って使っていることが知れたら、どう動いてくるかわからない。貰ったとウソをついても聞き回られてバレればアウトだしな。
「わかったよ、わたしでよければ相手になろう。わたしはハンダ テイスケという。君、名前は?」
「コイシマルです。よろしくお願いします、ハンダさん」
「ああ、よろしく頼む。来い、セイロ!」
「メダロット転送!」
互いがメダロッチの音声入力でメダロットをこの場に転送する。
警備員さんの機体は……
「ヴェイパーレールだ!」
「免許は返納しちゃったからね。今はこいつが足なのさ」
「変形すると脚はなくなりますけどね」
セイロと呼ばれたメダロットが言う。
銀色の汽車型メダロット・ヴェイパーレール。
二脚からシフト変形し、車両のレクリスモードになる。
戦意を喪失させる格闘攻撃「ホームシック」を体当たりで叩き込んでくる機体だ。
「ミニハンドル」という外部機器を接続することで一人用の乗り物としても使えるのがウリ。
駐車場は当然地面が平らだ。車両で走りやすい地形と言える。
しかし広さはそうでもない。マルシェは二脚だが、地形相性はやや不利程度に留まるか。
「合図はこのコインが地面に落ちたらにしよう」
警備員さんがコインを取り出し、上に弾く。
真剣ロボトルの場合はどこからともなく公認レフェリーがやって来て最後まで仕切ってくれるが、練習ロボトルだとこういう工夫が必要になるのだ。
コインが地面に落ちた。
「セイロ、メダチェンジ!」
「ベーデン、撃て!」
「了解、メダチェンジ!」
「わかった」
セイロが二足歩行の汽車モチーフの姿から、そのまんまの汽車型に変形する。
メダチェンジは次の行動に移るまで間ができてしまうが、メダチェンジそのものには大した隙はない。ないが、撃たない法もない。
マルシェのパーツ構成は右腕が撃つ行動のライフル、左腕が狙い撃ち行動のガトリング。頭のトラップクリアは基本要らない子だ。
左腕のライフルは成功値が低くリスクが高い。これもしばらく封印。なのでベーデンには"壊れない限り右腕しか使うな"と言ってある。
果たしてベーデンの初射撃は当たった。
ダメージは与えたが、メダチェンジ中は全ての装甲が一つになっているので、パーツを個別に破壊できない。
さて、メダチェンジ後は頭パーツ、右腕パーツ、左腕パーツの代わりにドライブA、ドライブB、ドライブCという機能が使える。
ヴェイパーレールには使える機能は一つしかないが。
「セイロ、ドライブAじゃ!」
「ベーデン、撃ちながら左腕で受けろ!痛くても相手から目を離すなよ!」
「突撃!」
セイロが煙突から煙を吐きながら突進してくる。
この突進攻撃はがむしゃら行動。スピードを乗せて威力を上げ、パーツを破壊しても衝撃でさらに他のパーツにダメージを与える「貫通」を引き起こす。
「ホームシック」の戦意喪失効果は即効性ではないが、この突進で受けたダメージが大きいほど早く回る。
別ナンバリングのラスボスは高威力のそれを連打して行動させないハメ技を主力にしていたりする。
しかし、がむしゃら行動は勢い任せなので、攻撃が終わった後は体勢が崩れて防御も回避もできない。
なのでオレもベーデンに捨て身気味の指示を出した。避けろって言ってもどうせ無理だし。
マルシェの右腕である拡声器型の銃から飛来する弾丸を受けながら、汽車は直進。ベーデンはそれを左腕で受け、横にふっ飛ばされる。人身事故だ。
メダロッチに表示されている、左腕の装甲値が0になった。更に頭部に大ダメージ。
勢い余ってセイロは壁に突っ込み、ガッガッと音を立てている。
「ここがチャンスだベーデン!足元を撃て!」
「セイロ、回頭するんじゃ!」
「ま、まだ冷却終わってない!」
セイロは壁に突っ込み続けている。
起き上がったベーデンがセイロを後ろから撃つと、防御も回避もできない状態のセイロは車輪部に弾丸を受けた拍子に横転した。
「うわっ!?」
「セイロ、起きるんじゃ!」
汽車が自力で起き上がるわけないだろと普通思うが、メダロットはそういう弱点はクリアしているので変形解除の必要も特にない。
横転を狙ったのは自重でダメージを負わせるためだ。
……でも、これなあ……
「よいっしょっと」
「……コイシマル?」
ベーデンがこっちを見る。顔に出てたかな。
……
オレはその後も最適と思われる指示を出し続けたが、あっさり負けた。
変形したヴェイパーレールの装甲を削り切れるだけの火力がなく、二度目の突撃で頭部パーツを破壊された。
ヴェイパーレールがドライブAしか使えないのは、ドライブBとドライブCが常時効果の機能を持っているからだ。
「敵影感知」は攻撃の成功と威力を上げる機能で、ヴェイパーレールのそれは威力特化。
それが二つ乗った突進は一撃必殺とまでは行かないが、回避できなければタダではすまない。人はグモれば死ぬということか。
それに比べればマルシェの右腕パーツは使いやすいだけの豆鉄砲だから、そうなって当然だった。
その日オレは何時間も、その辺の人たちにロボトルを挑んでは惨敗してを繰り返した。
同じくらいの歳で、コンビニの安いパーツ一式を装備している相手には勝てたが、そのくらいだ。
門限ギリギリで家に帰ったオレは晩飯を食べて風呂に入った後、寝る前に自室でメダロッチの中のベーデンに話しかけた。
「なあベーデン、負けて悔しかったか?」
「コイシマルは?」
「質問を質問で返すなよ……まあ、悔しいというか、ちょっとショックだったかな」
ゲームでは基本負けることがないが、リアルになってみればこんなもの。ということだろう。
パーツ性能の差が大きいのだが、だからといっていいものに買い換えると出費が痛い。
格闘系や守るの熟練度も上げる予定だし、脚部パーツの種類も増やさなければいけないから、無駄遣いはできない。
少なくとも射撃に関しては、当分マルシェのパーツでやっていくしかない。
つまり、まだまだ負ける予定ということだ。
「ぼくは……悔しかった。コイシマルを勝たせてあげられなくて」
そんなに恩義を感じているのか。
「そう言ってくれるのは嬉しいけど、オレが今日ロボトルをしたのは勝つためじゃない。強くなるためだ」
「負けたって経験は蓄積される。最終的に、将来、大事なところで勝てればいい。そのための今なんだ」
「……わかった。ぼく、頑張るよ」
「ああ、一緒に頑張ろう。頑張って、強くなるぞ」
「今日の敗北が、最強への第一歩だ!」
※アンケ設置予定
次話の内容(これら以外に希望があれば感想にどうぞ。項目追加します)
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原作本編開始
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ベーデン修行編その2