メダロット5? すすたけ村の転生者 作:ザマーメダロット
そして4話は割と致命的なミスをしているような。
文中に出てくる数字の扱いに迷う。漢数字統一だと読みにくいし、全角数字だと桁多くなった時嫌だし、半角はなんか違和感あるし……
あと台詞に♪マークを使うかも迷う。
2020/03/29 電話関連の記述を差し替え
今、オレは村はずれバス停前のベンチに座って待っているところだ。ここがすすたけ村のはずれなのは事実だが、だからといって停留所名が「村はずれ」なのはどうかと思う。
引っ越した先の家からこのバス停まで、ゲームでは1分とかからないのだが、縮尺とかその辺の違いからか、実際には歩いて7分程度かかる。結構な距離だ。田舎な分盗難リスクも小さいし、ネットで自転車でも買った方がいいかもしれない。
登下校の時間帯ですら一時間に一本しかバスが来ないが、かといって学校まで自転車はちょっと遠すぎる。バスで15分の距離だから、自転車だと30分くらいあるんじゃないか?
さて、そんなオレだが、腕にはめているメダロッチは以前のものと違う。とうとう親の許しを得てメダロットを買ってもらう運びになったのだ。これは比較的旧いモデルだが、オレが最初に買ったものよりはまだ新しい。
ちなみに中身――ペアリングしているパーツ等のこと――はない。ベーデンのメダルだけ移してある。"親に許しを貰えたらメダルを分けてもらう約束をしている"と言って、親がメダルを買ってくるのを回避したから、原作で貰えるメダルもない。使いもしないメダルを買って貰うと、どうやっても後味が悪いことになるから、そうした。
まあ、メダロッチとメダルだけ買ってくる親も結構どうかしてるけれども、メダロットのこと何も知らない今時珍しいタイプの人だからなあ。
ついでに言うと、ティンペットとパーツがないんじゃメダロットを持っているとはいえないのに、この時点でかなり浮かれてた原作コイシマルのテンションもヤバいと思う。それだけ欲しかったんだろうと思うが。
暇つぶし用にメダロットの本を読んでいると、声をかけられた。
「おはよう」
「おっと、おはよう」
見ず知らずの他人に声をかけてきたのは、黄色いパーカーを着た少年。背丈は小学校中学年くらい。というか、実際四年生。
クラスメイトとなる"シジミ ヤマト"くん、うちからちょっと歩いたところにある神社の子で、ちょっと精神が不安定な少年。
「ぼくはシジミヤマト」
「俺はテンサンコイシマル。よろしく」
「ああ、やっぱりそうなんだ。コイシマルくんのことはアカネ先生から聞いていたよ」
「で、今日はいっしょに学校に行こうと思って誘いに行ったんだけど……」
「あー、道に迷うかもだから早めに出てたんだ。地図も持ってないしな」
これは原作に合わせようとしたわけではなく、本当に心配だったから早めに出た。原作の道順を覚えてても今見てるのはゲーム画面じゃないし、齟齬がないとも限らない。実際距離は想像と違ったし。
「まだ7時前だよ、早すぎるんじゃない?」
「バスの間隔考えると一本乗り逃すのが怖くてな」
すすたけ小学校は授業開始が9時でも8時25分越えたら遅刻の一般的小学校だからな。クソ体育会系のウスモン先生が校門前にいるので、遅刻だけは絶対にしたくない。挨拶しなかっただけで呼び出して説教する人だし。
そんな学校へ向かうバスが一本逃したら一時間後ってヤバいと思う。
「……あ、ちょっと待っててくれる?妹を連れてくるよ。慌ててたから、ベニを家に置いてきちゃった。だからぼく、ちょっと迎えに行ってくるね」
言い切らないくらいのうちに走り出してしまい、声をかける間もなかった。そういうとこだぞヤマト。
……で、ここで追いかけると肥溜めに突き落とされるんだが……
当時は"こえだめ"って言葉の意味を知らなかったから、泥だらけになっただけだと思ってたんだよな。
あれはやられたら大人でも泣くと思うし、そりゃ家の床を歩いて欲しくないだろうなあ。
それでいてミチオとかサキとの顔合わせも肥溜めダイブが間接的なきっかけになってて、重要なターニングポイントだったりするし。
だから肥溜めダイブは回避すると展開変化のリスクがある重要イベントなのだが、まあ事前に策も用意してある。ヤマトを助けてやろう。
オレはヤマトを追って走り出した。
……
走り出して少し。
畑のそば、小屋や肥溜めがあるところでヤマトが見えた。
「おーい、ヤマトー!」
オレの声にヤマトが振り向き、オレがヤマトに追いつく。
「いきなり走って行きやがって、オレも一緒に行くよ」
「ありがとう……あっ、コイシマルくん、後ろ。気をつけて、落ちると大変だよ」
後ろを振り向くと肥溜めが見える。さらにちょっと遠くには農夫のおじいちゃん。
「あ、肥溜め。実物はオレも今日初めて見た。これ深さどのくらいあるんだろうな」
……耳を澄ますと、ゆっくりと背後に忍び寄ってくる足音が聞こえる。
ここで振り向く。
「? ヤマト、後ろの二人は知り合いか?」
「ゲッ」
「ヤベッ、バレた!」
何も知らないふうに尋ねると、ヤマトの背後から退散する悪ガキ二人。
「えっ、アサヒとオサム!?……そうか、ぼくらを突き落とそうとしたんだな!!」
いじめに対する反応は凄まじいものがあるなヤマト。すごい顔してるぞ。
「まあまあ、それよりベニちゃんを迎えに行こう。道草してバスに遅れるのも恐いし」
「そ、それもそうだね……行こう」
……
自宅からバス停まで行く場合前を通る位置にある、村はずれの神社。ここがヤマトの家だ。
「広いな……出入りするのに不便そうだ」
「もう慣れたよ」
鳥居をくぐると長い道。両脇には一定間隔で灯籠が置かれている。まっすぐ進むと、御神木が見えてくる。
道沿いに右に曲がってさらに進むと、ようやく玄関だ。
……家の前で女の子が立っている。小学校低学年くらい。まだ肌寒い時期ってこともあって、赤いマフラーを巻いている。
ヤマトの妹のベニだ。泣いてはいないらしい。
「お兄ちゃん!」
「ごめんよベニ、ちょっと慌ててて」
「ううん、大丈夫。そっちのお兄ちゃんは?」
ベニがオレの方を見て訊く。まあ、初めて見る顔だろうしな。
「オレはテンサン コイシマル。ちょっと前に引っ越してきた四年生だ」
境内と外を仕切る壁を指して答える。
「コイシマルお兄ちゃんですね!よろしくです」
笑顔が眩しい。
ネームドで普通の素直な女の子ってベニくらいなんだけど、学年の違いもあって準レギュラー程度の立ち位置なんだよな。
……
バス停までの道すがら、ヤマトがオレの腕をちらりと見て口を開く。
「コイシマルくんって、やっぱりロボトルは強いのかい?」
幾分期待のニュアンスがこもっている。
「残念なことに、やったことがないんだなこれが」
「えっ?だってそのメダロッチ、ちょっと旧いモデルじゃないか。メダロットは前から持ってるんだろ?」
お前原作だと"まだこの辺りで発売されてない最新のメダロッチを持ってるじゃないか"って難癖つけてたよな?
部長の件とかあるから気持ちはわかるけれども、ひどくない?
「これだってつい最近買ってもらったんだぞ。しかも中身は貰い物のメダル一枚だけだ。な、ベーデン」
「うん」
メダロッチを買ってもらおうが、メダロットについてのこれまでのことは依然親にバレてはならないので、演技をする必要があるのだ。
ということはベーデンともちゃんと話してある。
「ベーデン?って、メダルはもう起こしてあるんだね」
ちなみに、起きた状態のメダルをあげたり貰ったりするのは基本的にやってはいけない。
「ティンペットやパーツがなくてもこうして話はできるし。早めに仲良くなっとこうと思って」
「うーん……信じられないなぁ。おみくじ町の人は強いメダロッターばっかりってよく聞くけど」
「は?おみくじ町?」
「えっ?」
「オレが住んでたのはおみこし町だぞ」
「ええーっ!?」
飛び上がる勢いで驚くヤマト。つられてベニがびくっとした。声が大きいぞヤマト!
おみくじ町というのはメダロット1~4の舞台だ。世界の危機レベルの事件が起きたり強い奴がいっぱいいたりの地域にある町で、メダロッターの水準が高い。
別ゲーで例えるとゴッドイーターの極東支部。
「ヤマト、誰からそんなこと聞いたわけ?」
「誰からというか……そういう噂が流れてるんだよ」
「初日からいちいちこうやって弁解しなきゃいけないのか……面倒だなあ」
「ごめん……」
「いやヤマトは悪くないけどさ」
……
バス停でバスに乗り、学校に到着。
職員室の方に顔を出したら、"担任がまだ来ていないから待っていろ"と言われた。
仕方なくヤマトと別れ、一人、通りがかる生徒たちに奇異の目で見られながら職員室前で待っていると、ホームルーム前のチャイムが鳴った。
まあ、先生が遅刻するのは原作通りだが、オレが遅刻してない分待たされてしまったな。
チャイムが鳴って数分後、見た目女子大生みたいな女性がばたばたと走って来た。
アキ アカネ先生。オレやヤマトの所属するクラス、4年1組の担任。
人をバイクで撥ねて放置したりもするが、基本的にお気楽お姉さんって感じの人だ。
「遅くなってごめーん!コイシマルくんだよね?」
「はい、テンサンです」
「よし、それじゃ教室までダッシュ!」
ええー……
……
急いで階段を上がり、教室に入る。
教室内に生徒の席は12。かといって空間がスカスカというわけでもない。
前世で通っていた学校よりずっと小さい教室だ。田舎だとこうなのか?
先生は教壇に立つが、俺は入口付近に立ったままだ。
「オオムラさんはかぜでお休みだそうです」
とアカネ先生。
"オオムラ サキ"というのは弓道部の女子で、メインキャラクターの一人だ。っていうかここの弓道部、ゲームでは女子しかいなかったような……
「きりーつ!」
号令を取るのは委員長のヤマトの仕事だ。
「礼!」
「着席!」
ここは礼の時に挨拶しないパターンの学校だ。あれ、体育会系っぽくて嫌いなんだよなあ。
「皆さんに転校生を紹介します。テンサンコイシマルくんです」
「テンサンコイシマルです。よろしくお願いします」
一礼。原作コイシマルは元気に挨拶するんだが、オレには真似できない。
「コイシマルくんに何か質問のある人?」
ややあって男子生徒の一人が手を挙げる。
……クラスメイトはモブも名前がついてるんだけど、忘れちまった。台詞ウィンドウに書いてあるだけだし。
「コイシマルくんは天領イッキさんのこと知ってますか?」
知り合いなのか、というニュアンスで訊いているんだろうなあ。
「メダマスターは有名人だし、もちろん知ってるよ」
「やっぱり!」
勘違いなんだよなぁ。
「そうだと思ったわ」
と女子生徒。こっちも名前知らない。"やはりそういうことか"みたいな顔してるが勘違いだぞ。
俺が、メダロット界隈のスーパースターたる天領イッキの知人であるなどと、そのようなことあろうはずもない。
だというのに教室内はそう勘違いしている者ばかりなので、ざわめきだしてくる。
「みんな前を向いて!勝手におしゃべりしないの。はい次の人」
「おみくじ町ってどんなところですか?」
と訊くのはまた違う男子生徒。
「おみくじ町って言うだけあって神社のおみくじはご利益があるらしい。あとメダロット博士の研究所があって、すぐ近くのマリンハーバーから船に乗れるのも地味に便利とか」
まあ前世のゲームの知識だけで行ったことはないんだけれども。
「うらやましいなぁ」
ちなみにこれは全部メダ3~4の話だ。2まではマリンハーバーじゃなくて船着き場だしね。
navi~5の間にまたどっか変わってるかも。
「ほんとねぇ」
誰だ君は。
「もう時間がないわ、質問はあと2つね。はいゴシキくん」
ゴシキくんはネームドモブだ。4にもいたよねネームドモブのクラスメイト。
「女の子のスカートをめくったことがありますか?」
「あるわけないでしょ」
なぜ不満そうな顔をするゴシキくん。ゴシキィ!
「コイシマルくん、好きなテレビ番組は何?」
とまた違う女子生徒。
前世からあんまりテレビは見ないが、メダロットの情報を仕入れるのに見ている番組はある。
「週刊メダロッター、あとたまにニュース」
この辺りの受け答え、ゲームでは各キャラの好感度が変化するんだけど、この場にいない連中はなんで変化するんだろうな。
と、ここで1時間目開始のチャイムが鳴った。
「はいそこまで、ホームルーム終わり!コイシマルくんの席は……」
教室内を探す先生。
「一番前の列、青色の椅子よ」
「はい」
わかりやすくするためとはいえ椅子の色が違うのはどうかと思う。統一しろよ。
「それでは授業を始めます」
……
そして午後。いやあ小学校の授業は強敵だった。ヒマ的な意味で。
「今日の授業はここまで。クラブ活動のない人はまっすぐうちに帰ること」
「起立!礼!」
「じゃあまた月曜日ね♪」
笑顔で手を振って出ていく先生。元気だな。
そして散っていくクラスメイトたち。こっちも大概元気だ。
「コイシマルくん、ちょっといい?」
トイレに行ったヤマトを待っていると、教室に残っている生徒、カヤさんに声をかけられた。
定着するか怪しいが、今日一日でクラスメイトの顔と名前は覚えたと思う。ゴシキとかイイギリとか、植物縛りなんだろうか。
「いいけど」
「ねえねえ、おみくじ町の話をしてよ」
と、別の女子生徒のアオイさん。
「朝のホームルームでやっぱりおかしいと思ったんだけどさ、オレが住んでたのはおみこし町だぞ」
「ええ~っ!」
「おみこし!?」
飛び上がる勢いで驚く二人。うるさいよ!
「そんなに驚くことか?」
「なーんだ、ちょっとがっかり」
「でも、コイシマルくんロボトル強いんでしょ?」
カヤさんとアオイさんが謎の期待を寄せてくる。
原作だとここで強いと言っておいた方が好感度稼げるんだが、演技しなきゃいけないからな。
「ヤマトにも言ったけど、ティンペットすら持ってない」
「ええ~っ!」
「っていうか、オレがロボトル強いか訊いてどうすんの?」
「あのね、最近学校にオバケが出るらしいの。退治してくれる人が現れるのを待ってたのよ」
幾分落ち着いたアオイ。
「2組のワルガキコンビは全然あてにならないし」
「ワルガキコンビ?」
アサヒとオサムのことだが、まあ知らないことになってるし。
「ヒョウモン アサヒとサメハダ オサムのことよ。いつも二人一緒でイタズラばっかりしてるの」
とカヤさん。
「あてにならないって?」
「ロボトルは強いし"オレたちがオバケ退治する"って言うけど、一向にやらないし、やる気がないみたい」
「他は?」
「サキちゃんはオバケなんていないって言うし、委員長は神社の子なのにオバケ怖がってるし」
本人がトイレに行ってる間でよかった。
「それ神社関係あるか?」
「関係ないかな?」
「関係ないでしょ」
「でも神社にも出るって言うけど」
「神社だからって理由では出ないと思うけど」
「見たって噂があるのよ」
とアオイさんが補足。
「ふーん」
……っていうか長いなヤマト。一人で行くか。
「あれ、委員長待たないの?」
「2組見てくるだけだよ」
……
4年2組の教室に入ると、生徒が一人しか残っていない。
その一人との顔合わせが目当てで来たんだが。
黒板周辺の掃除をしている、茶髪三編みに赤縁眼鏡の女子生徒。
タテハ コノハ。後のメインメンバーだ。
「こんにちわ」
と声をかけると、やや鬱陶しそうな表情で見られた。
「あなた誰?」
「1組に転入してきたテンサン コイシマルです」
「あ、そう」
ちょっと話してて辛くなってきたぞ。
「名前を聞いても?」
「コノハよ。タテハ コノハ」
「コノハさんか。いい名前だ」
「いきなり馴れ馴れしいわね」
怒りが滲んでいる。
「ごめん、気を悪くしたかな」
「まあ、いいわ。許してあげる」
「ちょっと訊きたいんだけど、ヒョウモンとサメハダって人知らない?」
「アッちゃんたちがまた何かイタズラしたのね?」
「まあ、未遂だけど」
「それで、仕返しに来たの?」
「仕返しってわけじゃないけど、一度話した方がいいかなって」
「そう。あの二人ならとっくに帰ったわよ」
「そっか。ありがとう」
「コイシマルくん?」
背後からヤマトの声。振り向くと、鞄も持ってきていた。
「あ、出てたか」
「うん。帰ろう」
さて、次はオバケイベントか……
※アンケ設置予定
ヒコオの勘違い
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そのまま
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回避