メダロット5? すすたけ村の転生者   作:ザマーメダロット

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ところで、原作見返したらヒコオの一人称が「ボク」と「ぼく」が混ざってました。
漫画が「ぼく」なので、6話からそっちに統一してあります。

重力攻撃をどうすればいいか難しかったです。後で設定変更するかもしれません……

6話のアンケートが接戦で面白いですね。今後も推移を見守っていきます。

実質前後編だからか短く感じます。


7.はじめてのロボトル(嘘)

オレやヒコオを囲むオバケたちが、その輪をゆっくり狭めてくる。

その時。

 

「ちょっと待ったーっ!」

 

若い男の声がドップラー効果を伴いつつ上から響き、声の主はオレたちの真ん中に、片手片膝をついて着地。枝は揺れなかった。

青いシャツに赤い蝶ネクタイ、サスペンダーをつけた若者。その男はこともなげにすっくと立ち上がり、通りのいい声で自己紹介を始めた。

 

「わたくし、このたびロボトル協会公認レフェリーとなりました、"カバシラ"と申します。よろしくお願いいたします」

 

続いてヒコオの方、オレの方を見る。

 

「そ、それでは、ロボトル~……ファイト!」

新人だからか、口上が飛んでしまっている。

 

しかしそんなことはロボトルには関係ない。ネクウはカバシラのコールが終わると同時にオバケの一体に飛びかかった。

 

「オレたちもやるぞ、ルート!」

 

「よーし、オイラと勝負だ!」

 

「オレはオバケだぞ~、こわいんだぞ~」

自称オバケが、(恐らく彼自身の考えうる精一杯の)脅し文句ともに、白い布の下から腕を上げてこちらに向ける。黒い銃口がちらりと見えた。

 

オバケを自称しているが、付近にいるメダロットならメダロッチからある程度情報を見ることができる。

男・浮遊タイプ・カンガルー型メダロット、チェネッツ。頭部は撃つ行動「ガトリング」、腕部は重力攻撃を行う撃つ・狙い撃ち行動「プレス」攻撃パーツ。

 

……具体的にどういう攻撃かというと。

 

まずエネルギー弾を発射する。これは狙ったメダロットに向かって自律誘導するが、弾速は遅めで、それ自体は見てから避けることも難しくない。発射された弾が起爆すると、弾を中心に内向きの重力フィールドが短時間発生。直径1メートル程の範囲を攻撃する。起爆タイミングは「一定時間経過」か、それまでに「物体に接触」した時。範囲こそ広いが、要するに強く押されたり引っ張られたりするだけなので、前もって身構えていれば大したダメージにならない。とにかく脚の速い相手でも誘導と範囲で当てやすいのが重力攻撃の特徴の一つ。

ただし、無理に避けようとした結果無防備に重力に取り込まれると、自分のパーツ同士を強くぶつけたり、曲がっちゃいけないところが曲がったり、逆にすっ飛んで壁や地面に叩きつけられたりして、大ダメージに繋がる。それを避けるには、欲張って回避しようとせず、一発一発を確実に防御するやり方が鉄板だ。

……ゲームではどういう攻撃なのかいまいちわからなかったのだが、実際に知ると、おもちゃにつける武器としてはオーバーテクノロジーだと思う。重力攻撃に限ったことではないが、そりゃあ三原則がなければ人死にも出ようというもの。

 

さて、相手が強敵というわけでもないので、ここで出すべき指示はシンプルだ。

 

「ルート、そいつから目を離すな!左腕で攻撃!」

 

「オッケー!」

 

左腕パーツ、狙い撃ち攻撃「ガトリング」。マルシェのそれに比べると高性能で、主力としても充分使える。

充填性能の差の分、撃つのはルートが早かった。自称オバケの被った布、その腹部辺りにプップッと穴が空き、弾丸が装甲にぶつかる音が連続。

オバケはダメージを受けつつも怯まず撃ち返してくる。青色の棘付きボールのようなエネルギー弾がゆっくりとルートに向かってくる。ルートが脚に力を込めたように見え、オレはすかさずルートに呼びかける。

 

「避けるな!踏ん張れ!」

 

「ええっ!?」

脚を止め、こちらを振り返るルート。

 

「目をそらすな!マスターのオレを信じてくれ!前を向いて踏ん張るんだ!」

 

「……わ、わかった!」

ルートは頷いて前を向き、重心を低くして身構える。

 

ルートの目の前で、エネルギー弾が炸裂、青く着色された重力フィールドが発生。その中でルートが踏ん張る。

 

「んぐぐぐ……終わった!」

 

特に装甲に傷などがつく様子もないまま、重力フィールドは消えた。ルートの両手を上げる仕草が実に元気な子供らしい。

 

KBT型とKWG型はバランスのよい性能だが、KBT型は防御力、KWG型は回避力に優れる。格上でもない相手の重力攻撃は効果が薄い。だから……

 

「このままどっしり構えて撃ち合えば間違いなく勝てる。次は頭を狙ってみろ、左腕で攻撃だ!」

 

「うん!」

 

「ま、待つんだぞ~、負けたらマスターにおこられるから、ここはおんびんに……」

 

「先におどかしてきた方が悪いに決まってるでしょ!」

 

逃げようとしたのか、ゆらゆらと浮き上がり遠ざかろうとしたオバケに向かって、構わず連射。弾丸は見事頭部付近に集中し、オバケが墜落。墜落のわけは、いい音とともに弾き出されたメダルを見ればわかる。

 

「えーと、白いオバケ、機能停止!コイシマル少年の勝利!」

 

こちら側とヒコオ側、両方の様子を交互に見ていたカバシラの声が聞こえた。

 

「やったー!」

 

ルートが右腕を上げて勝鬨を上げる。

さて、じゃあヒコオの方はどうなったかと見てみると、いつの間にか終わっていたようだった。オバケたちの被っていた布は切り裂かれ、装甲は斬撃と打撃でボロボロだ。ヒコオは追加のメダロットを出さず、ネクウ一体が三体のオバケを機能停止させたらしい。原作通り化け物じみた強さだ。

 

全てのオバケメダロットが機能停止したことを確認すると、カバシラが落ちたメダルをはめて回り、オバケたちは再起動した。メダロッター不在のメダロットもロボトルはできるが、機能停止すると何もできなくなってしまうため、真剣ロボトルの場合こういう措置が取られるのだ。

目を覚ましたオバケたちの内一体がヒコオに、もう一体がオレにパーツを渡す。こっちはチェネッツの右腕パーツか。二人とも慣れた手付きでペアリングしてストレージに送る。

 

「お、おぼえてろだぞ~」

 

と捨て台詞を残して、オバケたちは空へ去っていった。

役目を終えたカバシラは足元に煙玉を叩きつけ、姿を消す。新人でこれなのだから、ロボトル協会はどいつもこいつもヤバいことがよくわかる。

 

そんなところで、ヒコオの携帯が鳴った。

 

「はい、もしもし……わかった、すぐ帰るよ、ママ」

 

残念そうな顔で通話を切り、ヒコオはネクウをメダロッチに戻してこちらを見る。

 

「すまない、パパからの呼び出しを受けてしまった。ロボトルはまたの機会だ」

 

「いいよいいよ。またな、ヒコオ」

 

「ああ、また」

 

いい加減風船を返さないと……

 

 

……

 

 

樹洞に降りて外へ出ると、赤い光が眩しく感じられた。案の定日が傾いたようだ。

バカでかい御神木を回り込むと、泣き止んでいたベニがこちらへ駆け寄って来た。

 

「遅くなってごめん、オバケを退治するのに時間がかかっちゃって。はい、風船」

 

「わーい♪コイシマルお兄ちゃん、ありがとう♪」

 

ベニに風船を渡すと、満面の笑みを見せてくれる。夕日より眩しい。

 

「どういたしまして」

 

「コイシマルくん、退治したって……その、本当にいたの?」

ヤマトが困惑半分恐怖半分といった様子で訊いてくる。

 

「白い布を被ったメダロットだった。何がしたかったのかはいまいちわからなかったよ」

 

「め、メダロットだったのか……」

ヤマトはオレの返答を聞いてほっと胸をなでおろす。

 

「ああそうそう、金髪の男子見なかった?」

 

「いや、見てないよ」

「誰も来なかったですぅ」

 

「そう?じゃあいいや」

 

原作でもヒコオがどこから帰ったのか謎なんだよなここ。風の翼で空路帰宅でもしたのか?

 

「ベニたち、もうお家に帰りますね。ばいばい、コイシマルお兄ちゃん」

 

「今日は本当にありがとう。また明日ね」

 

「ああ、また明日な」

 

腹も減ってきたし、帰るとしよう。

 

 

……

 

 

長い道を歩いて境内の出口に差し掛かったところに、紫色の三角帽にローブと、コテコテの魔女の仮装をした金髪の女性が立ちふさがっていた。ニコニコと笑顔でこちらを見ているが、正直原作通りに存在するとは思わなかった。システム説明用のメタキャラは存在しちゃいけないだろ。

どう対応したものかと逡巡していると、向こうから声をかけてきた。

 

「は~い♪わたし、ミルキーよ」

 

「はあ、テンサン コイシマルです」

 

「ロボトルで頑張ったよい子に、キャンディをプレゼントしてるの~♪」

 

……ん?原作では「ロボトルクッキー」という、ランダムエンカウント回避用のアイテムの説明・配布イベントのはずだが……

このミルキー、かつては私欲のために児童誘拐を繰り返している危険人物で、正体不明の魔法?を使う。これは、ちょっとヤバそうだ。関わりたくない。睡眠薬入りキャンディで魔女の城へご招待、なんてこともありうる。

 

「いりません」

 

「人の好意は素直に受け取るものよ♪」

 

「知らない人からものを貰っちゃだめなんで」

 

「ミルキーはいいの!ほら受け取って」

 

「意味わかりませんよ……どいて下さいって」

 

オレのポケットに何かをねじ込もうとするミルキーの脇をやや強引に通り抜け、自宅に向かってダッシュした。

 

 

……

 

 

追いかけられることもなく自宅に到着。走ったせいで余計に腹が減った。

 

「ただいまー」

 

靴を脱ぎながら、家の中にいる母に向かって言う。

 

「コイシマル、おかえりなさい。どうだった、新しい学校?」

 

リビングに入ると、母はちょうど夕飯を作り終えたところだったようで、オレの分をよそってくれていた。

……生まれておよそ10年経つが、ゲームのキャラが自分の家族という状況にはあまり慣れない。自宅、家というオレの最も身近な空間に、よく知る他人が家族としているというのは、不気味とまでは行かないが、違和感があるものだ。ヤマトたちのような友達、他人とは違って。

無論、実の親で、しかもよき親なので、オレはこの父母にとても感謝している。それだけに、家族としての気持ちを充分に返せていないようなのは、とても申し訳なく、そして情けない。いつか、自分もこの一家の家族なのだと自信を持てる日が来るだろうか。

 

「もう友達もできた……と思う。楽しくやれると思うよ」

 

「そう、安心したわ」

 

手を洗って食卓につき、いただきますを言う。

 

 

……

 

 

食後、再度手を洗ってから、念の為に現状確認をする。

 

「お父さんはまだ帰ってこない?」

 

「何かの化石が見つかったんだって。だから、パパはしばらくうちに帰れないみたい」

 

「なるほど」

 

化石の清掃とか、調査とか、書類作成とか、多分そういう手間があるのだろう。そういう職業なので、父の書斎には化石がずらっと陳列されていて面白かったりする。とりあえず、父が帰ってこないのは原作通りだ。

 

「あっ!そうそう、ご近所の人からこれを貰ったの。息子さんに、って」

 

そう言って手渡してきたビニール袋の中身を見ると、パーツが入っていた。

取り出して確認すると、これまた原作通り、テナガザル型メダロット・ジャングルギボンのパーツ一式だ。コンビニで買えるパーツで、見た目もそんなにかっこよくないが、使いやすく侮れない。ヴェイグマンが強すぎるせいで空気なのが惜しいところだ。

 

「パーツか、会ったらお礼言っとこう」

 

「……あら?そのメダロッチは?」

袋を手渡した辺りで、オレがメダロッチを二つはめているのに気付いたらしい。

 

「落とし物。明日セレクト隊行ってくる」

 

「そうね、それがいいわ。えらいわね」

 

頭を撫でられた。中身が大人なのに、この程度のことで褒められるとむず痒い。

……メダロッチといえば、落とし主のイトはちゃんと置いてきたメモを発見しているだろうか。わざと名前つきハンカチを落とすわけにもいかないから代わりを用意したのだが、あれが見つかってくれないとこっちに狙いを集中してくれなくて事件解決が遠のきかねないからな。見つけておいてくれよ。

 

「セレクト隊の場所はわかる?」

 

「駅からちょっと行った所でしょ、覚えてる覚えてる」

 

「そう?ならいいけど。今日はもうおやすみなさい」

 

「はーい」

 

 

……

 

 

風呂に入り、歯を磨いてから、2階の自室へ。

今日も疲れた、さあ寝るかといったところで。

 

「ねえ、コイシマル、マスターになってくれるんだよね?」

セレクト隊に届けると言ったことを受けて、ルートが不安そうに確認する。

 

「ああ、それにしたってセレクト隊に届けて持ち主を見つけてもらわなきゃ話もできないからな」

 

「じゃあ、見つかるまでオイラはセレクト隊に置いてかれるってこと!?」

オレの手を離れ、紛失物として放置されるのではないかと、ルートが色めき立つ。

 

「メダルと最新型のメダロッチをセットで失くしてたら、普通、間違いなく必死で探すだろ。多分もう紛失届出てるよ」

 

「それって、どういうこと?」

 

「明日行けば持ち主の名前くらいはわかるかもってこと」

 

「そっかあ」

どうやら安心したようだ。

 

「コイシマル」

オレを呼ぶベーデンの声には抑揚がなく、その感情は窺い知れない。

 

「どうした?」

 

「……いや、やっぱりなんでもない。おやすみなさい」

 

「そっか。おやすみ、ベーデン、ルート」




※アンケ設置予定

サキの勘違い

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