仮面の男と仮想世界   作:オンドゥル暇人

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タイトルが思いつかなかった。




第12話 VS最強の騎士

74層のボスを倒した翌日

 

 

今日発行された新聞の内容から、アインクラッド中が昨日起こった事件の話で持ちきりになっている。

 

 

 

 

今日の朝刊にはこう書かれていた。

 

 

『軍の大部分を全滅させた悪魔!』

 

 

『それを撃破した二刀流の50連撃!』

 

 

『更に、一撃でボスのHPゲージを一本削り取った、暗黒剣を使う仮面の剣士!』

 

 

 

噂には尾びれや背びれが付くとは言うが、『50連撃』や『HPゲージ一本』は流石に言い過ぎだろう。

 

 

 

今日攻略に行くのは危険と判断し、私はいま主街区で攻略に必要な物を買い出しに来ている。

 

 

勿論、服装は別の物にしている為「私=ペルソナ」と思う者は居ないだろう。

 

 

そして暫くの間買い物をしていると、突然アスナからメッセージが送られてきた。

 

 

珍しい事もあるものだと思いながら、そのメッセージの内容を見ると、私は一人静かに落胆した。

 

 

メッセージの内容は、

 

 

『団長が貴方とキリト君との決闘を望んでいます。75層主街区《コリニア》のコロシアムに来て下さい!』

 

 

との事だ。

 

 

–––これなら迷宮区に籠っていた方が数倍良かったな。

 

 

 

 

 

第75層の主街区《コリニア》は、まるで古代ローマを模したような作りの建物が多く、転移門の前には巨大なコロシアムがそびえ立っている。

 

 

街は既にお祭り騒ぎで、私は転移門付近で待っていたアスナに連れられて控え室に到着する。

 

 

そこにはキリトも居て、私は二人から何故このような事になったのか詳しく説明してもらった。

 

 

 

アスナは昨日、あの後、ギルドから一時離脱を血盟騎士団の団長に申し込んだのだが、今朝キリトと共に話をした際に、剣でキリトが勝てば、アスナの一時脱退を認め、負ければキリトも血盟騎士団に入ると言うことをキリトは承諾したらしいのだ。

 

 

「……話を聞いた所、私には関係ないと思うが?」

 

 

何故キリトがヒースクリフと決闘する事になったのかはよく分かった。だが、何故私まで呼ばれた?

 

 

「だってヒースクリフの奴が、君を呼ばないと、俺が勝負に勝とうが負けようが、俺を血盟騎士団に入団させるとか言い出すから」

 

 

「つまり、私は巻き込まれた訳か……」

 

 

「ごめんなさい!」

 

 

もしこのデュエルに負けて、私まで血盟騎士団に入れなどと言われれば、理不尽極まりない。

 

 

そんな事を考えていたら、キリトとヒースクリフの戦いが始まった。

 

 

 

 

 

 

キリトは《二刀流》を、ヒースクリフは《神聖剣》を使い、互角の勝負を繰り広げていた。

 

 

 

 

そしてキリトが発動した二刀流スキルの連撃で、ヒースクリフのガードが崩れ、最後の一撃が決まると思われたその時だった

 

 

 

世界が止まった。

 

 

 

否、正確にはヒースクリフの動きが加速し、キリトの攻撃を防いだのだ。そして硬直状態のキリトに一撃を与え、デュエルに勝利した。

 

 

–––なんだ?今、明らかに奴のスピードだけが違った。

 

 

ヒースクリフの動きに何か違和感を感じたものの、私の番が回ってきた為、私は考えるのを止めた。

 

 

 

 

 

 

 

「よくも面倒な事に巻き込んでくれたな」

 

「その事については謝罪しよう。急な申し出にも関わらず来てくれた事は感謝する」

 

 

私は闘技場の真ん中に立つ。目の前には血盟騎士団団長《ヒースクリフ》が立っている。

 

 

「話をするのが直前になった手前、ギルドに入れとは言わない。だが、君のレベルとスキルを公開して貰いたい」

 

 

「何故、そのような事をする必要がある」

 

 

「今後の攻略の参考にする為さ。君は君のレベルに合ったプレイヤーとパーティを組むべきだ」

 

 

ヒースクリフの言っている事は最もだ。

 

 

「……良いだろう。私が負ければ、私のレベル及び全スキルを公開する。だが、私が勝てば私の言う事を一つ聞いて貰う。良いな?」

 

 

「ああ、構わないとも」

 

 

ヒースクリフはそう言うとデュエル申請をしてきた。

 

 

私はそれに対し、『初撃決着モード』を選択、カウントダウンがスタートする。

 

 

 

私はカウントダウンと同時に、ウィンドウを操作し、スキル、装備を整え、万全の状態を作る。

 

 

–––この勝負、必ず勝つ。

 

 

 

 

 

 

そしてカウントが0になった瞬間、甲高い金属音がコロシアム全体に響き渡った。

 

 

私が抜刀した刀とヒースクリフの盾がぶつかったのだ。

 

 

「防いだか」

 

 

「き、君は…」

 

 

ヒースクリフは驚いている様子だったが、私は手を止めず、刀を鞘に戻し、今度は槍を引き抜く。

 

 

「ふんっ!」

 

 

ヒースクリフは盾を前に構え、突進してきた。だが、

 

 

「その動きはキリト戦で見た」

 

 

私は奴の盾の上を転がり、後ろに回り込むと、手に取った槍で無数のラッシュを放つ。

 

 

「驚いた。君のメイン武器は両手剣だと思っていたのだが」

 

 

「勿論、メインは両手剣だ。だからと言って、他の武器を使えないとは言ってないがな」

 

 

「だが、今君が放ったソードスキル。私は見た事も聞いた事も無いスキルだったが?」

 

 

「言った筈だ。私に勝てたら教えてやると。勝てるかどうかは別としてだがな」

 

 

「まるで、私に勝つつもりでいるようだね」

 

 

「ああ、その通りだ」

 

 

 

瞬間、両者の動きが変わった。

 

 

互いにソードスキルを連発させて、確実に相手のHPを削り取っていく。それは最早、《閃光》のスピードをも凌駕した最強プレイヤー同士の戦いだった。

 

 

そして遂に、彼は《暗黒剣》を発動させる。

 

 

《神聖剣》と《暗黒剣》、相対する二つのスキルがぶつかり合い、会場の熱気は最高潮に達した。

 

 

「成る程、君の強さは単なるレベルの高さやスキルの熟練度だけではなく、プレイヤースキルにあるようだね」

 

 

「………」

 

 

私は奴の言葉に何も応えずに剣を振った。

 

 

「どのようにしてそこまで強くなれた?」

 

 

「戦い続けた」

 

 

一言そう言って距離を取る。

 

 

「一日中迷宮区に籠り続け、何も考えずただひたすらに奥へ奥へと進んだ。ポップしたモンスターは全て殺し、アラームトラップを態と起動させ、イベントボスとは何度も戦った。HPが減ったらポーションを飲みながら戦い、なるべく結晶アイテムを温存した。腹が減ったら買っておいたパンを片手に食事をしながら戦った。睡眠時間を削り、連日狩りを続けた。週に一度、街に戻ってポーション、結晶、食べ物を買い、その後は日が変わるまで眠る。そんな日々を繰り返し、気が狂うまで…いや、気を狂わせながら戦い続けた、それが私だ」

 

 

私が発したその言葉に、先程まで観客の熱気で溢れかえっていた会場は、一瞬で冷気に包まれた。

 

 

「さあ、デュエルを再開するぞ。次で最後だ」

 

 

地面を蹴り、奴の持つ盾を斬り上げ、体勢を崩させる。そして空かさずソードスキルを発動。

 

 

私の両手剣がヒースクリフのHPを削り取り、このデュエルに決着がつく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……筈だった。

 

 

 

 

キリトの時と同じ現象だ。ヒースクリフの時間だけが、早送りされたような早さで動いているようで、攻撃を防がれ、私は硬直状態に入る。

 

 

その隙にダメージを受けてしまう。

 

 

今度こそデュエルは終了した。

 

 

 

 

 

 

 

約束通り、私はレベルとスキルを公開する。

 

 

私のレベルは95、現時点では全プレイヤーの中でトップレベルだ。

 

 

そしてこのスキル公開により、私は《暗黒剣》の他に《無限槍》、《抜刀術》の二つのユニークスキルを持っている事を知られてしまった。

 

 

《暗黒剣》の事もあって、別に隠す必要も無くなったので、ちょうどいい時期ではあった。

 

 

 

 

 

私は情報屋やプレイヤーの聞き込みから逃げるように、迷宮区へと足を運んだ。

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