仮面の男と仮想世界   作:オンドゥル暇人

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お待たせしました。第64話です。


第64話 マトイ

 

私とキリトがマトイの見舞いの為、メディカルセンターに向けて歩いてると……

 

 

「おーい相棒!」

 

 

「ん、アフィンか」

 

 

向かいからアフィンが大きく手を振りながらこちらに駆け寄ってきた。

 

 

「ペルソナ、彼は?」

 

 

「ああ……紹介する。昨日世話になったアフィンだ。アフィン、こっちは仲間の1人のキリトだ」

 

 

「彼から話は聞いてるよ。よろしくアフィンさん」

 

 

「よろしくキリトさん。あと俺の事はアフィンでいいよ」

 

 

「分かった。俺もキリトでいいよ」

 

 

そう言葉を交わしながら2人は握手する。

 

 

「2人はこれからどこか行くのか?」

 

 

「メディカルセンターだ。昨日キリト(こいつ)がナベリウスで救助した子が目を覚ましたと連絡がきてな」

 

 

「昨日のナベリウスって、ダーカーが出たのによく無事だったなその子。なあ、迷惑じゃなければ俺もついてってもいいか?」

 

 

「断る理由もないし、別に良いよな?」

 

 

「問題ない」

 

 

こうして私達3人はメディカルセンターへと向けて再び歩き出した。

 

 

 

 

 

 

道中……

 

 

「ペルソナ、もしかしてだけど彼が」

 

 

「ああ、アークスになった理由も昨日の出来事も私の記憶通りだった」

 

 

アフィンに聞こえないように小声で会話する。

 

 

「本当なんだな。君が昨日言ってたこと」

 

 

「なんだ。意外と疑り深いな」

 

 

「正直、まだ信じられないよ」

 

 

「まあ気持ちは分からなくはないがな」

 

 

昨日、私はキリトに全てを話した。前世の私のこと。そしてこれからこの世界で起こるであろう出来事を包み隠さず全て。

 

 

私自身すぐに全部信じて貰えたとは到底思っていない。それでも彼に全てを話したのは、それが最善だと思ったからだ。

 

 

彼に話した事は他の皆には伝えないよう言ってある。いつかは自分の口から打ち明けるつもりだが、今はまだその勇気が持てない。それにまだやるべき事が残っている。もし、やり直しのチャンスが貰えたというなら……、

 

 

――それに気になる事も多い。

 

 

マトイを保護した際にキリトが襲われたという2人の仮面。

 

 

片方が私だとしても、もう1人――キリトが言うには女性――の正体も探る必要がある。皆に不要な混乱を与える可能性がある以上、今はまだ話すときではない筈だ。

 

 

「おーい相棒、置いてくぞー?」

 

 

と、先に行っていたアフィンから声を掛けられ、私は彼らを追う。

 

 

――取り敢えず今は目の前の事に集中するのが最善か。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

扉を数回ノックすると、中から「どうぞ」と返事が聞こえてきた。

 

 

病室の中に入ると、声の主と思われる赤髪の女性看護師がこちらに向かって会釈し、その隣のベッドに座っているマトイは「あっ」と驚いた様子で私とキリトの顔を見る。すぐに続いてアフィンが入ってくると、警戒したのか表情が強張る。

 

 

「えっと……フィリアさんでしたっけ?どうですか彼女の様子は?」

 

 

「はい。目を覚ましたのですが、ほとんど喋ることもなくて……」

 

 

「……キリト、ペルソナ」

 

 

突然、少女が私達の名前を呼び、フィリアという看護師は驚愕する。

 

 

「え、名前教えたんですか?」

 

 

不思議そうに尋ねるフィリア。無論、私達はマトイに名前を教えてはいない。

 

 

「頭の中に、聞こえてきた。わたしは、マトイ」

 

 

「へー、きみマトイって言うんだ。俺はアフィン、よろしく」

 

 

マトイの名前を聞いてアフィンが差し出した手を彼女は恐る恐る握った。

 

 

「なあマトイ、君はどうしてあの森にいたんだ?」

 

 

唐突なキリトからの問いにマトイは困ったように俯き、「分からない」と答えた。

 

 

「マトイちゃん。他には何か覚えている事はない?」

 

 

「分からない」

 

 

「お2人は彼女に心当たりとか、ありますか?」

 

 

本当は色々とするが私とキリトは同時に首を横に振る。

 

 

「うーん……知己でもないとすると分からない事だらけですね」

 

 

その時、アフィンに通信が入った。

 

 

「あ、すみません。……悪い相棒、任務が入ったから俺はもう行くよ」

 

 

「分かった。気を付けろよ」

 

 

「分かってるって。ごめんなマトイちゃん来たばっかりなのに」

 

 

「任務って、どこに行くの?」

 

 

「ナベリウスだよ。君が昨日発見されたところ」

 

 

「その任務、わたしも行きたい!」

 

 

「えっ⁉それは、ちょっと……」

 

 

マトイの唐突な発言に困った顔で助け船を求めるように私の方を見るアフィン。だが、マトイを止めたのは隣のフィリアだった。

 

 

「駄目よマトイちゃん。アークスの任務はとても危険なんだから。一般人のあなたを連れて行く訳にはいかないの」

 

 

「うぅ……はい。ごめんなさい」

 

 

フィリアに叱られた彼女は三度俯き、明らかに落ち込んだ。

 

 

その様子を見て私とキリトは互いに顔を見合わせ、頷く。

 

 

「フィリアさん。良かったらマトイは俺達の所で預かってもいいですか?」

 

 

「え、ええ⁉構いませんがいいんですか?」

 

 

「はい。恐らく仲間も歓迎してくれると思いますし、君もそれで良いよな」

 

 

「ああ。だが、あくまで彼女の気持ち次第だがな」

 

 

私達の会話を聞き、先程までの沈んだ表情とは打って変わって、表情が明るくなったマトイは何度も頷く。

 

 

「そういう事でしたら、私の方から上に掛け合っておきます」

 

 

話がトントン拍子に進んだ所で私はアフィンに声を掛ける。

 

 

「という事だアフィン。済まないな時間を取らせた」

 

 

「いや大丈夫だ。マトイちゃんも良かったな」

 

 

「うん!アフィンもありがとう」

 

 

「俺は何もしてないよ。じゃ、流石に怒られそうだからそろそろ行くよ。それじゃあな相棒。今度は仲間も紹介してくれよ」

 

 

そう言い残しアフィンは病室から出ていった。

 

 

「さて、俺達も行くか」

 

 

「では、私はマトイちゃんの退院手続きしますので、お二人は外でお持ちください」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マトイの手続きが終わるまでの間、私はキリトにこれからの事を話していた。

 

 

最終目的はマトイの【深遠なる闇】への覚醒の阻止だが、その兆候が見えない内はこれから起こる問題に彼女を巻き込まないようにする。まずはアフィンがこれから向かうナベリウスの調査任務にマトイを同行させないこと。これは先程キリトがマトイを自分たちが引き取ると言ったことで自然と達成できた。だが、このままだと……

 

 

「アフィンが死ぬ」

 

 

「なんだって⁉」

 

 

「あくまで推測だ。私の記憶通りなら、任務の指揮を行うコハナというアークスがダーカー因子の影響で暴走し、私達に襲い掛かってきた。当時はどうにか切り抜けたが、今回はアフィン1人のみだ。アークスになりたてのあいつ1人で彼女に太刀打ちできるかどうか……それにアフィンのクラスは《レンジャー》。近距離戦では分が悪い」

 

 

「じゃあ、このままだと君の言う通りアフィンが危ないわけか」

 

 

「私達がナベリウスに向かうと言えば、マトイは必ず自分も行くと言い出すだろう。彼女の安全を最優先に考えるなら、ナベリウスに行かないという手もある。が、あいつを見捨てることは出来ない」

 

 

「珍しいな。君がそこまで入れ込むなんて」

 

 

「まあ、折角やり直しの機会を貰えたんだ。出来る限り良い未来にしたい」

 

 

「そうか……君は一度体験してるんだったな」

 

 

私達が話をしている最中、メディカルセンターから出てきたマトイが手を振りながらこちらへと走ってきて、それを追いかけるフィリアの姿が見えた。

 

 

「すみません、少し手続きに時間が掛かってしまいました。マトイちゃん、これからも定期的に検査を行うから必ず来てね?」

 

 

「……はい」

 

 

応えるのに少し間があったのはさておき、定期的に検査を行うのであればマトイが【深遠なる闇】になるのを事前に防げるかもしれない。マトイには悪いが、検査には必ず行かせる事にしよう。

 

 

「それではお2人共、何かあればすぐにご連絡ください」

 

 

「分かりました。色々とありがとうございます」

 

 

フィリアに礼をし、私達は皆が集まっているキリトのマイルームへと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ペ・ル・ソ・ナー‼」

 

 

「おっと。心配かけたなユウキ」

 

 

キリトのマイルームに入ると、私の姿を見るや否や、ユウキが私に向かって飛び込んできた。その奥にはアスナ達いつものメンバーが集まっていた。……因みにクラインは風林火山の集まりが、エギルは店番のため不在。

 

 

「ちょっとユウ!ペルソナさんに迷惑でしょ!」

 

 

そう言って私からユウキを引き剝がそうとするラン。しかしユウキは更に力を入れて私から離れようとはしない。……段々腰が痛くなってきた。

 

 

「いーじゃん別に!姉ちゃんだって、昨日ペルソナに会えなくて寂しいって言ってたくせにー」

 

 

「なっ……ゆ、ユウ‼それは言わない約束でしょ‼///」

 

 

「わぁー姉ちゃんが怒ったー!」

 

 

ランは顔を紅潮させ、逃げるユウキを追いかける。

 

 

2人の様子を微笑ましく見ていると、不意にシノンに声を掛けられた。

 

 

「ところで、ずっと貴方の後ろに引っ付いてる子は誰なの?」

 

 

シノンの言葉に全員の視線が私の背中にいるマトイに集中する。突然自分に注目が集まり、怯えたのかマトイは更に私の背中に身を隠した。

 

 

「まーたキリトが女の子引っ掛けて来たかと思ったけど今度はペルソナがねー。まあ、あんたもキリトに似て巻き込まれ体質な所あるから納得できるけど」

 

 

「おいリズ、それじゃあ俺がトラブルメーカーみたいじゃないか!」

 

 

「実際そうでしょうが!」

 

 

そんな調子でキリトとリズベットが口論を始め収集がつかなくなりそうなので、私はマトイを皆に紹介し、引き取ることになった経緯を説明した。……キリト以外にもアスナとユイちゃんが事情を知っていたのは助かった。

 

 

 

 

 

 

――どうやら、心配はなさそうだな。

 

 

皆に囲まれているマトイは皆が彼女を歓迎してくれている事もあり、すっかり周りに馴染んでいるようだった。

 

 

「えっ⁉マトイ、服それしか持ってないの⁉」

 

 

突然、アスナの声がルーム内に響く。

 

 

「う、うん。あとはフィリアさんに貰ったアークス用のジャージだけかな」

 

 

今マトイが着ているのは、彼女がキリト達に保護された際に着ていた白と赤を基調とした巫女服のような服だ。別にそのままでも問題はないようにも思えるが。

 

 

「駄目じゃない!マトイは女の子なんだから、ちゃんとお洒落しないと!」

 

 

やや興奮気味に話すアスナ。マトイは助けを求めるようにこちらを視線を送っている。流石に止めるべきかと考えたが、ここで名案が思い浮かんだ。

 

 

「マトイ、ここは皆と買い物に行ってみるのはどうだ?これから生活するにしても服が2着だけだと何かと不便だろう」

 

 

「……ペルソナがそう言うなら。あなたはついて来てくれる?」

 

 

「いや、私に服のセンスは無いからな。キリトと惑星探索にでも行って時間を潰しておくよ」

 

 

「そう……気を付けてね」

 

 

「分かってる。アスナ、マトイの事を宜しく頼む」

 

 

「任せてください!絶対マトイに合う服選びますから!さ、行こうマトイ。ほらみんなも!」

 

 

そんな調子で皆を引き連れ、去り際にウインクをして見せながらアスナはマイルームを後にする。

 

 

「……どうやら気を使わせたみたいだな。キリト、まさかとは思うが」

 

 

「いや何も話してないぞ!ちゃんと君の言う通り昨日君が話してくれた事は誰にも言ってない!……でもアスナは妙に勘がいいからな。俺達が何かしようとしてる事を察してくれたんじゃないのかな。もしかしたら本当にマトイの服を選びたかっただけなのかもだけど」

 

 

「まあこの際どちらでも構ない。行くぞ、今は1秒でも時間が惜しい」

 

 

「分かった」

 

 

そうして私達はアフィン救助のためナベリウスへと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





第62話の後書きでも言いましたが、基本的にはアニメのストーリーを軸にするつもりです。私の技術次第では原作ゲームのキャラを何人か出せればと考えています。それでも出て1、2回程度の登場でしょうけど。

それでは、また次回もよろしくお願いします。
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