神にいざなわれて   作:地球を救う転生ストーム1

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「こちら軍曹!誰か応答しろ!おい、いないのか!?」

「...くそっ!応答無しか...行くぞ、ここから脱出する!」



 生存者と合流できれば戦力の増強を図れるうえ全員の生存率も結果的に上がるが...

 どうやらこの時間軸は『今までの世界(HARDEST)』よりさらに『過酷な状況(INFERNO)』なようだ...






二話 闇からの脱出

「近くに怪物が潜んでいるかもしれん。警戒を怠るな、常に周囲に気を配れ。民間人!遅れるんじゃないぞ!生き延びたければ俺から離れるな!」

 

「は、はい!」

 

 かつて聞いた文言と一句とも違わぬ言葉、ただ一つ違うのは、先輩がいる事だ。

 

「先輩、大丈夫ですか?」

 

「あ、うん...近くにあの怪物がいると思うと少しだけ...いや、とても怖くてね」

 

「そんな事ないですって。皆怖い思いをしている中、武器を取ることを選んだ先輩はとても勇敢ですよ」

 

 何故なら、かつてEDFは失業者に対し、政府を通して新兵を募集した事がある。だが、その結果は惨敗。兵士が集う事はなく、戦力増強に失敗したEDFは更に厳しい戦いを強いられた。

 

『EDFがなんとかしてくれる』

『EDFが守ってくれる』

『死にたくない』

『生きたい』

 

 その思いの為に、EDFに入隊する者は多くなかった。しかし、先輩は一時的とはいえ武器を手に取った。戦う事を選んだのだ。

 

 

 

「非常事態だ!民間人も戦ってくれよな!」

「使えねえ奴は、アイツらの餌にしちまうぞ!」

 

「ええっ!か、勘弁してくれよ...!」

 

 先輩...俺も言われたから問題ないだろうが、彼の心臓はバクバク鳴ってるだろうな...

 

 

 

 隔壁の前に到着し、軍曹が停止のサインを出す。そのサインを知らない先輩は、少し進んだ所で皆が止まっている事に気づいて慌てて戻ってきた。

 

「この先がエレベーターだ。ロックを解除する」

 

 カードリーダーにカードキーを差し込もうとした時。

 

 

『くそっ!またやられた!』

『撃て...撃てぇ!俺達もやられるぞ!』

 

 同時に、響く銃声が隔壁の裏から聞こえてきた。その音が軍曹隊や先輩に緊張を走らせる。

 

 二人。この先で二人が戦っている。

 

「助けましょう!」

 

俺が言う。

 

「ああ。行くぞ!」

 

軍曹がそれに返し、隔壁を開けた。

 

 

 

「たっ、助けてくれ!」

 

「くそっ、こいつら!数が多いぞ!」

 

 十匹程のα種が群れをなして二人のレンジャーに襲っていた。傍には四人のレンジャーが倒れていた。強酸で溶かされたのか、アーマーはグズグズに溶け、中の兵士までもが溶かされていた。既に絶命していたのだろう、呻き声さえ上げなかった。

 

「う、うわああああああっ!」

 

「先輩!戦わないとやられますよ!撃って!」

「敵を撃てーっ!」

 

「おおおおおぉぉぉーっ!!」

 

 軍曹率いるレンジャー四人と俺が戦闘を開始する。交戦中のレンジャーを援護する為だ。だが、先輩は動けずにいた。恐らく腰を抜かしたか。

 

 弾丸が飛び交い、数体のα種を撃破する。しかし、物量によって潰さんとばかりに前線のレンジャー二人に群れようとする為、誤射を懸念して上手く敵に当てることが出来ない。

 

「くっ!天井の敵を撃て!」

 

 天井から迂回してきていた敵を撃破する。だが、肝心の二人は今まさに敵に倒されようとしていた。酸の発射姿勢に入る。

 

「うおおおおおおおっ!」

 

 だが、二人とも死ぬ事はなかった。先輩の放った弾丸によってα種が撃破されたからだ。彼の撃った弾は全て、兵士を避けて敵に命中した。

 

「こっちは片付いたぞ!」

 

「こちらも、問題ありません!」

 

 向こうでも敵を殲滅したようだ。こちらに走ってきた軍曹は全員の生存を確認し、生き残った二人のレンジャーに話しかけた。

 

 

「おい、大丈夫だったか?」

 

「軍曹、助かりました」

 

「皆やられて...俺達も危なかった...」

 

 軍曹が生き延びた二人と話をしている間、先輩の隠れた才に驚いた俺は先輩の傍に走っていった。

 

「やるじゃないですか、先輩!」

 

「いや、ははは。きっとまぐれだよ。そうじゃなきゃ僕の弾は当たってないさ」

 

 などと言ってはいるが、まぐれというのはありえない。銃を扱ったことのない素人が、たった50mとはいえ誤射もなしに的確に命中させられるという事は、すなわち射撃の才能が開花した事に他ならない。

 

「いいや、あんな正確に当てられれば

充分凄いですよ。本当に初めてなんですか?」

 

「...実は、ガスガンの蒐集癖があるんだ...」

 

 なるほど。などと話をしていると軍曹が味方の確認を終えたようで、こちらに向かってくる。

 

「民間人、お前達はよくやっている。もうすぐ、この地獄から抜け出せるぞ」

 

 刹那。

 

 

 救難信号を意味するブザーが全員の耳に届いた。先輩は相変わらずこれの意味が分からなかった様だが、俺が説明する事で事の重大さを理解した。再度緊張が一行に走るが、今度はすぐに味方部隊の救助を開始すべく、皆駆け足で30°程の急斜面を登っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「とっ、溶ける!酸だああああっ!」

 

「また1人やられた!」

 

「おい、そっちは!」

 

「だめだ...俺以外全滅だ!」

 

「くそっ、こっちももうヤバいぞ!」

 

「耐えろ!誰かが来てくれる筈だ!」

 

レンジャー2は、偶然基地内部で合流した別のレンジャー隊と合流し、脱出を図っていた。既に10人中7人が戦死しており、頼みの綱だったコンバットフレーム格納庫さえキーロックにより隔壁を開けられなかった。挟み撃ちにあってしまったレンジャー部隊は文字通り『キルゾーン(殲滅地帯)』に迷い込んでしまった。

 

 ニクスの援護を受けられない今、ここは地獄と化していた。だが、そこにひとつの光明が差し込んだ。

 

「撃て!仲間を助けるぞ!」

「わかったぜ!」

 

 数名の歩兵と二人の民間人がなんと救援に駆けつけてくれたのだ。全員の射撃能力を駆使して敵を撃滅していく。一度酸が足元に命中した時、対酸性素材で造られた床がたったの一滴で溶かされた時は死の予感さえ覚えたが、今は頼りになる味方が来てくれた。今度は反撃だ。

 

 

 横から迫る怪物を撃つ。怯みはするが、幾度も撃ち込まないと倒せない事は一番最初の邂逅で理解出来た。集団戦ならではの物量作戦によってレンジャー2の戦友が飲み込まれたが、今の立場は逆だ。

 

 横から迫って来ていた敵を撃破し、次の敵に照準を定め、引き金を引く。そこへ手分けした軍曹隊による一斉射撃で、複数体の怪物も鉛の雨に耐えられず崩折れた。

 

 

 

 

 

「よし!なんとか間に合ったようだな」

 

「軍曹、助かります!おいレンジャー3、無事か!?」

 

「こちらは問題ない!火炎放射で敵を薙ぎ払ってくれた!」

 

「へっ、バーベキューにしてやったぜ!」

 

「民間人もなかなかやるじゃないか」

 

 今ここにいて無事なのは、軍曹隊4人、道中救助したレンジャー5人、そして、俺と先輩の、合わせて11人。

 

 10人のレンジャーがひとかたまりで戦う事で倍の数の敵に余裕を持って対応出来る事がわかっている。今回のケースでは汎用的な強さを持つ小銃隊と、敵の足止め能力に長ける火炎放射兵がいる為、持続的な戦闘方法に、非常に優れている事になる。つまり、この戦いは...

 

「この人数なら問題なく地上へ出られます。行きましょう」

 

「そうだな。よし、付近に信号は確認できない。

全員、装備を点検!すぐに出発するぞ!」

 

 

 

 そうして歩き始めたその時、後ろから大きな声で話しかけられた。

 

「待ってくれ!」

 

「レンジャー6!?無事だったか!」

 

 レンジャー6の隊長は軍曹隊に追いついた後、この付近の状況を説明してくれるようだ。

 

「軍曹、無事なようで何よりだ。真上に俺の部下がいるようで、人手を探していたんだ」

 

「そうか。俺達も地上を目指していたところだ」

 

「おい待て、そっちには行くな。車両用エレベーターは動かない。どうやらケーブルをやられたようだからな。それに奴らも、うようよいやがった」

 

「そうか...と、なると...」

 

 目の前には斜面30°の急勾配。対するは連戦で疲れ果てたレンジャーチームと他2名。

 

「...おい、まさか...ここを登る、なんて言わねえよな?」

 

「生き延びる為だ。黙って着いてこい」

 

 軍曹は汗ひとつかかずに斜面を登っていった。一応軍用車両用の通路のはずだが...そんな事はお構い無しに進んでいく。

 

「ああもう、わかったよ!行きゃいいんだろ!?」

 

 続いて他のレンジャーも登っていく。

 

「僕達にとっては厳しくないかい?

凄く疲れたんだけど...」

 

「あと少しの辛抱です、先輩。行きましょう」

 

 先輩を激励して、自分も登る。時折疲れ果てた先輩に肩を貸し、なんとか他の軍曹の部隊と合流できた。

 

「大丈夫か?あと少しで地上だ。気を抜くな。よし.........準備はいいな?開けるぞ」

 

「待ってください、軍曹。この先にどうやら怪物がいるようなんです」

 

「そうか...だが、道はここしかない。覚悟を決めろ」

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 嫌な記憶が蘇ってくる。これは...ここで起こった事か?

 

『行け!怪物を倒せ!』

『民間人を守るんだ!撃てーっ!』

 

『ぎゃあああああああああっ!』

『ぐあああああ!』

『軍曹危ない!』

 

『軍曹、怪我は!?』

『問題ない、少し腕に受けただけだ...

それより、被害が大きすぎるな.........』

 

『同行していたレンジャーは()()ですか...』

 

『仕方がなかった...行くぞ、ここから脱出する.......』

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 そんな事させない、ここでも我々は生き延びる。軍曹に直ぐに下がるように伝える。

 

「軍曹!開けたらすぐに後退してください!」

 

「何を...いや、わかった。開けるぞ、皆下がっていろ」

 

 軍曹が隔壁のカードリーダーにカードキーを差し込む。ぶしゅう、と、重々しい音を上げて隔壁が開く。その隙間から少量の、怪物の酸が床や壁を溶かしながらこちらに流れてきた。それとほぼ同時に怪物の鳴き声が全員に聞こえ、開いた隔壁の間から多量の酸が噴出してきた。

 

 堪らず退避する軍曹。偶然にも被弾することは無かった。

 

「危なかった...助かったぞ、民間人」

 

「そんな事より、前を!敵が来ます!」

 

 酸により機能停止し、動かなくなった隔壁の隙間からα種が目の前にいる獲物共を喰らわんとばかりに這い出る。そのおぞましい光景に少なからず恐怖を抱く一行。だが、食われる訳にはいかない。全員は応戦を開始した。

 

 

 

「撃て!敵を近付けるな!」

 

「くそっ、この野郎!」

 

「赤い!なんだアイツは!」

 

「硬いが酸を吐かない!勝ち目はあるぞ!」

 

 何?赤いα種がいる......!?赤い種はプライマーの攻撃から数日程で確認されている。だが、逆に言えば攻撃最初期で遭遇するという事は、俺の知るプライマーよりも、このプライマーは『侵攻の過程を早めている』事になる。敵を排除しつつ考察する。なぜ?どうして奴らは初日で赤いα種を投下した?考えても仕方ない事だった。今は目の前の敵に集中する。

 

 赤と黒の割合は2対8。主力にしては少なすぎる。恐らく適当に放った、というところか。火炎放射で敵を足止めしつつ、ライフルで攻撃。この戦法ならば効率的に敵を排除できる。

 

「おらああっ!燃やし尽くしてやる!」

 

「仲間の仇だ!弾丸を味わえーっ!」

 

「二人とも突出しすぎだ!下がれ!」

 

 軍曹によって防衛ラインが構築され、これ以上敵を接近させない為に、兵士による壁で敵の波を堰き止めている。

 

 足止め部隊と攻撃部隊に別れ、軍曹率いる足止め部隊は、攻撃部隊に被害が及ばぬよう敵に弾を当て注意を引きつつ、近付いてきた敵を排除しレンジャー6リーダー率いる攻撃部隊は、防衛ラインを行ったり来たりしながら攻撃する。これによって効率良く攻撃とリロードを繰り返せる。

 

「まずい、弾切れだ!」

 

「弾、弾!...あ、あった!」

 

「弾切れした奴は後ろへ下がれ!残った奴は撃ち続けろ!敵を近付けるな!」

 

 軍曹の指示で敵は殲滅されていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあ、はあ.....」

 

息が切れている先輩を気遣う。

 

「先輩、無事ですか?」

 

「はあ...え?ああ、大丈夫...とても疲れたけどね...」

 

 よかった、先輩は無事みたいだ。怪我もないし、他の隊員に大事もない。今のところ最高だ。

 

「民間人、お前の指示のおかげで助かったぞ」

「軍人に向いてる。志願したらどうだ?」

 

「ここを抜けたら、伍長の所に行くといい。手続きをしてくれるはずだ」

 

 そう、まずは伍長の元へ向かう。軍人として戦う事ができれば、戦地に赴ける。そうすればより多く、より沢山の人を救える。

 

 

 

 

 さあ、地上へ。

 

 さあ、地獄へ。

 

 さあ、雄叫びをあげろ、恐れを知らず進め。

 

 

 

 

 ここに、ストーム1、再度目覚める。

 

 

 

 

 





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