神にいざなわれて   作:地球を救う転生ストーム1

4 / 5
ガシャン!

「でやあああああぁぁぁッ!」
「うおおぉぉぉぉッ!」

ガシャン!

この音は、ブラストホール・スピアの音だ。
独特な発射音が特徴の、フェンサー用の近接戦闘武器。

基地から出たストーム1、先輩、そして軍曹が見たのは
レンジャーの死体と溶けきったニクスの残骸、
そして戦い続ける黒いフェンサーの部隊だけだった。




第三話 早すぎる邂逅

「なんだ.....これは.....!?」

 

軍曹達が目にしたのは怪物の跋扈する地上、

巨大な円盤が浮かぶ大空、

そして、空を飛翔する巨大な塔だった。

 

「クソッ......生き残った部隊を援護するぞ!」

「撃てーっ!」

 

11名のレンジャーが一斉掃射を開始する。

一般的な人間より巨大な体躯を誇る侵略生物だ。

撃った弾丸はフェンサー隊の頭上を通り越して

α種に次々と命中していく。

 

黒いフェンサー達は目の前で死ぬ敵を視認して、

敵に何が起こったか一瞬理解できなかったが、

増援が来たのだとすぐに理解して戦闘に復帰する。

 

「敵、僅かです!」

「このまま一気に潰せ!」

 

最後に残ったα種を全員で斉射して、残敵は0となった。

弾倉を取り出し、カラとなったマガジンを捨てる。

新しい弾倉を取り付けて、応戦の体勢を整える。

敵影が確認できず、全員武器を下げる。

生き残ったものは軍曹隊+‪α6名、レンジャー2から2名、

レンジャー6から3名、レンジャー合計11名と、

黒いフェンサーもといグリムリーパー隊4名の、

たった15名だけだった。

 

「お前達も生き残った様だな...?」

「グリムリーパーか...生きていたようだな」

 

軍曹と黒き隊長とが話し始める。

そして、他のレンジャーとフェンサーも会話を始める。

 

「お前も生きてたんだな、副隊長さんよぉ」

「ふん。お前に貸したツケを返してもらうまではな」

「へっ、律儀に覚えてやがって」

 

「おおー!これが軍用パワードスケルトン.....!」

「民間人か?どうだ、このカラー!格好良いだろう!」

 

確かそこまで会話をしていなかったと思うが、

まさか前世と今世で相違点があるのか?

例えば気にしていなかったがここにグリムリーパーが

いるのは前の世界ではおかしい事になる。

なぜなら、グリムリーパーは一度敵を退けた後に

基地を防衛する部隊と市街地を防衛する隊に別れ、

他のフェンサー隊と共に基地を離れた筈だからだ。

 

どうしてここにいるのかわからなかった。

 

世界が終わってから一度元に戻った。

その際、何かが混ざった。

たった一粒の粒子?それとも銀の巨人(かの者)の念力?

言えるのはただ一つ。

前世の記憶はあまり役に立たない、という事だけだ。

前世と違う世界となれば、相違点も出てくる。

すなわち、基地内で出現した赤いα種(相違点)の存在である。

 

赤いα種が出てきた、という事は侵攻ペースを

大幅に早めているという事になる。

今日赤いα種が出てきたのに対して、

前の世界では7日後、β種(蜘蛛)の群れのいる街を制圧した後に

山間部に入ったレンジャー隊を強襲してきていた。

 

つまりより早く制圧する為に、より強力な

強化された変異型α種を投下しているという事になる。

 

この世界は、一筋縄ではいかないかもしれない。

もしかしたら、かの者に挑む前に殺されるかもしれない。

下らない相手にも殺される可能性がある。

 

だが、俺は生きる。生きて地球を守る。

その為なら例えどんな死地にだろうと

喜んで身を投じてやる。

 

「民間人、来るぞ!」

「ニクスから離れろ!」

 

来る、というのはなんの事だ?

左右を向くが何者もいない。どこだ、どこにいる。

そして上を向いた時、唖然とした。

 

「まさか.....」

 

 

 

 

 

ガシャン!

 

地面に一本の巨大な杭が突き刺さる。

その杭は大きさとしてはむしろ『塔』であり、

その大きさは先程飛翔していた塔を凌駕していた。

 

「馬鹿な.....ビッグアンカーだって...!?」

 

赤いアンカーは地面に突き刺さった途端、

大量の侵略生物達を吐き出す。酸を噴射するα種に、

硬い変異α種、硬質で酸を含む糸を出してくるβ種、

それらに混じって金の生命体が確認できる。

 

「嘘だろ.....!?」

 

唖然としていたのは『彼』だけではない。

先輩、軍曹やその部下達、グリムリーパー隊、

レンジャー隊の全員がその光景に絶望感を抱いていた。

 

「ふっ、丁度いい。少し早いが、ここが死に場所だ!」

 

単身、グリムリーパー隊の隊長が突貫を開始する。

それに続いて他の怯んでいたグリムリーパー隊員らも

次々に突撃を敢行していく。

 

まずい。今ここで彼が殺される訳にはいかない。

周囲を見渡す。戦車が四両、ニクスが六機、

そして武装を積んでいない輸送用HU03ブルート(ゼロサン)*1のみ。

使えるものは少ないがやるしかない。

 

「軍曹、皆さん!俺たちでビークルに乗り込んで

グリムリーパーの皆さんを援護しましょう!」

 

「わかった!全員、戦車に乗り込め!

起動できるやつはコンバットフレームに搭乗しろ!」

 

グリムリーパー隊が敵部隊を撹乱している間、

レンジャー達はビークルに乗り込む。

コンバットフレームも六機全てに搭乗員が乗り込み、

コンバットシーケンスの起動体勢に移る。

それぞれが所属部隊の名前と機体番号を言う。

 

「レンジャー2-1、ニクス1、起動する!」

「レンジャー2-3、ニクス6、行くぞ!」

「こちら軍曹、ゴールド3、戦闘態勢!」

 

現在起動できているのは三機。

残る三機はコンバットシーケンスの不備に

思ったよりも時間を取られたようで起動できずにいる。

 

「全弾くれてやれ!撃て、撃てぇぇぇぇッ!」

 

リボルバーカノンやマシンガン、コンバットバーナーの

同時射撃が侵略生物の大軍を迎え撃つ。

 

「オラァ!吹き飛べ!」

 

戦車四両も攻撃を開始。

威力の高い125ミリ榴弾は群れに高い効果を発揮し、

大軍を次々と蹴散らしていく。頼もしい限りである。

 

「よし、こいつを.....!」

 

ブルートヘリの下に到着した俺は

急いでヘリの起動準備*2に取り掛かった。

幸いにも飛び立つ寸前だったようで

全てのチェックが終わっており、燃料にも不足はない。

操縦席から後ろを見ると、兵員室にコンテナがある。

一見すると武器のようだが、何があるのか不明だ。

とにかく、他の部隊も呼ばなくては。

先に先輩を呼ぶべく、声を張り上げた。

 

「先輩、こっちへ!」

「えっ!ちょ、ちょっと待ってくれ!」

 

ブルートを起動し終わり、すぐに飛べる状態で

先輩を呼んだ。彼はかなり足が速いため、

あまり待つことはなかった。

 

「先輩!後部兵員室のコンテナの中身を調べてください!」

「これか?.....おお、これは凄そうだぞ!」

 

中に入っていたのはゴリアスDMX*3だった。

ゴリアスDMXならば敵を一網打尽にする事も叶う。

 

「先輩、それで彼らを援護してください!」

 

先輩にそう言い放ち、操縦に専念する。

ブルートは扱いの難しいヘリなのである。

装甲を十二分に強化したブルートは強固だが

その重量の為に独特な操縦性を持っている。

 

まず、浮く。そして機体を傾ける。

攻撃の届かない範囲で交戦を開始した。

 

「.......う、うわっ!あんまり傾けないでくれ!」

「無茶言わないでください!じっとしてたら敵に落とされるんですから!」

「う、うわああっ!もうどうにでもなれえええっ!」

 

先輩がゴリアスDMXを発射する。

ロケット弾は白い曳光を吹き上げて敵を吹き飛ばす。

 

「お、おおおーーーっ!!凄いぞ、これ!」

「先輩!次を!」

「あっ......あ、わかった!」

 

ロケット弾を装填し次弾を発射する。

弾はさっきと同じように煙を吹き上げながら爆発。

α型やβ型を多数巻き込んだ。

 

 

 

 

 

『全員、生きてるか!?』

『こちらレンジャー2、何とか生きてる』

『レンジャー3、同じく』

『こちらグリムリーパー、死亡者ゼロだ』

 

みんなが生きているのに安堵して、ヘリを下ろす。

敵を殲滅し、ビッグアンカーからの敵の増援は止まっている。今がチャンスだとばかりに乱暴に着陸し、ヘリ付属の無線機で周囲の生存者に伝えた。

 

「あれを壊すのは難しいです!乗ってください!」

 

そういうと、ヘリの後部ハッチから何人も乗り込んでくる。15人、全員生還を果たしたのだ。

 

「良かった、みんな無事だったんだなぁ」

「先輩......そうですね。これで少しは...........」

 

ビッグアンカーを後目に、ヘリは基地を離れ、

東京にあるEDF基地に向かって進んでいく。

前まで俺が「本部」と呼んでいた場所だ。

 

ふと後ろを振り返る。

ヘルメットで確認は出来ないが、そこには心底安堵したというような身振りの14人が寝るなり談笑するなりしていた。前の世界と比べて、きっと良い方向に向かっている。そう思ってやまない。

 

*1
攻撃装甲ヘリとして知られるHU04ブルート。その前身の輸送ヘリ。その搭乗可能人数は規格外の40人に渡り、なんと一個小隊を乗せられる。

*2
ヘリに限らず、軍用車両の殆ど(戦車や、ジープのような四輪駆動車両)には鍵がついていない。すなわち、その場で運転、操縦が可能となっているのである。戦場でいちいちキーを回していたら命がいくつあっても足りないだろう。

*3
ロケットランチャーの一つ。一般的にゴリアスシリーズと呼ばれ、通常規格のロケットランチャーであるグラントシリーズと比べ装弾数は非常に劣るものの威力と爆破範囲では何者にも勝る、レンジャーの決戦兵器である。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。