「なんでよ〜!!」
ギルドの換金カウンターでアクアの悲鳴がギルド中に響いた。
「どうしたの、アクアは?」
「昨日あった、ミツルギってやつ居たろ?アイツがギルドから借りた檻をカッコつけて斬っちまったからその弁償分を賞金30万エリスから差し引かれて、3分の1になっちまったんだと」
迅の質問に聞き耳スキルで聞いていたアクアと受付嬢の話を説明してやると、迅はふ〜んと言って直ぐに興味を失った。
ダクネスとめぐみんは少し離れたところにあるクエストボードで良さげなクエストを探している。タイムリミットも残り少ないからな……。
ベルディアの奴は多分ダクネスにまだ『死の宣告』がかかっていると思ってるだろ。なのに、一週間以内に俺達が赴かなければ確実に確認に来る。そしたら、今度こそ犠牲なしではいられない。
「見つけたよ、佐藤和真!」
だが、そこへ噂をすればなんとやらというが、声のした方向を見ると、そこには昨日俺がライダーキックを顔面に喰らわしたソードマスターの、確か……ミツルギって奴が立っていた。
「なんのようだ?」
「君に話が「『ゴッドプロー』!!!」ぐべらっ!」
俺に話しかけてきようとしたミツルギの顔にアクアの必殺ゴッドブローが炸裂した。野郎、また腕を上げやがったな、あれなら世界を狙えるぜ……!
「「きょ、キョウヤ!」」
彼を慕う少女達が吹っ飛ばされたミツルギに駆け寄るが、それよりも先にアクアがツカツカと近づいてその胸ぐらを掴む。
「ちゃっと、アンタ!アンタが壊した檻の弁償金払いなさいよっ!三十万よ三十万!」
「あっ、はい……。」
胸ぐらを捕まれ、怒鳴られたミツルギは大人しく金が入っているであろう袋をアクアに差し出す。つうか、弁償金って二十万だったよな……?
「さ、佐藤和真……今日は君に話があってきたんだ」
「なんだよ?言っとくがウチのパーティメンバーはやらねぇぞ、あんなんでも俺の仲間なんでな。それとも、昨日の仇討ちでもしに来たか?」
「いや、アレは100%僕に比がある。君のことをよく知らずに失礼なことを言ってしまった申し訳ない」
そう言ってミツルギは謙虚な姿勢で頭を下げてきた。なんだ、コイツの態度の変貌ぶりは……。
「仮面ライダー……。」
「「ッ!!?」」
ミツルギの呟きに俺と迅に緊張が走る。
「驚いたよ、最近街で噂になってる魔王軍幹部を追い返した仮面ライダーの正体が君だと聞いたときには。それは、アクア様から貰った力なのか?」
「……違う。俺達よりも早くこの世界に来た先輩が魔王を打倒するために後輩に残した力だ。俺はそれを成り行きで受け取った」
言いながら、懐から取り出したゼロワンドライバーをミツルギに見せる。
「そうか……。改めて、今日は君に話があってきたんだ」
「……………言ってみろよ」
取り敢えず話だけ聞こうと思い、先を急かしてさっき頼んだオレンジジュースを煽ろうとするが、
「僕達と協力して魔王軍幹部、ベルディアを打倒してほしいんだ」
その意外な言葉にオレンジジュースを吹きかけた。
「ど、どういう意味だ、初めから説明しろ」
「そうだね。君も知ってるだろう、この街の外れにある古城に住み着いているデュラハン、魔王軍幹部のベルディア。奴のせいでこのあたり一帯の生態系が崩れ危険なモンスターが溢れている。なにより、街に住む人たちの気が休まらない」
「だから、俺達で討伐隊を編成すると?」
「そうなるね」
………悪い話ではない。前にアクアの奴に聞いたがコイツが持っている魔剣グラムは神器。アンデッドや邪神、悪魔相手に凄まじい威力を発揮するらしい
この間の戦闘で決定打を与えられなかった俺達にはその穴を埋める事ができる機会だ。
「アクア様の浄化の力、君たちの仮面ライダーの力、そして、僕の魔剣の力があれば例え魔王軍幹部でも互角以上に戦えるはずだ」
「だけどさぁ〜、それって都合が良すぎないかな〜?」
だが、その誘いを否定したのはまさかの迅だった。
「迅?」
「だって君、昨日アレだけカズマのこと侮辱しといて今更その力を知ったら協力してくれなんて、虫が良すぎると思わないの?」
「おい、迅……!」
「……確かに君の言うとおりだ。だが、僕にも魔剣を託された者として、街の平和を保つという使命がある。昨日のことは何度でも謝ろう。だから……!」
コイツもコイツで、それなりの覚悟を持ってるんだな。チラリと迅を見るとバツが悪そうな顔でそっぽを向く。ホントに、そういうところ人間らしいよな……。
「わかった、仲間には俺達から伝えておく」
俺は椅子から立ち上がって手を差し出す。
「よろしく頼む」
「こちらこそ、よろしく頼むよ」
ここに、対ベルディア討伐部隊が結成された。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「………………。」
「………………。」
あの話し合いのあと、仲間から多少の反発はあったもののベルディアを倒すという名目のもと組むことを承諾してくれた。
今は、ベルディアの城に向かう真っ最中なわけだが……。
「………………。」
「………………。」
「………………。」
「………………。」
「………………。」
け、険悪雰囲気パネェよ〜!!
後ろからだだ漏れの不機嫌オーラが戦闘を歩く俺達に針のように襲いかかる。
なにこれ、なんなのこれ?拷問でしょ、拷問以外の何者でもないでしょ、隣のミツルギなんてこの空気のせいで汗ダラダラじゃねぇか……。
「全く、何故こんな人達とパーティを組まなきゃいけないんですか……。」
「それはこっちの台詞よちびっ子!なんで、キョウヤを傷つけた男の仲間なんかと協力しなきゃいけないのよ!?」
「おい、今言ってはならないことを言いましたね。爆裂魔法で吹き飛ぶ覚悟はできていますか?そもそも、貴方のところの優男は勝手に勝負を挑んで勝手に負けたんでしょう、逆恨みも甚だしいですねっ!」
「キョウヤは優男なんかじゃないわよ!」
やべぇよ〜、めっちゃ喧嘩してるよ……。こんなんで、ベルディア戦になんて望めるかよ……。
「おい、めぐみん。いい加減にしろ、これから一緒に戦う仲間だろう!」
「クレメアもその辺にしてよ」
ダクネスとフィオとか言う盗賊の女の子が、めぐみんとクレメアというランサーの少女を宥めるがどんどん二人はヒートアップしていく。
「だいたい、あんなナルシストの何がいいんですか!?私達が断る気のないと思ってるあの誘い方、ホントに気持ち悪かったんですけど!?」
「あっ、それ私も思った」
「グハッ……!」
お〜い、アクアさんにめぐみんさんや〜。ミツルギ君にさり気なくダメージ入ってますけど〜!
「わかってないわね、あれはナルシストなんかじゃないわ。優しさよ、あの優しさがキョウヤの魅力の一つなのよ。それがわからないなんて所詮はおこちゃまね」
「なんだと、貴様っ!」
杖を振り上げクレメアに遅いかかろうとするが、ダクネスに背負いじめにされている状態なので背の小さいめぐみんは手足をジタバタすることしかできない。
そこへ空気の読めない駄女神がさらに煽りに入る。
「でも、この作戦はいくらなんでも都合良すぎないかしら?いくら決定打がないからってようはカズマと迅を囮にして自分だけいいとこもってこうって作戦でしょ?」
「あっ、アクア様!僕はそんなことは決して……!」
「でも、そういう作戦じゃない」
「それは……。」
ミツルギまでオーラに当てられて萎んでいく。おい、迅、こういう雰囲気を和ませるのはお前の得意分野じゃなかったか?
そう思い、見てみると迅はそっぽを向いていた。どうやら、俄然せずを貫くらしい。
はぁ、しょうがねぇなぁ……!
「……お前らいい加減にしろよ?」
……ここはガツンと言ってやらなきゃ駄目だ。
思ってた以上に低い声が俺の口から出た。その声は口論を止めるのに十分な力を持っていた。
「か、カズマ……?」
「な、なによ、急に……。」
俺は真剣な口調で諭すように皆を見回して話す。
「俺達はなんでここにいる?ベルディアを倒すためだろうが。アイツがいなくならない限りアクセルの街の人たちは震えて暮らさなきゃならねえ。俺達はアクセルの街に住む全ての冒険者の代表なんだ、その責任を今一度ここでしっかりと再確認しろ」
「「「「「「責任……。」」」」」」
ミツルギを含む6人はその言葉を噛みしめる。
「そうだ、俺達は街の奴等に託された側の人間なんだ。託された以上、責任がつきまとう。その責任がねぇなら今すぐ街に引き返せ、ない奴が来ても足手まといだ」
そう言って俺は歩き出し、その隣を迅が歩いてくる。そして、少しするとミツルギが俺の後ろをついてくる、その後をアクア、ダクネス、めぐみん、フィオ、クレメアと続いてくる。
「あ〜、緊張した……。」
柄じゃねぇよ、あんなの……。平静を保つのがかなりきつかったぜ……。
「やるね〜、カズマ。大したカリスマだよ」
どうせ、心拍数とか図って俺の心情を知っていたであろう迅の奴が茶化すようにいってくる。
「こうでもしなきゃ、纏まらねぇだろ。この我の強いパーティは……。それに、」
「それに……?」
「アクセルの人達だけじゃなく、その他にも託されちまったもんがあるからな」
腰に装着されたゼロワンドライバーを見ながら、迅に言う。アラタさんに託されたこのドライバーを持つ俺にも責任があるからな。
「その責任を果たしに行こうぜ相棒」
「ーーーーうん、行こうカズマ」
決戦のときは近い……!
感想、評価待っています!
六巻と七巻の間に記憶をなくしたカズマがライダーからプログライズキーを受け取るオリ章『継承編』をやろうと思うのですがどっちの案がいいでしょうか?
-
それぞれの世界に行って力を受け取る
-
一つの世界に揃ってて一人一人から受け取る