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「何が恩返しだ、馬鹿野郎……。」
俺は宿の部屋で迅の形見であるフォースライザーとファルコンキーを握りしめて、目の前で俺を守って死んだあの馬鹿へ愚痴る。
俺への恩返し……アイツは俺にそういった……。
「いつも、貰っていたのは……俺のほうじゃねぇか」
ゼロワンも、プログライズキーも、戦う理由も、全部……全部、アイツが俺にくれたものだ。
それに対して、俺はなんだ……。アイツに何をしてやれたってんだ……。
コンッ……コンッ……
扉のドアがノックされる音が室内に響いた。
また、アクア達か?アイツらには悪いが俺にはもう、戦う理由も気力も残されちゃいない……。
ベットから立ち上がる気にもなれず、勝手に入ってくるか、勝手に帰っていくかを待つ。
そして、その答えは前者だったらしく扉を開きその人物は室内に入ってきた。
「やっほー、久しぶり!元気……じゃなさそうだね」
部屋に入ってきたのはダクネスの友人で、スキルを教わったときに俺にパンツをスられた盗賊ことクリスだった。
「……何しに来た?」
「君を励ましに、かな?」
「帰れ」
「えっ、ちょっと……!」
俺はクリスの体を部屋から押し出そうとする。今更、部外者にズカズカと俺の心を踏み荒らされたくはない。
「……そんなに自分のことが許せない?」
その一言で、クリスを追い出そうとした俺の手が止まる。そのすきに部屋に入り、真っ直ぐな目で俺を見る。
「君の今の目にはとてつもない、後悔と自責の念が見える。ひょっとして、自分のせいで迅が死んだって思ってるんじゃない?」
「……だったら、なんだよッ?」
まるで俺のことを皆見透かしたようなそんな目に苛立ちを感じ、少し語気を強く聞き返す。
「自分のことを許してあげたら?」
「許せるわけがねぇだろっ!!!」
クリスの言葉を俺は即座に否定した。
「さっきからなんだ……!まるで俺のことを全部知ってるみたいに話しやがって……!ロクに付き合いもない、お前に俺の何がわかるんだ?ああっ!?」
自分でも八つ当たりだということはわかっている……だが、それでも言わずにはいられなかった。
「部外者の分際で人の心に土足で踏み込んでじゃねぇ!……自分を許せだと?そんな事ができたら、俺はこんなに苦しんじゃいねぇんだよ……!」
俺がもっと綿密に作戦を組み立てていれば、ベルディアの戦力を見誤まっていなければ迅は死なずに済んだ。
「俺の軽率な判断がきっかけで……迅を死なせた」
「何言ってるの?違うよ」
俺がもっと強ければ、シャイニングホッパーキーを作るよりも速くベルディアと決着をつけてさえいれば、迅は死なずに済んだ。
俺はクリスの言葉を無視して言葉を続ける。
「俺の弱さが……アイツを殺した……!」
「違う……」
そもそも、俺がゼロワンドライバーを受け取らなければ、迅が死ぬことはなかった……!
俺はさらに震える右手を左手で抑え、語気を荒げて口にする。
「迅を殺したのは……俺だッ……!」
「違うッ!」
クリスは俺の言葉を否定すると立ち上がり、俺の手を掴む。
「来て。その証拠を見せてあげる」
「お、おい……!」
クリスは俺の静止を聞かずに俺を部屋から連れ出した。
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「おいっ、こんなところで何をするつもりだ……!?」
宿から連れ出された俺は街外れにある小さな孤児院まで連れてこられた。ただし、俺達はそことは少し離れたところにある曲がり角で覗くようにしていた。
「あの孤児院は私とダクネスがよく出入りしてるところでね、身の上のない子供達を預かっている孤児院なの」
「だから、それが……!」
「よ〜し、それじゃやるよ〜!」
どうしたんだ、と聞こうとした瞬間孤児院の子供たちが中から出てきて元気な声で話し始めた。
「それじゃ、『仮面ライダーごっこ』やろうよ!」
「じゃあ、俺が仮面ライダー!」
「ええ〜、僕がやるよ〜!」
「お前は敵役やれよ〜」
俺はその光景に目を丸くする。まさか、異世界で仮面ライダーごっこをしている子供を見ることになるなんて……。
「あの子達が言ってる仮面ライダーっていうのは君のことだよ?」
「俺の?」
言われてみれば……この世界に俺以外の仮面ライダーなんて、迅がいなくなった今もういない。
「子供っていうのは英雄に憧れるものなんだ。あの子達にとって君はヒーローなんだよ。」
「英雄?ヒーロー?」
……俺には過ぎた称号だ。そんなもの、俺には似合わない。あんなものは迅という犠牲の果に得た勝利だ。
「違うよ。寧ろ、あの子達と同じだ。俺は所詮仮面ライダーごっこをしていたに過ぎない……。」
クリスを直視できず、情けなくも視線を逸しながら言う。
俺は原典の仮面ライダーのようにはなれない……何故なら俺が偽物であるという事実はどう足掻いても覆らないんだから。
「俺はあの人達のようにカッコいいヒーローにはなれないよ……。アイツを亡くして、もう何をすればいいのかすらわからなくなっちまった……。あの人達ならそれすらも力に変えられるだろうけど、俺はそんな強い人間じゃないッ!」
思い出してみると子供の頃、大人になったらあんな人になりたいと初めて思った相手が仮面ライダーだった気がする。特に印象が強かったのは、仮面ライダー剣。字は違うが俺と同じ名前の人が変身したライダー。
ゼロワンになってから特に印象に残った言葉が脳裏を離れない。
『例えカードが1枚も無くても!お前を封印できるはずだ!俺に、ライダーの資格があるなら!戦えない、全ての人の為に!俺が戦う!』
あの人はその言葉の通りにライダーの資格を示した。だけど、俺は迅の犠牲の果てにそれを得た……そんなものに一体どれだけの価値があるというのか。
この世界の住人であるクリスに俺達の世界の仮面ライダーについて話しても仕方ないのに、俺は何を話してるんだ……。
もう、終わらせようと宿に向けて歩み始めようとするがそれよりも先に俺の前にクリスが立ちはだかる。
「もういいだろ……?もう戦いたくなんてないんだ」
「……もういいだって?何がいいの?いいわけないでしょう!?」
「ッ」
「…このまま何もしないままそのままずっと腐っていく気なの?それでいいの!?それで迅が喜ぶと思ってるの!?」
クリスは俺の胸ぐらを掴み真正面から俺の目を覗き込んで怒声を飛ばす。そして、諭すように俺に話してきた。
「君がどう思おうと、
迅達にとっての仮面ライダーが……俺?
「仮面ライダーっていうのは変身できればいい人の称号なの?違うでしょ?それに相応しい行いをした人のことを仮面ライダーっていうんじゃないの?だったら、君は紛れもなく仮面ライダー以外の何者でもないよ」
「だけど……俺は……。」
迅を……親友を守れなかった……。
その俺の心を読み取ったのか、クリスは俺に優しく微笑んで言う。
「君は街の人達を守るためにあの判断を下した。それは絶対に間違えてなんかいない」
「…………」
「君は街の人達を守るために魔王軍幹部に戦いを挑んだ、その君が弱いわけがないッ!」
「…………ッ!」
「そんな君だから迅は命を賭けたんだよっ!!君が自分の未来を託すに値する存在だと思ったから。……だから、その君がいつまでもメソメソしてちゃ駄目だよ」
俺の顔に両手を添えて、俺の顔を覗き込むようにして話すクリス。気付けば、俺の目から大粒の涙がポロポロと溢れていた……。
「だってそれは、君の親友の生きた意味を否定する行為なんだから」
涙なんて、迅を失ったあの日に流しきったと思っていたのに。
「この言葉の意味、君ならもう……わかってるよね?」
次回はウィズと、ゲストに起こしいただきます。
題名は『トウジョウ!先輩ライダーその名は○○』。
さぁて、誰なんでしょうね。
おや、こんなところにオレンジが?
六巻と七巻の間に記憶をなくしたカズマがライダーからプログライズキーを受け取るオリ章『継承編』をやろうと思うのですがどっちの案がいいでしょうか?
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それぞれの世界に行って力を受け取る
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一つの世界に揃ってて一人一人から受け取る