これからも、何人か平成ライダー、正直全員出せるのが理想です。
「………………。」
俺はクリスと別れ、街の中にある小さな橋の上からその下に流れる小川の水面に映る情けない自分の顔を見ていた。
クリスに仮面ライダーについて説かれ、僅かながら活力のようなものが蘇った。だが、
「…………クソッ……!」
懐からドライバーを取り出すと、それを持った手が目で見えるほどに震えている。止めようとしても意識しても、全く止まってはくれない。
……こんな俺に戦う力なんて、あるのか?
「アレ?カズマさんじゃないですか」
話しかけられた方向を見てみると、そこには長い茶髪の女性、頭の上のアホ毛がトレードマークの女性。アンデットの王、リッチーのウィズが立っていた。
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「どうぞ」
「……悪いな」
俺はウィズに差し出された紅茶に口をつける。紅茶についてはあまり詳しくないが……なんというか心が落ち着く。
橋の上であった俺は彼女に誘われ、彼女が経営している魔道具店で一休みをしていた。
店の中には様々な鉱石や目新しいアイテム、様々な色の液体の入った試験管。まさに、魔道具店という感じのする店だった。
「……………アクア達に言われたのか?」
俺の言葉を聞き、ウィズの背中が微クリと震える。
「な、なんのことですか?」
「あのポーションの棚……」
俺が指差した試験管のならんだ棚、その中に一つだけ無色透明な液体の入った試験管があった。
「アレ、アクアが触れたせいで浄化されたもんだろ?」
「あ、アハハ……お察しのとおりです」
……まぁ、アイツらが関わってなけりゃウィズみたいな美人が俺を気にかけてくれるわきゃないわな。
「大方、俺が意気消沈してることへの相談でもされたんだろ?」
「…………はい、ご友人を亡くされたとか」
申し訳なさそうに言うウィズ。彼女は何も悪くねぇのに、こんな顔をさせてることに罪悪感がある。
「さっき、知り合いにも励まされたよ……なさけねぇよな……冒険者なのに、仲間が失われることだって覚悟しなきゃいけないはずなのに、いざ親友を失ったらこの様だ」
「そんなことはありません。冒険者でも、仲間を失えば辛いに決まってます。それが親友なら尚更に」
「……ウィズも、そういう経験があるのか?」
ウィズは元々アークウィザードとして、冒険者として活動していたと聞いている。実感のある口調からもしかしたらと思った。
「……はい、私も仲間を失ったことはあります」
「立ち直れたのか?」
「立ち直ったというのは、語弊がありますね……その仲間の意思を継ぐために戦った、という感じですね」
ーーー強いな、彼女は……。俺なんかよりもずっと。
「俺は弱い……一度の挫折でもう折れかけている」
「ーーーですが、挫折を知っている程人は強くなれる」
「え?」
「確かに、挫折は恐ろしいことです。それは一生のトラウマにすらなりうることです、だけど、その挫折を知っているからこそ二度と同じ過ちを繰り返さないために強くなれる、私はそう思います」
挫折が人を強くする、か……。
「だけど、俺は……これから、自分が何をすればいいのかすらわからない」
「ーーーだったら、これを使ってみたらどうでしょうか?」
そう言ったウィズはカウンターの下から布に置かれた水晶を取り出した。
「これは?」
「これは触れた人の悩みを解決してくれる魔道具です」
「どうやって?」
「なんでも、心の中にその悩みを解決してくれる人が現れるというものらしいです」
机の上にそれを起きながら、ウィズは水晶のシステムについて話す。
俺の悩みを解決できる人、なんて……。
「さっ、触れてみてください」
ウィズに言われ、俺は手を伸ばした、一度引っ込め掛けたが、勇気を出して水晶に触れた。
触れた瞬間、俺の意識は暗転した。
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そこで見たものはこの世のものとは思えない光景だった。
荒廃した世界、緑溢れた美しい世界、怪しい月が覗く夜の世界、古代の建築物のようなものがある世界。それら全ての世界が一つの世界の中で集約していた。
「ここは……一体……?」
『ここに人が来るのは君で二人目だ』
声のした方向を見ると、そこには白い髪白い外套を纏った赤いオッドアイの青年がいた。
「ッ……!?」
俺は突然感じた鼓動に、胸を抑える。
なんだ……?この人と俺のドライバーが共鳴しているような感覚がする……。
『君の友達の命はまだ助かる』
「えっ?」
男性の言葉に俺は即座に反応する。
俺の友達……迅の命がまだ助かるって言ったのか?この人は……。
「それって……それって、どういうことなんですかッ!?」
『……その答えを君自身気づいてるんじゃないか?』
「ッ……!?」
いつの間にか俺の背後にいた男性の声にバッと振り返り、その言葉の意味を思案する。
『動いてみることだ。君が今やるべきは、その先にどんな結末が待っていようとも、足掻き続けること』
足掻き続ける……。
『君が持つベルトは君にしか使えない。君にしかできないことをやり遂げるための力、人はそれを『責任』と呼ぶ。これは、君自身理解していることだ』
責任……。確かに俺は、ベルディアの城へ向かう途中アクア達に責任を説いた。
「だけど、俺は……。」
正直言うと、俺は怖い……。また、俺の弱さで誰かを失うことになるのかもしれないことが。ドライバーを持てないのは迅の死への後悔だけじゃない。
結局、俺はどこまで行っても臆病者でしかないんだ……。
それすらも見透かしたように男性は微笑むと、
『……そんなに今の自分が許せないなら、新しい自分に変わればいい。変身だ。君には、君達にはその力があるんだ、だから、諦めてはいけない』
新しい……自分に変身……。
この言葉から感じる重み、これはきっと彼がここまで行き着くのに経験したものから来ているのだろうということが不思議とわかった。
男の人に光の蝶が指に止まり、それを俺に向けると無数の蝶が俺に飛んできて視界が覆い尽くされる。
『戦うんだ。自分の為に、友の為に、仲間のために。先を歩む君の、その背中を見た者達の心を奮い立たせてくれる力、君はいつかそういう本当の強さを手に入れることができるだろう。
その時、君は本当の意味で仮面ライダーになれる』
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「……ズマさんっ、カズマさんっ!」
「……ッ!」
体を揺さぶられるのを感じ、俺の精神は覚醒する。どうやら、俺は机に突っ伏して気絶していたらしい。ウィズの呼びかけに俺は体を起こす。
「俺は一体……?」
「あの水晶に触れた瞬間、気を失ってしまいまして……。」
「今のは……夢だったのか?」
夢にしては、かなりリアリティのある夢だったが、そう思っていると、
「あの、それは?」
ウィズは俺の手を指差して尋ねる、その手には確かに何かが握られていた。
「プログライズキー……?」
それは俺が見たことのないオレンジ色のプログライズキー。そこには、動物の絵ではなく俺が見たことのない仮面ライダーの顔が描かれていた。
「オンステージング……ガイム?」
鎧武、迅が言っていた十五人目の平成ライダー。確か、変身者の名前は葛葉紘汰さん……。
「まさか……。」
そういうことなのか……?
「……………。」
俺はプログライズキーを胸の上で握りしめ、決意を固めた。
……ありがとうございます、
「ウィズ、色々ありがとな。……まだ、立ち直れてるかわかんないけど……元気でた」
プログライズキーを懐にしまい、ウィズに礼を言う。その俺の顔を見て優しく微笑んで、
「はい、頑張ってください。応援しています」
その笑顔に頷き返し、俺は店をあとにした。
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ダクネス視点
「クリスとウィズの励ましは効果がありましたかね?」
「そうね〜、ウィズは店から出るときには憑き物が落ちたみたいな顔して立って言ってたけど」
隣を歩くアクア達がウィズの話を聞いて、今のカズマの状態を考察している。
一体、カズマはあの魔道具で誰にあったのだろう……。今の彼を元に戻せる人間など、中々いるものではない。
クリスにも話を聞くと、
『大丈夫……きっと彼は大丈夫だよ』
そう言っていた。
ーーー出会ったばかりのアイツは私好みのダメ男だった。情けなくて、弱くて、策を弄する事以外ほとんど何も出来ないようなやつだった。
だが、迅と出会い。本当の友情を知り、戦うことに責任を感じて、それでも仲間のために、私達のために戦うことを選んだ。
迅との出会いで私などより余程、騎士らしい男に成長した。
なのに、私は……足を引っ張り彼の死に際にも立ち会うことができなかった。だから、そんな私にできることは彼を立ち直らせることしかないと思っている。
そんなことを考えていると、宿につきアイツの部屋の前に立つ。
「カズマ、入るわよ〜」
もはや、ノックすらしなくなったアクアが扉を開けるが、
ーーーそこにはアイツの姿はなかった。
「「「え?」」」
あるのは、部屋に備え付けられたベットと小さな机とセットの椅子だけだった……。
「ちょっ、カズマは……?」
アクアが狼狽えるが、それをなだめるより先に私は机の上に置かれた紙を手に取る。
「あの馬鹿者め……!」
カズマの筆跡で書かれたその手紙に私の口から自然とそんな言葉が出た。
「なんて書いてあるんですか?」
めぐみんが聞いてきたので、その内容を声にして伝える。
「『少しの間、旅に出る。必ず、お前たちに顔向けできるようになって帰ってくる。だから、待っていてほしい サトウカズマ』」
感想、評価お待ちしています。
六巻と七巻の間に記憶をなくしたカズマがライダーからプログライズキーを受け取るオリ章『継承編』をやろうと思うのですがどっちの案がいいでしょうか?
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それぞれの世界に行って力を受け取る
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一つの世界に揃ってて一人一人から受け取る