「アイツら、怒ってるだろうなぁ」
アルカンレティアという街に向かう商団の馬車の一つに乗せてもらって街を出て一日。俺が残した手紙を読んで、今頃憤慨しているであろう仲間を思いながら呟くように口を開く。
行き先も告げずに勝手に出て来といて何言ってんだかと我が事ながら思う。
それでも、この旅は俺が決意を固めるための旅。近くにアイツらがいると、何処か甘えてしまいそうで何も言えず出てきた。
俺は持ってきておいた、この国の地図を広げ、これからの計画について改めて確認する。
「まずは、もうすぐ着くアルカンレティアって街に寄って食料とか補給して……そこからは徒歩だな。地図もあるし、迷うことはないと思うが、着いてからが問題だな」
探すにしたって、
「お客さん、そろそろ付きますよ」
御者のおっちゃんに言われ、馬車の窓から外を見る。
「アレが、アルカンレティア……。」
そこは、巨大な湖と温泉が湧くという山と隣接した都。青で統一されたその街は世辞抜きにとても美しかった。
「水と温泉の都と言われるだけのことはあるな……。」
まずはこの街で野宿に必要なものとか揃えないとな、アクセルではアクア達と鉢合わせないために買い物もできなかったが、ここから目的地までも2、3日はかかるらしいし。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「お待ちになって〜!」
「ハァ……ハァ……何なんだアイツらは?」
俺は建物の影から俺を探しているであろう一団に警戒の眼差しを送る。
この町に入ってから何かがおかしかった……。
入り口でいきなりアクシズ教団に入らないかと勧誘されたときから気づくべきだった……あのときは熱心なアクアの信者だと思っていたが……まさか、この街があのアクアを信仰しているアクシズ教団の総本山だったとは……!
見るからに荒くれ者って感じの男に絡まれている女性を助けてからは決定的だった……。お礼がしたいとか女性が言い出し、やんわりと断ったら『私占い師なんです、占わせてください』とかわけのわからないことを言われ、『見えました、貴方に不幸が訪れます。ですが、アクシズ教団に入ればその不幸を回避できます』とか更に訳のわからないことを言われ断り続けているのに追いかけ回してくる。
見かけの美しさに騙されていた、とんでもなく恐ろしい街だここは……。
これがアクシズ教団の総本山、アルカンレティアか……。神が神なら信者も信者ってわけかよ……!
この街で一晩明かすなんて、気が気じゃないぜ……。だけど、テントとか食料の補給とか野宿の準備もしなきゃいけねぇし……。
「クソ、どんずまりじゃねぇか……。」
仕方ない、とっとと用を済ませて宿にチェックインして鍵締めて寝よう。2、3日歩けば向こうにもつくはずだし。
「おお、見つけましたよっ!さぁ!この入信書にサインをそれだけで貴方に幸せが訪れますよ!」
「くそったれ、見つかったか……!」
俺は必死に街の中を疾走する。ゼロワンとして戦ってきたお陰で、体力は多分上級職以上まで上がってるってのに、なんでそれに追いつけんだよアイツらッ!?
しかも、なんか追いかけてくる奴ら二十人くらいに増えてんじゃねぇか!
街の中を走っていると、目の前の道に一人の少女が立っているのが見えた。このままだと俺に巻き込まれて勧誘されるか、物理的に人の波に飲まれるか。どっちにしても巻き込んでしまう。
咄嗟にそう思い至った俺はその少女の手を取る。
「来いっ!」
「えっ?」
突然、手を握られた少女は目を丸くしていたが俺に引っ張られるままにあとをついてくる。
「あっ、あの……!」
「悪いっ、説明は後にしてくれ……!」
しめた、ちょうど良いところに曲がり角が……!
曲がり角を曲がると直ぐに足を止め、『潜伏』のスキルを使って息を殺す。少女にも人差し指を口元に当てるサインを見せると自分の手で口元を抑える。
そして、目の前をアクシズ教徒が去っていくと。息を大きく吐き出す。
「なんとか……まいたか……。」
「あの〜……。」
「ああ、悪いっ。アクシズ教徒の連中に追われててな、巻き込んじゃ悪いと思ったんだが……大丈夫だったか?手、大分強く握っちまったけ、ど……」
俺は顎下を流れる汗を手の甲で拭いながら、少女の顔を見ると声を失った。
「はい、大丈夫です……あの、私の顔になにかついてますか?」
その少女は黒い髪に紅い瞳。俺の仲間の一人、めぐみんとよく似た容姿の少女だった。
「紅魔族……。」
彼女は俺の目的地への道を知る人物だった。
この世界線の和真さんは鈍感かもしれません。迅という親友を得て、友情と愛情の区別がつかなくなるかもしれないから〜。
感想、評価お願いしま〜す。
六巻と七巻の間に記憶をなくしたカズマがライダーからプログライズキーを受け取るオリ章『継承編』をやろうと思うのですがどっちの案がいいでしょうか?
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それぞれの世界に行って力を受け取る
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一つの世界に揃ってて一人一人から受け取る