「何も出てこないな?」
「ああ、なんというか拍子抜けだ……せっかくゴーレムがたくさん現れるダンジョンだと聞いたのに……。」
「おい、お前。ゴーレムに殴ってもらえると思ったのに残念とか、思ってねぇよな?」
「にゃ、にゃにをいう!」
「思ってたのか」
「思ってたのね」
「思ってたんですね」
俺達はダクネスのドMっぷりに呆れてため息を吐く。
俺達がパーティを組んで数日、キャベツのお陰でそれなりの収入を得れたのはいいもののそれもいつまで持つかわからない。そんなとき、受付のお姉さんがとあるダンジョンの調査を受けてみないかと言ってくれた。
そこは嘗てこの世界一の科学者が作ったというダンジョン、その人物が作ったとされるゴーレムがうようよいるらしいダンジョンだった。ただ、そのゴーレムは先に行かせようとしないだけで何もしないので何年もの間放置されているらしい。
罠解除をする盗賊職が欲しかったところだが、知り合いで唯一の盗賊職のクリスに頼んでみたが、
『あ〜、あのダンジョンなら私がいなくても大丈夫だと思うよ〜。』
と言われて、断られてしまった。その言葉の意味もはぐらかされてわからなかった。
「それにしても、このダンジョンを作った科学者ってのはどんな奴だったんだ?罠の一つもないけど」
「なんでも、数々の兵器を生み出し魔王軍との戦いを支えてきた天才だと聞いていますが……。」
めぐみんの言葉に俺は一層わからなくなる。そんな人が自分の研究所に罠の一つも用意しないなんて、いや、ここはそもそも研究所ですらなかったのかもしれないとすら思っていた。
その時だった。
「ふふふ………。」
何処からか笑い声が聞こえてきた。俺達はそれぞれ武器を構え、警戒態勢へと入る。
「今の笑い声は……。」
「アンデットの気配は感じないわね……」
「俺の方も敵感知が反応してない」
「誰だ! 誰かいるなら出てこい!」
ダクネスの声にその人物はあっさりめと姿を現してきた、その人物はボロボロのフードを目深に被った少年だった。
こんなところにいる人間がただの人間なわけがない。俺達は警戒を解かずに少年に相対する。
「何者だ、貴様は?」
「さぁて、誰だろうね?」
そういった少年は俺達に背を向けて走り出す。
「なっ、待て……!」
ダクネスを先頭に俺達も走って追いかけていく。
「こっちだよ、こっち」
フードを被った人物は俺達を手招きしながら、先へ進んでいく。一体、何処まで連れていくつもりなんだ?
そんなことを考えていると、隣を走るアクアが肩を指でつついてきて、耳を貸せという合図をしてきた。
『なんだよ?』
『カズマ、あの子。人間じゃないわよ、いえ、そもそも生物じゃないわ。生命力を感じないもの』
『は? お前、さっきアンデットの気配は感じ無いってーーー』
『確かにアンデットでもレイスでもないわ。だけど、忘れたの? ここはかつてこの世界最高の科学者が作ったダンジョンなのよ?』
アクアのその言葉にハッとする。まさかと思い、尋ね返す。
『つまり、アイツはゴーレムみたいな存在だってことか?』
小声でアクアと会話していると、少年が行き止まりの部屋で立ち止まった。
「もう逃げられんぞ、貴様は何者だっ!?」
ダクネスが剣を突きつけるが、フードの下から見える少年の口元には無邪気な笑みが浮かんでいた。
その瞬間、部屋が揺れた。
「「「「ッ!」」」」
「これは……部屋が下に下がってんのか!?」
「そっ、この部屋は部屋自体がエレベーターになってるのさ」
部屋の仕組みに気付いた俺に少年はフードを下ろして口を開いた。黒髪の少年は容姿的に見れば人間と何ら変わらないが、頭にヘッドフォンのような白い機械をつけていた。
「僕の名前は迅、ここの管理を任されている端末だよ」
素直に自分の名前を明かした少年に、敵意はないと感じたのかダクネスが剣を下ろした。
「君達の名前を聞いていいかな?」
俺達は互いに目線を合わせて頷きあう。
「俺はカズマっていうんだけど」
「私はダクネスと言う」
「私はアクア、アークプリーストにしてアクシズ教のご身体、女神アクア様よ!」
「を、名乗ってる可哀想なやつだ」
「へぇ〜、そうなんだ」
「ちょっとぉ!本気でしばくわよ、カズマ!それにあんたも乗っかってんじゃないわよ!」
なんかアクアが吠えてるけど、それを無視してまだ名乗りを終えてないめぐみんを見る。そして、俺達と始めあったときのようにポーズを決めて名乗りを上げる。
「我が名はめぐみん!アークウィザードにして、爆裂魔法を操りしもの!」
「……………。」
迅はめぐみんの名乗りを聞くと目をぱちくりさせる。ロボットでもそんな顔をするんだ、みたいなことを考えてしまった。
「おい、私の名前に文句があるなら「その目と髪、ひょっとして君、紅魔族?」……え?」
その沈黙が俺と同じときのような反応だと勘違いして突っかかろうとしためぐみんだったが、迅の反応に今度はこちらが面食らう。
「知ってるのか、紅魔族のこと?」
「うん。だって、紅魔族を作ったの、僕の父さんだもん」
「「「はぁ!?」」」
「紅魔族は元々、魔王に対抗するために父さんが作った改造人間だよ?」
「なっ!」
驚愕の真実に俺達は目を見開く。かっ、改造人間って……。
俺は横目でめぐみんを見る。俺の目にはあの勝ち気なめぐみんが小刻みに震えているようにも見えた。
「そ、それってどういう意味だ?」
「だ〜か〜ら〜、紅魔族は魔王と対抗するために魔力の適正を最大にするための手術を受けた人達が始まりなんだ。まあ、それをうけたら記憶がなくなるらしいんだけど」
驚くべき真実に俺達は言葉を失う。
そうか、紅魔族の魔力が生まれながらに高いのはそれが理由だったのか。
なんつうかいきなり、重そうな話に……。
「でも、父さんが言うには全員自分から手術を受けたって話だよ?なんか、ついでに目も紅くしてくれとかわけわからないこと言われて困ったとも愚痴ってたけど」
ならなかったわ、うん、全然重くなかったわ。
なんつうか、ちょっと納得しちゃった……。さすがめぐみんのご先祖様というかなんというか……。というか、よく見るとめぐみん、震えてるは震えてるけどどっちかって言うと興奮に打ち震えてる感じだわ。
「コホンッ。その話はまた後で詳しく聞くとして、迅、お前はなんでここに俺達を連れてきたんだ?というか、端末って……。」
「君達っていうか、僕が用があるのは君だけなんだよねカズマ」
「俺?」
俺が疑問符を浮かべていると、部屋が目的の場所についたのかもう一度ガタンと揺れる。そして、迅が壁に触れる隠し扉が現れそこから一つのアタッシュケースが現れる。
「僕は父さんと同じところの出身の人にこれを渡すように言われて待ってたんだ。落とさないでねっ!」
「おっと」
迅は俺に向かってアタッシュケースを投げ渡してきた。結構重いな、何が入ってるんだ?
「なになに、お宝?」
「開けてみてくださいよ、カズマ。いいですよね、ジン?」
「うん、構わないよ」
堪え性のない、アクアとめぐみんが俺にアタッシュケースを開けるようにせがんでくる。まぁ、俺も気になるから開けるけどさ。
中を開くと、そこには黒い色にに黄色いラインのバックルと黄色い長方形のデバイスが入っていた。デバイスの方に描かれているのは、バッタか?
でも、なんかこれ何かで見た……
「ちょっ、なんでこんなものがここにあるのよ!?」
「アクア、これがなにか知ってるのか?」
「何って……ああそっか、アンタ地球じゃ平成生まれの平成育ちだったわね……仮面ライダーは知ってるわよね?」
「そりゃ、お前……日本人ならそれくらい誰でも……!」
そうか! このバックル、腰に当てるとベルトになるライダーお決まりのアレにそっくりなんだ! だけど、こんなベルトとデバイスが使うライダーなんて見たことないが……。
「それは平成の次の年号、令和の1号ライダー。仮面ライダーゼロワンのベルト、飛電ゼロワンドライバーとその変身アイテムプログライズキーよ」
「仮面ライダーゼロワン、なんでそれがここに? ってか、なんで俺に?」
「そ〜れ〜は〜、それをつけてみればわかるって父さんは言ってたよ」
迅はそう言うとケースからドライバーを持ち、俺の腰に半ば強引に押し当てた。
「「「ちょっ!」」」
迅の行動にアクア達が声を漏らすが、次の瞬間俺の視界が白い空間へと変わっていた。
「な、なんだ……ここ……。」
『ここは私が生み出した、衛星ゼアの中だ』
「アンタは……。」
俺が混乱していると、目の前に髪の長い初老の男性が現れた。
『最初に言っておくが、今の私はこの衛星ゼアに記録された記憶映像。君からの質問には答えられないと思ってくれ』
衛星?
『君の意識は、現在そのゼロワンドライバーを通してこの星のはるか上空に存在する。衛星ゼアの中にある。頭の上を見てみたまえ』
言われたとおり頭の上を見ると、そこには0/100%というアイコンが浮いていた。
『この会話の間にベルトの使い方が脳にダウンロードされる仕組みだ。その間、おそらく君が抱いている疑問に答えよう。』
『私の名は飛電新。君も薄々気づいているだろうが私は魔王を倒すために転生した日本人だ。そして、私が得た特典は望んだものを生み出す力』
それはまた……ドチートな……。
『転生した私は女神アクアに言われた通り魔王を倒すために様々なアイテムを生み出した。しかし、いくら魔剣や聖剣を作ったとして幹部クラスには手も足も出なかったよ……。私はそれが意思の弱さによるものだと考えた。どうやら、私の能力は意思の強さに比例して完成度を高めるらしいことがわかったのだ。
そこで私は前世からの趣味である仮面ライダーの力でなら魔王軍と拮抗できるのではないかと考えた。私は自身の特典を使ってライダーシステムの開発に人生を注いだのだ』
じゃあ、このドライバーは原典の仮面ライダーゼロワンをもとにこの人が作ったドライバーってことなのか。確かに仮面ライダーって言えば悪を倒すために何度負けても強くなって復活する存在だからな。
『私はこの衛星ゼアを生み出し仮面ライダーゼロワンの再現に成功した。だが、それが完成したときには私はもう年だった……。とても、自分で変身して戦場に建てるような体ではなかったのだ。
しかし、私が人生を費やして生み出したライダーシステム……どうせなら仮面ライダーを知る誰かに託したかった。だから、私はその適性のあるものがここを訪れたらこれを託すように迅に託しておいたのだ』
だから、迅は俺にこれを……。父さんがこれを渡すようにってそういうことだったのか。
『そのベルトは一度装着すると生体認証によるロックが掛かる。つまり、そのベルトは既に君だけのものになったわけだ』
マジでか……俺が、仮面ライダーとか重すぎるぞ。だってこれ、この人の人生の結晶だろ?俺なんかが貰っていいのか?
『私の望みはただ一つ、どうか仮面ライダーとして魔王からこの世界を守ってほしい』
その言葉とともにダウンロードが終了したのか、頭上のアイコンが100/100となる。
『さあ行け、仮面ライダーゼロワン。この世界を救えるのはただ一人、君だ!』
感想を待っています。
六巻と七巻の間に記憶をなくしたカズマがライダーからプログライズキーを受け取るオリ章『継承編』をやろうと思うのですがどっちの案がいいでしょうか?
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それぞれの世界に行って力を受け取る
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一つの世界に揃ってて一人一人から受け取る