「悪かったな、巻き込んじまって……。」
「いえ、助けようとしてくれたんですよね?私もアクシズ教徒の人達が怖いってことは知ってますから……。」
「そっか……。」
俺たちは今、近くにあった喫茶店(勿論店の人間がアクシズ教徒でないことを確認済み)で向き合って話をしていた。さっきの詫びも兼ねて話をしていた。
「………………。」
「………………。」
お互い、初対面ということもあって大分気まずい……。だが、俺は彼女にどうしても聞きたいことがあった。
いうかどうか、暫く悩んだが俺は意を決して、口を開いた。
「……なぁ、君のその容姿、紅魔族でいいんだよな?」
「は、はいっ!」
緊張してるのかどこか上ずった声で答える少女。
「紅魔の里の近くにあるっていう洞窟についてなにか知っていないか?」
「……洞窟、あの里の外れにある何もない洞窟ですか?」
「それだっ!!」
俺はそのドンピシャな答えに思わず机を叩いて、立ち上がってしまう。
「ヒッ……!」
「アッ、ゴメン……。」
いきなり立ち上がった俺にビビって、萎縮してしまう少女。
「あの洞窟がなにか……?」
「……実は友達のためになんとしてもそこに行かなきゃいけないんだ……だから、良ければその場所について知っているなら詳しく教えてもらえないか?」
「でも、あそこらへんはかなり入り組んでいて紅魔の里の人間ならともかく他所の人がたどり着くのはかなり難しいですよ?」
「そんな……。」
俺は机の上に両手の拳を乗せて俯き、思考を巡らす。
クソッ、そうなるとやっぱり現地の人間に道を聞くしかないじゃないか……こっちは少しでも早く辿り着きたいのに……!
「あの……良ければ私が案内しましょうか?」
「え?」
俺は少女の言葉に思わず顔を上げ、その顔を見る。何処かおどおどしたような態度だが、ハッキリと口にした。
「とても困っているように見えるので、良ければですけど……」
「是非っ!頼む、いや、お願いしますっ!」
俺は机に額をくっつけ懇願するように頼み込む。
「あっ、頭を上げてください。私で良ければ案内しますので……!」
「ありがとう。感謝するよ。どれくらい感謝しているかというと。これからの人生で『一番感謝している人は?』と聞かれたら君だって即答できるくらいに感謝している!」
「や、やめてください、それ何かの嫌がらせみたいですからっ!」
「ご、ゴメン……。」
割と冗談じゃなかったんだが、良かった……これで案内が手に入った。
「俺の名前はサトウカズマっていうんだ、これからよろしく頼む」
少女は俺の名乗りを聞いて僅かばかりに悩んだあと、意を決したように何処かで見たことのあるポーズを決めて、
「わ、我が名はゆんゆん!アークウィザードにして上級魔法を操るもの!そして、いずれは紅魔族の長となるもの……」
少女、ゆんゆんは段々と小さくなる声で名乗りを上げると顔を真っ赤にして俯いてしまった。なんかデジャブを感じると思ったら、めぐみんの名乗りに似てるな……でもめぐみんはもっとこう、堂々としていたように思う。恥ずかしいのかな?アクアが言うには紅魔族は皆めぐみんみたいな連中だって聞いてたんだが。この娘みたいな常識的な娘がいたんだな。
「よろしく、ゆんゆん。」
「は、はい……」
やっぱり恥ずかしいのか、顔をうつむかせながら俺が差し出してきた手を握り返す。
「あと言い忘れてたんだけど……できれば明日にでも出発したいんだ。大丈夫かな?」
「だ、大丈夫です……これから宿に戻って準備すれば」
「悪いな……宿まで送るよ、買い物はあとでもできるからな」
「ありがとうございます」
「いや、礼を言わなきゃいけないのは俺の方だ」
見ず知らずの相手に図々しいことを言ってるんだからな。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「ゆんゆん、例の洞窟まであとどれくらいだ?」
「多分、あと一日半くらいだと思います……」
俺はゆんゆんと獣よけの火を囲い今後のことについて話していた。
アルカンレティアで物資の補給を終え、早速次の日の朝から街を出て徒歩で目的地に向けて歩いていた。途中、運のいいことにモンスターとは出会わなかった。この辺のモンスターは強いものが多いと聞くので変身しなければ戦うのは難しいだろう。覚悟はしておかないとな。今更、震えてるから戦えませんなんて言えない、彼女は俺が巻き込んだんだからな。
アルカンレティアを出てから一日目の夜、俺はゆんゆんに事情の全てを語った。偶然仮面ライダーという力を得たこと、迅という人間ではない友人を得たこと、そして、魔王軍幹部ベルディアとの戦いでその親友を失ったことを……。
「そんなことがあったんですか……でも、その友人の為ってどういうことなんですか?その人は、もう……」
「確かにアイツの身体はもうない。だけど、アイツら人工知能の死は俺達人間の死とは違うかもしれないんだ」
「ゴメンナサイ……よくわからないです」
まぁ、この世界の人間に素人の俺が人工知能の講義をしたところで分かるわけもないんだが……。なんと言ったものか、
「つまり、記憶さえ残ってれば新しい体を作って復活できるかもしれないってことなんだ」
もしも、紅魔の里に研究所があるとすればそこには当然迅の兄弟とも言えるヒューマギアがいるはずだ、出来ればヒューマギアに詳しいという滅と言う奴がいるのが理想だけど、他の二人でも迅が復活できるかどうかの答えを知っているはずだ。
そのことを、ゆんゆんに離すと人工知能のことに関してはまだよく理解できていないようだが友達を蘇らせる方法(アンデットとかではなく)を探しているということだけは理解してくれた。
だが、それを聞くとゆんゆんは俯いてどこが迷いがちに質問してきた。
「もし、もしもですよ?その研究所に迅さんを蘇らせる手立てが無かったとしたら?」
確かに、この情報は紘汰さんがマジックアイテムを通じで教えてくれたもので確証はない。彼が嘘をついているとは思わないが、その懸念をしなかったわけではない。
夜空を見上げながら、スゥっと息を吸って答える。
「アイツとの約束を守るために魔王軍と戦う……なんて、言えたらカッコいいんだろうけどな」
「え?」
「正直、俺にはわからないんだ……迅が帰ってこないってわかれば、多分、俺は……悲しむと思う、辛いと思う……情けないけど、泣いちまうかもしれない。
ーーーだけど、戦わなくちゃいけないとは思う」
俺の答えにゆんゆんは顔を伏せて、それでもちゃんと聞いてくれている。優しい娘だなと思いながら、俺は言葉を続ける。
「どんなに苦しくても、悲しくても、無様でも、情けなくても、前に向かって進まなきゃいけないと思う。そうしないと、アイツの
アイツ自身を救えなくとも、俺が戦い続けることで、アイツの心だけは救うことが出来るはずだ。
「その覚悟が出来るか……そのときになんなきゃわかんないけどな」
本当に情けない話だ……俺がアクア達を置いてきたのは、そんな情けない姿を見られたくないからでもある。そんなことされてみろ、決心が揺らぐじゃないか。
「ーーーどんなに辛くても俺の、
「ーーー羨ましなぁ」
彼女がポツリとつぶやいた言葉は俺の耳にも届いていた。その言葉に反応して彼女の顔を見るとまた顔を赤くして俯いてしまう。
「実は私ーーー友達に追いつくために修行してたんです。だけど、どこに行っても仲間ができなくて……だから、命を懸けてまで自分を助けてくれた友達がいるカズマさんが羨ましいんです。」
「ーーー不思議なもんだな。君みたいな優しい娘に仲間ができないなんて」
「え?」
「俺みたいな怪しいやつの頼みを無償で聞いてれて、親身になって俺の話を聞いてくれるやつが優しくないわけ無いだろ?あっ、そうだ、よかったらこの旅が終わっても俺と来ないか。アクセルの街で待ってる仲間もゆんゆんみたいな娘なら歓迎してくれる思うしさ」
俺の提案を聞くと、ゆんゆんは目からポロポロと涙を流しだした。
「えっ?何故泣くッ!?」
「す、すみません、そんな風に言ってもらえたことあまり、なかったもので……」
いや、それならそれでいいんだけど絵面的に見て女の娘を泣かしてる男みたいになってるから、泣き止んでほしい。
「ま、まぁ、返事は急がなくていいからさ……旅が終わったとき改めて聞くから」
そういや、ゆんゆんってめぐみんのことしってるのかな?でも、見た感じ、ゆんゆんより年上に見えるからそうでもないのか?
う〜ん、カズマさんのたらし化が進行しているなぁ。
次回はついに研究所に到着、そこで待っていたのは皆さんよく知るあの男!
感想、評価をお待ちしています。
六巻と七巻の間に記憶をなくしたカズマがライダーからプログライズキーを受け取るオリ章『継承編』をやろうと思うのですがどっちの案がいいでしょうか?
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それぞれの世界に行って力を受け取る
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一つの世界に揃ってて一人一人から受け取る