雷の案内で俺達はデストロイヤー内部の通路を歩いていた。
「なんか、雷にあってからマギア達が襲ってこなくなったな」
「当たり前だ。俺まで排除の対象になったら何百年もここに要られるわけねぇだろ。俺は排除の対象にならないように作られてる。その俺と一緒にいる以上、問題はないとマギア達は認識したんだよ」
雷は俺達を先導しながら、簡単に説明する。だが、やがて通路の奥、巨大な扉のある部屋にたどり着いた。
「ここだ。ここに、アイツラは眠ってる。制御装置もこの先だ」
「一体誰が……ここにはもう生きてる人間なんて」
「あぁ、本来ならありえねぇ。こんなところで数百年も待ってりゃどのみち骨しか残らない、たとえ生きてるとしてもこんな場所にいたら精神が先にお陀仏だ。だから、眠ってるのさ、親父にとって命よりも大事な二人がな」
そう言って、雷はその重い扉を開く。
そこは、今までの古ぼけた廊下とは違い清潔感のある白で統一されたホコリ一つないような部屋だった。
「随分きれいな部屋だな……。」
「当たり前だ。この部屋は数百年誰も入ってないからな。そら、そこにいるぜ」
雷が顎で示した先には人一人入れるくらいの大きさのカプセルのような装置が二つ置いてあった。なんか、あんな感じの装置を映画で見たことがある。まさか、アレって……。
「コールドスリープシステム、完成していたのか……。」
「コールドスリープって……!」
滅の呟きに俺は過敏に反応する。コールドスリープってアレだろ?体を冷凍保存して生きたままものすごい時間を眠ったままでいられるって奴だろう。
「……親父は自分が死んだあともゼロワンを支えられる存在を未来に残そうとこのシステムを研究していたのさ。俺達ヒューマギアにはできない事をしてもらうためにな。コレを使えば、自分だけでも生き残ることはできただろうに」
「じゃあ、あの中には……」
「あぁ。親父にとって娘同然だった二人だ」
雷が壁に取り付けられたパソコンのような装置を操作すると、冷気とともにカプセルの蓋が開く。
ーーーようやくわかった。なんで、このデストロイヤーの内部にはとんでもない数のトリロバイトマギアがいたのか。全部自立型ってことはそれの調節は一つ一つをアラタさんが整備したってことだ。全てはもしものとき、この二人を守るためだったわけか。
カプセルの中身を見ると、そこには二人の少女がいた。一人はパーマヘアーの鋭い目元の少女、そしてもう一人は長い髪のクールそうな見た目の少女。
雷はパーマヘアーの少女のカプセルの傍らに座り、雷が肩に手を回し起き上がらせる。
「うっ、うぅ……。」
その時、少女が目を覚ましたのか瞳を薄く開ける。
「あに…き……?それに、滅か……。」
「立てるか、フタバ?」
「……いつまでもガキ扱いすんじゃねぇ。相変わらず過保護だなアンタは」
滅の質問に男勝りの口調で答え、雷の肩から抜けようとしたフタバと呼ばれた少女だったが、すぐに足から力が抜けたように崩れ落ちそうになるがそれをギリギリのところで滅が受け止める。フタバはそのまま気を失ったのか、動かなくなる。
「数百年眠っていたんだ、肉体がかなり衰弱してる。しばらく、リハビリが必要だな」
そう言って、滅はフタバを背中におぶる。
「重く…なったな……。」
そう言って背中におぶった彼の顔はとても、優しげだった。二度と会えるはずのなかった家族なのだから当然だ。そして、その傍らに俺の親友、迅の姿が見えた気がした。
………迅、お前がここにいたらきっとそんな顔をするんだろうな。
「ゼロワン、こいつら二人のことは俺と滅に任せろ。お前は制御室に迎え。そんでお前に夢を託した人間にあって来い」
「ーーーあぁ、わかってる」
もう一つのカプセルで眠っていたユアという髪の長い方の少女をおぶりながら雷が俺に指示を出す。
この先に、あの人がいるのか……。
俺は、部屋の奥にある最後の部屋に手をかけ、それを押し開く。
中は滅の研究所によく似た場所で様々な機器が存在した。そして、その中で最も目を引く存在大きな石製の椅子に座った白衣を着た白骨死体。
「はじめまして、アラタさん。ゼロワンの変身者サトウカズマというものです」
変身を解除し、頭を下げる。雷のお陰でもう戦う必要はなくなったからな。
頭を上げると、その手に大事そうに持っているものが目に止まる。
「これは……日記か?」
どうやら、それはアラタさんがこのデストロイヤーの制作を頼まれたノイズという国で働いていた時期の頃からの日記のようだ。
「……ごめんなさい」
アラタさんに謝罪しつつ、中身を読む。
二人の助手、四人の子供達とともにいずれ訪れる明るい未来についての希望が綴られていた。だが、後半辺りからデストロイヤーを兵器として使おうとする国王や国の人間への苦悩が読み解けた。そして、デイブレイクの日からアークとデストロイヤーを生み出してしまった己の罪への懺悔で日記の最後のページが締めくくられていた。
そして、なにより俺が驚かされたのは……
「アラタさん……貴方は彼らを憎まなかったんですか?悔しくなかったんですか?自分が生み出したアークを、怪物にした人間たちが死んでいい気味だと、少しも思わなかったんですか?」
俺は帰ってくるはずのない質問を物言わぬ屍に問いかける。
その時だった、日記の中か一つの茶封筒が溢れる。
「これは……日本語だよな……。」
この腐敗率の薄さから見てこの場で書いた謂わばアラタさんの遺言書。そして、茶封筒に綴られた文字は、
「『我が夢を継いだ者へ』……。」
これって、ゼロワンの資格者の意味だよな。まさか、この場に俺が来ることも計算ずくだったということなのか……。
「敵わないなぁ……。」
封筒の封を切り、中に入れられた手紙を読み始める。
「『我が夢を継ぐものへ、まずは私の罪を清算してくれたことを感謝する。そして、夢という重責を背負わせてしまったことを深く謝罪する。さらに、また新たな重荷を背負わせることを重ねて詫びる。
単刀直入にいうと、私の助手ユアとフタバのことを頼みたい。
彼女たちは私にとって滅や迅と同じように本当の娘のような存在だった。そして、私がゼロワンを生み出す切っ掛けでもあった。あの子達が生まれたのは、私が自らの力に限界を感じていたときだった。
我が友キールとその妻、アンナの娘。始めてあの娘達を抱き上げた日のことを今でも昨日のことのように思い出す。
あの娘達を抱き上げたとき、私は思った。栄誉や名声などどうでもいい。この娘達の、ひいては全ての人の未来のために希望を残したい。そこからは速かった、残りの人生を全て未来のために捧げようと。私はゼロワンを残した。』」
その願いのためにこの人は……。
「『私はあの子達の親代わりとして何もしてやれなかった。あの娘達の世話はみな迅や雷に任せっきりだった。
あの娘達が目覚めたとき、そこはもはや別世界と言っても変わりない、そんな世界にあの娘達を残してしまうのも申し訳なく思っている。
だから、君に頼む。どうか、あの娘達を幸せにしてあげてほしい。一方的ですまないがどうか、頼む。』」
はぁ、こんなことを頼まれたら断れるわけがないじゃないか……。
「出来る限り、頑張らせてもらいます」
俺はこの人からも多くのものを貰った、ゼロワン、プログライズキー、迅という親友に滅という仲間。せめて、それくらいのお返しはさせもらいます。
俺はアラタさんの遺骨を彼が着ている服で包んで持ち運びやすくする。せめて立派な墓を立ててあげたいからな。
そして、制御装置の背後にあるオーソライザーにライズフォンを翳すとビーっビーっという凄まじい警告音が響く。
『発射シークエンスに移行!発射シークエンスに移行!発射まであと十分、搭乗者は速やかに退避してください』
「じゅ、十分ッ!?」
ちょっと短すぎませんかね、アラタさん!?
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「な、なんとか、間に合った……」
「非常口があって助かったな」
「全くだ」
俺達は雷の案内でデストロイヤーに用意されていた非常口から脱出し、発射の風圧に巻き込まれないよう遠くから発射の準備を始めたデストロイヤーを見ていた。足が変形し、中からロケットが現れ空へ飛ぶ準備を始めていた。
「ここってホントにファンタジーの世界だよな?」
そんな疑問をどうしても抱いてしまう俺は悪くないと思う。
そして、ついにデストロイヤーが空に飛び立った。
「ーーーあばよ、親父」
そういった雷の横顔はどこか安心したようだった。
彼にとって長い間背負って来た重荷を降ろせた瞬間だった。
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六巻と七巻の間に記憶をなくしたカズマがライダーからプログライズキーを受け取るオリ章『継承編』をやろうと思うのですがどっちの案がいいでしょうか?
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それぞれの世界に行って力を受け取る
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一つの世界に揃ってて一人一人から受け取る