『Rising Impact!』
「おりやぁぁぁぁ!!!」
俺の必殺技を喰らい、一撃熊は爆散する。その様子を後ろで見ていた迅がはしゃぎながら見ている。
「凄い、凄ーい!もう一撃熊を相手にできるようになるなんて!パワーアップが早いね、カズマ」
「当たり前だろうが!お前が毎日のように無茶な依頼をとってくるから、そりゃ強くなるだろうよ!」
俺はドライバーからプログライズキーを抜いて変身を解除して、迅の胸ぐらを掴んで文句を垂れる。俺はゼロワンに変身した後から迅がギルドからめちゃくちゃ難易度の高い依頼ばかり受けてきて、俺を戦わせようとする。お陰でだいぶステータスが上がったわ!
因みにアクア達は別の依頼を受けている。ただでさえぎりぎりの戦いなのに、アイツらがいたらマジで危ない。
「無茶って人聞きが悪いな〜。君でもギリギリ勝てるレベルの依頼しか受けてないよ。それに、君変身してないと弱すぎるし。早く戦闘に慣れてもらわなきゃ」
「しゃあねぇだろ!俺、冒険者なんだから!」
冒険者は最弱職なだけあって成長値もダントツで低い。オマケにカンストするのもかなり低い、唯一メリットがあるとしたらどんな職業のスキルでも習得できることだ。
だが、どうやらこのゼロワンドライバーにはカンストの上限を高めてくれる機能も搭載されているらしい。流石は紅魔族を生み出した天才が人生を掛けて作った魔王軍への切り札か……。
だが、迅や新さんには悪いが俺は魔王を倒すなんて諦めかけている。実際、アクアは何人もの転生者をこの世界に送っているらしいが、その実未だに幹部すら倒せていない。そんなのを相手に戦って勝てると思えるほど俺は自身家じゃない。だって、前世ニートだし。
「じゃあ、そろそろ新しい戦い方を試してみようか」
「新しい戦い方……?」
迅はポケットに手を突っ込むと、あるものを取り出して俺に放り投げてきた。両手でキャッチしたそれは青色のプログライズキーだった。シューティングウルフ?
「新しいプログライズキー。お前他にもプログライズキー持ってたのかよ」
「そりゃそうだよ。ライジングホッパーだけで戦えるほど魔王軍は甘くはないからね。でも僕もそんなに持ってないんだ、プログライズキーの管理は亡姉ちゃんが担当してるから」
亡、迅の口ぶりからして4体の自我を持つヒューマギアの一体なんだろう。
だが、そんなことよりそろそろ迅に本音を言っておいた方がいいかなと思い気まずいながらも口にした。
「……なぁ、前から言おうと思ってたんだけどよぉ。俺魔王軍と戦うつもりなんて殆どないぜ?」
「え?」
迅は俺の言葉に呆けてしまっている。まぁ、そりゃそっか。アクアに転生された=魔王を倒す気があるって新さんは考えてただろうから……。
俺はさっき思ったことをそのまま口にした。すると、迅は困ったように頭をかく。
「困ったなぁ……僕達は君が魔王と戦うことを前提にしてるのに」
迅は耳元の機械に触れながら何やら思案している。そう思っていた矢先、その機械から携帯の着信音みたいな音が響いた。
そして、迅は俺の方を見て口元に笑みを浮かべる。なんか、嫌な予感……。
そのいやな予感は的中したらしく、迅は懐から黄色いバックルを取り出し、腰に押し当てる。すると、俺のゼロワンドライバーのようにベルトとなって装着される。
『Forcerizer…!』
そして、今度はポケットからピンク色の新たなプログライズキーを取り出した。
「新しいベルトにプログライズキー……まさか、お前も」
『Wing!』
迅は一度空中にプログライズキーを投げて、キャッチするとスターターを押してプログライズキーを起動させ、ベルトにプログライズキーをセットする。警告音の待機音がなり、プログライズキーから鳥のライダモデルが飛び出す。
「変身!」
『Flying Falcon!』
ベルトの下部にあるアンカーを引くと、プログライズキーが展開され、ライダモデルが迅を覆う。それが弾け飛ぶと全身からゴムのようなものに繋がれた装甲が一気に全身を纏う。
「うあっ、ぐあぁあぁっ!」
『Break down…!』
「イエーイ!」
その姿は紛れもなく、仮面ライダーだった。
「お前も変身できたのかよ……。」
「うん。ゼロワンのサポートのためにはこれくらいできなきゃ!」
というか、なんでこのタイミングで変身したんだよ?
「ゼアに相談したんだけど、意見が対立したら殴り合うのが一番効率的なんだって!」
「どこの少年漫画だよ!」
「ほらほら、カズマも早く変身してよ」
ファイティングポーズをとって、完全にやり合う気満々の迅。明らかに余計なこと言っちまった感がある。もう、こうなったらあのカマキリ野郎同様絶対逃げられないじゃねぇか。
『Jump!』
「変身」
『Rising Hopper!』
「行くよぉ!」
俺が変身したのを確認すると、迅は背中に装備された翼を展開し、羽根型のエネルギー弾を飛ばしてくる。
「殴り合うんじゃねぇのかよ!」
俺はライジングホッパーの脚力で必死に回避しながら文句を垂れる。なんとか避けながら、迅に接近しパンチを叩きこもうとするが、それよりも早く迅の姿がそこから消えた。
「とうっ!」
「飛べるのかよ!」
そう、迅は背中の羽を使い空へと逃げたのだ。さらに、空中から急降下し翼で切り裂く攻撃を仕掛けてくる。ゼロワンの姿でもかなりいてぇ!しかもヒットアンドアウェイの戦法をとってるらしく俺の攻撃の前に逃げられる。
しびれを切らした俺はホッパーの脚力を使い迅を捕まえようとするが、
「いい加減にしろおぉぉぉぉぉぉ!!!」
俺の手はギリギリのところで届かず、そのまま地面へと落下する。クソッ、バッタの脚力でも翼がある敵には届かないか!
あっ、そうだ、さっきのプログライズキー。ドライバーの右脇のホルダーにセットしておいたプログライズキー。描かれているのは狼の横顔、アビリティの部分にはBULLETと書かれている。
バレット、『弾丸』か。こいつならもしかしたら届くかも。
「……やってやらぁ!」
『Bullet!』
『Autnorize!』
ウルフのキーをオーソライザーに翳すと、空から狼のライダモデルが落下してきて、迅を威嚇するように遠吠えをする。ハッキリ言おう、超かっけぇ!
「よし、行くぞウルフ!」
『Progrize!』
ドライバーがプログライズキーのデータを読み込むと同時に俺の装甲が変形し、機械部分がむき出しになったところへ分解されたウルフが新たな装甲となる。
『撃ちまくまくりスティ!Shooting Wolf!The elevation increases as the bullet is fired.』
「おお〜、カッコいい!」
空を飛んでる迅の奴が手を叩きながら称賛する。シューティングウルフのフォームは青い装甲と狼のようなフェイス、そして、足には鋭い爪が装備されている。
『Bladerize!』
アタッシュカリバーをブレードモードにして、構える。準備が整った俺を見て迅が再び翼を広げて上空に飛び立つ。
俺は持ち手についているアタッシュカリバーのトリガーを引きながら、剣を振り抜く。すると、狼型のエネルギー弾が放たれ迅に向かっていく。
「ははっ、鬼さんこっちら〜!」
「あの野郎!」
しかし、迅は余裕な様子でそれを回避して飛び回る。クソッ、アイツ戦い慣れてやがる!
待てよ?なんでアイツはわざわざ俺の攻撃を避けたんだ?あの羽根があれば、相殺できただろうに?
そこで、俺の頭に一つの仮説が立った。だが、こいつをためにはまずはアイツを地面に叩き落さないとな。
俺はドライバーからウルフのプラグライズキーを抜き、折りたたんでアタッシュカリバーのライズスロットにセットする。
『Progrise key confirmed. Ready to utilize.』
「これでも喰らえ!」
『Shooting Kaban Strash!』
トリガー引き、剣を振り下ろすと無数の狼の弾丸が迅に向かって放たれていく。幾つから回避できたが、2体の狼が奴の両腕に噛み付く。
「あっ、コラッ!離せっ!」
まるで、近所の犬猫にでも噛まれたような反応をする迅だったが、狼達がそんなことを聞いてくれるわけもなくそのまま地面に叩き落された。
「イッタァ……やったなぁ!ジャキーン!」
地面に叩き落された迅は再び翼を展開し、羽を飛ばそうとする。
「ここだ!」
『Shooting Impact!』
「うおおぉぉぉぉぉ!!!」
迅が羽を展開した瞬間、俺は攻撃を腕でガードしながら突っ込む、そして、迅の間合いに入ると狼のオーラを纏った鋭い爪がついた足でボレーキックを迅に叩き込んだ。
「ぐあぁぁ!!」
ボレーキックが、炸裂し吹き飛ばされる迅。
「お前は羽根で攻撃するとき、上空に飛べない。飛行と攻撃は同時にできないんだろ?」
俺が抱いた疑問、その答えは単純に出来ないだ。だから、アイツは飛行時はわざわざ接近して、着地時は俺から離れたところから攻撃をしていたのだ。
「へへっ!凄いね、カズマ……数回見ただけでそのことに気付くなんて」
「生憎知力だけは異常に高いんでなっ!」
自分で言ってて悲しくなるが今回はそれに関して感謝だ。
「じゃあ、僕も本気でいかせてもらおうかな」
「あれで、本気じゃねぇのかよ!」
つっても俺はもう二回も必殺技使ってんのにコイツは一回も使ってないところを見ると俺とこいつの力量の差は明らかだな。
「「…………。」」
俺達は互いにベルトに触れる。
『Shooting Impact!』
『Flying Dystopia!』
迅は旋回しながら上空飛び上がり、ライダーキックを放つ。俺もそれを正面から受けて立つために青いエネルギーを右足の爪に収束し、ライダーキックを放つ。
「おりやぁぁぁぁ!!!」
「はあぁぁぁぁぁ!!!」
シ
ュ フライング
ー ディストピア
テ
ィ
ン
グ インパクト
二つのライダーキックが激突し、お互い地面に着地する。そして、その勝者がどちらかは、
「ぐっ、がはっ……!」
俺の変身が強制的に解除されたことで明らかになった。
「あ〜、負けた〜!」
でも、なんでだろ……。悔しくねえっつうか、どこかスッキリした感じがする。考えてみたら、誰かと殴り合うなんてこれが初めてだったな……。結構清々しい。
大の字まま起き上がらない、俺の隣に迅も寝転ぶ。
「楽しかったね!」
「ああ……まぁ、否定しないけどよ。俺達、なんで戦ってたんだっけ?」
「それは君が魔王討伐なんてしないって言ったからでしょ」
「あ〜、そうだった。」
途中から本気で忘れてた。
「……なぁ、お前さぁ。親父さんに命令されたからってのはわかるけど、魔王倒すのは流石に無理じゃね?」
改めて迅に聞いてみると、迅はキョトンとした顔をした。俺、なんか変なこと言ったか?
「僕達は魔王軍と戦えなんて命令父さんから受けてないよ」
「は?」
迅の口から飛び出した言葉に俺は目を見開く。だったら、なんでコイツはゼロワンのサポートなんて仕事してんだ?
「僕達が魔王軍と戦うのは僕達自身の意思だよ。僕が命じられたのはゼロワンにドライバーやプログライズキーを渡すことだけだよ」
……言われてみればゼアで会った、新さんは迅や他のヒューマギアの話は一切していなかった。アレは迅の役目が既に終わっていたからなのか。
「じゃあ、なんで……。」
「それが父さんがやり残したことだから、かな?」
それを聞いて、ストンと腑に落ちた。そうか、俺は何処かでコイツは機械なのだという先入観を持っていたらしい、考えてみれば当然だ。親がやり残したことを子がなそうとするなんて。
コイツはただの機械じゃない……心を持った、ある意味人間より人間らしい存在なんだ。
「はぁ……あ〜あ、聞きたくなかったぜ、そんな言葉」
俺はまだ節々が痛む体を起こしながら本気でそう口にする。俺はどんな形であれ、仮面ライダーゼロワンを引継いでしまった。なら、俺にはコイツらの願いを叶える義務がある。
「……わかったよ、俺にもできる範囲で戦わせてもらう。だけど、第一は命大事にだからな!危なくなったら、速攻で逃げるからな!」
迅は俺の言葉を聞くと、笑みを浮かべ差し出された俺の手を握り立ち上がる(やっぱ機械だから思ってたよりちょっと重い)。
「ゼアの言うとおり、男同士の喧嘩っていいものだね!またやろうよ!」
「二度とやらねぇよ!」
友情……考えてみたらカズマって、純粋な友情を築いたキャラいないじゃないですか。そこで迅をぶっこんでみました。悔いはない。
六巻と七巻の間に記憶をなくしたカズマがライダーからプログライズキーを受け取るオリ章『継承編』をやろうと思うのですがどっちの案がいいでしょうか?
-
それぞれの世界に行って力を受け取る
-
一つの世界に揃ってて一人一人から受け取る