俺達がギルドの指示で正門の前に集まると、そこには首のない馬に跨った漆黒の鎧を纏う騎士がいた。唯一、普通と違うのはその首が頭についているのではなく、腕に持たれてるという点だ。
「なぁ、迅……アイツ、まさか……。」
「間違いない、奴はデュラハンのベルディア。魔王軍幹部の一人だよ」
やっぱりかよ……。アレが、俺の戦うべき相手……。とてもじゃないが、今の俺が勝てる気が微塵もしないぞ。
「でも、なんでそんな奴がここに……。」
「貴様らに問う」
デュラハンの声に俺達は息を呑む。
「毎日毎日、俺の城に爆裂魔法を撃ち込んでくる大馬鹿はだれだぁぁぁぁぁぁ!!!」
デュラハンの激昂に俺達は唖然とした。
ちょっと待って、いまコイツ爆裂魔法って言った?爆裂魔法って言ったよね?
「おい、めぐみん……お前、まさか……。」
「………………。」
「めをそらすなぁぁぁぁぁ!!」
「いひゃいいひゃいれふ……!」
俺は目を背けためぐみんの口をこれでもかってくらい引っ張る。なんてことしてくれたんだ、貴様っ!!
「よく聞け貴様等!この街には低レベルの雑魚しかいないことは知っている!どうせ、俺には手を出せまいと放置していれば調子に乗ってポンポン撃ち込んできおって!おかげで耳鳴りはやまんわ、食事は通らんわで陰湿にもほどがあるわ!」
ほんっと、すいませんデュラハンさんっ!!うちの馬鹿がほんっとにすいません!!
ってか、ちょっと待てめぐみんって爆裂魔法を撃ち込んだら動けなくなる。ってことは、コイツを背負って帰った共犯者が。
ザッ!
足音がしたほうを向くと、アクアが忍び足でその場から去ろうとしていた。
「……………。」
「……………。」
「……………。」
「……………。」
「……………テヘペロ!」
「貴様ァァァァァァァァァァ!!!」
俺はアクアの顔をこれでもかってくらい横に伸ばした。どっかのゆるきゃらにしてやろうかコノヤロウ!!
「らって、らって、アイツのせいでロクなクエストが受けられなくて腹いせがしたかったんだもの!」
「お前、知っててやってたのかよ!?」
俺が迅に鍛えられてる間になんちゅうことをしてくれたんだこの馬鹿共は!?
取り敢えずめぐみんに謝れと言おうとしたとき、奴は自分から前に出て、
「まんまと騙されましたね悪しきものよ!私は紅魔族随一の魔法使い、めぐみん!我が爆裂魔法を撃ち込んでいたのは貴方をここにおびき出すため!」
ウソをつけっ!
「ほう、頭のおかしい紅魔の者か……」
「何だと!?私の頭のどこがおかしいのか文句があるなら聞こうじゃないか!」
おい、蒸し返すな!!お願いだから、勝てる確率3割もねぇんだぞ!?
「余裕ぶっていられるのも今のうちです。こちらには心強い味方がいるんですから!。先生方、お願いしますっ!」
「もう仕方ないわね!アイツのせいでろくなクエスト受けられないし、倒して賞金にしてやるわ!」
そう言って、前に出るアクア。
おい、アクアはわかる。アクアはわかるが、先生『方』ってなんだ、先生『方』って。え?俺達も入ってるの?
なんか、周りの冒険者も道を開け始めたんだけど……。
「ほう、アークプリーストか……それに、そこのフードの小僧は人間ではないな……面白い、貴様等をいたぶればそこの娘も少しは反省するか?」
奴は馬から降りて剣を取り出す。
やべぇ、こいつ完全にやる気満々だ……!
「……仕方ないやるぞ、迅!」
「オッケー!」
こんな時まで軽いなお前は!その能天気さがちょっと羨ましい!
「ねぇねぇ、私は?」
「アクアは支援魔法以外手を出すな、狙われたら守れる自信がねぇからな」
下手に手を出して、アイツの中のアクアの危険度が跳ね上がりでもしてみろ、俺達二人がかりでも止められる自信がない。
相手は騎士系の敵、だったら特殊攻撃系で攻めてみるか。俺はフレイミングタイガーをチョイスし、構える。
『Fire!』
『Wing!』
『Autnorize!』
キーをオーソライザーに翳すと、空からもはやお馴染みのバッタのライダモデルと、炎を纏った虎のライダモデルが落ちてくる。迅のベルト、フォースライザーからもファルコンのライダモデルが飛び出す。
「「変身!」」
『Progrize!』
『Forcerize…!』
迅がフォースライザーのアンカーを引くのと同時にプログライズキーをドライバーに差し込む。
『Gigant flare! Flaiming Tiger!Explosive power of 100 bombs.』
『Flying Falcon!Break down…!』
バッタとトラが同時に分解され最初から装甲が移動した状態で赤い装甲がさらに上から装備される。
トラのようなフェイスと両手に炎を吐き出す赤い装甲、『タイガーガントレット』が装備され、仮面ライダーゼロワンフレイミングタイガーに変身した。
「その奇怪な姿……なるほど、貴様等が最近近くのモンスターを狩っているという仮面の戦士か。俺への牽制のつもりだったか?」
いえ、全くそういった意志はございません……。俺はただこの脳天気な隼に連れ回されていただけでございます、と言いたいが言っても信じてもらえないんだろうから取り敢えず何も言わずに武器を構える。
『Bladerize!』
『Shotgunrize!』
「「うおぉぉぉぉぉ!!」」
俺がアタッシュカリバーを、迅がショットガンを展開し同時にデュラハンに向かって走り出す。同時に攻撃すれば、片手が頭で埋まっている今どちらかが剣を受け止めておけばもう片方が攻撃を仕掛けられる。
「ふっ、面白いっ!」
そう言ったデュラハンは頭を空に放り投げる。
迅が正面から銃口を向けるが、剣を振り下ろされそれのガードのためにショットガンを使う。そのすきに俺が背後からカリバーで切裂こうとするが、
「ふんっ!」
「うっ!」
「なにっ!?」
迅ごと剣を回転させ、背後にいる俺を斬り飛ばした。
「がはっ!」
「うぅ……!……忘れてた、あのデュラハンは魔眼のスキルを持ってるんだ……。」
「魔眼?」
「ほう、今の一太刀で動けるとは。思ったより丈夫な鎧だな」
さっき投げた頭をキャッチして余裕の佇まいのデュラハン。魔眼……そうか、さっき投げた頭。あれを頭上に放り投げることで死角をなくしたのか。
「クソッ……!変わった頭の使い方をしやがって!」
「どうする、カズマ?」
迅の質問に俺は思考を巡らせる。
迅のアタッシュショットガンは威力は強いが反動も強い。空中で標準を合わせるのは難しいだろう。頭を空中に投げた瞬間を迅に狙ってもらうしかないか……。
俺は両手から火炎を放射し、構える。それを見て悟った迅がショットガンを構える。
両手の炎を溜めて、巨大な炎球を生み出しそれを投げつける。だが、軽々とその炎を斬りさいた。そのすきに、俺は背後に周りゼロ距離で炎をぶつける。
「温いっ!」
「グハッ!」
しかし、奴の鎧は溶けた様子もなく熱を感じてるように見えない。そのまま蹴り飛ばされて、後方に下げられる。
「チィッ!炎じゃだめなら、電撃ならどうだ!」
『Thunder!』
『Autnorize!』
ライトニングホーネットのキーを取り出し、ドライバーに読み込ませる。空から巨大なハチが飛んできて、俺の周りを飛び回る。
『Progrize!』
『ラララ 雷鳴!雷電!電撃!Lightning Hornet!Piercing needle with incredible force.』
ハチがバラバラになると装甲へと変わり、ライトニングホーネットへと変身する。ハチをモチーフとしたフェイスと、蜂の巣のような胸装甲、右膝に蜂の針のようなパーツが装備されている。
「喰らえっ!」
胸部のアーマーから無数の蜂型のユニットがデュラハンへと向かっていく。デュラハンは再び頭を空に放り、デュラハンが蜂達を相手をしているうちに俺が背後から足の針で攻撃を仕掛けようとする。
「ふんっ!俺に小細工は聞かんぞ!」
だが、それも見透かされ斬られそうになるが……ライトニングホーネットに搭載された飛行能力でなんとか回避する。
「迅、今だっ!!」
「ラジャー!」
『Flying Kabanshot!』
アタッシュショットガンから放たれた、ファルコンのライダモデルがデュラハンの頭に向かっていく、よし、アレが本体だとすればこれで俺達の勝ち……!
「甘いわっ!」
だが、弾丸はベルディアの剣から放たれた紫の光によって掻き消される。
「そんなんありかっ!?」
なんて叫んでるうちに俺も他の弾丸に撃ち落とされる。
「グハッ……!」
ゴロゴロと地面を転がり胸を抑える。ゼロワンに変身してなかったら、とっくに死んでるレベルだぞ、コレ……!
しかし、空中への攻撃もできるとはあれじゃ直接飛んで攻撃しても撃ち落とされて終わりだ。
「カズマ、僕に考えがある。少しだけ時間を稼いでくれない?」
「……まっ、俺にはこれ以上策は思いつかねぇし。任せたぜ、相棒」
『Dash!』
『Autnorize!』
俺は機動力に優れたラッシングチーターのプログライズキーを起動させて、ドライバーに読み込ませる。
チーターのライダモデルとともにデュラハンに向かっていきながらベルトに、プログライズキーをドライバーに挿入する。
『Progrize!』
『スピーディーナンダー!Rushing
Cheetah!Try to outrun this demon to get left in the dust.』
並走していたチーターのライダモデルが装甲になり、チーターのフェイス、胸装甲になり、足には高速で動けるための加速装置が取り付けられている。
「行くぞっ!」
俺は他のフォームのときにはのときには出せなかった超高速移動で一気にデュラハンに肉薄する。
『Rushing Impact!』
空中でバク転し、そのままライダーキックを放つ。さらにチーターの脚力を利用して両足で連続キックを叩き込む。
「うおおおおおおおおおっ!!!」
「……手数は認めるが、一撃一撃が軽い!」
だが、それすら奴に通じず空中にかちあげられてしまう。そして、落ちてくる俺めがけて剣をデュラハンが剣を構えるが、
「カズマ、下がって!」
迅の声が聞こえ、振り抜かれる剣をギリギリのところで交わしそれを足場にして後ろへと飛ぶ。
『Freezing Kabanshot!』
俺が回避すると、背後から白い弾丸がデュラハンに向かっていく。デュラハンはそれを右腕で受けとめようとするが、
「なにっ!?」
デュラハンの手元が凍りつき、鎧に霜が降りる。鎧が凍ったせいでその部分が地味に動きが鈍くなる。
「カズマ、これが有効みたいだよっ!!」
迅はアタッシュショットガンに装填してあったプログライズキーを投げ渡す。
フリージングベアー。アビリティはブリザードか……なるほど、どんなに固くても鎧は鎧、鉄でできたものは凍りやすいし、氷が溶けにくい。
「わかったぜ、迅!」
『Blizzard!』
『Autnorize!』
3度目ならぬ、4度目の正直!ドライバーに読み込ませると、空から巨大なシロクマのライダモデルが落ちてくる。
『Progrize!』
『Attention freeze!Freezing Bear!Fierce breath as cold as arctic winds.』
俺に覆いかぶさるようにしたあとクマのライダモデルは装甲になる。
クマをモチーフにしたフェイスと、他の装甲とは違い半透明な装甲が元の装甲に装備されていて、両手にはフレイミングタイガーとよく似たガントレットが装備されている。
「さあ、行くぜぇ!」
両手のガントレットから、粉雪のような凍結剤を放射する。この冷気は防ぎようがない、剣で受け止めようが何しようが凍りつき動きはどんどん遅くなる。
「クッ……!」
確かに相性は抜群だな。あっ、いいこと思いついた!
俺は一気に接近して、懐に飛び込む。さっきまでならともかく氷のせいで鎧が動かしづらくなっていて鈍くなった攻撃を避けながら奴が持っている頭に冷気をかます。
「冷たっ!はっ、手が、頭が……!」
放たれた冷気が頭と手をくっつけてしまった。これで、魔眼とやらのスキルはもう使えまい。
『Freezing Impact!』
「はあぁぁぁぁぁぁ!!!」
ブログライズキーをドライバーに押し込み、必殺技を放つ準備をする。両手のガントレットにエネルギーが集中し、文字通りブリザードのように凍結剤が放たれる。
「ぐっ、うぅぅぅぅ……!」
凄まじい吹雪を喰らい、氷塊とかしたデュラハンに熊の爪で強力な一撃を放つ。
フ
リ
ー
ジ
ン
グ イ ン パ ク ト
氷が粉々に粉砕され、デュラハンは吹き飛ばされる。頼むからこれで決まってくれよと願うが……、
「……今のは効いだぞ」
「嘘、だろ……?」
今の俺の出せる全力だぞ……?全然効いてねぇじゃねぇか……。
「此度は随分楽しめた、だが、そろそろ紅魔の娘には俺の城を破壊した報いを受けてもらわねばならない。」
そう言って、デュラハンはおもむろに指先をめぐみんに向ける。
「『汝に死の宣告を……』」
「めぐみん、避けてっ!!」
「『お前は一週間後に死ぬだろう』!」
デュラハンの動きを見て、迅が叫び声を上げるがそれよりも先にデュラハンの指先から放たれた魔力がめぐみんへと飛んでいく。
「危ないっ!?」
「ダクネスッ!?」
咄嗟に近くにいたダクネスがめぐみんを突き飛ばし、奴の魔力を喰らう。
「ッ!」
紫の魔力はダクネスに直撃するが、大した変化は見られない。
「なんだ、今のは……!?」
「……『死の宣告』、デュラハンの固有スキルで対象に死の呪いを与えるものだよ」
「ほう、よく知っているな。少し予定が狂ったがお前達冒険者は結束が硬いからな。そのクルセイダーは一週間後に死ぬ!死の恐怖に怯え、苦しむことになるのだ。こうしたほうがその娘も苦しむだろう、精々自分の行いを悔い改めるといいっ!フハハっ!」
「ゲスがっ……!」
迅の説明にデュラハンが得意気に補足する。
だが、俺はこのとき暫くパーティを離れていたせいで忘れていた、
「な、何ということだ!すると、お前は呪いを解いてほしければどんないかがわしい要求でも飲めと、そう言うんだな!?」
「へ?」
うちのクルセイダーのドMっぷりを。
「見てくれカズマッ!あの兜の下のデュラハンの目を!あれは私を城へと連れ去り呪いを説いてほしくばどんなにハードコアな変態プレイを強行する変質者の目だ!」
「ええ〜〜〜!!!」
ちょっとだけ、デュラハンに同情した……。
「囚われの女騎士、なんとも燃えるシチュエーション……だが、行きたくない!行きたくはないが……仕方ない、行ってくりゅ!」
「落ち着け、バカタレ!」
デュラハンに向かって走っていこうとしたダクネスを俺と迅が必死になって止める。
「カズマ、僕の思考回路に理解不能な感情が行き交ってるよ」
「安心しろ、それは理解しなくていい感情だ」
「とっ、とにかく紅魔の娘よ。俺の城に爆裂魔法を撃つのはもうやめろ!そして、そこのクルセイダーを助けたければ我が城に来るがいい!!配下のアンデッドを蹴散らし、俺のもとへとたどり着ければな!」
そう言って、デュラハンは去っていった。
「めぐみん、どこに行く気だ」
俺は一人デュラハンが去っていった方向に歩き出すめぐみんの手を掴んで止める。
「今回は私の責任です。私が城に行って呪いを解除させてきます」
「やめとけ、お前じゃ一撃撃ったら終わりだ。俺も行く、ここでアイツを仕留められなかった俺の責任でもあるからな」
「そういうことなら、僕も」
「私も行こう。さっきはふざけて済まなかった。自分の呪いを解いてもらうのを人任せにするなど、騎士の名折れだ」
「……さっきの変態発言で十分騎士の名折れだと思うけどな」
「くぅっ!流石、カズマ。あの、デュラハン以上に私のツボを心得ている」
……戦力は俺とダクネス、迅とめぐみん。作戦によっては一撃与えることくらいはできるだろう。そう思い、城へと歩き出そうとしたとき。
「『セイクリッド・ブレイクスペル』!!」
アクアから放たれた神聖な光がダクネスに命中した。
「もう大丈夫よダクネス、呪いは解除したから!この私にかかればデュラハンの呪いも楽勝よ!」
……忘れてた、こいつ女神だった。
「ったく、折角皆やる気になってたのに、よ……?」
ドライバーからキーを抜いて変身を解いた瞬間、俺の視界が歪み足に力が入らなくなる。そのまま、地面に倒れそうになったとき迅が支えてくれたお陰で地面とのキスは免れた。
「……バイタルが大分低下してる。ちょっと無茶しすぎたみたいだね」
「……みたい、だな」
ダクネスの呪いが解けたおかげで痛みを抑えてた興奮物質の分泌が途絶えたのかさっきまでの戦闘での痛みが全身を駆け巡る。
「「「カズマッ!」」」
迅に支えられた俺のもとにアクア達が駆け寄ってくる。アクアが回復魔法で目に見える傷を治してくれる。
「カズマ……その……」
その中でこの騒動の原因であるめぐみんが申し訳なさそうに、今にも泣きそうな目で俺を見ている。
ったく、そんな顔をするなら最初からあんなことやるなよ……。だが、凹んでる子供相手に追い打ちをかけるほどの体力は俺には残っていない。
だから、めぐみんの帽子にポンッと手をおいて短くこう告げた。
「安心しろ……次は勝つ」
そうだ、今度こそ……アイツを倒す。それが、俺がこのドライバーを託された理由なんだからな。
「なぁ、迅……」
「なんだい、カズマ?」
「魔王軍の幹部って全部で何人いるんだ?」
「……僕が知ってる数が変わってなければ、魔王の幹部の席は全部で
「九人……そうか……。」
その後、迅は俺に何も言わずに街の中に戻っていった。
アレ?幹部の数が一つ多いなぁ、誰だろうなぁ?
六巻と七巻の間に記憶をなくしたカズマがライダーからプログライズキーを受け取るオリ章『継承編』をやろうと思うのですがどっちの案がいいでしょうか?
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それぞれの世界に行って力を受け取る
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一つの世界に揃ってて一人一人から受け取る