シンフォギアの消えた世界で   作:現実の夢想者

20 / 60
本編では描かれないもしくは描くつもりのない話を書いていきます。
特撮などのネタが好きではない方もいらっしゃるようなので番外編はサブタイで何を扱ってるかを分かり易くしておきます。

ただ、それを主に扱う話だからと言って装者達の日常がない訳ではないとだけ(汗
今回だけは割と重要な部分がありますし。


番外編 仮面ライダー編(BLACK・クウガ)

「只野さんはどのライダーが一番好きなんデスか?」

 

 ある日の事。俺が謎解きをしようとヴェイグと二人でスマホとにらめっこしようとしたところで切歌ちゃんがそう問いかけてきた。

 

「切歌ちゃん、それは一種戦争になりかねない質問だよ?」

「デデ?! ぶ、物騒デス……」

「分かり易く例えるなら、エルに誰のギアが一番好き? って聞くようなもの」

 

 そう告げた瞬間納得するかのように食事中の全員が頷いた。

 

「兄様、それでもきっといるんですよね? 一番好きなライダー」

「まぁ、そりゃあ……」

 

 ただ、正直一番好きなと言いつつ同率一位で二人いるんだよなぁ。

 

「もしかしてさ、それってRXって奴?」

「ああ、只野さんが奏の歓迎会で歌ったね」

「そういや、あれ、あたしらと行った時にも歌ってたな」

「只野さん、どうなんですか?」

 

 ま、聞いての通り今朝は天羽さん達もいたりする。何故って? 今日は久々の全員揃っての休みなんだ。

 俺が二連休を取ったので、今回はその初日ではなく二日目に合わせてくれたらしい。

 

「半分当たり」

「半分?」

 

 そう言って箸を口に咥えたまま首を傾げるセレナ。イヴさんに見つからない内に止めた方がいいと思うよ。

 

「正解は、BLACKとBLACK RXだ」

「二人じゃないデスか!」

「切歌ちゃん、世の中には同率一位という言葉があってね」

「その二人、名前が似てますけど別人なんですか?」

 

 そこでそういう事に気付いてくれる辺りが調ちゃんの賢いところ。

 

「実は、このライダーは少々特殊なんだ」

 

 さて、では話そうか。中々ライダーの中でも重たい設定と物語の存在を。

 

「仮面ライダーBLACK、南光太郎は十九歳を迎えた日、同じ日に生まれた幼馴染であり親友の秋月信彦と共に誕生パーティーを行っていた。その最中、突如として大量の蝗が出現しパーティー会場を襲う。光太郎が気付いた時にはどこか分からぬ場所に裸で寝かされていて、隣には同じような状態の信彦の姿があった」

「い、いきなり凄い展開デス……」

「幼馴染で親友……」

「しかも誕生日まで一緒なんて……」

 

 早速響と未来が予想通りの場所に食い付いた。ならもう一つ追加情報を。

 

「実は二人が生まれたのは皆既日食の日だったんだ。それもあって、二人はある組織に生まれた時から狙われていた」

「ある組織?」

「その名も、暗黒結社ゴルゴム」

「あ、怪しいなんてもんじゃねぇぞ!」

「いかにも悪の組織って感じだね、暗黒結社って」

「パヴァリアって、凄くマシな名前だってよく分かった」

 

 みんな好き勝手言うけど実際そういう目的で組織名は付けられてるんだから仕方ない。

 でもいつまでそんな空気でいられるか。チラリとみんなの食事の進行度を見ればもう食べ終わるぐらいかな。

 

「光太郎と信彦はゴルゴムによって世紀王と言う存在に選ばれた。それは五万年に一度の皆既日食の日に生まれた者へキングストーンと呼ばれる石を埋め込み、改造する事で誕生する怪人だ」

「怪人……」

「や、やっぱりそうなるデスかっ!」

「でもさ、二人いるんだろ? じゃ、その二人はダブルライダーになるんじゃない?」

 

 天羽さん、その読みはある意味でアタリだよ。ただし、悲しい方向に、だけど。

 

「光太郎と信彦の体が改造され、更に脳改造まで行われようとしたその時だ。信彦の父がその場へ現れた。脳改造とは記憶を持ったままゴルゴムの世紀王に相応しい思考を持たせる事。言うなれば人格改造だ。人としての良心や優しさと言ったものを捨てさせる事を意味する」

「そんな……」

「もしかして、仮面ライダーってみんな?」

「一部は違うけど、概ね組織によって改造された場合はそう。みんな脳改造前に色々事情があって間一髪脱出出来ているんだ」

 

 そう告げるとみんなが同じような顔をした。これは、あれだな。気付いたかな?

 

「あ、あの、以前の映画でダブルライダーは洗脳されてました。でも、もしかしてあれって」

「きっとその方がショッカーとしては面白かったからだろうな。脳改造じゃ単なる怪人バッタ男だ。洗脳という手段にする事で仮面ライダーのまま、自分達が守ろうとしていたものを自分達の意思で破壊し蹂躙させるって事だろうさ」

「最低ね……」

「創作物とはいえ、悪逆非道の極みだ。ショッカー、何と恐ろしく怒りを感じる組織だろうか」

 

 おーおー、全員から強い弱いの差こそあれ怒気が漂ってきた。なら、一旦ここで話を止めようか。

 

「話が逸れたし、一旦ここで止めておこう。みんな食べ終わって後片付け終わったら続きを話すよ。BLACKの悲しく辛く、重たい戦いの物語を」

「タダノは本当に気になるところで話を止めるな。俺にだけ教えてくれ」

「ヴェイグさんズルいです。僕だって気になります」

「デスデス!」

 

 すっかり特撮ファンのエル&切歌ちゃんである。でもチラリと視線を向ければ響は俺を見て小さく苦笑してきた。

 まぁ、響は以前聞いてるもんな。ただし、俺が好きな事だけであり詳しい話はしていない。BLACKとRXが大好きなライダーで必殺技がカッコ良くてさ、ぐらいである。

 

 俺はエルと切歌ちゃんに慌てないでいいからと告げ、ヴェイグにはBLACKの話の代わりに変身ポーズを教える事に。

 

「まずこうやって構える」

「……こうか?」

「そして……こうっ!」

「……ぐぐっ!」

「眼差しは敵を睨むようにしながらっ! 変……身っ!」

「しんっ!」

「それによりベルトのキングストーンが光を放ち、体が一瞬バッタ怪人へ変わるもすぐにキングストーンのエネルギーにより体が強化変身しリプラスフォームという強化皮膚へと変わっていく。左胸にはゴルゴムを意味するマークが出現し、その場から跳び上がる」

「ふんふん」

「着地し振り返るように立ち上がる。全身の関節部から変身による余剰エネルギーが煙のように噴き出す中、怪人へ対してこう構えながら告げる。仮面ライダー、BLACKっ!」

「お~……」

 

 パチパチと拍手をしてくれるヴェイグを見て、俺は何というか男の子が出来た父親な気分だった。

 というか途中までヴェイグもやってたから可愛いのなんの。あ、ほら、翼とイヴさんが悶えてる。

 で、セレナや調ちゃんは可愛いと言っていたし、未来や響も同じ事を言いながら笑顔だ。

 

「ヴェイグ、もう一回やってみてくれ」

「よし、見てろ」

 

 そうして始まるヴェイグの変身ポーズ。体の大きさもあってかメチャクチャキュートである。見ているみんながキュンキュンしているのが見てるだけで伝わってくるのだ。

 

 そうしていると後片付けを始めるのは何と未来とクリスに響。だからかエルや切歌ちゃんがワクワクした顔でやってくる。

 成程、二人のために片付けを引き受けたのか。優しい先輩達だ。だが申し訳ないが俺は全員に聞かせたいモードなので話すつもりはない。

 

「兄様、キングストーンとはどういう物なのですか?」

「さっき変身する時に一瞬怪人になるって言ってたデスけど……?」

「それと、ブラックは名乗るんですね」

「そうなんだよ。RXなんか名乗り口上が付くんだ」

「「「「こうじょう?」」」」

 

 揃って疑問符を浮かべる年少四人へ、俺はならばと足を軽く開いて構えを取る。

 

「変身っ!」

「「「「「おおっ!」」」」」

 

 ヴェイグまで目をキラキラさせてこちらを見てくるので、俺はもう気分は南光太郎な感じで動く。

 RXの変身ポーズは簡単なようで難しい。しっかり要所要所でピタッと止める事を意識しないとカッコ良くならないのだ。

 

 それを終えて俺は片腕を腰に、もう片腕をピンッと伸ばすようにして手を空へ向ける。

 イメージは全身から光を放つ時のように。

 

「俺は、太陽の子っ!」

 

 腕を下ろして告げる。気分はクライシス怪人を前にしたRXだ。で、ここからが難しい。BLACKの時よりも複雑でカッコよくなった動きで腕を動かしていく。

 

「仮面ライダー、BLACKっ! RXっ!!」

「「「「「お~」」」」」

 

 ここの腕の動きは本気で難しい。だからこそ決まるとこの上なくカッコイイのだ。

 

「子供達の夢を奪い、踏み躙るクライシスっ! この俺がいる限り、お前達の好きにはさせないっ!」

 

 で、ついノリ過ぎてそれっぽい台詞まで言った辺りで洗い物終了のお知らせである。年少組以外のやや苦笑した眼差しが痛い……。

 

「クライシス、デスか?」

「それがアールエックスの敵組織なんですね」

「うん、そう。クライシス帝国って言うんだ」

「あの、只野さん。今のポーズとさっきのポーズ、かなり似てましたけど」

「タダノ、もう一度腕の動きをやってくれ。速過ぎて分からなかった」

「気持ちは嬉しいけどそろそろ話の続きをしようか」

 

 そう告げると切歌ちゃんとエル、それにヴェイグが大人しくなる。それにセレナと調ちゃんが苦笑する。本当にこの五人は良いチームだ。

 残りの先輩達も聞く体勢だし、なら始めますかね。えっと、脳改造云々までは話したか。

 

「信彦の父の乱入により改造手術は中断され、光太郎は養父でもある彼に言われるままその場から逃げ出す事となる。訳も分からず逃げて、彼はそこで一台の奇妙なバイクを見つける。それはバトルホッパーと言う名の意思を持つ生体メカであり世紀王専用マシンだった。それに導かれるまま無我夢中でゴルゴムのアジトを脱出した光太郎だったが、そんな彼をゴルゴムの三神官という幹部達が執拗に追い駆ける」

 

 視線をエルや切歌ちゃんなどへ合わせながら語る。二人は目を真剣なものにしてこちらを見つめていた。

 

「脱出したままの姿で夜の街を走る光太郎。そんな彼へ三神官の一人であるダロムがサイコキネシスで攻撃を加える。強力な念動力で光太郎の体が宙を舞い、巨大なネオンサインへと叩きつけられる。その常人なら死んでいるはずの電流に光太郎の体は傷一つ負わない。更にサイコキネシスで光太郎の体は大きく投げ飛ばされるように壁へと激突。その開いた穴の前へ三神官が近付くと、中からゆっくりと表れたのはバッタ怪人。それが瞬時に黒い体と赤い目を持つ存在へと変わった」

「それが……」

「仮面ライダーブラック……」

「無意識に変身した光太郎は、訳も分からずその体に溢れる力を使って三神官と戦い始める。その力を使い、BLACKは何とか三神官を撤退させる事に成功。更にそこへ現れたバトルホッパーに跨り、彼はどこかへと消えた」

 

 っと、とりあえず導入までは話した。こうなると映像を見せるのが一番いいんだが、如何せんBLACKの映画は昔のもので短い時間の映画が二つだけ。TVシリーズとなると一年もあるのだから長い長い。

 仕方ないから言葉だけでおおまかな話をする事に。改造されたせいで力がこれまでと変わってしまっている事を知り、今までと同じような生活を送るには力の調整が必要になった事を告げるとみんなが悲痛な顔をした。

 

「力の制御……ですか」

「うん。改造された事で普段の姿でも凄い力が出るようになったんだ。それに光太郎は最初気付かなかった」

「……兄様が教えてくれた漫画の言葉でしたね。人の振りぐらいは出来る」

「そう。昭和ライダー達はその力を普段抑える事で人間らしく振舞っている。これもまた改造人間の悲哀だ」

 

 SPIRITSを少しだけ教えたエルが言ってくれた言葉に響達が絶句するのを見て、俺はそう告げた。

 次に光太郎の両親がゴルゴムに殺された理由を話せば……

 

「事故に見せかけて飛行機ごと……」

「しかも理由が自分の子供を世紀王にしたくないと反対したから? 親として当然じゃない!」

 

 クリスが自分に重ねて静かに怒れば、イヴさんは今にも拳を握り締めそうなテンションで怒る。

 

「それがあったから秋月さんは息子を改造人間にする事を反対しなかったんだ……」

「でも、やっぱり本心では嫌だったから最後の最後で邪魔を……」

 

 響と未来は怒りではなく理解と悲しみを。本当にこの子達は凄いよなぁ。多分だけど自分達の事もあるから南光太郎もどこかの世界にいるって思っているんだろう。

 

「その養父をゴルゴムは捕まえ、光太郎への見せしめとして殺してしまうんだ。ゴルゴムに逆らう事がどういう意味かって」

「非道な……」

「それで、当然光太郎は戦うんだよな?」

「そう。養父の亡骸をそっと下ろし、その悲しみと怒りを爆発させるように初めて彼は自分の意思で変身するんだ。そこで名乗る名は、世紀王ブラックサンではなく人類の守護者たる仮面ライダーだった」

「そっか。ブラックってそこからもきてるんだ」

「ちなみに当時の流行色が黒だったからってのもある」

 

 そう言うと納得する声がちょこちょこ上がる。ついでに原作者のライダーに関係した名言を教える事にした。

 

「時代が望む時、仮面ライダーは必ず甦る……かぁ」

「何か、凄い言葉だよな。時代が望むってよ」

「でも、実際あの映画を見た後だとそう思うわ。時代、つまりその時に生きる人々でしょ?」

「そうだろうね。人々の想いがライダーを望めばいつでもライダーは甦る。ああ、あの映画まんまじゃないか」

 

 天羽さんの言葉に俺は頷く。そう、あの映画はその言葉を知っていれば納得しかないんだ。

 というか、思った以上にライダーがみんなに刺さってるようで嬉しい。まぁ、ライダーの在り方って人の影になってその暮らしを守るだもんな。装者のやっている事にかなり近いからそりゃ親近感も湧くか。

 

「じゃ、ここからは本当に短くいくよ? 一人ゴルゴムと戦う事に決めた光太郎は、信彦を助け出すためにその妹である杏子や信彦の婚約者の克美に心を支えられながら孤独な戦いを繰り返す。そんな中、世紀王になれなかったビルゲニアという強敵が現れる。これまでのゴルゴム怪人と違い、BLACKを追い詰める事もある実力者だったんだけど、それでもBLACKを倒す事は出来なかった。そんなビルゲニアへ創世王はサタンサーベルという次期創世王の証とも言える物を渡す」

「何かとんでもなさそうなのが出て来たな」

「名前からしてヤバそうデス……」

「サタンサーベル、だもんね」

 

 そうだろうな。実際これが出てきて一気にビルゲニアの恐ろしさは増すんだ。

 

「その力は凄まじく、BLACKも何度も窮地に追い込まれる。それでも何とか切り抜け続けるBLACKへ更なる試練が訪れる」

「試練……」

「ビルゲニアの台頭を快く思わない三神官は、遂に自分達の胸にある天の石、(かい)の石、地の石のエネルギーを使ってシャドームーンを目覚めさせる事を決める」

「「「「「「「「「「「しゃどーむーん?」」」」」」」」」」」

「改造された信彦の事だよ。光太郎のキングストーンは太陽の石で信彦のキングストーンは月の石。だから黒い太陽と影の月って名前なのさ」

「か、カッコイイデス……」

「太陽と月とは、暁と月読を連想するな」

「まぁある意味でよくあるモチーフや対比だからな。仕方ねーか」

 

 何と言うか、この状況でそう言うとこの後の話が少々辛い。まぁそれがなくても辛いので今更ではあるんだが……。

 

「石の力を使い過ぎれば三神官の命もない。それでも三人はシャドームーンへエネルギーを注ぎ続ける。その頃、ビルゲニアはBLACKと戦闘しており、いよいよBLACKを追い詰めようとしていた」

「ドキドキ……」

「ハラハラデス……」

「が、トドメとばかりにサタンサーベルを振り下ろそうとした瞬間、サタンサーベルがどこかへと飛んでいってしまう。それに動揺するビルゲニアへBLACKは反撃し痛手を負わせる事に成功するも、トドメを刺す事が出来ず逃げられてしまった」

「飛んでったって……一体どうして?」

「も、もしかしてシャドームーンが目覚めたから、とか?」

「セレナ正解。そう、世紀王であるシャドームーンがサタンサーベルを呼び寄せたんだ。アジトへ戻ったビルゲニアが見たのは、銀色の体と緑の目を持つ仮面ライダー然とした存在だった」

「銀色の体に緑の目……」

「ぶ、ブラックと全然違うデスね」

 

 そこで俺は自分のスマホを使って画像検索。あったあった。

 

「はい、これがシャドームーン。ライバルキャラとしてこれ以上ないぐらいカッコイイよ」

 

 まずヴェイグへ見せる。

 

「……たしかに強そうだ。それにあのえいがに出て来たな」

「そうそう」

「ヴェ、ヴェイグさん、僕にも見せてください」

「ああ」

 

 で、ヴェイグからエルへ。って、すぐに切歌ちゃんとセレナが傍へ行く。それにイヴさん達が苦笑。

 

「「「お~っ……」」」

「しかも歩く度にカシャッカシャッ、って独特の音がするんだ。映画でも再現されていたけど、BLACKではよりそれがカッコ良くてね」

「ほうほう。あっ、調どうぞデス」

「うん」

 

 今度は調ちゃんへ渡り、残りの面々が覗き込む。そして上がる感嘆符。だろうなぁ。正直シャドームーンのデザインは神がかってるレベルだし、みんなもあの映画でちゃんと覚えていたんだろう。

 そう思っていると少ししてスマホが帰ってきた。さて、ならいよいよ重たく辛く苦しい展開へ突入だ。

 

「ビルゲニアをサタンサーベルで一刀両断し、シャドームーンは宣言するんだ。これよりゴルゴムの指揮は私が執ると。そして光太郎の前に姿を見せてビルゲニアが死んだ事を告げ、宣戦布告を行う。それを受け、光太郎は呟く。甦ったんだな、信彦……と」

「も、もしかしなくてもこれからは幼馴染で戦うデスかっ!?」

「に、兄様っ! 信彦さんはちゃんと光太郎さんのようになれるんですよね!?」

「……シャドームーンは脳改造までされてしまい、信彦としての記憶を持ちながらもその思考はゴルゴムの世紀王に相応しいものへなっていた。何とかしてそれを元に戻そうと奮闘するBLACKだったが、本来の大怪人へ戻った三神官との戦いは熾烈を極める。それでもクジラ怪人という理解者を得て、ビシュム、バラオムといった二体の大怪人を倒す事に成功する」

 

 敢えて二人の質問へ答えないようにして話を進める。それで気付く子も出るかもしれないが、構わない。それも含めて俺はBLACKが好きなんだ。

 

「一方ゴルゴムでは寿命が尽きようとしていた創世王がシャドームーンへBLACKとの直接対決を望み、それにシャドームーンは応じる事となる。こうして遂に二人の世紀王が直接対決する事となった。元の優しい信彦に戻ってくれと叫ぶBLACKと自分は次期創世王だと返すシャドームーン。その戦いは互角に思われた。だが、これまでの戦いで経験を積んだ分BLACKが僅かに優勢を作る。ライダーパンチがシャドームーンへ炸裂し、それを見て助けに入ろうとするダロム達へ手出しするなと一喝するシャドームーンへBLACKはライダーキックを放ち、遂にシャドームーンが敗北する……かに思われた」

「「「「「「えっ?」」」」」」

 

 年少組に加えてヴェイグと響が疑問符を浮かべる。でも残りは何かを察して苦い顔。

 

「このままではシャドームーンが負けると思った創世王は、何と一時的にシャドームーンの姿を信彦へ戻す」

「それって……」

「まさか……」

 

 響と未来が嫌そうな顔をする。ああ、そうか。君達は似たような事を互いに経験してるか。

 

「動揺するBLACKへ信彦は手を伸ばして光太郎の名を呼ぶ。その瞬間、弾かれたようにBLACKは信彦へ駆け寄りその手を掴む。その次の瞬間、信彦の体はシャドームーンへ戻り、BLACKは無防備なところへ一撃を加えられる。一転してピンチとなったBLACKへ遂にサタンサーベルがその体を斬り裂く様に振り下ろされた」

「……何とも後味の悪い結末だ」

「酷過ぎるだろ……。一瞬だけ戻ったように見せるとか……」

「でも、それが凄く効果的なんだよ。私には、それがよく分かる」

「響……」

 

 未来が心配そうに響の事を見つめる。実際シェム・ハがそれをやり、響達の優勢を一気に崩したからな。

 

「先程とは逆にBLACKが地に倒れ、シャドームーンがその腹部へサタンサーベルを突き立ててキングストーンを奪おうとする。その時、BLACKの体が光太郎へと戻った。それを見て何故かシャドームーンの動きが止まる。しばしの間の後、シャドームーンはサタンサーベルを下ろして呟くんだ。出来ないと」

 

 その瞬間みんなの息を呑む音が聞こえた。

 

「創世王にどれだけ促されてもシャドームーンは決して光太郎の腹部を裂こうとはしなかった。それは、まるで信彦としての記憶が、想いが、植え付けられた人格へ抗っているようにも見えた。最後にシャドームーンは、自分は二つのキングストーンがなくても創世王になってみせると叫びその場から撤退するんだ。そして誰もいなくなったその場へ二人の戦いを見守っていた杏子と克美が姿を見せてBLACKへと駆け寄る。何とかまだ息があったBLACKは二人へ日本を出るように告げる。自分が死ねばゴルゴムを止める者はいなくなる。そうなったら日本は危険だと」

「そ、そんな……」

「嘘デス……ライダーが、ヒーローが死ぬなんて嘘デスよぉ」

「ちなみにその話のサブタイトルはライダー死す。本当にその通りになってしまうんだ」

「マジ……かよ……」

 

 クリスの声が全てと言っていいだろう。本気で俺も見た時は言葉を失ったんだ。それぐらい、あの絶望感は凄かった。

 

「その後、BLACKが横たわる場所は戦いの影響なのか崩れ落ち、二人の目の前からライダーは消えてしまう。そして二人はBLACKの言葉通り、何とか命からがら日本を離れる。その際、色々なものへ別れを告げるように海へ花束を投げ入れて」

「ほ、本当にそんな終わりなんデスか? 希望は、救いはないんデスか?」

「……その花束は海へ沈んでいく。するとそれを受け止めるものがいた」

「「「「「「「「「「「えっ」」」」」」」」」」」

「クジラ怪人。彼はゴルゴムを離れ愛する海の中で静かに暮らしていたんだ。そして彼は実は密かにBLACKの体を自分達の一族に伝わる洞窟へ運んでいた」

「す、凄いデス。なら、やっぱりライダーは死んでないんデスね」

「いや、本当に死んではいたんだ。ただ、おそらく仮死状態に近いと思うよ。そんなBLACKへクジラ怪人は命のエキスと呼ばれるものを与える。その力でBLACKは復活するんだ。しかも前よりも力を増して」

「「「やったぁ! (デスっ!)」」」

 

 喜び合う切歌ちゃんとエル。そしてセレナ。本当にこの子達は可愛い。女の子なのにここまで男の子向けで喜んでくれるのは、やはりどこかでそれを現実と捉えてくれているからなんだろう。

 響と未来だけは複雑な顔をしてる。うん、すまないがきっと二人の想像通りの結末だ。でも、それがないとRXのあの話へ続かない。

 

「復活したBLACKはダロムを撃破し、ゴルゴムに支配された日本を解放するためにゴルゴムの本拠地へクジラ怪人に案内されながら向かう。その最中、創世王によって強制転移させられたBLACKはシャドームーンとの決戦を強いられてしまう。それでも、以前の敗北を糧に心を強く持って、BLACKはシャドームーンと戦いを始めた。もう迷わない。自分が負ければこの世界は闇の手に落ちる。その想いを胸に、BLACKはシャドームーンと激闘を繰り広げた。その結果、本気で倒そうと渾身のライダーキックを放つ。それを庇って最後のゴルゴム怪人でありクジラ怪人を殺したトゲウオ怪人が犠牲となり、シャドームーンは何とか生き延びる」

「クジラ怪人、死んじゃったデスか……」

「ああ。それを助けようと変身したところを創世王に転移させられたんだよ」

「クジラ怪人さん……」

「海を守ってくれ。それがクジラ怪人の最後の言葉だ。彼は誰よりも海を、自然を愛していた。それを守って欲しいとBLACKへ頼んでいたんだ。ゴルゴムからも、人類からも」

「……怪人さえも自然破壊へ想いを馳せるのに」

「耳の痛い話だ。そういう意味では我々もゴルゴムに近い事をしているか……」

 

 調ちゃんと翼が悲痛な表情を見せた。実際俺も思う時はある。本当にいつまでも人類は変わらないって。

 初代ゴジラの頃から半世紀以上。なのに未だに核開発は終わる事無く、人間は科学を悪用している部分がある。

 それはきっと彼女達の世界でもだろう。いや、むしろ聖遺物なんてものがあるだけ向こうの方が酷いかもしれない。

 

「追い詰められたシャドームーンは、あろう事かBLACKの相棒とも言えるバトルホッパーを呼び出す」

「ナンデストォ!?」

「ど、どうしてそんな事が出来るんですか!?」

「ま、待ってください! そういえば世紀王専用バイクって言ってました! だからですよね!」

「エル、正解。そう、バトルホッパーはサタンサーベルと同じで本来世紀王の物。だから世紀王であるシャドームーンもバトルホッパーを呼べる」

 

 これがBLACKの悲壮な結末の大きな要素でもあるんだよなぁ。何せ長きに渡り共に支え合ってきた存在であるバトルホッパーまで……。

 

「バトルホッパーでBLACKを痛めつけるシャドームーンだったが、BLACKはバトルホッパーが望まず動かされてる事に気付く。生体メカであるバトルホッパーには意思があるんだ。その目が涙を流していると知ったBLACKはキングストーンの光でシャドームーンの支配からバトルホッパーを解き放った。自由を取り戻したんだ」

 

 それに安堵するような表情を見せるみんなを見て心を痛めながら俺は続きを話す。

 

「今までのお返しとばかりにBLACKを守るように戦うバトルホッパー。それに対してシャドームーンがサタンサーベルで斬りかかる。ボディを傷付けられ、目を貫かれ、それでもバトルホッパーは戦う事を止めなかった。最後にはシャドームーンへ体当たりしての自爆攻撃まで行い、BLACKを守った」

「そんな……」

「……守りたい者があって、そのために己の命さえも賭けるとは……」

「バイクじゃないね、それは。もう、一つの命だよ。言葉を喋らないだけで、あたしらと変わらないさ」

 

 天羽さんの言葉に俺は何とも言えない気分となった。いや、だって、このタイミングでそう言われたら逆に言い辛いだろ。何せ最後の最期にバトルホッパーは喋るんだ。

 

「……BLACKが慌ててバトルホッパーへ駆け寄ると、まだ辛うじてバトルホッパーは意識を保っていた。そしてこう発したんだ。アリガトウ、ライダーって」

 

 しんと室内が静まり返った。俺はだよなぁと思いつつどうしたものかと悩んだが、やはりここまで来たら話を最後までしようと思って口を開こうとした時だった。

 

「……ぐすっ」

 

 何とエルが泣いていたのである。いや、エルだけじゃない切歌ちゃんやヴェイグ、セレナまで泣いてる。って、おいおい調ちゃんまで?

 

「それが……初めて喋った言葉とか、泣けるデスよぉ」

「さよならじゃなくてありがとう、なんですね。バトルホッパー、嬉しかったんだ。ブラックが自分を助けてくれて」

「う、うん。そうだね」

 

 まさかここまで刺さるとは。いや、まぁ、本編でも屈指の名シーンだけど。その後、バトルホッパーの亡骸を背にサタンサーベルを手にして歩き出すBLACKはとても覚悟や悲壮感が伝わってきて、何とも言えないぐらいカッコイイけども。

 

 そういえば切歌ちゃんと調ちゃんはメカ絡みで色々あった子達だ。じゃ、泣くのも納得だ。

 

「最後の最期に自分の気持ちを言葉で伝えられたのなら、そいつも満足だっただろう」

「きっとそうです。バトルホッパーさんは、絶対笑顔で眠ったはずです! ぐすんっ」

 

 セレナの言葉に別の意味で胸が痛い。ああ、RXの話するの止めようかな。この感動をある意味でぶち壊すような気がしてきたんだけど……。

 

「只野、続きをお願いしていい? このままじゃセレナ達が泣き続けるわ」

「そ、そうだね。じゃあ……」

 

 イヴさんの言葉に促され、俺は気を取り直して話を再開する。

 

「そして遂に世紀王二人の決着の時もくる。シャドームーンがバトルホッパーの自爆でサタンサーベルを落としたまま撤退し、BLACKはそのサタンサーベルを拾ってバトルホッパーの亡骸を背に歩き出す。向かうはゴルゴムの本拠地。最早誰も守る者がいなくなったそこの中枢でBLACKとシャドームーンが対峙する。先程のダメージが癒えてないまま、シャドームーンはシャドーキックを放とうとするが、それを見てBLACKは止めるんだ。その状態でシャドーキックを使えば命にかかわると」

「ど、どうしてデスか?」

「切ちゃん、私達がリンカーなしでギアを限界まで使おうとするのと同じじゃない?」

「……納得しかないデス」

「そこまできても、やっぱりブラックはシャドームーンを思うんですね」

「割り切ったつもりでも、ふとした時に本音が出る、か。今の私には分からないでもない」

 

 若干ではあるが空気が重くなってるな。でも、それでいいんだ。これは、ヒーローの物語だけど辛く苦しい。それは今まで彼女達が触れてこなかった一種のヒーローものの側面でもあるんだから。

 

「BLACKの制止を振り切り、シャドームーンはシャドーキックを放とうとする。それに合わせてBLACKも飛んで叫ぶ。信彦の名を。その繰り出したサタンサーベルの一撃がシャドームーンのベルトを斬り付け、二人は着地する」

 

 誰も何も言わない。きっとその脳内にはその構図が浮かんでいるんだろう。

 

「ぐらりと体を揺らし倒れるシャドームーン。BLACKが駆け寄り抱き抱えると、シャドームーンは今にも息絶えそうな声でこう告げる。サタンサーベルを持たせてくれ。それが無ければ心細くて地獄にも行けない、と」

「だ、ダメデスっ! そんなの嘘デスっ!」

「で、でも、もしかしたら本当に死にかけてるのかもしれません」

「弱々しい声でシャドームーンは続ける。頼む、ブラックサン」

「き、切歌お姉ちゃん!」

「だ、ダメデス……きっと、渡したらそれでブラックを殺そうとするに決まってます……」

「切ちゃん、シャドームーンは親友の信彦さんでもあるんだよ? もしかした最後にその心を取り戻してくれたかもしれない」

「ううっ、そ、そうなんデスかね?」

 

 うわぁ、何というピュア。映像があったらもう答えは出てるけど、話だからこの子達はじっくり考える事が出来るんだろうな。

 切歌ちゃんはさすがそろそろヒーロー物のお約束が分かりつつある。対してエルはまだ純粋に考え、光を信じている。調ちゃんは……半々だろうか?

 

 で、さすがに年長組は分かってるのか苦い顔だ。ただ、これはその少しだけ上を行って突き落としてくるんだ。

 

「BLACKはその言葉を聞き、シャドームーンの手へサタンサーベルを握らせる。すると次の瞬間それをBLACKの喉元へ突きつけたっ!」

「やっぱりデスっ!」

「そんな……」

「静寂が二人を包む。身動き出来ないBLACKだったが、シャドームーンの手が下がった」

「「「「ほっ……」」」」

「限界、だったのだろうな」

「それでも最後にヒヤリとさせるとか、マジで厄介だな」

 

 年少組が揃って安堵し、年長組が予想通りという反応だ。

 

「もう手に力が入らない。そう力なく告げるシャドームーンを寝かせたBLACKへ、どこからともなく創世王の声が響く。シャドームーンのキングストーンを奪い自分の下へ来いと。声の後に出現した穴へBLACKが向かうとそこには巨大な心臓のような存在がいた」

「きょ、巨大な心臓、デスか?」

「創世王とは体を失った存在なのですね?」

「っ?! まさか、二人の世紀王を戦わせて残った方が創世王になるって、その心臓がその体を乗っ取るからじゃないでしょうね?」

 

 イヴさんの考察力には恐れ入る。そう、実際それに近い事をS.I.Cでやったんだよなぁ。

 

「そう考える事も出来ると言われてる。とにかくBLACKは全ての悲劇の原因である創世王を倒そうとするも、その前には強力なバリアが張られていた。ならばとBLACKはバトルホッパーと同じように自分を支えてくれたもう一台の愛機であるロードセクターを呼ぶ」

「そんなのがあるんですね」

「詳しい話はレンタルデスか……」

「切ちゃん、ファイト」

「す、少しなら私もお金出しますよ?」

「セレナのお小遣いは大丈夫デス。只野さんにおねだりするからへいき、へっちゃらデス」

「それ私の?!」

「響の言葉、取られちゃったね」

 

 うーん、切歌ちゃんの場を明るくしよう精神は凄い。今ので少しだけ空気が変わった。本当にいい子だよ。

 

 ……その行為を無に帰すような事言うけど。

 

「ロードセクターでバリアを破ったBLACKだったけど、そこで創世王は自分がいる場所の下は地球の中心へ繋がっていると言い出す。もしBLACKがそこから動けば自分は残ったエネルギーを中心で開放し地球を破壊すると告げた。それを阻止したければ大人しくシャドームーンからキングストーンを取り出して創世王になれと迫って」

「こ、ここまで来て親玉の癖にこすい手ぇ使いやがって……」

「往生際の悪い奴だね」

「只野、そこからどう逆転するのよ?」

「シャドームーンがやった事を覚えているかい? 世紀王だから彼はバトルホッパーを呼べた。それをBLACKは思い出してある物を呼び寄せるんだ」

 

 そこで年少組が揃って唸り出し、同時に気付いた顔でこちらを見た。

 

「「「「サタンサーベルっ!」」」」

「そう、BLACKがそう叫んだ瞬間、シャドームーンが握っていたサタンサーベルから手を離す。ブラックサン、南光太郎と呟いて」

「信彦さん……」

「やっぱり……二人は親友なんですね……」

 

 本気で切歌ちゃんとエルは俺のせいで道を歪めた気がするなぁ。でも、ごめん。可愛い女の子と特撮トークなんて楽しくて仕方ないんだ。許してくれ。

 

「最期だ、創世王っ! その言葉と共にサタンサーベルが創世王を貫き、恐ろしい行動を阻止させた。だが創世王は自分がいつか復活する事を言い残してその場から息絶えるようにマグマの中へ落下する。そして創世王の力を失い崩れ始めるゴルゴムの本拠地。BLACKはロードセクターで脱出しようとするが、途中でシャドームーンを助けようとした。しかし彼はそれを拒否しこう言い残す。忘れるな。お前はこの私を、親友である秋月信彦を殺したんだと」

 

 間違いなく空気が凍った。特に響と未来、切歌ちゃんと調ちゃんの表情が強張ってる。

 

「崩れ落ちる本拠地にシャドームーンの私こそ次期創世王だとの叫び声が虚しく響く。戦いが終わり、まるでゴルゴムやそれに関連する全てを洗い流すように雨が降り続け、光太郎はその雨の中、信彦の名を悲しげに叫びながらサタンサーベルを投げるとそれは音もなく消滅する。やがて雨が止み、光太郎は杏子や克美と共に過ごしていた喫茶店キャピトラへ足を踏み入れる。最早誰もいないそこで在りし日の平和な時を写した写真を見つめた後、彼は一人バイクに乗ってあてもない旅へ出る。世界は救われた。ゴルゴムは滅び、再び世界には平和が訪れた。その影に、誰に知られる事なく親しい存在を全て失い、もっとも助けたかった相手さえ自らの手で殺す事しか出来なかった男の存在を隠して」

 

 さすがの切歌ちゃんでさえも何も言えないのか黙ってしまった。でも、これが昭和のヒーローの中でもかなり重たい部類になる存在だ。

 

「あ、あの、本当にそれで終わりなんですか?」

「そうだよ。みんながこれまで見てきたヒーローは明るい結末ばかりだったかもしれない。でも、こういう存在もいるんだ。俺がBLACKを好きな理由はこの苦い結末とそれが意味する事にある」

「意味する事、デスか?」

「仮面ライダーは基本的に人知れず戦う。つまり影の戦いだ。人々の賞賛を浴びる事のない戦い。自分が倒れればもう人々を、暮らしを、自由を守る者はない。支えてくれる者はほとんどおらず、人ならざる体で明日をも知れぬ死闘へ身を投げ入れる。その結末に希望など、光などないとしても、みんなが平和で笑顔で暮らせるならそれでいい。そんな古いヒーロー像が、このBLACKには流れてるんだよ」

 

 きっと装者の彼女達にはこのBLACKの、南光太郎の気持ちが少し分かるんだろう。彼女達は支える組織があるとはいえ、やっている事はどこか似ているから。

 だからこそ俺は彼女達にはこうなって欲しくない。ならないとは思ってる。だけど、決して自分を犠牲にしてまでも平和をなんて止めて欲しい。

 

 だからこそ、RXの話をしないといけないか。あの終わりを迎えた南光太郎が最後に笑顔で光の中へ向かって行く物語を。

 

「心身ともに疲れ果てた光太郎は、遠い親戚を頼り平和な生活を始める。ヘリパイロットの資格を取り、彼はかつての暗い影を忘れたかのように平和を謳歌していた」

「タダノ、どういう事だ? さっきブラックの戦いは終わったと言ったぞ?」

 

 ヴェイグの問いかけを無視する形で俺は話を続ける事にした。すまんヴェイグ。でも、このままだとエルが真っ赤な目でセレナに抱き着いたままになっちゃうんだよ。

 

「ゴルゴムとの戦いが終わり、一人の若者として生きていた光太郎は世話になっている佐原家の長男であるしげる君から妙な話を聞く。がいこつの顔をした奴らに自転車を奪われ、追い駆けた先で三つの光る棘に何かやっていたと」

「まさか……さっき言ってたクライシス帝国という存在?」

「そんなっ!? もう光太郎さんは平和に暮らしてるんデスよ!?」

「新しい敵、新しい戦い。そんなのってない……」

 

 切歌ちゃんと調ちゃんの言葉が痛い程分かる。小さい頃は何とも思わなかったけど、ある程度するとこんなに酷い事はないと思ったもんだ。

 それでも俺は話を続ける。RXはBLACKと違って明るさが溢れてる。それを感じて欲しい。あの結末だけで終わらない南光太郎の、仮面ライダーBLACKの物語の続きを。

 

 

 

 時刻は十時過ぎと言ったところかしら。只野は長話を終えてどこかやり切った顔をしていた。

 一時はどうなるかと思った話だったけど、今は不思議と泣き笑いだ。

 作り物だとしても、私達にとってはそれはどこかに本当にある物語だと思っている。世界を、地球を守ったヒーローがいると。

 

「シャドームーンの最後、泣きそうでした」

「響、感情移入してたもんね」

「うん。だって、親友で幼馴染なんだよ? それが何度も戦って、最後には少しだけ、少しだけ想いが届いたんじゃないかなって……ぐすっ」

「うんうん、良かったよなホントに」

「奏さぁん……」

 

 響が奏へ抱き着き、それを見て未来とクリスが苦笑してる。でも、知ってるのよ? 貴方達もその話には瞳を潤ませていたじゃない。

 

「マリア、どう思う?」

「どうって?」

「只野さんが何故ここまで詳しく話してくれたかだ。私は、あれをこちらへのメッセージに受け取った。決して一人で抱え込むなと」

「私は違うわ。ヒーローとは本来孤独。その在り方や生き方を安易に追い駆けるな。そう言いたいんじゃない?」

「……そういう考え方もあるか」

「私も翼の意見は分かる。要はこれこそが只野の狙いでしょうね」

「そうか。私達自身に考えさせる事……」

「もしくは、自分の好きなものを知ってもらって一緒に盛り上がりたい、かしらね」

 

 言ってチラリと只野の方を見れば、切歌やエルが今度はもっと明るくなる話をとねだっている。きっと今日は謎解きどころじゃないでしょうね。

 現にならばと只野がDVDへ手を伸ばしている。あれは……クウガ、だったかしら?

 

「先輩、何流すつもり?」

「クウガ。同じライダーでも背負うものと背負い方が違うって事を知るいい機会かなって」

「でも、ブラックほど暗くないそうです」

「それと、心に響く言葉がいっぱいらしいデスよ!」

 

 ふふっ、もうエルと切歌は調子が戻りつつある。それにしても、本当に只野はヒーローが好きなのね。

 

 ……いえ、好きだからこそ一度死のうと思ったのかもしれない。自分が憧れていた存在との乖離が大き過ぎて。

 そしてそれだから今、只野は私達を支える事に懸命になってくれている。少しでも夢見た存在へ、生き方へ近付けるようにと。

 

 でも、こうして見てると本当に只野は今の切歌たちにとって父親か兄だと分かる。向ける笑みがどこか優しいもの。

 私へ向ける笑みはあれと少し違う。特に朝、食事をしている時に感謝を述べてくる時は……。

 

 そこで私はそれとなく椅子から立ち上がり流しへと向かう。飲み物を用意しながら顔の熱を冷ますために。

 

「……不味いわね」

 

 あの陽子さんと話した日から、私はもう只野を男性として意識している。なのにこっちの気も知らず、只野は毎朝毎朝私へ、美味しいよだのありがとうだの言ってくる。

 本当に止めて欲しい。あれが私へのからかいならとっくに怒っている。でも、只野は本気で言っているのが伝わるから口に出せない。

 美味しいよ、イヴさん。ありがとう。この言葉を只野から言われる事で、私はセレナ達から同じ事を言われるよりも喜び始めているのだから。

 

「イヴさん」

「っ?!」

 

 後ろから聞こえた声に慌てて振り向けば、そこにはこちらを不思議そうに見つめる只野がいた。

 

「な、何?」

「あ、いや、今日なんだけどさ。みんないるしおそらく夜まで鑑賞会になるだろうから、昼前に買い物行って夜の買い物まで済ませた方がいいんじゃないかなって」

「……そうね」

 

 チラリと居間を見れば切歌達が楽しそうにモニターを見つめている。

 

「で、昼と夜だけど何か案はある?」

「案、か……」

 

 朝は普通に和食にしたからお昼は少し華やかな感じがいいわね。でも人数が多いし、出来るだけテーブルが無くても食べられる方がいいかもしれない。

 そうなると……

 

「ちなみに貴方の案は?」

「ピザとカレー」

「……成程ね。たしかにみんなが喜びそうだわ」

「だろ? 俺としては昼をピザにして夜をカレーがいいと思うんだよ。それにピザは持ち帰りにすれば安く買えるチェーンがあってさ」

 

 そう言って只野が私の横へ立ってスマートフォンを操作し始める。やがて画面にはとある宅配ピザチェーンのHPが表示された。

 

「……ほら、一部のピザはテイクアウト限定で半額」

「あら、いいじゃない。でもこの店近いの?」

「近くはないけど歩いていけない距離じゃない。ほら、イヴさん達の歓迎会やったカラオケ店あるだろ? あの近くにあるんだ」

「…………言われて見ればあの途中にそういう飲食店が何件も並んでる場所を見たわね」

 

 ただ、あそこへはここから歩いて十五分はかかる。行って帰ってくるので三十分程だ。

 

「予約して受け取りに行けば問題ないし、イヴさんはカレーとサラダぐらい、かな? その買い物をしてきてくれればいいから」

「ちょっと待って。切歌達は貴方と見るのを」

「大丈夫。取りに行くのは今すぐじゃないよ。今朝は散歩してないだろ? だからイヴさんが出るのに合わせて俺も運動がてらゆっくり散歩してくるって言えばいいし」

「……ついて行くって言うかもしれないのに?」

「その時はその時でいいじゃないか。一日中モニターを眺めているだけじゃ体に悪いしね」

「ふふっ、それもそうね」

 

 話しながら私は笑みが浮かぶのを止められなかった。只野と話していると本当に彼と二人でセレナ達の親をしている気分になる。

 ええ、今なら認めるわ。私は只野なら、彼ならそういう相手でもいいと思ってる。むしろセレナ達の懐き方や接し方を見てると申し分ない旦那かもしれない。

 

 いっそ、買い物も彼と一緒に行きたい。思えばそういう風に過ごした事、なかったわね。デートが食料品の買い物じゃ悲しいけど、きっと彼の行動を察するにそういう方が意外と受けてくれるかもしれないわ。

 

「只野」

「ん?」

 

 話は終わったとばかりにピザの予約を始める彼の耳元へ、私はそっと顔を寄せて囁いた。

 

――私とのデート、買い出しの付き合いでもいいわよ?

 

 

 

「……こんな奴らのために誰かの涙は見たくない、か」

 

 聞こえてくる言葉を小声で反芻する。見た目、人が良さそうなだけの男。それが奥底に持ってる熱い想い。それが拳を握って振りかざす事なんか嫌いな奴が戦いなんてものへ足を踏み入れる切っ掛け、か。

 それも父親を殺されて泣く少女を見たから。自分の気持ちが中途半端じゃそういう人が増えていく。そう思って戦います、だもんなぁ。

 

「奏、大丈夫?」

「ん? ああ、うん。平気だよ。たしかに色々似てるとこはあったけどさ」

 

 遺跡発掘。そこに現れた存在に殺される家族。あの泣いてた女の子はある意味あたしだ。ギアなんてない世界だった場合の、あたしなんだ。

 きっと翼はそれを思って気遣ってくれた。でもいいのさ。そんな涙を見てヒーローが立ち上がったんだから。

 

「五代さん、私、好きだなぁ」

「響にどこか近いよね。みんなに笑顔でいて欲しいって」

「うん。変身って言葉が、こんなに重いって思わなかった。あの言葉に、五代さんの色んな想いが詰まってるって思うと、胸が苦しくなる」

「でもよ、そんな奴だからあのベルトは選んだんじゃないか? クウガの力を自分のためじゃなく誰かのために使える奴だから」

 

 モニターから目を逸らす事無くクリスがそう言った。その目はどこか眩しいものを見るみたいだ。

 

「あの人が話してくれたブラックは、もう改造されたからこその覚悟と決意だ。でも、クウガはそれとは違う。ホントはしたくない、やりたくない事。でも、それから逃げれば、流れる血が、涙がある。それを知ったから普通の人間からクウガになる道を選んだんだ」

「……守りし者、か。思えば、ヒーローとは全てそういう存在なのだろう。持ち得た力を自らのためではなく誰かのためにと使える。……そうか、以前只野さんが復讐ものの主人公をヒーローではないと言ったのはそういう事か」

 

 翼の呟きにあたしは納得しかなかった。以前までのあたしもそうだった。翼を失い、ノイズへの恨み憎しみだけで戦っていた。

 あれはギアを自分のために使ってた。そんなあたしだから響のギアは応えなかった。ギアはきっと単なる道具じゃない。多分心に似たものがあるんだろうね。

 それで適合者を選んでる。そいつがギアを誰かを傷付ける事に使わないか。欲望のままに振るわないかって。

 

「「おおっ!」」

 

 聞こえた声に意識を向ければモニターの中で蜘蛛の怪人が胸を押さえていた。で、そこに文字らしきものが浮かび上がってる。

 

「何が起きたのさ?」

「クウガが怪人を蹴ったんです!」

「ライダーキックってやつ?」

「分からねーが、多分そういう事だろ」

「あっ、爆発した」

 

 未来の言葉通り怪人は爆発して消えて、クウガが青空の下で佇んでいた。

 ……カッコイイね、こう見ると。あの映画で出て来た時はそこまで思わなかったけど、改めてじっくり見ると赤い体に赤い目で情熱の戦士って感じ。

 

 まぁ、変身する奴はそんなのとは縁遠そうな性格みたいだけど。

 

「それにしても、クリスの歌ったのってこれのEDだったんだね」

「ああ。つっても、あたしもCDで聞いただけだ」

「癒されるよねぇ。あと、この映像も平和って感じで好きだなぁ」

「それにしても、何というか斬新だったな。まさか本当の姿への変身を一話ではなく二話でやるとは」

「ああ、それはあたしも思った。だからこそ、余計変身って言葉の意味が出る気もするね」

 

 優しい曲調と歌声のEDを聞きながら話す。もうすっかり切歌達は次回予告が気になってるみたいだ。

 

「……あの台詞さ。まんまあたしらに当てはまるよね」

 

 そうあたしが言うと翼達が頷いた。

 

「こんな奴らのために誰かの涙は見たくない」

「みんなに笑顔でいて欲しいんです」

「だから見ててください。私の……いや私達の変身、か」

「ノリとしてはそれでエクスドライブだな」

 

 クリスの言葉に揃って苦笑する。ああ、うん。でもいいね、それ。ギアがあたしらの胸の歌に応えるって言うなら、そういうのがあってもいいはずだ。

 

「じ、次回はどうなるデスか!? 何かクウガがおまわりさんに銃を向けられてたデスけど!?」

「今の時点ではクウガは未確認生命体第四号。要は怪人なんだ。だから警察からすれば排除すべき存在」

「そんな……」

「い、一条さんデス! 一条さんならクウガが五代さんだって知ってます!」

「うん、だからこそ一条さんもクウガは射殺対象から除外するべきって言ってくれるよ。ただ……」

「「ただ?」」

 

 言い辛そうに只野が言葉を止めるから切歌とエルが不思議そうに問いかける。でも、あたしには何となく分かった。敵じゃないと証明出来るかってやつだろうな。

 

「そこも今後描かれる。それと、四話はライダーでもトップクラスのバイクシーン回になるから楽しみにしてて」

 

 その言葉に翼の目が光った気がした。そっか。翼はバイクが趣味だもんな。

 

「もしかしたら翼、これで好きなライダーがクウガになるんじゃない?」

「……正直に言えば五代雄介という人物に多少の尊敬の念を持ってる」

「響はとっくに憧れになってるかと」

「いやぁ、夢を追う男ってカッコイイし、私も夢を追う女って名乗ってみたいなぁって」

「名乗れよ。あと名刺も作れ」

「その場合は、響の技はいくつ?」

「ええっ?! そ、そうだなぁ……」

「っと、始まったよ」

 

 ……ま、あたしも人の事は言えないか。どこかの平行世界でこういう人らがいて頑張ってるって思えばあたしもやってやろうじゃないかって思える。

 

 一人で二度も世界を、地球を守った黒いヒーローだっているんだしね。あたしもやってやろうじゃないか。

 

 

 

 時刻は正午を少し過ぎた辺りで一旦休憩となった。私は気付けば先程の話に魅入っていた、

 まさかバイクをあれ程見事に操るとは、ライダーとの名に偽りなしだ。私もあれだけのテクニックを身に着けたい。

 まぁそのためにはバイクのタイプを変える必要があるな。モトクロスに向いているバイクでなければあれだけのアクションは無理だ。

 

「カッコ良かったデス! クウガのキックはオーズやダブルライダーと違って飛ばないんデスね?」

「うん、そうだね……」

 

 暁の疑問へ答える只野さんだが、何となく雰囲気で分かる。あれは軽く誤魔化してる時だ。もしくは何かを隠している時だろうか。

 只野さんは嘘や誤魔化す時に少しだけ視線を逸らす癖がある。もしくは声に若干力がなくなる。と言う事はいずれ飛ぶのだろうか?

 

「さてと、じゃあ俺は運動がてらゆっくり散歩に行ってくるよ」

「私は買い物に行くわ」

 

 只野さんとマリアがほぼ同時に立ち上がって外出すると言い出した。なので私もついて行こうと思う。

 

「只野さん、私も同行していいですか?」

「翼? いいよ」

「只野さんっ! 私もいいですか!」

「どうぞ」

「な、ならあたしも行くかな。丁度動きたいって思ったとこだ」

 

 私が同行を申し出ると立花と雪音が名乗り出た。まぁこの二人は只野さんを慕っているしな。

 

「響とクリスが行くなら私も行こうかな」

「なら僕はマリア姉様と一緒に行きます」

「そう、ありがとう」

「アタシは留守番してるデスよ。調、どうするデスか?」

「なら私も留守番する。お掃除したいし」

「あっ、じゃあ私はお兄ちゃんの部屋を掃除してきます!」

「おおっ、じゃアタシはそのお手伝いをするデスよ」

「あたしはマリア達と一緒に行こうかな。ヴェイグは?」

「ここで日を浴びてる」

「じゃ、一旦散会って事で」

 

 こうして私は只野さん達と外へ行く事に。それにしても只野さんの両隣はすぐ立花と雪音が取るな。何故かそれに少しだけ寂しさを覚える。

 立花達は知っているのだろうか。只野さんが抱えている悲しみと苦しさを。きっとそれを只野さんがこちらへ打ち明ける事はないのだろう。

 それでも、私は打ち明けて欲しかった。この人は私の心を軽くしてくれた人だ。お父様を失った辛さを、少しでも楽にしようとしてくれた。

 私の名に込められた願いを、想いを、思い出させてくれた。あの日、私はこの人の事を強く意識した。人として、そしてきっと異性としても。

 

「只野さん」

「ん?」

 

 そんな事を思っていたら勝手に口が動いていた。こちらへ顔を向ける只野さんへ、私はついこう尋ねてしまった。

 

「少しは私達を頼ってくれませんか?」

 

 言った後、只野さんが少し驚いた顔をしていたのが印象的だった。立花や雪音、小日向も私を見て軽く驚いた顔をしていた。

 それでも私は言いたかったのだ。あの時只野さんが私に胸を貸してくれたように、私も只野さんに胸を貸すぐらい出来ますと。

 

「……頼ってるつもりだけど?」

「経済的にではありません。精神的にです。そんなに私は弱音を聞いて駄目になりそうですか?」

 

 私がそう告げると只野さんは複雑そうな顔をする。それはまるで言えない訳ではないが言いたくないように見えた。あの時の雪音が見せた反応に近い。

 

「只野さん、私も翼さんと同じです。いつも只野さんは私達の事を聞いてくれてますけど、たまには逆でもいいと思うんです」

「響……」

「そうだな。あんたがあたしら年下の、しかも女に弱音やら愚痴やら言えねーのは分かるけどさ。少しぐらいは頼ってくれよ」

「クリス……」

「私達じゃ頼りないかもしれませんけど、少しぐらい頼ってくれてもいいじゃないですか」

「未来まで……」

 

 気付けば立花達も只野さんへ頼って欲しいと言い出していた。どうやら只野さんは小日向とも信頼関係を結んだようだ。伊達に名前呼びを許された訳ではないと言う事だろう。

 私達四人にそう言われ、只野さんは少しだけ逡巡したようだが、観念するようにため息を吐いた。だが、何故か雪音へ視線を向けると困り顔を見せた。

 

「えっと、じゃあまずクリス」

「おう」

「寂しいの分かるけどさ、もう密着は止めてくれないか? 俺、もう次されたら押し倒すと思うから」

「んなっ?!」

「「「ええっ!?」」」

 

 そ、想像だにしない内容に思わず大きな声を上げてしまった。ゆ、雪音が只野さんへ密着しているだと? しかも只野さんも押し倒すとは……密室で二人きりと言う事か!

 

「で、次は響」

「な、何かあります?」

「……迂闊な接近やスキンシップ避けて。理由はさっきと一緒」

「ふぇっ!?」

「「「なっ!?」」」

 

 ま、まさかの立花もだと? しかも立花の顔が赤いところを見るに心当たりがあるらしい。し、知らなかった。既に立花がそこまで只野さんと関係を進めようとしていたとは。

 

「翼と未来には特にない。これからも今までのようによろしくお願いするな」

「あ、はい」

「わ、分かりました」

 

 そして私と小日向へは照れくさそうに笑みを見せてくれた。これは、あれだな。私と小日向を証人にして立花と雪音の暴走へ楔を打ったのだ。

 

 ……只野さんへ密着し、あるいは接触し、か。女、を使っているとそういう事だな。間違いなく立花も雪音も惚れているのだ、只野さんに。

 だがどうやらそれを正しく認識していたのは雪音だけらしい。立花は今雪音を見て驚きの表情を見せていたからだ。

 

「く、クリスちゃん、密着ってどういう事?」

「……答えてやるからちょっと待て」

 

 そう言うと雪音は只野さんへ顔を向けた。

 

「悪いけど、ちょっとだけ二人にさせてくれ」

「……大丈夫?」

「ったり前だ。このバカにちゃんと事実を突き付けるだけだっての」

「そっか」

「おう。それと、あんたにも、だ」

 

 そう雪音が赤い顔で告げると只野さんが見事なまでに沈黙する。それでも狼狽える事無く深呼吸を二度程し、雪音へ顔を向けると頷いた。

 

「分かった。ありがとう、クリス」

「っ?! ず、ずりぃぞ。そういう不意打ちは止めろよな」

 

 私からはよく見えないが、多分凛々しい表情をしたのだろう。そのまま只野さんは歩き出したので私も小日向とその後を追おうとしたのだが、何故か小日向はその場を動こうとしない。

 

「小日向、どうした?」

「……その、心配なんで」

 

 その言葉に私は一瞬の間の後に意味を理解し頷いた。たしかに色恋は古から人が揉める理由の上位だ。立花と雪音なら大丈夫だとは思うが、それでも念には念を入れるべきか。

 

「分かった。何かあったら止められるようにこの辺りで隠れていよう」

「はい」

 

 二人から見えないよう、電柱の裏へ身を潜めて様子を窺う。立花と雪音は互いに向き合っているようだ。

 

「クリスちゃん、さっきの事だけど」

「言ったままの意味だ」

「そ、そんな事しちゃダメだよ! クリスちゃん、最初の頃言ってたじゃん。私達が信頼してるって気を抜いたらそれは只野さんを誘ってる事になるって」

「だからやってんだよ」

「「「っ!?」」」

 

 ゆ、雪音の奴、何と言った? 只野さんを誘っていると、そう言ったのか?

 

「あたしは、あの人が好きだ。悪いが誰にも渡すつもりはねぇ」

「クリスちゃん……」

「お前が相手だから言っておく。譲るつもりはねーし、同情もいらねぇ」

「ど、同情なんて……」

「ならいいな。いいか? あの人はこのままだと誰も選ばないで有耶無耶にするぞ」

 

 その一言が何故か胸に突き刺さった。確証はない。なのに、私にはその雪音の意見は絶対の真理のように聞こえた。

 

「ど、どういう事?」

「あたしがくっついてる事やお前がそれなりにアピールしてるんだ。いくらあの人でも気付くっての。それを、あの人は気付かない振りをしてるかさっきみたいに無理矢理色恋じゃないって処理してんだ。あたしらのどっちかが好きだって言っても、それを人間としてとかで捉えて処理すんぞきっと」

 

 雪音の断言に立花が息を呑んでいた。もしや心当たりがあるのか?

 

「……あたしだってこんな事はしたくねぇ。でも、初恋、なんだ。ならどういう形でも決着つけたいって思うもんだろ」

「…………うん、そうだね」

「だから、あたしはもう決めた。お互いに辛い事になるとしても、答えを出してもらう。で、もしあたしをあの人が彼女にしたいって言ってくれたら」

「くれたら?」

「……あたしは、留学が終わった後でここであの人と暮らす。もしくはあの人をあたしが養ってやる」

 

 言葉が、なかった。雪音の言葉はある意味で私がどこかで思い描いていたものと似ていたからだ。

 私も、向こうでの需要がなくなるか減少すれば、こちらで暮らすのも悪くないかと思っていた。只野さんが言ったように小さな店を開き、あの人と二人慎ましく暮らしていけたらと。

 

 ああ、そうか。そうだったのか。何の事はない。私も同じだったのだ。あの日、お父様の喪失に泣く私を受け止め、気の済むまで泣かせてくれたあの胸に、私は恋していたのだ。

 

「そっか。じゃ、私も負けない。只野さんの答えがどうなるか分からないけど、選択肢の中には入ってみせる」

「おう、そうしろ」

 

 立花と雪音の雰囲気は険悪ではない。むしろ、どこか今まで以上に関係性が深まっている気さえする。

 

「翼さん、行きましょう」

「あ、ああ……」

 

 小日向の声で私達はその場から静かに離れた。だが、それにしてもだ。こ、これは非常に不味い。

 立花と雪音が只野さんへ想いを寄せ、女性としてアプローチを開始している。私はあの二人程そういう事が出来ない。スタイルは雪音に勝てるはずもなく、気安さでは立花の右に出る者はない。

 私に出来る女性としてのアプローチは、何かないだろうか? このまま初恋が何も出来ぬまま破れるなど悔しい。

 

 そう思いながら歩いていると少し先で只野さんが待っていた。

 

「どう? 問題ない?」

「はい」

「そっか。良かった」

 

 安堵するように息を吐く只野さんだが、この人は雪音の言う通りなのだろうか? 気付いていて見ぬ振りをしているのか。気付いているが勘違いしているのか。

 

「あの、只野さん」

「ん?」

 

 だが、今の私にはどちらでもいい。正々堂々正面から斬り伏せるのみ!

 

「た、立花と雪音が両隣ではもし知り合いなどに見られた場合色々と面倒でしょうから、私と小日向がそこに位置取ろうと思いますが、いかがでしょう?」

「え? 俺は別に構わないけど……未来はどう思う?」

「わ、私も翼さんの意見に賛成です。ほ、ほら、響とクリスは顔見知りじゃないですか。でも私と翼さんなら接点がそこまでないから変な勘ぐりされませんよ?」

「……それもそっか。じゃ、頼むよ」

「「はい」」

 

 こうして私と小日向が只野さんの両隣を陣取っているのを見た立花と雪音は、一瞬驚いた後で立花が小日向、雪音が私の背後にそれぞれ位置付けた。

 

「なぁ先輩? どうして先輩とあの子があの人の両隣にいるんだよ? さっきまであたしらに譲ってくれてただろ?」

 

 小声で問いかけてくる雪音へ私は真剣な表情を向けて同じく小声で告げる。

 

「雪音、状況は刻一刻と変化しているのだ。昨日の友が今日の敵となる事もある」

 

 私がそう告げただけで雪音の表情が驚きから好戦的なものへと変わった。

 

「そういう事かよ。やっぱ先輩もそういう事か」

「……ああ、出遅れた分、その差を埋めさせてもらう」

「上等だ。先輩相手でも手加減しねぇ」

「ふふっ、そうこなくてはな。言っておくが雪音、こと戦となれば私は負けるつもりはない」

「知ってるっての」

 

 互いに笑みを向け合い、私と雪音は話を終える。ふと気付けば立花と小日向も何か話したらしく笑みを見せ合っていた。

 一人只野さんだけがそんな私達を見て不思議そうに首を傾げている。本当に、貴方と言う人は……。

 

「なぁ、一体女性陣だけで何を分かり合ってるの?」

「「「「自分で考えろ(てください)」」」」

 

 揃った言葉は言い方も表情までも揃っていた。ふふっ、どうやら小日向もそうらしい。

 只野さんはそれで何かを察したのか「マジか……」と嬉しそうで辛そうな顔をしていた。

 そんな只野さんに私達は笑い声を上げる。ああ、何だろうなこの感じは。同じ男性を取り合うなんて揉めるとしか思えないのに、私はそうは思わない。

 きっと、それは分かっているからだ。立花も雪音も小日向も、きっと分かっている。只野さんを独り占めしたいのではなく、この想いを知って欲しいのだと。

 

「そういえば只野さん、どこまで散歩するんです?」

「こっちだとその内あのカラオケまで行っちまうぞ?」

「ああ、実は昼飯にピザを頼んでるんだ。それを取りに行くんだよ」

「「「「ピザ?」」」」

 

 意外だ。まさか内外食とは。

 

「そ。テイクアウトに限り半額のピザをね。っと、そうだ。エルへ連絡してコーラとか買っておいてもらおうか」

「はいっ! 私はスプライトがいいです!」

「バッカ。こういう時は黒ウーロンとかだろ」

「私もクリスに賛成かな? 翼さんはどうです?」

「私は……セレナやエル用にオレンジかアップルでも」

「了解。じゃ、そういう風に送っておく。天羽さんがいるから多少重くても平気だろ」

 

 そう言って只野さんはおそらくメッセージを送った。さて、ならば……

 

「只野さん、この四人の中で誰が一番魅力的ですか?」

「いっ!?」

 

 選ばないと言うのなら選ぶように仕向けるまで。例え私でなくてもいい。可愛い後輩達に負けるのならば理解もしよう。

 

 だが、それが私の知らない相手というのは無理です、只野さん。

 

「クスッ、只野さん? 四人が四人共ってのはなしですからね?」

「み、未来さん? それは勘弁してもらえないですかね?」

「駄目ですよ。ほら、響もクリスも期待してますし」

「た~だ~の~さんっ!」

「お、男らしく選べってんだ。あ、あたしじゃなくても気にしねーし」

「クリスは気にはしなくても響達はするんだよ、多分」

「では、気にしないと言えば選べるんですね?」

 

 私の狙い通りの発言をしてくれたのですかさず逃げ道を塞ぐ。

 

「い、いや、そういう」

「只野さん、いいじゃないですか。これはほんの遊びみたいなものですし。ね、響」

「うんうん。気軽に選んでくださいよ」

「そ、そうは言うけどな?」

「し、仕方ねぇな。じゃ、可愛い部門、綺麗部門、彼女にしたい部門に嫁にしたい部門の四つにしてやる」

「結果もっと厳しくなってるんだけどっ!?」

 

 雪音め、自分を望むものへ当てはめるように誘導とはやってくれる。

 

「只野さん、最近の私はあの頃よりも家事が上達しました。それは小日向が証明してくれます」

「まぁ、たしかに最近の翼さんは聞いた事がある程酷くはないです」

 

 そうだろうそうだろう。私もいつまでも失敗ばかりの人間では……ん? 何故只野さんだけでなく立花や雪音も微妙な顔で私を見ているのだ?

 

「……翼は可愛い部門で」

「え?」

「「「異議なし」」」

「なっ……」

 

 ど、どうしてだ? いや、嬉しくない訳ではないが、何か納得がいかない。

 

「で、綺麗部門は響」

「えっ!? わ、私?」

「うん、最近綺麗になってきてるよ。少なくても俺はそう思う」

「そ、そうですか……あはは、な~んか照れちゃうかも」

 

 嬉しそうな立花だが、気付け。それは只野さんなりの誤魔化しだと。

 

「彼女にしたい部門はクリスで」

「……そうかよ」

 

 さすがに雪音は分かっているようだ。それでもどこか満更でもなさそうではあるが。

 

「お嫁さんにしたい部門は文句なしで未来です」

「「「異議なし」」」

「あ、あはは……ありがとうございます」

 

 やはりこういう結末、か。だが、まぁ消極的な方向でも選んでくれたのだ。それだけは嬉しく思う。

 

「……その、こんな事言っちゃダメだとは思うんだ。でも言わせて欲しい。もし、もし仮に君達が元々この世界の住人だったのなら、俺はきっと玉砕覚悟で答えを出せた。今のような状況になってたとしても、だ」

 

 その言葉がどう続くかなど考えずとも分かった。だからだろう。小日向が何と只野さんの口をその手で塞いだのだ。

 

「そこまでです。今は、それだけで十分ですから。ね?」

「うん、私も只野さんの本音が聞けて嬉しかった」

「住む世界が違うからなんだよ。あたしらは同じ人間だ。なら、それでいいじゃねーか」

「この出会いは無駄にはしませんしするつもりもありません。そして、この想いもです」

 

 恋など、しないと思っていた。恋など、出来ないと思っていた。装者という、防人である私には。

 それを、この世界は、貴方は優しく変えてくれた。ここでは装者でも防人でもなくていいのだと。ただ歌が好きな女でいていいのだと、そう言って。

 

「只野さん、貴方の答えは今は出せずともいいです。ですが、全てが終わった時には……」

「…………分かった。その時には、俺なりに答えを出すよ。いや、出させてもらうな」

 

 そう私達に告げる只野さんは、凛々しい男性の表情をしていた。

 その顔と言葉に、私は胸が高鳴るのを覚えた……。

 

 

 

 ピザがテーブルの上と居間の畳の上へ置かれ、各々でそれを手にしながらモニターを眺める。そこに映し出されるドラマに誰も口を利かなくなっていた。

 何も食事中だからだけではない。その内容に、映像に魅入っているのだ。クウガの持つ秘密や能力。それに振り回されながらも周囲の助けなどを借りつつ五代雄介は戦い続ける。

 それは、さながらシンフォギア装者に近いものがある。誰も全ての能力を知らない中で戦う事。その戦いの中で気付き、あるいは解明して強くなっていくのだから。

 

「……クウガって、自分の事も知らないんですか?」

「うん。超古代の戦士クウガ。その能力などは碑文として残ってるんだけど、どこにどういう内容があるなんて分からないからね。桜子さんが出来るだけクウガ関連と思われるものをピックアップしてるけど、すぐに解読できる訳じゃないから」

「青がジャンプ力が凄くなって、でもパンチ力が低下」

「でもでも、長い物を持つとそれを武器に変えてくれるデス。あれ、すっごいカッコイイデスよ!」

「お兄ちゃん、あの怪人が倒れる時に浮かぶ文字はどういう意味?」

「鎮める。そういう意味合いなんだ」

「「「「「鎮める……」」」」」

 

 年少組四人にヴェイグが仁志の発言を反芻する。それを聞いて仁志は更に言葉を続けた。

 

「古代のクウガは怪人を倒すではなく封印していた。なのに何故現代のクウガはそう出来ないのか。それも追々分かる人は分かるし、劇中で薔薇のタトゥーの女が発言するから」

「バラのタトゥーの女……」

「B1号デスね!」

「切ちゃん、もう識別名を覚えてる……」

「その記憶力を別のとこに活かせよ」

 

 呆れたようなクリスの発言に響達は苦笑し切歌は恥ずかしそうに笑う。そんな和やかな雰囲気のままクウガのドラマは流れていく。

 各フォームの紹介としての側面を持つ前半が終わり、クウガがライダーキックを本格的に習得する話で切歌やエルが興奮する中、神崎先生の言葉にマリア達が感じ入る。

 

 未確認に憧れる蝶野の存在は見ている者達に複雑な想いを抱かせるも、五代の告げる「蝶野さん、生きてますか?」から始まる言葉に響が思わず頷く場面もあった。

 ゴウラムの登場などのクウガ回りの強化が進む中、未確認達の強化も進んでいく。その展開や内容は、どうしてもこれまでの中でもっともリアルなものとして装者達には映る。

 現実にヒーローが、それも人外の力や姿で現れればどうなるのか。人でありながらどんどん人でないものへと変わっていく恐怖と不安。それらを隠しながら笑みを絶やさない五代の在り方に、彼女達は自然と自分達を重ね始めていたのだ。

 

「……強さは愛だ。そう歌ってるのが先輩のCDにあったけど、こういう事なんだろうね」

 

 奏のその呟きは全員の耳に届いた。

 

「悲しみに微笑んで、喜びに頷いて。そんな歌詞があるんだけどさ、まさしくこのクウガの事だよ」

「……そうね。強さは愛、か」

 

 噛み締めるように呟きマリアはモニターを見つめる。と、そこで仁志が丁度ディスクが終わったのを見計らってモニターを消す。

 

「さて、時間も時間だ。一旦休憩兼夕食準備と行こう。イヴさん、メニューの発表を」

「クスッ、そんな大げさなものじゃないけど、今夜はカレーよ」

 

 その言葉に響や切歌など一部が嬉しそうな声を出す。

 

「「やったぁ!(デスっ!)」」

「姉さん、何カレー? ポーク? チキン?」

「エル、教えてあげて」

「はい! 肉団子カレーです!」

「「「「「「「「「お~っ」」」」」」」」」」

「と、言う訳で肉団子を作るのをエルとセレナ、それとヴェイグにお願いするわ。こねるのは只野、任せるから」

「あいよ」

「で、サラダを誰かにお願いしたいんだけど……」

 

 マリアがそう言って目を動かすと上がる手が二つ。

 

「なら私達が」

「引き受けますデスよ」

「そう。お願いするわ」

 

 こうしてマリア達の家の者達全員でのカレー作りとなり、それ以外の者達はならばと風呂掃除や洗濯物の取り込みなどを始める。

 ある意味での大家族のようであった。マリアを長女、仁志を長男とした、大家族。誰も口にはしないがそれに似た何かを感じてはいた。

 

 いつか終わるし終わらせなければならない時間。だが、誰もがどこかで思うのだ。時よ止まれと。

 あるいはこれが自分達の本当の暮らしになればいいのにと。

 

 米を仕掛け、サラダを作り、カレーが出来上がるのを待つ間は次の集会の打ち合わせ。

 どうする。何をやる。いつから集まる。まるでサークルだ。今の彼女達には任務も役目も訓練もない。

 バイトではあるが仕事があり、それがない日は自由なのだ。ただ、家事という日課にも似た仕事があるのでそちらへある程度時間を使わねばならないが。

 

「七月になったら海へ行かないか?」

 

 そんな中、仁志が提案したのはいつかのヴェイグとの話に通じるものだった。

 

「「「「「「「「「「「海?」」」」」」」」」」」

「そう。また何とか七月中に連休取る。しかも平日。それならみんなも休みの申請通り易いだろ?」

「それはいいけど、海ってここからだと遠くないか?」

「そうでもないよ。電車を使って一時間以内で行ける。ヴェイグに海を見せたいんだ」

 

 その最後の一言に誰もが笑みを浮かべた。そういう事ならと誰も反対はしなかったのだ。

 こうして海へ行く事が決まる。カレーを食べながら海で何をするかを話題に盛り上がる中、誰もが思うのだ。

 

 いつまでも、こうしていられたらな……と。




本編に繋がるけど知らなくても大丈夫なように本編内でも軽く説明はいれるつもりです(一部キャラの恋愛感情暴露とそれへの只野の対応など)

鑑賞会だけでなくカラオケも番外編なら大丈夫かなと思いますので、もしかしたらあるかもしれません。
というか、下手をすると番外編ばかり書きそうで困る(汗
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。