青薔薇と天才少年のコンチェルト   作:カトポン

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 どうも、おはこんばにちは。
 これを書いて第1章を20話以内で終わるのは無理だなと確信してしまいました。
 それでは、第18話をどうぞ。


第18話 無茶をする陽だまり

 あのセッションから数日が経ったある日。

 俺は会社で社長として業務に当たっている。

 

「悠人社長よろしいですか?」

「どうしたんですか?」

 

 キーボードを打つ手を止め秘書である遙さんにそう聞く俺。

 

「お電話がございまして」

「誰から?」

「神谷コメスティックの社長からです」

「姉ちゃんから?」

 

 突然だが、俺には姉と妹がいる。

 妹の事はまた今度話すとして俺より2つ上の姉、神谷瑠菜は大手化粧品メーカー神谷コメスティックの社長をしている。因みに神谷コメスティックと俺が社長の神谷ゲーミング株式会社は神谷グループの子会社であり、神谷家がとんでもなく大富豪なのも神谷グループの年収がヤバイからである。正確な年収は知らないが兆はあるんじゃないかというのが俺と姉ちゃんの見解だ。

 

「もしもし」

『もしもし、悠人かしら』

「あぁ、俺だよ。それでわざわざこの時間に掛けてきたけど何かあった?」

『貴方が日本に帰ってきた事だし、莉菜と貴方と私の3人で』

「分かった。いつかは決まっているのか?」

『今週の日曜にしようとしているのだけれど大丈夫かしら?』

「ちょっと待ってくれ」

 

 遙さんに今週の日曜日の予定を聞く。話を聞くぶんだと多分大丈夫だろう。

 

「今の所行けると思う。時間は?」

『詳しい時間はまだ決まってないから後日伝えわ』

「了解。で、本題は?」

『・・・どうして気づいたのかしら?』

「今日のこの時間に俺が仕事なのを知っている姉ちゃんがプライベートな事で電話してくる事は無いと思って」

『正解よ。実は・・・』

 

 その後の話は姉ちゃんは自分の会社の相談だった。

 なんでも、特定の人だけいつも残業しており、偶に休日出勤している人もいるようなのだ。

 姉ちゃんの会社は残業が殆ど無い事で有名なので、これには俺も疑問を感じた。

 

「とりあえず、残業をしている人の労働状態を確認して、労働時間が超過しているようだったら有給を与えたら?」

『そうね。ありがとう、悠人。相談に乗ってくれて』

「これくらい何とも思わないから気にすんな。それじゃ」

 

 俺は通話を切る。

 それからは特に何事もなく業務を終えて会社から出た時だった。

 スマホの電源を付けると着信履歴があった。一体誰からと思うとあこからだった。

 気になった俺はあこに通話してみる事にした。

 

「もしもし」

『あ、悠人さん。やっと繋がった』

「仕事でスマホの電源切ってたから分からなかったけど、どうしたんだ?」

『リサ姉がネイル全部剥がしちゃって爪がボロボロになってて』

「マジかよ・・・」

 

 バンドをやる上でネイルを剥がすのは懸命な判断ではあるが、昨日まで付けていたネイルを全部剥がしたって事は絶対ペースを守らず剥がしたんだろう。

 

「あこは今、いつものライブハウスに居るのか?」

『はい、居ますよ』

「そこにリサは?」

『リサ姉も居るよ」

「今から俺がそっちに行って応急処置するから帰らせないでくれ」

 

 一方的に通話を切り、急いで薬局に向かう。

 必要なものをすぐさま買って、ライブハウスまで全力で自転車を漕ぐ。やっぱり二輪の免許取ろうかなとか思いつつ、10分以上全力で漕いでやっとライブハウスに着いた。

 

「ハァハァ・・・リサ、何処?」

 

 息が切れ切れになりながらリサを探す。リサとあこは外のカフェテリアに居た。

 

「ハァハァ・・・ま、待たせたな・・・」

「悠人!?しかもその姿って事はそのまま来たの?」

「・・・誰のせいで会社から此処まで全力で漕いで来たと思ってんだ。とりあえず、指、見せろ」

「え?そんな大した事ない「良いから見せろ」・・・分かった」

 

 有無を言わせずに見せろと告げるとリサは自分の指を見せてきた。

 あこがボロボロと言っていたが想像以上に酷かった。ここまで酷いと今からやるケアでも完治するのに結構かかりそうだな。

 薬局で買ってきた浸透補修液をリサの爪に塗り始める。これは爪の縦すじ、二枚爪、割れやすい、薄いすじを改善させる事が出来るものだ。

 こんな事が出来るのも、爪がボロボロになるまで演奏した時に師匠がこの方法で爪のケアをしてくれたからだ。じゃなかったら、絶対浸透補修液とか絶対使わないし知りもしないだろう。

 

「一応聞くが、今日はリサ何やってたんだ?」

「皆は音合わせしたたけど、アタシは悠人が居た時にやったチューニングと軽いピック弾きの練習かな。その爪じゃ音合わせは無理だって」

 

 流石の友希那もこの状態で音合わせをさせるほど鬼じゃなかったようだ。

 

「まぁ、そうだろうな。けど、応急処置はしてないでしょ?」

「い、いや〜それぐらいちゃんとしたよ〜」

 

 ダウト。目が泳いでいるし動揺しまくりだ。

 

「あこ、本当は?」

「リサ姉は応急処置なんてやってません」

「なんで分かったの?」

「動揺しまくってるし目が泳いでたら誰でも嘘だって分かるだろ。後、ネイルをペースを守らず剥がしただけでここまで酷くなんのかと疑問に思ってな」

 

 まぁ、男の俺はネイルなんてした事ないから詳しい事どころか基本的な事も知らないけど。

 

「で、リサ。なんでこんな無茶をしでかした?」

「それは・・・」

「別に怒ったりする訳じゃないから。正直に言って」

 

 リサが言い淀んでいるのを見かねた俺は怒る事はないとリサに告げる。

 リサは、それで決心が付いたのかポツリポツリと話し始めた。

 

「少しでも上手くなりたいなって思ったんだ。ほら、アタシみんなより下手でしょ。それに、技術も足りないって友希那達に言われたし」

「それで焦ったのか・・・」

「確かにそれもあるんだけどさ」

「まだなんかあんのかよ」

 

 どうやらリサが無茶をした原因は焦りからきたものだけではないようだ。

 

「悠人がさ、一度だけ練習に来た時に見ちゃったんだよ。ベースをピック弾きで死に物狂いでやってるとこ」

「なっ・・・」

 

 今度は俺が驚く番だった。確かに俺は機材のチェックを終えたらベースのピック弾きの練習をしていた。

 それこそリサの言う通り死に物狂いでだ。如何んせんベースのピック弾きなんて殆どやんないのでマジで焦ったのだがコードは知っていたので何とかなったのだ。それでもギリギリだった。

 

「それを見てさ、悠人にこれ以上迷惑を掛けたくなったんだ。悠人は仕事があるから忙しいし、アタシ以外の練習も見なくちゃいけないからさ」

「確かに俺はベースをピック弾きなんて殆どした事ないから不安だったし死に物狂いで練習した。それを見て迷惑をかけたくないって思ってくれるリサの優しさはありがいたいけど、リサは自分の事だけに集中してくれ。俺は大丈夫だから・・・」

「けど、悠人が・・・」

「自慢じゃないが音楽に関しては才能ある方だから気にすんな。リサは自分の事に集中してくれれば良い」

「分かった。じゃあピックから指に・・・」

「しなくて良い。今までピック弾きだったんだろ。それにそんな指でやったら悪化するだけだ。だから、リサはピック弾きで自分のペースで上手くなっていけば良いから」

「悠人がそう言うなら」

 

 そうこうしている内にリサの全ての指の爪に浸透補修液を塗り終えた。

 

「これで良し。とりあえず、2週間これ塗って」

「いつ塗ればいいの?」

「基本朝起きた時に塗って。ただ、これ水に弱いから水仕事した後と風呂に入った後にまた塗って」

「マジかー」

「マジだ。2週間後に1回見せてくれ。最悪2週間じゃ治らないかもしれねぇからサボるなよ」

 

リサに浸透補修液を手渡す。

 

「じゃ俺は帰るから。リサもあこも早く帰れよ」

「バイバイ、悠人。また、練習で」

「悠人さん、じゃあね〜」

「あぁ、またな」

 

 俺はライブハウスを後にするのだった。




 如何でしたか?
 あこが空気と化していましたが、作者があこを書ぐのが苦手なのもあるかもしれません。あこ推しの皆様、真に申し訳ございません。
 それでは次回もお楽しみに。
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