青薔薇と天才少年のコンチェルト   作:カトポン

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 どうも、おはこんばにちは。
 今回は、G騒動を終えてからです。翡翠とは誰を指しているのは、皆さんなら分かるかと思います。
 それでは、第8話をどうぞ。


第8話 翡翠のギター

 爺やの車が先オープンカフェに到着すると俺は車から降りる。服は着替えるのが面倒臭いからスーツのままだ。

 燐子とあこは隣のライブハウスに居るらしい。人混みが苦手な燐子にライブハウスなんて地獄と大差ないと思うんだが、無事なんだろうか?

 ライブハウスの中に入り二人を探しているとドリンクカウンターの近くに顔を真っ青にガクガク震えている燐子と燐子をなんとか落ち着かせようとしているあこがいた。

 

「燐子、大丈夫か?」

「・・・悠、くん・・・?」

「あぁ。俺だよ、大丈夫か?」

「・・・う、うん。なんとか・・・」

「そうか。あこ、一番見たいやつを見たライブハウスを出るぞ」

 

 流石にこの状態の燐子を最後までライブハウスに居させるのは危ない。

 

「分かってますよ。あこが見たい人を見たら帰るつもりでしたし。それより、悠人さんは用事を終わらせたんですか?服もスーツになってるし・・・」

「それは後にでも説明する」

 

 そうこうしているうちにステージではバンド演奏を開始しようとしていた時だった。

 てか、紗夜いるじゃん。バンド組んでたんだな、どれくらい上手いんだろう?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 聞いて思った事・・・このバンドギター以外なってないな。

 ギターのレベルに他のメンバーが追いついてないと言った感じだ。だから、派手なパフォーマンスで誤魔化している。

 だが、ギター・・・紗夜に関しては正確性は俺よりも上だな。ミスも殆どない。強いて言えば、ラストの曲のアウトロでコードチェンジが僅かに遅れたのと、サビに入る直前で音がほんの僅かずれていただけだ。前者はともかく、後者に至っては俺みたいな特殊な絶対音感でもない限り本人でも気付けないぐらいごく僅かにだった。

 普通に練習しただけでは絶対に身に付けれないぐらい基礎のレベルが高いから、相当努力をして来た事が容易に想像出来る。

 と、いけないいけない。完全に燐子の事を忘れてた。

 燐子の方を見ると顔が真っ青になっていた。燐子は1回ライブハウスから出た方が良さそうだな。

 

「燐子、一回外の空気を吸ってきた方が良い。あこ、燐子と一緒にライブハウスから出てくれるか?」

「悠人さんは?」

「此処に残る。あこが一番見たい人は始まる前に連絡するから」

「分かりました」

「あと、なんかあったら呼んでくれて構わないから」

「はい。あ、これも渡しますね」

 

 あこから渡されたものはプログラムだった。

 

「あこが見たい人は『湊友希那』って人なので!」

「分かった」

「じゃあ・・・行こ、りんりん」

「・・・うん」

 

 あこと燐子がライブハウスから出て行った。

 

「まさかあこの一番見たい人があの人の娘だったとはな」

 

 俺は湊友希那を知っている。実際に会った事はないがあの人から話は聞いていたからだ。

 それでも、あの人の娘がこんな所に居るのはやっぱり・・・

 

「・・・『フェス』なのか?」

 

 そう思いながら俺はプログラムに目を落とすのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私は湊友希那。今はフェス』に出場する為のメンバーを見つける為にライブハウスに居るわ。でも、どれも駄目だわ。そういえば次のバントがもうそろそろで始まるわね。このバンドには『フェス』に出場する為に必要なメンバーは見つかるのかしら。

 そう思い、私はこのバンドの演奏に耳を傾けたが・・・

 

(このバンド、ギターだけ上手くて、あとは話にならない。バランスが悪過ぎるわね)

 

 でも、あのギターの子、あのフレーズが弾ける技術もそうだけど土台になる基礎のレベルが尋常じゃないわ。明らかに普通に練習しただけでは身に付くレベルじゃ無いわ。一体毎日どれだけ練習しているの?

 

「・・・ありがとうございました」

「紗夜ーーーっ!最高ーーーッ!」

 

 あの、ギターの子紗夜って名前らしいわね。

 

「ねぇ、あれ友希那じゃない?・・・近くで見ると迫力あるね」

「しっ。聞こえるよ。友希那は気難しいって有名なんだから」

「・・・・・・・」

「あ!友希那さん、この前はどうも・・・」

「・・・・・・・」

「あれ、・・・行っちゃった。話し掛けたの気づかなかったのかな?」

「知らないの?友希那って『レベルの合わない人間とは話さない』んだって」

「え、そうなの?確かにめちゃくちゃ上手くて凄いけど、ちょっと酷くない?」

「スカウトの話も良く来るらしいし、あたし達アマチュアとは、違うと思ってるんじゃない?」

 

 何と言われようと思われようと、別に構わないわ。私はやるべきことをするだけよ。

 そう思いながら私はロビーに向かうと、騒いでる人達が居るみたいだけど何かあったのかしら?

 

「もう無理!貴方とはやっていけない!」

「・・・私は事実を言っているだけよ。今の練習では、先が無いの。バント全体の意識を変えないと・・・」

 

 どうやら、あのギターの子、紗夜とそのバンドメンバーが言い争っていた。どうやら、バンドに関する事で揉めているみたいね。

 

「いくらパフォーマンスで誤魔化しても、基礎のレベルを上げなければ、他のバントに追い抜かれるわ」

「でも・・・いくらそうでも!貴方が入ってから、私達まだ高校生なのに、みんな練習と課題で寝る時間も無いのよ・・・!」

「・・・ねぇ、紗夜。貴方の理想はわかるよ。でも、貴方は、バンドの技術以外に大切なものは無いの?」

「無いわ。そうでなければわざわざバンドなんてやらない」

「・・・っ!酷いよ!私達は確かに、いつかプロを目指して集まった。でも・・・みんな、仲間なんだよ!」

「仲間・・・?馴れ合いがしたいだけなら、楽器もスタジオもライブハウスも要らないわ。高校生らしく、カラオケかファミレスにでも集まって、騒いでいれば充分でしょう」

 

 この子の考え方・・私と似ている。しかも同じ高校生・・・。

 

「・・・最低・・・もういい!こんなバンド、解散よ」

「落ち着きなよ。何も私達がバラバラになる事無いよ。この中で考えが違うのは一人だけ。・・・紗夜、そうだよね?」

「・・・そうね。私が抜けるから、貴方達は、バンドを続けて。その方がお互いの為になると思う。今までありがとう」

 

 どうやら、揉め合いは紗夜がバンドを抜ける事で決まったらしいわね。

 

「はぁ・・・っ!・・・ごめんなさい。他の人がいたのに気づきませんでした」

 

 紗夜は溜め息を吐いていたけどすぐに私に気づいたみたいね。

 

「さっき、貴方がステージで演奏しているのを見たわ」

「・・・そうですか。ラストの曲、アウトロで油断して、コードチェンジが遅れてしまいました。拙いものを聴かせてしまって、申し訳ありません」

「!確かに、ほんの一瞬、遅れていたわ。でも・・・ほとんど気にならない程度だったわ」

 

 あれが、ミスだと言うのなら、相当な理想の高さね。・・・この子となら・・・もしかしたら。

 

「紗夜って言ったわね。貴方に提案があるの。・・・私とバントを組んで欲しい」

「え?私と貴方で・・・バント?・・・すみませんが、貴方の実力も分かりませんし、今はお答え出来ません。それと、私はこのライブハウスは初めてなんですが、あなたは常連の方なんですか?」

「そうね。私は湊友希那。今はソロでボーカルをしてる。FUTURE WORLD FES.に出る為のメンバーを探しているの。貴女ぐらいなら、聞いたことない?」

「! 私もFUTURE WORLD FES.には、以前から出たいと・・・でも、フェスに出る為のコンテストですらプロでも落選が当たり前の、このジャンルでは頂点と言われるイベントですよね。私はいくつもバンドを組んできました。けれど、アマチュアでもコンテストに出られるとは言え、実力が足りず、諦めてきた・・・」

(私は『あの子』と比べられない為に、必死でやってきた。でも、いつも肝心のバンドが私についてこない。もうこれ以上、時間を無駄にしたくない・・・)

 

 紗夜は少し悩んでいたけどすぐに口を開いた。

 

「ですなら、それなりなりに実力と覚悟のある方となければ・・・」

「貴女と私が組めばいける。私の出番は次の次。聴いてもらえば分かるわ」

「待って下さい。例え実力があっても、貴女が音楽に対してどこまで本気なのかは、一度聞いたくらいでは分かりません」

「それは、私が才能があっても、努力をせずにあぐらをかいている人間という事かしら?私は、フェスに出る為なら全てを賭けると誓ったわ。貴女の音楽に対する覚悟と目指す理想に、負けていると感じていないわ」

「・・・分かりました。ただし、一度だけです」

「良いわ。それで充分よ」

 

 私は、紗夜とバンドを組む為に自分の思いと覚悟を全て込めて歌う。彼女とバンドを組む為に。

 全ては『フェス』に出場する為に。




 如何でしたか?後半は会話が多くて読みにくかったかもしれませんが、作者の力量ではどうする事も出来ませんでした。
 次回は友希那さんのターンになりそうです。それでは、次回をお楽しみに。
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