こんばんは。俺様です。
皆さま、いかがお過ごしでしょうか?
ではなく。
さて。これは一度目の話、
といっても、未来の私から今の私に手紙が届くまでは一本道。たった一つの形の出逢いでございます。
私こと、ノワール・レイブンクローは二度、この世に産まれ落とされました。一度目は亡き母親の胎から。二度目は今は無き砂時計から。産まれ落ちた後は世界の理に従って、時間の波を現在から未来へ向かって流されるしかありません。
時折イレギュラーなきっかけによってその波から掬い上げられることもありましょう。
これは、ノワール・レイブンクローと名前を呼ばれる時間の波から掬われ、砂時計の持つ力によって過去を漂っていた限られた時間の話。
一緒に笑いました。怒りました。泣きました。後悔しました。
さあ、もう一度だけあの世界に。
すべての始まりはいつだったのか、もう覚えてはいません。
この冒険を語ること自体がすべての始まりだったのかもしれません。
有る筈のない冒険を形にすることは、この世界を肯定することとなるのでしょう。
長い時間となるでしょうが、覚えていることから順に語っていきましょうか。
小さな砂時計に押し込まれてからの一番古い記憶は、四人の魔法使いが何やらごちゃごちゃやっているところですかね。
砂時計に入れられたことで、私は肉体的な枷を外されました。つまり、意識だけの存在。
別名、幽霊モード。ふらふらゆらゆらと漂っていると、あるときある時間と場所に辿り着きました。
なになに?純血?マグル?学校?教育?魔法?
どうやら魔法使いのための学校をつくりたいようですね。
しばらくたってもう一度あの場所へ行くと、なんということでしょう!お城が建っているではありませんか!
しかも、周りの敷地も広いよう…
よし!ここに私のコロニーをつくりましょう!
おや?男の人が何かぶつぶつ言ってますね。
ちょっと近づいてみましょう。
「あいつらには俺の言いたいことが伝わっているのか分からん。お前とだったらこんなに楽なのだがな」
これは…人の言語ではありませんね。
おや、足元にいるのはへb…失礼。バジリスクの子供ですね。
では、彼が使っている言語はパーセルタングと呼ばれるものでしたっけ?
男の人が城へ帰っていきますね。
その後、私は隙を見てこのバジリスク様に話を伺い、いつの間にか友と呼べる関係となっていました。
男の人とも話をしますが、彼は私のことを「クロ」と呼びます。まあ、ただ黒い存在なんですけど…ネーミングセンスがちょっと残念ではありませんか?
他の3人とも話をしました。皆さん、いい人たちでした。
私のためにお城の周りに森や湖をつくってくださったり、たくさんの生き物が住み続けることが出来るように結界を張ってくださったり。
ただの傍観者であったつもりの私に戦い方を教えてくれたのはグリフィンドールでした。
他の動物との上手な関わり方を一緒に考えてくれたのはハッフルパフでした。
魔力と道具の使い方を教えてくれたのはレイブンクローでした。
私を「クロ」呼ばわりしたのは…じゃなかった。
世間を賢く生きる術を教えてくれたのはスリザリンでした。
彼らは私にとって第二の家族であり、私は彼らにとって守るべき「クロ」となったのです。
この絆は今でも変わりません。
そして、その時交わした約束も破られることはないのでしょう。これは今後の頑張り次第なのですが…
スリザリンが城を去った後も、私は城に住み続けました。
魔法生物と呼ばれる仲間も増え、城には子供たちの声が響いています。
いつしか四人が死後の世界へと旅立ち、私を「クロ」と呼ぶ人は一先ずいなくなりました。
少しだけ寂しい気もしますが、意志は受け継がれるでしょう。
四人はそれぞれ何か遺品を残していったらしいのですが…
皆さん知っています?
古い古い昔の話。
古い古い昔の友人。
もう二度と会うことのできない人たち。
会うことは出来ませんが、私はもう一度ここへ帰ってきます。
だから。
××××年○月○日