今日も今日とて俺様絶好調だぜー
とか言いながら、自分専用のフロアをゆっくりとした足取りで巡回する人影一つ。
烏羽色と言われるわずかに青みや緑みがかかった黒色の髪を一つに縛り、歩く度に尻尾の様に揺らしながら目線だけを本棚へ走らせる。
細い体に羽織られているのは、どこぞの魔法使いが使用しているような黒いローブだ。
白いシャツを身につけ、首元を青いネクタイが飾っている。
私は、ノワール・レイブンクロー。
かつてとある魔法学校で7年間学び、その果てに訪れた運命に満足出来ず、2度目の運命を紡ぎだした魔法使いである。
その時の話は、大切に大切に一冊の本へとまとめ今ではカウンターのところに飾られている。
きっとこの世界では語られる時は来ないのだろう。
あの時の物語は今でも私の心の中で脈をうち、ページは風に吹かれてパラパラとめくられ続けている。
愛しい人よ。
ああ、愛しい人たちよ。
あなたたちは、今でもそこにいるのですか?
私が願った様にあの世界で生き、穏やかに生を全うし眠りについているのですか?
後悔は決してしないと決め、あの世界を旅立った私。
そう。
その後私は満月の空に迎え入れられ、今ここにいる。
この図書館で司書を続けることを選んだ。
永遠に。
私はノワール・レイブンクロー。
99人目の司書であり、黒い烏を二つ名に持つ魔法使いである。
さあ、今日はどんなお客様がいらっしゃるでしょうか。
あかいライオン 勇気の剣をくわえてはしり
「せんぱーい!ノワールせんぱーい!」
「私のフロアを走らないでください。
減点1」
黄色いあなぐま 慈愛をカップにそそぎ
「お国から応援要請が入りましたです!先輩指名で!」
「えーーー、めんどい」
あおいカラス 頭上に叡智かがやき
「言っちゃった!?はっきり言っちゃいましたね!でもダメでーす
はい、これ!99人目の司書宛です!」
「『金の宝竜についての情報提供及び』…
『現場においての支援』ー?
そんなむちゃくちゃな」
緑の蛇 絆と意志を胸に隠す
「図書館から出るんですか?
すごい例外処置ですね」
「誰がこんな」
くるくる廻る砂時計 回せ廻せ 止めた時間の数だけまわせ
「「あ」」
「あのおじさんめーーー!」
「シリウスさんやっちゃいましたねー
(まあ、いつかは職権乱用で先輩のことこき使いそうだったけど)」
真実をその眼で見極めて 羽ばたけ黒きその翼
「でも行ったる」
「あれ?その心は?」
我が名はノワール、クロの飛翔
99人目の司書であり
99年を越えることが叶わない、未熟な黒いカラスの子
「愛しの疾風隊長に会える!
というわけで、留守の間はここお願いします。100人目の司書さん?」
「らじゃー!
いってらっしゃい、先輩!」
この不思議な世界は私をまだまだ飽きさせない。