親愛なる1991年3月の烏刃 真黒 様
拝啓
桜の蕾も膨らみ始める季節でございましょう、いかがお過ごしでしょうか。
これを日本国語で読まれている貴方は、まだ彼の人と逢われていないのでしょうね。
まずは先だって11才の誕生日をお祝いいたします。
これから何があっても全て受け入れよ。
世界はこれほど小さく、くだらない。
しかし、宝箱のように素敵なもので溢れかえっている。
今までの11年間、短かったでしょうか。
これからの11年間はきっと更に短かったように思えるでしょう。
まずは出逢いを連れてくる人をもうしばらく待ちなさい。
そして、自分の名前を自信を持って告げること。
どちらの名前も誇るべき「自分」なのですから。
敬具
1999年12月31日 カラスバ マクロより
(ここから下は破られている)
1991年3月1日
今日から日記をつけます。
たまたま安売りをしていたノートを購入しました。
帰ったら謎の手紙?が挟まっていました。
なんというホラー。
とりあえずそのままにします。
3月8日
今日は卒業式でした。
私は来年度からは遠い学校に行くそうなので、同志たちと離れることになりました。
借りてたマンガ、返しとこ。
あと、4月からどうなるのかはよ教えろ。
てか未定なのか?
3月13日
○○さんと一緒にごはんを食べました。
めずらしくすごいごうか。
ハンバーグとビーフシチューとデザートのアップルパイ。
全部○○さんの手作り。
いつもありがとうございます、○○さん。
ずっとだいすきで
(所々が焦げて読めない)
3月14日
(一ページ分まるまる焼けてしまっている)
3月15日
(白髪の短髪の大人と、椅子に座った黒髪の子どもが一緒に写った写真が丁寧に貼られている。
写真は少し煤で汚れている。)
3月16日
○○さん、もういない。
約束まもる。
ぜったい泣かない。
○○さんが残した私の部屋、だいじょうぶ。
全部おぼえてる。
今までありがとうございます、○○さん。
(はじめの部分は滲んでいるが、後半になるとしっかりした字で書かれている)
3月18日
厳しそうなおば…お姉様がいらっしゃいました。
○○さんはもういないことを言うと、悲しそうな顔をして私に会いに来たと言いました。
9月からの学校のことでした。
イギリスのホグワーツという学校に行くそうです。
7年間寮生活。
まあ、いいんじゃないですか?
3月19日
○○さんが教科書やその他諸々用意してくださっていたので、入学当日の9月1日に呼びに来てくれるそう…
え?イギリスだよね?
日本イギリス村とかじゃないよね?
どういうこと?
(8月31日まで他愛のない内容が延々と続く)
8月31日
明日は入学式です。
信じていいんですよね?
中卒どころか小卒なんて、私嫌ですよ?
教材をまとめてー
頑張って捕獲したあの方もケージに入れてー
中二病ノートを忍ばせー
よくわからない硬貨が入った巾着をポーチへー
黒歴史は鞄の底へー
……
………
忘れていました。
日本とイギリスの時差、9時間もあるんでした。
日本の方が9時間も進んでいるじゃないですか。
ただ今9月1日の午前11時。
約束の時間は午後3時(日本時間)。
どうやって行くんですか?