これは私の幻想郷です。解釈違い、キャラ崩壊は受け入れるかそっ閉じで対応してください。
私は人を真似するという事をあまり好まない。
なぜなら、人を真似するとその人に近い存在に高められるだろうが同一にはなり得ない。それどころか、自分自身さえも遠のいてしまうのだ。良い点を真似て、悪い点は反面教師にする……そうして変化した存在は自分と言えるのだろうか?
しかし、出る杭は打たれるのだ。気がつけば孤立し、疎まれた。真似をしない事の何が悪いのか。欠点は個性と言っていたではないか。
孤独とは人を、自分を大きく変えるのは理解していた。だからこそ、自分を保つために一人旅をした。
その中で人を見る目を得た。人を分析する事も。今では趣味の1つだろう。
話に戻るが、悪意を持つ人間からは距離をとり、善意を持つ人間には頼った。
持論だが人を頼るのは悪いことではない。迷惑をかけるのも悪いことではない。恩を返したり、謝らないのが悪いのだ。だから今の私は人に頼っているがいつか返しに行けるよう名前などをメモし、どのような恩を受けたか記録していた。
――――しかし、後に返すことは不可能に近い状況となる。
目に付いたお寺に手を合わせ、神社も参拝する。
取っかえ引っ変えしているが私が特に贔屓しやすいのは神社だ。神社の空気は季節ごとに違う。夏は涼しく、冬は暖かい。この程度しか分からないが違うのだ。そして、鳥居をくぐると同時に感じる程よい緊張というか圧力のようなものが好きなのだ。
鳥居を見るとつい足を伸ばしてお参りをする。
手水を終え、鈴を鳴らし、賽銭を入れる。正しい作法はさすがに調べた。無知であったがために良からぬ何かを貰い受けるのは避けたい。臨機応変に信念を曲げるのは自分の長所だろう、など考えながらもいつも通りに二礼二拍手目を閉じて……
「ご縁、よろしくお願いします」
いつも通りのはずだった……
目を開けると紅い世界が広がる。
一礼した後に鳥居を抜けて一礼。
「……は?赤っ!?」
階段を下りてから考えようとするも階段も一変して長い。
「こんなに長いのだから逆に下りながら考えれば良いのでは?」
我ながら名案だ、などと考えながら下りる。
「神社の作法は正しく出来ているはずだから問題はないとして、古い神社だったから作法が違っていた可能性……もありえない。昔、ここよりも廃れた……廃れた?」
独り言を言いながら整理するつもりが更なる疑問を生む。鳥居の色が、神社の様子がつい先程までいた神社と似ても似つかないのだ。
振り向いてみると赤い世界に包まれながらも、立派な鳥居が目に映る。
「過去?タイムリープ?もしくは異世界的な何か?」
言葉に出すと整理がつきやすいと言うのに考えはまとまらない。確実に言えることは……
「私のいた場所、もしくは時間ではない……」
とりあえず、整理をつけたことにして他に自分の身近なものを考える。
「次はこの紅い世界だ」
すぐ目の前に広がる、目に痛い程の紅い世界。この紅はなんだろうか。
「細菌の類ならば、もう手遅れだから考えなくて良いとして……」
ふと気がつく。湿度が高い。手にうっすら赤い液体がついたりしている。その影響は肌にとどまらず衣類や身につけているカバンまで……
「霧……?」
煙であれば咳き込んでいるし、湿度は上がらない。それどころか下がっていく。ほかの可能性も考えたがやはり湿度との関係性が浮かばない。日光と霧による影響で虹の赤のみが見えている可能性も衣服を見ると違う。
「近くに赤い川、もしくは池でもあるのか?しかも、常に赤い絵の具混じりの……」
周囲を見渡すも見当たらない、と言うか見えない。
「霧さえなけれ……いった!!」
考えることに没頭して階段を下りきっているのに次の1歩を出した結果、コケた……
顔からのダイブと恥ずかしさでさぞ赤い事だろう……
「だ、大丈夫ですか?」
……見られていたらしい。顔が熱くなってくる……
返事を返さないのも失礼だ。おまけに心配までしてもらっているのだからなおのこと。
「大丈夫ですよ。心配させてしまってすみません」
そう言いながら立ち上がった。首をまわして声の主を探す。
見つけたのは、言葉では言い表せない美女。高校生と言うには幼く大学生と言うには大人すぎる美女だ。
目が合うと同時に先程の醜態をこのような美人に見せた恥ずかしさで目をそらす。確実に顔は赤い。二重の意味で……
「その姿、外来人とお見受けします。突然の事で驚いておられるでしょうが説明をさせていただきます」
外来人と言うワードに疑問を持ったがこの状況の説明をしてくれるらしい。
黙っていると相手は首を傾げる。絵画のひとつになりそうだと思いながらも
「どうされました?」
と質問する。
「……なにか質問なさらないのですか?」
妙な事を聞く。しかし、説明をしてそれで終わり、なんてことは万が一にも無いだろうが一応、確認のために聞く。
「説明の後は質問してもいいですか?」
「答えられる範囲でならばお答えしますが……」
何故か、困惑している気がする。
「どうかしましたか?」
「……普通は、急にこのような状況に置かれたら誰彼問わず質問するのではなくて?」
「不思議なことを言いますね。これから説明してもらうのに質問なんて時間の無駄でしょう?」
このような状況に置かれたからこそ黙って聞かねばならないだろう。
黙っていると……
「それもそうですね。ここは幻想郷という場所。忘れられたモノが訪れる場所です。そして、私はその幻想郷の管理者である八雲紫ですわ。どうぞよろしくお願いします」
「ふむふむ。ここは幻想郷、どういう場所かも分かった。この人は八雲紫さんで、この地の管理者……」
「……先程から思ってたのですが独り言、多くないですか?」
「あぁ、いえ。独り言を言いながらだと整理がつ……き……」
……なぜ?独り言が多いのは自分でも理解しているが……
「……先程から?」
「えぇ。この土地には結界があるのですが、異常が発生したのであなたをずっと監視しておりました」
「なるほど。異常が起きた為確認に来たところ私がいて、どのようなモノなのか見に来たのですね。それで、どうなさるんです?」
「というと?」
「最終的にどのような判断を下すんです?管理者ならば害を産みそうなら処理しないとダメでしょう?」
このように会話が成立してる時点で可能性は2つ。害がないと判断されたか……処理するのは容易いからのんびり会話をしているか。
「このように会話をしている時点で分かるでしょう?」
「……そうとも言いきれないでしょう?」
正直、嫌な汗が全身から出ているような気分だ。実際は額と背筋に点々とだろうが。
「そうですわね。結論から言いましょう。害はないだろう、と判断しました。」
「……だろう、ですか。当然でしょうね。それでは、監視お願いしますね」
少し、ホッとした。汗も引いて一安心……
「はい。分かりました。それで、この紅い霧に関しては聞かなくても良いのかしら?」
……つい、会話に夢中になって忘れるところだった。
「つい先程聞いた結界の異常では無いですよね。無関係ではないでしょうが、入ってきた人達が何かしたんですかね?」
「えぇ、その通りです。心配はありません。向こうは自己紹介のつもりでしょうし」
このような異常気象を自己紹介呼ばわりとは……かなり器が大きいか、ルーズなのか……
「まぁ、一応引き返した方が良さそうですね。さっきの神社まで戻りますね」
「あら?誰か人がいました?」
「いえ?社務所とかなかったので居ないと思いますが……」
「そうよね。……変わっているのね」
「と言いますと?」
「外来人では珍しいわよ。こっちでも少数派じゃないかしら」
「あぁ。なるほど。神社は神様の部屋ですので。よほど無礼をしなければ安全でしょう」
私は科学は嫌いではないが、どちらかと言うと非科学的考えの方が楽しいと思う派だ。
「それに、そう言った存在よりも人間の方が怖いですし」
――ピシリ、と空気が変わった気がする。酷く重く、冷たい。全身から汗が出る。今回は……比喩じゃないだろう……
「そうでしょうか?」
マズい。警戒心はある程度取れていたのに触れてはいけない所に触れたらしい。雰囲気が柔らかくなったのにまた逆戻りだ。歯がガチガチとなりそうなのを急いで口の内側の肉を挟むことで鳴らさないようにする。
「……少し、人との関係が良くなくていい思い出がないのです。出会ったこともないので。私が恐ろしいのは、想像できない恐怖より体験した恐怖ですよ」
「なるほど。そう言えば言っておりませんでしたね?私は妖怪ですわよ。それで、今体験してどうですか?」
「……あなたが満たされてたら、いいんじゃないですかね?」
「信じているだけあって、少しは知識を持っているようですね」
……本物は、ここまで恐ろしいのか。絵や本で得た知識など役に立たない。まさに百聞は一見にしかず、だ。
「そう言えば、妖怪でしたら長命ですよね。それに、さっきの雰囲気から考えるとかなり力のある方でしょうし……」
続きを言おうとしてやめた。八雲さんの表情が目に入ったから。
「はい?」
「……とりあえず、この話はやめときます。怖いので」
「賢明な判断ね。まぁ、こんなものかしら?」
「とりあえず、今のところはこのくらいですかね」
「分かりました。最後になりましたが、ようこそ。幻想郷へ。ここは全てを受け入れる。ゆっくりお過ごしくださいな」
そう言って、奇妙な空間を開いて中に入って……
「あっ!待ってくれます!?」
行く前に呼び止めた。
「何かあったかしら?」
「私って元いた世界に戻れるんですか?元の場所の人たちはみんな忘れたって聞きましたけど」
「そうねぇ。酷なことを聞くけれど、誰もあなたの事を覚えてない世界に帰りたいのかしら?」
「なるほど。帰ることは可能なんですね。答えはいいえ、ですけど」
「他には?」
「2つほど。妖怪と対した時の対抗手段と八雲さんのさっき開いたそれです」
「1つ目は気にしなくていいわ。監視対象を死なせる訳ないし。2つ目は能力ね。幻想郷にはさっきみたいに不思議な能力を使う存在が少なからずいるわ。稀に幻想郷に入ると能力が覚醒する人や存在がいるけれど元々素質があったり、存在自身が持っている能力だったり様々よ。見てあげましょうか?」
「……一応、お願いします」
私が持つ素質……これと言って浮かばない。誰もが持っているわけではないようだし、ないのだろうな。唯一あげられるのは好奇心旺盛なあたり、知識を得やすいとか得る手段が分かるなど、そういうのが欲しい。あと、大切なのは答えを得る、では無い事だ。得る道中があってこそ得た時の達成感が強いのだ。
「……真似をする程度の能力……らしいわよ」
「……なるほど。なかったんですね。あと、先程の失礼は謝るので許して頂けませんか?」
「いえ、本当に。あと、どうして嫌なのかしら?あなたみたいに好奇心で死にそうな人は色々と真似ると思うのだけど。ひとりかくれんぼとかしなかった?」
「……真似をしたら、自分と言う存在はどこに行くのか分からないからしたがらないだけです。あとそれは本当に信じてる人はしないでしょう。してないですよ」
「そう。まぁ、あなたの自由よ。あとはもうすぐ着く人に任せるわ。異変も終わったし」
「え?」
周りを見ると、紅い霧はなく、空は黒く染まりながら星や月がきらめいている。
「星空とかプラネタリウムとかしか見た事なかったなぁ……あとは星座早見盤くらいで」
「まぁ、外の世界と比べると自然豊かね。気に入ったかしら?」
「すごく楽しいですよ!初の異世界転生や初の妖怪と会う、まして会話をしたりとか!」
「まるで子供みたいに喜ぶのね。気をつけて」
八雲さんはそう言い残して、今度こそ奇妙な空間に入っていった。
「我ながら好奇心旺盛だな〜。おかげで何度か死にかけたけど!」
この世界に来てから幼児退行をしている気分だ。胸が踊るしワクワクする。
一度、深呼吸をして考えていく。
「先程の対応からして、おそらく好感度で言うと低くない。が、高くもないだろう。幻想郷の管理者ならばこの地への愛情は深いだろう。それで、この地への好意を前面に出してみたが少し上昇したかな?くらいのもの。
確かにこの地は今のところは好きだが、ほかのルールなどで変わる可能性はある。まぁ現状は好きだからいいだろう。」
ポツポツと分析をする。好奇心旺盛なのだから分析するのも仕方がない。
「次に能力、かぁ……」
正直、真似をするの範囲が浮かばない。先程の八雲さんのように隙間を作れるのか、ただ行動を真似られるだけか……
「試すか。少し気になるのだからな。仕方ない」
そう言い聞かせながら見よう見まねで試してみる。
目の前に奇妙な空間。そして、目の前に八雲さんがいた。
「あ、先程ぶりですね」
「えぇ、そうですわね」
監視しているのならこの便利な能力を使うのは予想済みだ……
が、この行動をどう言い繕おうと良い行いでは無いことも理解しているから諦めていたがここまでの存在に知られるのは考えていなかった。
「そう言えば、外来人って言ってましたけど私のように……外の世界?から来てる人達のことを言うんですかね?」
「そうよ。で、何か言うことはあるかしら?」
「深呼吸をして自分とかを客観的に見るのが私は趣味なんですけどその一環として他の人もそういう風に見るんですよ。
これは私の趣味ですがこのように分析中の姿を分析している相手に見られることは想定していなかったので気分を害されたなら謝るしかないですかね?」
「そう。で、どうします?」
「……ごめんなさい」
悪い事をしたと思うなら謝る。私はそういう人間だ。
「……まぁ、別に好きにしたら良いけれど。あなたの言う好感度はさっきので下がる事が多いから気をつけなさいね」
「流石に知ってますよ。分析していると予想はつきますからね。他にも、偶に見られて態度が変わった人もいましたし」
「そう。で、能力を使ってみた感想は?」
「そうですね。正直に言いますと便利だと思う反面、やっぱり気分が悪いですかね。この感じですとかなり真似が出来てしまいそうですし……」
少し疲労感がある。旅で疲れたのか……?
「疲れてるわね。初めて使った時に言うつもりだったのだけど能力を使う際はその力が大きいほど多くの力を使うわ。とても重要だから覚えておきなさい」
まぁ、無限に使えたらそう放っておかないだろうし当然か。
「一応、試せたので勉強料みたいに思っておきます……」
そう言いながら私は意識を手放した。
異変に介入させるつもりはありません。ただただ人や妖怪、神様と関係を作るだけです。