鱗滝さんに集められた俺たちは、修行の終了を言い渡された。最終選別に出てもいいこと、最終選別が二か月後にあることを言い渡された。その日修行の終了祝いは猪鍋だった。それからよく寝た今までで一番安眠できた。
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俺たち三人は最終戦別までの間、最終調整としてお互いの剣技を高めあうことにした。いつも通りウォーミングアップに山下りをし、立ち合いに入る。呼吸を駆使した立ち合いだ。
水の呼吸は最も基礎的な呼吸で原始の呼吸の中で一番型の数が多いらしい。だからこそ応用の幅が多く派生したオリジナルの呼吸も多いらしい。
カンッカン ガツン
木刀のぶつかる乾いた音が稽古場である。河原になり響く、
横薙ぎ、縦斬り、突き、突き
お互いにお互いの技をいなしていく、錆兎と俺の立ち合いは10勝11敗これに勝って同率に持っていくんだ。
「うおりゃあ」
錆兎の隙を見つけ斬り込む
”全集中 水の呼吸 漆ノ型 雫波紋突き”
俺は水の呼吸の最速の突き技を放つ。
錆兎は俺の雫波紋突きをギリギリのところでよけられてカウンターを叩き込もうとするが俺はすぐにのけぞってカウンターを躱す。錆兎は続けて追撃を放つ
”全種中 水の呼吸 捌ノ型 滝壺”
錆兎は木刀を怒涛の勢いで上段から振り下ろす。呼吸で強化されたその技は型の中でも屈指の威力を誇る。おそらくここで受け太刀すれば十中八九、木刀を折られる。でも別にわざわざ受ける必要はないんだよな。
”全集中 水の呼吸 陸ノ型 ねじれ渦”
全身を回転させ渦の斬撃を放つことにより滝壺の軌道をずらし錆兎の剣は完全に空を斬る。そのまま横薙ぎ、木刀を首元につく。その瞬間義勇が「一本」と俺の方の旗を挙げた。
「うっしゃああ、勝ち越したああ」
俺がそういうと錆兎が悔しそうにすかさず「いや負け越してねーよ、同率だよ。ふざけんな」と突っ込みを入れる
この基礎訓練とこの立ち合いを繰り返した。立ち合いを繰り返すうちに連続で試合をすればするほど全集中の呼吸のレベルが落ちていくことを知る。
全種中の呼吸は酸素を大量にとりこみ、運動能力を爆発的に上げる技。肺にも相当負荷ががかかる、体の代わりに肺は疲弊していき、呼吸の精度は落ちていく最終的に呼吸が使えなくなってしまう。これがあってはならないこと、呼吸は鬼狩りの基本にして奥義、呼吸が使えなければ鬼狩りは只人と変わらない。たちまち鬼に殺されてしまうだろう。
それに気づいた俺は日常生活でも全集中の呼吸を使い続け肺の強度を上げる訓練を開始する。…一時間経過後俺はぶっ倒れた。
目を開けると鱗滝さんが俺の顔を覗いていた。
「気づいたか空次」
鱗滝さんの話によれば俺がしようとしていた。訓練の先にあるのが”全集中 常中”という技らしい。鬼殺隊の中でもある程度のレベルに達するものは全員これが使えるらしい。食事中も就寝中もいかなるときも呼吸をきらさないのだとか。
まじか化け物だな。
努力は素晴らしいが自分の限界を見極めろと注意を受けた。
ベットからでると陽光が窓からこぼれていた。もうすでに朝らしい。ぶっ倒れたと気は夕方だった、なるほどちゃんと寝たなこれは。12時間くらい寝たらしい、真菰が「空次大丈夫?無理しないで…」なんて萌えることをいうもんだから。俺はこの萌え上がる気持ちを抑えて真菰の頭をワシワシとなでて「大丈夫だよ」といった。このかわいい小動物を撫でまわして遊びたいところだが、俺は修行に出た。
修練場(河原)にいくと二人が川の中で立ち合っていた。これは本気の立ち合いというか正式な勝負ではなく、足元の悪い場所での戦闘を想定した訓練だ。
「おーい」
俺が声をかけるとこっちに気づく
「大丈夫か、空次」
俺は何があったのか二人に説明し、鱗滝さんに言われたこと教えた。
「そうだったのか、よかった夕食の準備中に急に倒れちゃうから、大病なのかもって心配してたんだ」
と義勇が言うと錆兎が「そうそう、どっちが弔辞を読もうか話し合ってたとこだ」とおちゃらける。っておい!勝手に殺さないでほしい
「それにしてもそうか、確かに全集中の呼吸はめちゃめちゃ疲れるし、連続で使ったら俺は一体何分もつんだろう?」
錆兎が当然の疑問を投げかける。結局訓練と称して呼吸をどれだけ続くか勝負になった。
……学習力のない俺と錆兎がぶっ倒れた。起きると夜だった。鱗滝さんにこっぴどく怒られて俺と錆兎は拳骨をもらい。おそろいでたんこぶを作りました。
次の日からぶっ倒れないようレベルで呼吸訓練を取り入れた。呼吸の持続力は義勇が一番長かった。俺と錆兎が良く張り合っているからその勝負に目が行きがちだが、多分一番才能があるのは義勇だ。まずもって期間が違う錆兎は二年俺は一年半の修行に比べて、義勇は一年体力増強、危機察知能力強化訓練である山下りの期間を抜いて、呼吸から岩斬りまでの期間は7か月俺と錆兎の二分の一の期間で岩を斬っているのだ。
「ぜえ、ぜえ、すごいな義勇、んはあ。まだ呼吸が持つのか」
と俺が息切れしながら言うと”そんなことないよ”と言う、
これは謙遜ではないのだ。本気で自分なんてそうでもないと思っているのだ。義勇は自分を過小評価しすぎなのだ。もっと自信を持ってほしい…この性格が実践で悪い方向に作用しなければいいが…
そして、山下り、立ち合い、呼吸訓練の毎日を過ごした。呼吸訓練は半月も練習すると訓練中には収まらくなって食事中や就寝前まで呼吸を維持できるようになった。今の実力だと大体6時間ってところだ。
立ち合いの合計はもう百を超えた。合計の勝ち星の数では錆兎と俺の立ち合いでは錆兎の勝ち、錆兎と義勇の立ち合いでは義勇の勝ち、義勇と俺の立ち合いでは俺の勝ちという奇妙な三竦みの状況になった。これには多分お互いの戦闘スタイルが関係している。
錆兎は動の剣士、動き回ったり連続攻撃を仕掛けて、相手を翻弄或いは圧倒するのが得意なタイプ、逆に義勇は静の剣士、相手の攻撃をとにかくいなすのがうまく、静かにチャンスをうかがいカウンターを叩き込むのが得意なタイプだ。
じゃあ俺はどうなんだ、と皆さん思うでしょう。僕はきっと静の剣士です。じゃあ錆兎に有利に立ち回れれるのになに負けてんだというお叱りの声、ありがとうございます。私の剣技では錆兎の攻撃をいなしきることができなかったのであります。
じゃあお前は静の剣士として義勇に完全に技量で劣ってるってことだろ。何でお前が義勇に勝ち越してんだよ。というお声ももっともでございます。今まで触れてこなかったので皆さんお忘れかもしれません。俺も忘れかけておりました。私にはオーラを揺らぎを知覚し、相手の感情を読むことができるチート能力を持っているのですよ。動の剣士は物量で勝負します。それに対して静の剣士はカウンターの一撃を狙います。ですからいつ攻撃を仕掛けてくるかわかってしまえば、タネのばれた手品と同じなのです。よって私は静の剣士にめっぽう強い静の剣士ということです。
これから相手にするのは剣士ではなく鬼。どの程度この剣士のタイプ分けが影響するか分からんが自分の弱点を知るということは重要だ。
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ついにこの日がやってきた鱗滝さんを前に正座をする。めっちゃ緊張する
「お前らの試験は一か月前に終わっているが、改めていわせてくれ。三人ともよくやった。最終選別はついに一週間後、明日お前たちが行く前に渡したいものがある」
そういうと棚から狐の面を出して俺たち三人に卒業証書にように渡していく。
「厄除の面というお前たちを災いから守るようにとまじないをかけておいた」
「最終選別は厳しいものとなるだろう。しかしお前たちなら必ず突破できるとワシは信じておる。全員帰ってこい」
俺たちは短くはっきりと「はい」と返事をした。
次の日の朝俺たち三人は藤襲山へとむかった。見送りに来た真菰がギャンギャン泣いた。もうそれは鱗滝さんが「泣くな真菰、今生の別れではない」とかっこよくいったけど全然意に介さず、泣き続けたのでみんなどうすればいいのだとおあたふたした。
最後には一人づつ必ず帰ってくると指切りをして、やっと向かうことが許された。
俺たちの決意はさらに固くした。
皆さん究極の質問とはお酒とおっぱい飲めなくなるならどっちがいや?というものです。覚えておきましょう。