空模様   作:不死ノ山

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来ました。最終選別まだはじまってはいませんがドキドキしてきました。


藤襲山

「すごい。こんなに藤の花が、狂い咲いているなんて…」

義勇がそういいながらいろいろな目を見開いている。俺たちは藤襲山のふもとに来ていた。

それにしてもすごい、あたり一面藤の花である。山に入るとさらに驚く藤の花が途切れることがない。これ程の花を維持しづつけるとは…突然変異か、それとも気候ななのか、あるいは品種改良なのか…

この仕組みを解明できれば、安全地帯の領域を増やすことができるのではないか…などと考えながら山を登る。それにしても本当にすごいなどこまで咲いているんだ…

 

「ついにこの時がやってきたな」

錆兎が緊張しているのか、それとも戦いの前の高揚かあるいはそのどちらともなのか声を震わせている。

 

「緊張しているのか?声が震えているぞ」

俺は錆兎をいつも通り煽ろうとする。途中で気づいて抑えたが、俺も声が震えてんじゃねえか…これで突っ込まれたら、ださすぎるぜ…

 

錆兎は意外にも「そうかもしんねー、体が震える。」と声を震わせながらも冷静に緊張していることを認める。なんだよ、いつもみたいにムキにならねえのか。調子狂う…気持ちはわかるが。

 

「きっと最終選別は厳しいものになると思う…でもさきっと大丈夫僕たち相当鍛えたもん。きっと帰ろう。三人で鱗滝さんのところに」

俺と錆兎は顔を見合わせる。義勇もらしくないことを言った。いつもならネガティブなことを言うのに…でもありがたい

 

「そうだな、生きて帰ろう。三人で」

俺がそういうと錆兎はも深くうなずいて

 

「当たり前だ。もともと最終選別は通過点にすぎない。最終選別の鬼なんか全員俺が首を斬ってやる。」

俺も錆兎も声の震えはとまっていた。ここにきてネガティブ思考はやめろと言っていた俺たちがここで義勇に救われるとは…わからないものだ。

三人は拳を合わせて約束する。最終選別を生き抜いて鱗滝さんのところに帰ると

 

∴∴∴∴∴

 

山の中腹につくと開けた場所にでた。そこは広場のようになっていて周りの行燈には火が灯っていて、その広場だけ明るくなっていた。どうやら山頂へはあの鳥居を通って頂上へ行くらしい。誰もあの鳥居を通って頂上に行こうとしないあたり、ここが集合場所で間違えないらしい。

 

「ここが試験会場…」

義勇がそういうと錆兎がこれから行われるであろう試験の説明をする。

頂上付近に鬼が閉じ込められているということ、俺たちはその中で7日間生き残るということ、そしてこの20人以上いる受験者のうち生き残るのは毎年一桁だということ

 

「そうか、、、僕たちは必ず生き残る、そして僕は、、、俺は姉さんの敵をとるんだ。姉さんを殺した鬼を全滅させてやる…」

ああそうだった。重要なこと忘れていた義勇は本当に謙虚な男だ。謙虚さが行き過ぎてネガティブ思考だと俺たちから言われることもあるくらいに、だから決して己の実力以上のことは言わない。そんな義勇に皆殺しにしてやると言わせてしまう大義…それは復讐心だ。修行に没頭していて忘れていた。一番先が見えていなかったのは俺らしい、何のための修行の日々だったのか、何のために強くなったのか。 それにしても俺は環境に恵まれている。家族、師、友人。いつも大事なことを教えてくれる。進むべき方向を示してくれる。ありがとう義勇。ありがとう錆兎。

 

義勇に触発されて、錆兎が「当たり前だ」という俺もそれに乗るように「じゃあ三人でこの山にいる鬼を全滅させようぜ、鬼を殺した数で勝負しよう」と提案する。俺の提案によって重苦しい雰囲気だったのが、いつもの俺と錆兎の勝負モードに入る。珍しく義勇も勝負に入ってくる。

そんなことをやっていると緊張感のない姿に周りの注目を集めてしまったらしい。周りの者たちからの視線が痛いことに気づく。俺たち恥ずかしくなり、さっきと打って変わって超静かになる。視線が痛いので試験開始まで隅でおとなしく息をひそめることにした。

移動しようとすると後ろから呼び止められる。

 

「すごい人気だね」

白髪で細い目の少年が話しかけてくる。

 

「あの先ほどは五月蠅くしてすみませんでした。」

義勇が因縁つけられたのかと思い、先手をとって謝る。

 

「ああ、ちゃうよ、ちゃう。別に突っかかろうとしてるわけちゃうんや」

 

「じゃあなんで、話しかけてきたんだ。」

 

「君たちでしょー鱗滝さんって人の弟子は…」

錆兎と義勇が身構える。俺たちはこの広場に来てから鱗滝さんの話をしていない。鱗滝さんの話が出たのは、途中藤の花の道で生きて帰ろうと約束した一回だけだ。その時周囲に生き物の気配はなかった。こいつ何者なのか…

 

「やだなー。身構えないでよ。別に取って食おうってわけじゃないんだ」

ちょっと胡散臭いなこいつ

 

「なぜ鱗滝さんのことを知っている?」

錆兎が緊張した面持ちではなしかける。みんなそんな戦闘態勢にならないでよ。相手は人間だよ。

 

「いやー実はうちの爺とあんたらんとこの師は昔同僚だったんやって、それで話しかけたってわけ」

 

「なんで鱗滝さんの弟子だってわかったんだ?」

俺が最初から思っていた疑問をぶつける。二人とも身構えるのをやめていいんじゃないか。敵じゃないってわかったんだから…

 

「その面だよ、爺が鱗滝ってひとの弟子は狐の面をしているっていってたんや」

やっと二人が緊張を解く

 

「それにしても面白い話をしっとたねー、鬼は全員倒すとかなんとか」

俺たちはその話をぶり返されて顔を赤くする。

 

「やめてくれ、本番前で高揚してたんだ」

錆兎が恥ずかしそうに言うと

 

「いやいいと思うよー、それくらいの気概がないと。」

そのあと俺たちはなぜ鬼狩りになろうとしてるのか。とかどこでどんな修行をしていたのかとかをお互いに話した。

 

白髪と黒髪の少女が鳥居の奥から降りてきて最終選別の方法を話した。鱗滝さんに言われた方法でほとんど相違がなかった。「それでは一人づつ入山してもらいます。」というと会場がざわついた。やはりどこでも遠慮されるらしい。だれが最初に入るのかなとみていると横にいた錆兎が手を挙げた。

 

「二人ともここからは試験だ。俺は自分の実力を試したい。だからここで一度さようならだ。でももし本当に危なくなったらこの笛を吹いてくれ」

と言って呼び笛を俺と義勇に渡した。

「すぐに助けに行く、二人とも7日後この広場で会おう。あとお前もな」

と俺たちに言うと入山するために女の子の方に歩いていった。

 

∴∴∴∴∴

 

受験者たちは一人また一人と鳥居の奥に消えていった。義勇と話して俺たちもばらけて入ることにした。義勇は中盤で入山し、ついに広場に残るのは俺と胡散臭男だけになった。

「じゃあ、僕ももう行くわ、君も頑張りーや。僕は君には一番期待してるんよ」

最後まで一緒に残ってたわりにあっさりと「頑張りーや」と手をひらひらと振って歩いて行ってしまった。べっ別にさみしいわけじゃないんだからね!

 

多分アイツはこの受験者のなかで一番強かった。俺たち三人よりもだ。誰よりもオーラが濃かったし、何より

「アイツ結局呼吸を一度も止めなかったな…」

しゃべっている間もずーっとだ。俺たちは呼吸の時間を延ばすために日常生活をしながら、呼吸を続けたことがあったが会話なんて一言もできなかった。

 

まだまだ修行が足りんな。俺も…気を締め直し最後の受験者として入山した。

 

∴∴∴∴∴

 

入山するとそこには何人も屯していた。屯していた受験者の一人が話しかけてくる。

 

「やあ君が最後の受験者だね。僕は18番目に入山した篠原だ。よければ僕たちで即席部隊をくまないか。君も少しでも試験時間を短くするために最後までまっていたんだろ。いや侮ってるわけじゃないんだ。君は賢い選択をしただけだ。でもこのまま入山してしまううとせっかく賢い選択をしたのに考えなしに入山していったほかの受験と一緒だ。そこでもう一つ君に賢い選択をする機会を上げようと思う。僕等の部隊にはいって七日間を安全に乗り切ろう。」

なるほど確かにこいつは賢いこの最終選別にはルールがない。与えられたのは7日間生き残るという条件だけ。試験という固定概念に縛られず自分のない技術を補うのはいい選択だ。

 

「声をかけてくれてありがとう。ただ僕は自分一人の力でこの選別を挑戦してみたくてね」

篠原が顔をしかめる。

 

「でもね君さっきの子そうだったけど、徒党を組んだ方が生存確率はぐんとあがるんだぞ。」

組む組まないのやりとりを何回かやったあと俺はめんどくさくなって「悪いね、団体行動というものが苦手でね」といって強引に話を切り上げ、山の中へと足をすすめた。

 

とうとう最終選別が始まった。これからは油断したものから死んでいく。おれは歩をすすめる。生き残るために…




手鬼どう殺そうか今からドキドキしてます。あと白髪の少年は完全に市丸銀をイメージしています。
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