えっちなのはいけないと思います。
犯罪はもっとダメです。
峰田実。
雄英高校が誇れない、1-A所属のエロブドウである。
十代、童貞、性欲過多。男子高校生。
それらのハイブリッドどころか、ハイエンドなナニカである。
これには脳無もビックリ。
しかもそれを隠すどころか、前面に押し出しているオープンな存在でもあり。
それでいて、いざという時の男気や、地頭の良さなども備えている困った存在でもある。
雄英、よくこいつを入学させたな。
「オイラのリトルミネタは、もう立派なバンザイ行為なんだよぉ!」
「(浴場の壁を登りつつ)プルス ウルトラ!」
など、全力で覗きを実行しようとした事もある。
どちらも阻止されたので未遂で、かつ痛い目をみたので流されていたが。
もしかして、その時点ですでにアウトだったのではないだろうか?
まあ、それは置いておいてだ。
そんなエロヒーローでも、エロヒーローだからこそ輝く時がある。
男だけでバカ話している時とか。
まあ、こんな感じで。
「なあ障子ぃ……」
ハーイ○ョージィ♪ と類似の、どこかねっとりとした声が、障子目蔵を足下から呼び止めた。
バカな。ここは雄英の寮、男子階の廊下。下水道も、ピエロもいないはず…!
障子は戦慄しながらも、声の方に振り向くよりも早く触手を向け、目を作って確認。
下半身はいつでも離脱できるようヒザを沈ませ、盾にも迎撃にも使えるように上半身からは触手を増やし……
「なんだ峰田か」
そこにいたのはただのクラスメイトだった事に、ほっとしながらも、同時に戦慄した自分が恥ずかしくなって、足早に立ち去ろうとした。
だが回りこまれてしまった。
「おーっとちょっと待ちなぁ… 実はオイラ、聞いちまったんスよぉ…!」
「…………何をだ?」
あっ。これ無視するとめんどくさいヤツだ。
そう悟って、とりあえずテキトーに流そうと決めた障子だったが、そうはできなかった。
「今、葉隠がさあ…… ノーパン らしいんッスよねぇ…!!」
「ハァ!?」
マジか? というかなんで俺に言った? そもそもなんで知ってるんだ?
様々な疑問が、超速で障子の頭の中を走り去っていく。
それはホークスよりも速く駆け抜けていってしまって、口から出ることもできずに。
それらが消えたあとには、制服姿の、というか制服だけ見えている葉隠のスカートがひるがえるイメージが残るだけだった。
そんな障子の脳内を見抜いてかどうか、峰田は話を続けた。
「いや、ね? オイラが帰ってきたら、ちょうど女子らが私服に着替えてロビーでくつろいでたんスけどね? そこでちょっと小耳にはさんだんッスよぉ…!」
「葉隠ちゃん、ちょっとスカート短くない? 見えちゃわない?」
「大丈夫、下、履いてないし!」
「…っていう会話をよぉぉぉ!!!」
「なんでそれを俺に聞いた」
オールマイトとは別方向で画風を変えて、目を巨大化、血走らせて叫ぶエロブドウ。
そんな彼の勢いのおかげで、ちょっと醒めた障子が冷静にツッコんだ。
脳内を駆けていこうとした言葉を、今度は捕まえられたらしい。
「え。だって席、隣じゃん。葉隠の」
「それだけか」
「いや、いいから一緒に考えてくれよ! ノーパンはエロい よ! ああ、確かにエロい さ!
だけど見えない透明なノーパンは、例えスカートをつけた ノーパンチラでもエロい のか!?
普通のパンチラよりも、それはいいものなのか!? 答えてくれ、障子ぃぃ!!」
いや、知らんわ。
そう切って捨てたいところではあった。
だが障子目蔵。彼も十代で男子高校生で(たぶん)童貞という属性は持っていたし。
さっき脳内に現れた ノーパンチラ葉隠制服バージョン は、今も脳内にキープしていたわけで。
今、新たに現れてしまった、良すぎる視力と席が隣ゆえに見る機会に恵まれた、葉隠のサービスシーンも追加で想起されてしまったわけで。
「ねえ、どっちがいい?」
「どっちがいいのかな~?」
脳内で語りかけてくる(気がするだけである)2人の葉隠に、障子は答えを出すことは出来なかった。
「峰田よ…… やるか。男子会」
「オッケー、夕食後な」
これは大変難解な問題である。
見解の一致を見た両者は、答えをより多くの人間に求める事にした。
まあ、男子の他の面々も、やっぱり十代で男子高校生で(たぶん)童貞なので、この議題には真剣に取り組んでくれるだろう。
「ちょっと冷えたんで、ジャージ履いちゃった」
というカウンターに、期待を裏切られた峰田と障子の 実物を見たかった……という、声なき嘆きという無駄な犠牲は払われたりもしたが。
こういう、全力でバカをやっている時間も、彼らにとって貴重な青春なのだ。
たぶん。