1-Aの日常ネタ   作:far

6 / 6
焦凍。

 

「緑谷、ちょっといいか」

 

 学生寮ハイツ・アライアンスには、寮母さんがいるわけでもないし、ランチラッシュが面倒を見てくれるわけでもないので、自炊である。

 各々が自分の分を作ったり、合作したりと、そこは色々だった。

 爆豪などは基本自分用のみ(激辛が好みなせいもある?)だったり、料理の腕に自信が無いので、誰かしらに混ざる上鳴、逆に面倒を見る砂藤がいたりと、個性的だ。

 だが食事の時間は同じであり、彼らはそこでコミュニケーションをとったりもする。

 そして後片付けも終わった、そんな食後のひととき。轟が緑谷に、声をかけたのだ。

 

「うん、いいよ、なに?」

「ちょっと聞きてえんだが」

 

 食後のミルクをぐいっとキメながら、軽く応えた緑谷が、次の瞬間ミルクを派手に気管に入れてむせた。

 

「永久脱毛ってどう思う?」

 BUUUUUU!

 横で聞いていたお茶子と飯田は吹いた。緑谷と違って、飲み物は口に含んでいなかったのは幸運だ。

 

「エフッガハッ… ど、どういうこふぉ? エンデヴァーが嫌いすぎて、とうとう髪の色までストレスにふぁってきたとか!?」

 

 ティッシュでミルクを処理しながら、緑谷がやや噛み噛みでひどい事を言い放ったが、誰もそこにはツッコまない。

 轟の父の個性は、地獄の炎上(ヘルフレイム)だ。

 

「ちょっと合ってる」

 (((合ってるんだ…)))

 

 A組みんなの心をひとつにしつつ、真相は明かされる。

 

「だが髪の話じゃなくてな…… なんつうか、無駄毛の話なんだ」

「無駄毛」

 

 顔からして母親似の轟は、体毛も男子にしては薄い方だった。しかしさすがに高校に入ってから、ここ最近。腕やら脚に生えてきてしまったという。

 

「しかも左側だけハッキリ濃いんだ」

「左側」

 

 父親から受け継いだ、炎の個性の宿った左半身。思わずそこに注目した一同は、彼の父を思い浮かべて思った。

 ああ、濃そうだもんな……

 

「色も左右で違うから、そういう意味でもバランスわりいし、いっそ永久脱毛しようかと思ってよ」

 

 調べたら、メンズエステってやつで、そういうコースがあったんだ。

 

 そう説明する轟の後ろで、A組一同が集まって緊急会議が行われていた。議題は

 

 『永久脱毛はすべきだが、その前に一回見たい。なんなら写真撮りたい。で、誰が言う?』

 

「相談されたのはデクくんだよね」「いや、ここは学級代表の委員長が」「女子の誰か…」「かっちゃん?」ナンデオレガ「この際聞いちゃうけど、轟くんって下の毛も紅白なの?」「やめてやれ」

 

 会議は短いながらも白熱し、女子にいいとこ見せようとした峰田が名乗り出たところ、どうぞどうぞと背中を押されて。

 A組のみんなのスマホには、上半身裸に短パンの轟の写真が残されたそうです。

 

 それもきっと。アオハルの1枚。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。