ぶっ飛び少女がDIO様のメイドになるお話   作:ふろんてぃあ

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第10話 ハナコ、承太郎に会う

目撃者 その② 〜ハナコ、承太郎に会う〜

 

「おいテメー。」

「………あら、おはようございます。………もうお隣の席ではありませんの?」

「………テメー、そんな喋り方だったか?」

「尺に触ります?」

 

撮り逃した同級生を暗殺しに日本に来たハナコだが、学校に潜入したしょっぱなから承太郎に絡まれていた。

 

「………まあそれはいいが………俺が聞きたいのは昨日まで行方不明になってた奴がどうして何の前触れもなく学校に来るかって事だ。」

「先生方に話が通っている筈なのですが………ああ、私がいじめられているから、気を使ってくれたのでしょうか…」

「待ちな、話は終わって無いぜ。テメー以外の奴らは何処に行ったんだ?同時に3人だ…1人は頭がイカレちまって病院送り………そんなかでテメーだけがピンピンしてやがる。」

「ホホホ………私の事を気になさるよりも、取り巻きの方々に目をかけてあげたら如何です?」

「………はぐらかすんじゃあ無いぜ。」

「女性のプライベートにそんなに踏み込みたいのですか?私がもし行方不明扱いされている間、レイプでもされていたら、男にそんな事ベラベラ喋りたくはありませんわ。」

 

ハナコは席を立ち、承太郎の側から離れようとした。

 

「………それは悪い事を聞いたな。だが、どう考えてもテメーは不自然だ。」

 

承太郎は腕を掴んでハナコを引き留めた。

実はこの時、ハナコは心底焦っていた。

ドグラ・マグラの催眠効果は、液を霧状にして校舎を歩き回れば、術中に嵌るのは余裕であった。が、この同級生の男、空条承太郎はハナコの術中には落ちなかった。

スタンド使いかと思ったけれど、違う。ならば、恐ろしく気が強い男という事なのか…

 

承太郎はこの学園の王子様であり、消したら一発でアウトだ。この学園の生徒の大半が大騒ぎになる事間違い無しだ。それに、たとえ生徒全てにスタンドを嗾けても、私は人の戸籍やら書類やらを操れる訳じゃあ無いから、行方不明になる。これ以上行方不明を増やすのも危ない。メディアに注目されたら動き辛くなる。

 

「お前の名前は山田 花子、この俺でも覚えている。ハナコ、テメー、行方不明になってから急に学校に来たなら、今頃クラスの皆の注目の的な筈だぜ。」

「………ホホホ、私に興味がある方なんていらっしゃらないみたいですわよ。」

 

承太郎は全然諦める様子が無かった。こっちが真顔なのに喋りかけてくるあの、電柱ヘアーの男も厄介だったけれど、この男、もっとめんどくさい。

 

「いや。おかしいぜ、教室のど真ん中で俺が女と話していて、騒ぐ奴が居ない事も不自然過ぎるな。」

 

嘘だろ承太郎、お前、将来探偵志望か。私も江戸川乱歩好きだけど、此処までじゃあないわ…この男の探偵気取りはすごく厄介だわ………

 

ハナコは承太郎の鋭さにイライラした。

なんだこの男、私は早く取り逃した女の病院に行っちまいたいんだよ。お前が情報を漏らしてくれたのは嬉しいけど、この状況は嬉しく無いわッ!

 

彼はニューヨークの不動産王を祖父に持つと、噂で聞いたことがある。何処から情報が漏れるか分からない。辿りに辿って、今回は偽パスポートで日本に来ているから、マークされるかも知れない。今度こそ本当に指名手配だ。

駄目だ…この男消せないわ、殺さないってなんて難しい…

 

「………承太郎君、見なかった事にはしてくれないのですね…」

 

かくなる上は、奥の手を出そう。それは、承太郎にしかハナコが見えてないことを肯定しつつ、誤魔化せる作戦だ。

それに適す設定は………………幽霊。

そう、幽霊に成り切ればいい。ここは承太郎に違和感を持たせないように、幽霊にでも会ったと思って貰おう。私が少しのプライドを捨てることによって、全てが円滑に進むのだ。

ハナコは決心し、自身に念じた。

 

私は演技派のはず…あのDIO様だって初対面でちょっとは私の話を聞こうと思ってくれたくらいには演技派な筈。

いつもの根暗な自分を騙すのよハナコ!!

意を決して役者モードに入った。

 

「どういう事だ?」

「………私はとっくのとうに死んでいるんですの。」

「………」

「最後に、学校生活で、唯一私と仲良くしてくれたお友達に会いに必死の思いで学校に来たんですよ。」

「………」

「イチコちゃんに逢いたいわ。」

「………」

「どこにいるのかしら、彼女だけが心残りなの。」

「何言ってんだテメー、さっきから隣にいるぜ。」

 

………沈黙。

 

「アラッ気づかなかったわ!感動の再会だからアッチ行っててよ。」

「何言ってんだテメー………」

 

嘘、私ったらバカだわ…何でこんなミス………

承太郎は呆れた顔でハナコを見ていた。ハナコだって白目を剥きたい気持ちだ。

しかし、意外にも、承太郎は「この目で見た物は、素直に信じるしか無い」というような生活らしい。

呆れた顔をしてはいたが、そのままチャイムが鳴って、皆んなが着席していく様を見て承太郎も一応着席した。そして、ハナコを見ていていると、女子生徒から「承太郎どこ見てるのぉ?」と話しかけられた。常人からしたら、あらぬ方向を見ていることになるためだ。また、席を立っているハナコを教師も全く咎めない事から、承太郎も少しずつハナコの存在を信じ始めていた。

 

「………本気に幽霊か?」

「幽霊ですわ。」

「本当か?」

「くどいですわよ。」

「………イチコちゃんに会えて良かったな…待て、本当か?」

「本当にくどいですわね。」

 

ちょろいぞこいつ。

ハナコは心の中で片方の唇を吊り上げた。

そのまま承太郎が少し目を離した隙に教室を出た。ちなみに承太郎はいなくなったハナコに対して、イチコに会えたから成仏したのだと見事に騙されており、南無三を唱えた。

 

先程、病院に居るという情報が出て来たが、それはおそらく中央精神病院。または、近くの総合病院。そのどちらかじゃなきゃもう名簿を見て直接その子の家に行き、娘の看病をしに行く親を尾行するしか無い。

ハナコは精神病院に向かった。

というか、暗殺の知識なんてあるようで無いし、この娘、殺人は手慣れたものだが、全てがはっきり言えば適当である。やる気と若さで突っ走って来たが、今も病院に行って殺して速攻で帰れば何とかなると思っている。

タクシーを使って病院に行く。白くて大きな病院。ハナコは夢野久作の作品が好きなので、精神病院はもっと不気味な物だと思っていた。牢屋でもあるのかと思っていたが、そんな事は無かったようだ。

自動ドアを開けた瞬間に、病院の匂いが香った。病人の匂いが溢れて、それとアルコールのような消毒液の匂いが別世界のようだ、とハナコは思う。

ハナコはスタンドを駆使して、堂々とナースステーションに入り込む。名簿らしき物を発見し、必死に名前を探した。全然見つからず、此処では無いのかと思った。その時、ハナコのターゲット「清水 美智子」の名前が後ろで呼ばれた。

振り返ると、両親らしき人が看護師に面会に来たことを伝えていた。

ミチコの両親は気力を失い、痩せこけ、ガイコツのような人たちだった。ミチコは1人娘なのか、随分大事にされていたようである。だって、こんなに心配してくれる両親がいるのだ。

 

「あの、すみません、娘は治りますかね………ブツブツ」

「…私は担当ではありませんから……えっと、主治医に…」

 

少し母親はおかしくなっているようだ。

看護師達も引いている。精神病院なのだからそんなのざらだと思うが、ミチコは突如おかしくなったから、看護師達はそれに事件性を感じているのかもしれない。突然おかしくなった、普通の子供の親の変貌ぶりも気持ち悪がっているのだ。

 

ハナコはその両親達を見ても、全然可愛そうだとも、哀れだとも思わなかった。

トボトボ病室に歩いていく2人の後をつけながら、考えていた。

どうしてミチコはこんなに心配してくれる両親の元に生まれて、人をいじめたりする女に育ったのだろう。少なくとも、彼女に私のような噂は無かっただろうし、恵まれていた筈なのに、どうして人を陥れようとしたのか。と、疑問に思った。

しかしハナコは、それが不毛な疑問だという事も知っていた。一言で言ってしまえば、所詮人間そんなものよ、って事だ。人間は自分より下の者を陥れたり、いじめたり、見下したくなる。それは、今まで生きてきて、学校でも、実家での暮らしでも、DIO様の元に仕える中でも、同じことを経験した。

それが酷すぎると、私のような頭のネジが数本外れた人間が出来るのだ。そんな、大多数の普通の人間に押しつぶされて来た、私のような異端児が人間のクズに成り下がって行くのだ。そして、耐えきれなくなると爆発するのだ。

ハナコはサイコパスというような、先天性な物は持っていない。また、ソシオパス(後天性)でも無いし、障害を持っている、又は暴力的になる精神の病気というわけでもない。

 

ただただ、歪んでしまった女というだけであった。

が、案外、こういう病気などの、仕方ないというようなものを原因としない歪みが1番不気味なのかもしれない、と本人は思う。ハナコはある程度の常識を兼ね備え、頭も悪くなく、別に人を殺さなくても全然平気なのだ。

でも、DIOの元に仕えたり、殺人を手段として捉えたりと、「普通の人間でも慣れればなんでもできるんじゃ無いですか?」を体現していて恐ろしい。

 

そういう、決定的な何かは無いけど、馬鹿みたいにぶっ飛んでる女、それが山田 花子という女なのであった。

 

「で、コレは私、またスタンドで行方不明にしておかないと駄目ね。」

 

さて、ハナコの独白もそれくらいにしておいて現実に戻ろう。

 

ミチコの両親と入れ違いになるように犯行に及ぶのも、いいけど、何時間後になるか分からないし、ここはどっかに身を潜めて明日あたり決行しよう。

ハナコのドグラマグラはもっと精度を増せば、人1人くらい好きに操れるかもしれないし、そうして看護師あたりに殺人を代理決行させれば完璧だ。本人も不確定要素の多いスタンドに少なからず夢を持っている。

 

で、今日は………実家に戻るか。

いや、あそこはちょっとやだ…でも、弟は今も腐り続けている筈。あと、家にある自分の洋服とか取りに行きたいし……

今日の所は家に帰ろうと思った。行方不明扱いされているらしいが、警察とか入っていなければいいなと思う。そういえば、私の家族が消えてることに関しては全く触れられていないというわけないし、なんか不安になってくる。

 

ハナコは寝る時だけ帰ればいいかと考えた。

公園にでもいようと思った。水は公園にあるから、その辺でお弁当買ってベンチで食べよう。お腹すいたから揚げ物も買ってしまお。

 

昼の公園は幼稚園くらいの子が沢山いた。服装とか全然考えずにいたハナコは制服だったので、急いで持ってきた黒いパーカーを着てフードを深く被った。この時間に女子高校生が1人で公園にいるのはおかしいし、学校に電話をかけられたら詰む。

 

前から気になっていたお弁当屋さんの焼肉弁当は当たりだった。今はお金の心配をする事もないので、好きなものを普通に買えた。

 

公園で遊んでいる子供達にはいろいろな性格の子がいた。元気な子もいれば、砂場で静かに遊んでいる子もいた。一人ぼっちで日陰に座っている子にハナコは自分と同じ匂いがすると思った。

懐かしいけれど全然嬉しくなかった。きっと、あの子の服の下は痣やタバコの火傷でいっぱいなんじゃないかな?と思った。あの子の人生がどうなろうが知ったこっちゃないけれど。

 

アイ坊ちゃんには高学歴な人生を歩んで貰いたいわ………それでいいとこの企業に就職して、いい奥さんを貰って、子供に囲まれる。そんな将来になったらいいのだけど………

今回DIO様達にアイ坊ちゃんを預かってもらっているけど、悪影響にならなければいいな…

 

「ねぇアンタ高校生?」

 

バカそうなヤンキー女子高生がハナコに話しかけてきた。

ハナコはDIOがアイの悪影響にうんたらかんたら考えていたため、ヤンキー女子高生という子供の悪影響の塊が現れて、一瞬嫌そうな顔をしてしまった。

 

「高校生です。」

「アンタみたいな優等生そうなコがなんで学校フケてんの?」

「………フケたい時くらいあります。」

「そ、アンタなんかへこんでんの?何にもないなら学校もどんなよォ。」

「………お弁当ならあげませんよ。」

 

なんだこの女。

ヤンキー女子高生はハナコに対してかなり上から目線だ。それと距離が近い。なんだか慰めるような手つきでハナコの肩をさすっている。

 

「弁当なんか要らないよ。アンタさ、いじめとか辛い事あるんなら逃げればいいじゃない。」

「エ、何でそんな話が飛ぶんですか?」

「でも学校サボって非行に走ったりすると、アタシみたいにしょーもないことになるから、早く親を頼んなよ。」

「親なんて居ませんよ。」

 

だんだんハナコは自分を下に見たように、訳の分からない説教をしてくるヤンキー女が疎ましくなって来た。

親を頼れだとか、虐められているなら早く逃げろだとか、あてずっぽうな慰めもいいところだ。この女、私を慰めて正しい道に導く自分に酔っているだけじゃないのか、とハナコが感じるほどいい加減だった。

 

「待って待って待ってちょうだい、それでヤンキーさん、何が言いたいんですか?私、いじめられてませんし、親はいませんし。なんだか凄くイライラする事を貴方からバンバン言われて、ちょっと頭に来るのですけれど。」

「なによォ、人がせっかく慰めてあげてるのに失礼ね。」

「イヤイヤイヤ!アンタの慰めなんか誰も必要としてねェですわよ、ヤンキー女さん。私に説教垂れてないでアンタが学校ちゃんと行きなさいなッ!」

「アンタ優等生っぽいのに生意気だねッ!!」

 

ヤンキー女のぶっ飛び具合に言葉使いが荒っぽくなってしまった。

ハナコはいよいよ弁当持って逃げようと思った。しかし、ヤンキー女は腕をガッチリ捉えて離そうとしない。これ以上説教たらされるのは嫌なハナコはヤンキー女の肩を突き飛ばして、彼女の腕をすり抜け、スタンドを出現させた。

 

このアマ、消してやる。今日はイライラすることばっかりだわッ!私の精神安定剤になるがいいッ!

 

いつのまにか殺人がストレス解消になっていることに、ハナコ本人全然気付いていようである。

そのままスタンドをヤンキー女にけしかけようとしたその時、彼女がありえない事を口にした。

 

「痛ェッ!テメー!何すんだッ!アタシの腹には子供がいるんだぞッ!」

「は…?」

 

呆れた。

ハナコは口をアングリ開けて本日2回目、白目を剥きたくなった。こういう馬鹿みたいな女がこの世に溢れているから、世の中には不幸な子供が生まれるのだ、と思う機会は沢山あったが、それを体現したような女が目の前にいる。

白目を通り越して息をするのも忘れそうだ。

 

「………貴女、死んだ方がいいんじゃないですか…私を見て優越感に浸りたかったの?なんてチープな。母親になる自分は他の非行に動く高校生を導いてあげないとでも思ったのですか?なんて安っぽい………」

「うっせー!リョウジがアンタの事ボコすかんな!」

 

おそらく彼氏もロクな奴では無い。

構うのも面倒になって焼肉弁当を食べるのを再開した。ヤンキー女は、「無視すんじゃねえ!」とハナコの頬にビンタをかまそうとする。その手の軌道は丁度、ドクラ・マグラを1つ叩き割った。

 

「ゴッゴゴゴゴゴゴガガガ………」

「ご愁傷様ですわ。」

 

女はそのまま萎んで黒い赤子になるのだった。

呆気ない最後に再度呆れた。

そして、何故か赤子は二つに増えていた。ハナコは直ぐにお腹にいた子供だと気づき、悪いことをしたと思ったが、宿る腹次第でこういう風にもなるのだと、精神を病むほどのショックは受けていなかった。

 

さて、真の災難はここからだ。

 

その時、辺りに轟音が響いた。

この公園は比較的大きな道路に面しており、轟音はその道路からだった。少し歩道に出てのぞいてみると、交通事故である。

ハナコの目の中に一台の暴走車が映った。なるほど、あの車が爆走しているせいでトラックは横転し、人は潰されたり、逃げ惑ったりしているのか。

 

「いや〜ん!」

 

目の前で女性が派手に倒れた。

うわ、痛そうね、お姉さん。

イテテ、と女性は右足を呑気に抱えて座っているが、お姉さん、そこは道路だからあの暴走車に轢かれますよ。

車は着々と近づいて来る。

ハナコは下がって冷静に傍観していたが、お姉さんは中々立ち上がらなかった。足を抱えて痛がっている。そのせいで周りをあまり見れていないようだ。

お姉さん、道の端っこあたりだから轢かれないと思っているのかもしれないが、このままだと確実に轢かれる。

 

車と私とお姉さんがいる辺りの距離が10メートルも無くなったころ、ハナコはアレ?と思った。

このお姉さん、今立ち上がらないと死ぬんじゃないか?

 

「お姉さん早く立ってッ!!」

 

ハナコは急いでお姉さんに駆け寄った。

 

「いやだわ私…ごめんなさいねッ!」

 

女性は急いでハナコに謝罪の言葉を述べる。

足を挫いたその怪我は、案外重症らしい。ハナコは彼女の腕を肩に回して立ち上がる大勢を取った支えがあれば2人とも、立ち上がれそうだ。彼女は飲み込みが早く、すぐに動いた。

で、車はどうなんだ。さっと確認するくらいに車の方向を見ると、驚きだった。

 

なんと、車体と私達は1メートルほどしかなかった。

目の前が超スローに感じた。死ぬ時のアレである。

 

え、私どこに行けば良いの。前、前、前?でもお姉さん引きずってもこの距離じゃ、2人とも轢かれるわ。え、歩道?歩道に戻るの?でもお姉さん足をタイヤで踏んづけられたら可愛そうじゃ無い。ここまで手を貸したらもう、最後まで助けるしかないわッ!

 

前か後ろ、ハナコは瞬時に決断を下した。

映画のシーンで車の上を転がっていく俳優の姿を思い出した。

姉さんだけ前に突き飛ばして、私はアクション映画のようにジャンプして車の上を転がればいいんじゃない?

ハナコはこの前、肉弾戦で殺人鬼に勝った。また、DIOに仕えているというだけで色々体を張ることがあったりする。その事でちょっぴり自信がついてしまったのか、だいぶ斜め上にぶっ飛んだ結論を弾き出したのである。

 

「きゃっ!」

 

お姉さんは無事に私に押し飛ばされた。あれだけ飛ばされれば車に体のどこかを潰される事態にはならないだろう。

ハナコは車のボンネットに足をかけ飛び越える要領でジャンプした…………

 

………つもりだったのだが、そんな事はアクション映画の世界の話で、現実ではそううまく行くはずなかった。ハナコはフロントガラスに叩きつけられ、そのまま車の屋根を転がり、地面にベシャッと落ちた。

 

「うごっ………モゴゴゴゴゴ…」

 

余りの痛さに口から変な言葉が漏れた。

が、真っ正面から車に轢かれるほどの怪我ではないようだ。案外体も動かせる。骨折もしていなさそうである。

直ぐにお姉さんの心配を出来るくらいには無事だった。

 

「………お姉さん…大丈夫、ぶ?」

「どこも問題無いわ!!それより貴女よ〜!!平気…じゃ無いわよねッ!びょ、病院にいま連絡するわッ!」

「病院はやめてくださいまし………ダメなんです。」

「あらッ、駄目よお医者さんに見てもらわないと………………それとも、何か事情があるの?」

 

気の利くお姉さんの言葉に、ハナコはゆっくりうなずいた。

 

「そうなのね…どうしましょ、お嬢さん、もしよかったらウチに来る?……いえ、是非きて頂戴…簡易手当くらいは出来るわ。それに後ほど改めて、お礼もしたいし……親御さんにご連絡も…」

「………親、居ません。お家…お家にお邪魔させて下さい…」

 

このお姉さん気が利いたり、ハナコの事を気遣ってくれる心は嬉しいが、非常にお声が大きかった。彼女がキャーキャーと騒ぐ内に周りからの注目がこちらに集まって来た。

 

「お姉さん…私目立ちたく無いのですが…」

「ア、ア、ごめんなさいねッ!静かにするわ。でも、本当に病院に…」

「駄目です。」

 

そそくさとハナコとお姉さんはその場を離れた。

 

「ねぇ、そういえばお嬢さんお名前は?」

「………先に、名乗るべきでは?」

「アラッ、ごめんなさいね、私、空条 聖子よ。うちの息子も………そうよね、同じ高校よ。見たことないかな?おっきくて、長ランの、承太郎って言うんだけどね。」

「エ。」

「あらッやっぱり知り合いなのね〜!お名前は?」

「………も、黙秘権をお願い…します。」

 

ハナコの顔から血の気が引いた。




ハナコのクソどうでもいい話 ⑥

ハナコちゃんのファーストキスは最近マライアお姉様によって奪われました。ハナコちゃんはお姉様に骨抜きにされています。

マライヤお姉様ともっと大人の階段昇っちゃいたいーーーー☆ミ
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