ぶっ飛び少女がDIO様のメイドになるお話   作:ふろんてぃあ

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第2話 デンジャラスは突然に

「…………ここだ、この建物だ」

 

私は苦労の末、ついに目的の場所を発見した。

トンガリ屋根の大きなお城である。此処こそ、私の探していたディーアイオーさんの自宅である。今私の胸が喜びでドキドキしている。少しの不安もよぎるが、これからのことを考えると、ドキドキしてしまう。ああ…アポ無しで来てしまったけれど、大丈夫かしら、求人広告見てきたって嘘つくのはよく無いよね。こんなに大きなお城ならメイドとか見習いでも、何かしらお仕事があるかも知れない…英語はできるんだから、舐められないように対等に、意思を強く持たなくては。

………結構ですって言われたら粘り強くいくしか無い。何でもこなす自信があること、やる気があることを精一杯アピールしなくては。

 

「ケーーーーン」

風邪を切る音とけたましい鳴き声が響いた。空を見上げると帽子被っているように不自然に頭の出っ張った鳥が上空を飛んでいる。ああ、帽子を被せられていると言うことはこのお屋敷のインコとかオウムとかを放し飼い?しているのかも。私の勝手な妄想だが、きっと可愛い小鳥ちゃんに違いない。

「け、け〜ん」

柄にもなく調子に乗って泣き真似をした。今のうちに媚を売っておくのだ。先程と言っていたことがまるで違うが、それは臨機応変というやつなので問題ない。

その時、小鳥ちゃんはバラバラと粒のようなモノを落とした。それは重力に従って私の方に降ってくる。も〜危ないな、悪戯好きなのかな?と、粒と私には結構な距離があったため、少し離れて屋根のあるところに移動した。

 

さて、何を落としたのかな、と3秒ほど待っていると、ドドドド、とまるで氷のように小鳥ちゃんが落とした何か地面に深くめり込んでいた………

「ケーーーーン!!」

もう一度空を見上げた。

「嘘だろ全然オウムじゃ無い」

で、デカイ…あれはオウムなんかじゃ無い……トンビよりも大きい………鷹とか鷲の類だ!

しかも、めり込んでいたのは氷柱のような氷の塊だった。地面を粉砕し、ボコボコになっている。アイツ絶対あわよくば殺すつもりだった。番犬ならぬ番鳥なのか…??

 

………私はここで引けるほど、余裕のある身では無かった。

あの鳥は明らかに飛び抜けた知能があるとみた。もしかしたらこの鳥の包囲網を抜けてこそ雇う素質のある者と………いや、そんなデンジャラス面接あってたまるかと叫んでやりたいけど、この魔法の力が目ざめたからには、修行とか戦闘とか小説のような話を信じないわけにはいかなくなった。

 

 私が脳内会議しているうちに鳥は既に急降下していたらしく、再び氷の弾丸を私の真横から打ち出して来た。私の頬と左脇腹を擦りながら壁に突き刺さる。体に熱いような痛みが走るが、ここで止まる私ではない。逃げるのだ!!鳥に背を向けて走り出した。

………………そうするつもりだったが、後ろは行き止まりである。雨宿りのために作ったんですか??と言うくらい無駄な場所だ。3メートルくらい奥行きのある謎の張り込みに私は逃げ込んでしまっていた。出口はもちろん一つ。その出口で鳥が勝ちを確信して笑っていた。

もう夢であってくれと思えて来た。

いや、冷静になってみればこいつ氷を自家製産している。つまりふつうの鳥じゃ無いし、なら夢か?………いやいやいや、脇腹も頬も痛い。氷を作り出して飛ばせるなんてずるい。氷を作れるなら多分そこの出口を魔法で固める事もできるんじゃ無いか?出来なかったとしても、圧倒的に優位に立っていると自覚しているこの鳥は私を嬲って殺そうとする。絶対にそうだ。そう言う顔をしている。

ここで私は思う、世界には一定数魔法を使える人間がいて、能力は人それぞれで、私のようにビジョンのあるものは魔法使いにしか見えないのでは無いか……街中でもう一人、メカのようなものを背負った男性を見つけたがその人のは私以外見えていないようだった。この鳥の氷はどちらか分からないが、もし、空気中の水分を凝固させているのだとしたら他の人にも見えるし、私も魔法使いだと思って殺そうとしたのでは無いのかも知れない。

さっき適当に番鳥だとか言ったけれども、本当にその通りで、無差別に近づくものを殺していっているのかも知れない。

この鳥は私が反撃できる牙を持っていることにまだ気づいていない!!

 

『オギャャャャアアァァァ!!!』

機内で殺してしまったナイスガイを筆頭に、私の黒い方の赤ん坊風船は14人になっていた。血みどろこ赤ん坊は増えていないが、この魔法を14回も使ううちにだんだん使い方がわかって来た。そして、この魔法を使うのに必要な心構えは冷静さと思い切りと覚悟である。

 

私は血みどろの赤ん坊を急いで両腕で抱えて黒い赤ん坊を鳥に押し付ける。背を低くして鳥の左側から抜けようと、渾身の力を込めて地を蹴った。つかさず鳥は氷の刃で黒い赤ん坊を破裂させた。

思った通りだ。ビチャビチャっと風船は破裂し、頭からそれを被った鳥は全身に手形を作って倒れた。

人間やろうと思えばできるものだ。鳥はぐったりとして動かなくなった。私が同じ魔法使いに初めて勝利した瞬間であった。

目をくるくる回しているうちはまだ大丈夫………これが手形が増えたり大きくなったりしたら末期症状へと向かっていることになるが、この子はあと5分くらい持つはずだから、屋敷に入ってから魔法を解いてあげよう。

 

***

 

私は五分以内に建物に入り、鳥さんにかけた魔法を解いてあげた。

建物に入ってから不法侵入したと気付いたが、入っちゃったのはしょうがないし、今から言い訳を工作するのもこれから働こうとしている職場に対して失礼なので、全て正直に話すことにした。それにしても鳥に屋敷を守らせるなんて、なんとも斬新な職場である。

 

それと、あんな凶暴な鳥に館を守らせていたなんて、この建物には何か秘密があるのだろうと言うことにも気づき始めているが、私は色々なことで疲れてしまったのもあって、あまり、やり直しをしたく無い気分であった。

 

私別に、生きてれば何でも良いと言う人間じゃ無い。

クラスのみんなからは不気味で日本人形みたいな能面女って思われていたけれど、本当はそんな事ないし、結構笑うし独り言は激しい方で、実は陸上部に所属する多忙な女で、県大会だって本気を出せば1番をとれる。実は釘バット拳法を近くのチンピラのタケシさんにならっていたから、ちょっと不良みたいなことだってした。勉強だって学年三位を取ったことがある。

少し性格に難があるだけで、それを表に出そうとはしてない。趣味は料理に裁縫にスケッチ、読書…普通の女の子だ。

だから危険なことは嫌いだし、出来るなら紅茶やお菓子を摘みながら読書をして暮らしたい。そんなこと出来たことないけど。

 

やっと邪魔な重荷がなくなって、綺麗なお屋敷に使えることができるチャンスなのだ。ヤクザの屋敷なら逃げるけど、ここはそんな感じじゃ無いし、父のようなクズの魔法も買ってもらえたのなら、私の魔法だって買ってもらえるはずだ。父より有能な私は喜ばれるかも知れない。

 

ちなみにこれ全て玄関のドアの隣にある小さな椅子に座って考えていることである。誰か来たら声をかけよう。家の中まだ入り込んだら本格的に不法侵入を責められる気がしてならない。

 

***

 

結局夜になってしまった。

屋敷の出口に通りかかる人はおらず、私は夜まで赤ん坊をあやしていた。この子はなかなかいい子で、大声で泣くことは普通にしている時はほとんどない。私はそろそろ眠くなってしまって、目蓋が半分閉じ始めていた。こくん、こくん、と

垂れそうになる頭に合わせて、かつん、かつんと何かの音がしている。………それが足音だと気づいたのは私も朝入ってきた扉が開いてからである。

人が来ている!!

ハッと顔を上げると、変な帽子をかぶって、顔に線が入っている男性がこちらを見下ろしていた。

 

「………あなた、今入ってきた方より早くこの屋敷に入って来たのですか?」

彼は私を疑り深い目で眺めている。ところで今入ってきた人?とは………キョロキョロ周りを見回すとフラフラしている女の人が見えた。あっ、また女の人が入って来た。

屋敷に侵入した女の人は2人いて、両方、なんだか恍惚とした表情を浮かべていたので、私はなんだか大人の世界を見てしまった気持ちになった。

そこで私は目の前の男性の質問に答えていないことに気がついた。早く答えなくては変なやつだと思われる………

 

「………今、ではありません……もっと前から…ここに居ました。訳あって屋敷に無断で踏み入ることになってしまいましたが、決して妖しい者ではございません…私、父の手紙を頼って参りました…ここの館の主のお役に立つため、どんなことでも致しますので…どうか………」

「………平たく言うと、ここの館の主にその身を捧げに来たということで間違いありませんか?」

 

……ん、んんんん…ちょっとまて、一気に話が怪しくなってきたぞ。夜に訪れた先程の2人の女性………身を捧げると言うのは下の方の奉公のことか??もしやここの館、性奴隷コース直通快速新幹線なんじゃあ無いだろうな………

いやしかし………平たく…ひらたーく言えば私は『その身を捧げに来た』で間違いないこともないな。

………ここは私の覚悟が試されているのかも知れない………覚悟だ………全ては覚悟が道を切り開くのである。

 

「間 違 い ご ざ い ま せ ん」

 

あっ、彼ちょっと引いてる。まあいいか、こいつも連れてってやろうみたいな顔してるぞ。

しょうがないだろう、この、17のうら若き乙女にとっては死ぬか生きるかの1人旅なのだからな。私の目はきっと血走っていたであろう。

 

「………ではお三方こちらにいらしてください。」

 

***

 

えええーーー何で私こんなことしてるの………

湯気で霞む天井を見つめる。確かに極楽だけれど、私のバージンの行方が心配になって来た。

私たち訪ねて来た女性3人は金ピカな風呂に突っ込まれて、とにかく匂いをバラの香りにしろと言わんばかりにシャンプー、リンス、ボディーソープ、風呂まで全部バラである。ここの館の主人の趣味は決して良いとはいえなそうだが、人の美学をバカにするのは良く無いことだ。

「ねぇ、あなた。」

女性のうちの1人が私に話しかけて来た。

「何ですか?」

彼女はエジプトでは珍しいであろう、ブランドの髪を持つ女性であった。ニコニコと笑顔がすてきだが、どこかもどかしい様な、私に向かっては、しょうがないから時間を潰しているのよ、と言う焦る雰囲気か伺えた。

「あなたもDIO様に見初められてここにいらしたの?」

「………???あっ(ディーアイオーさんじゃなくて、ディオさんだったんだ)私は父の手紙を頼りに、ここで雇ってもらう為に来ました…」

「ふーん、確かに彼に惚れ込んでいるって雰囲気じゃないものね。」

「………えっと、貴方様はDIO様という方にどのような御用があられるのですか?」

「私?決まっているわ、この身全てを頂いていくのよ。」

「無知で申し訳ないのですが、それは比喩的な意味でしょうか、その……アッチ系の意味で?」

「そうね………どちらもじゃ無いかしら?」

 

どちらも??

どちらもと言うのは、「身全てをいただく」が、直接的な意味でもあるし、比喩的な下っぽい意味でもあると言うこと………?

 

ここで私は一つの結論に至った。

もしや私が頼みの綱にしていたDIO様は、女性を狙ったセレブのカニバリズムを支持する男性なのかも知れない。

いただくと言うのは、つまりはいただきますと言うことで、私もバクバク逝かれてしまうのでは無いか…バージンどころか生命の危機に陥ってるのかもしれないまずい。

これは逃げた方がいいのかも知れない…

 

「貴方もそろそろ出ませんこと?もう十分湯につかったでしょう?」

 

さっき話していたのとは別の黒髪の女性が私に呼びかけてくれた。

いやいや、憶測で物事を進めるのもいけない……大体、私の憶測が正しいのならあちらの女性2人もバクバク食べられに来たと言うことだ………惚れ込んでるからって自分の肉を食べてもらうために来ましたとかそう言うのないでしょ………流石にありえないでしょ………

 

***

 

お風呂から上がると、2人の女性達はせっせとお化粧をしたり髪をセットしたりしている。私もした方が良いのか迷ったけれど、就職面接にバッチバチにメイク決めてくのもちょっとヤバイ奴だから、いつも通り自慢の黒髪を乾かして、制服の正装を着ていく事にした。

 

廊下はどこまでも続いているような気がした。

「ご案内致します。」

執事風の男性が賛同する中、私は女性2人についていった。

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