「と、とんでもないところに来てしまったぞ私は………」
執事風の方に案内されて進んだドアの先には、超イケメンの金髪のマッチョお兄さんがいらっしゃった。瞳の色は赤、日の光を浴びていないんじゃ無いかってくらい肌が白い。
ベッドの上に上半身全裸で待ち構えていた彼は、最初に私に話しかけてくれた女性を手招きしてベットに乗せ、彼女の体をサスサスし始めた。何やら物色するかのような手つきである。
うわー、エッチだ〜、へぇ〜この人がこれから私の上司になるのか、かっこいいなぁ、すごいイケメンだ、…でもなんか怪しい雰囲気だし、こっから雇ってくださいって言っても強姦されてエジプトの街にぽいってされたらどうしよう………そうなりそうになったら、その時は赤ちゃん頼みで逃げ切ろう、そんでお宝盗んでまたどっかに高飛びでもするしかないか………
次の瞬間、金髪のニキは女の人の首に手をぶっ刺した。
「え!?!?」
驚きすぎて私目は点である。金髪ニキの長い指が女性の首に埋まって、完全に刺さっていた。奇怪な行動に、非常に不安になり、また、お決まりの展開なら、自分の分が回ってくるんじゃ無いかとも思い、軽くパニックになる。
「………あり、が………ございます………」
ニキが首に手をぶっ刺してから数秒で女性が萎れて倒れた。あれはどう考えても死んでる、なんか吸い取られたかのように、と言うか実際に体の水分か何かを持ってかれているに決まっている。だって、見るからにアジの干物みたいな乾物になっていらっしゃる。
こ、殺したのか女性を………しかも女性もニキに向かって感謝しながら死ぬというなんとも奇妙な死に方……何故かB級映画の陸を歩くサメを思い出す………同じ奇妙でもジャンル全然違うけど………彼はB級のサメよりももっと厄介で、どちらかというとバンヘルシングに出て来そうだけれど。
「………ククク、中々美味じゃあないか…女、光栄に思え…貴様はこのDIOの血肉となる栄誉ある死を与えられたのだ。」
ちょっと待って未来の上司デンジャラスだ。
「DIO素敵!私も早く召し上がってくださらないかしら!」
「嘘だろ姉ちゃん目を覚ませ」
いや、このままでは私も殺される。あと、すごく危ない思想をお持ちのようだ。当の本人DIO様はコッチに近づいて来ているぞ、向かってる先はどう考えても私だ!不味いんじゃあ無いかこれは!後ろの扉は鍵がかかっているのか全然動かない!
アッ、私だけ逃げても隣の女の人も殺されるかも………というか、殺されるだろう。だがしかし、今は他人のことなんて考えられない。それに、なんかもう、この人殺されたいらしいから放っておこう。
「次はそこの東洋人の女だ。こっちに来い。」
やばいぞ人生終わったぞ。だけど、彼は機嫌みたいだ。これは土下座して交渉すべきか…だってあんなムキムキの男の人に勝てないよ、赤ちゃん使わなきゃ、赤ん坊使ったらそれはそれで私の明日が真っ暗になるよ、未来の上司のロストで、だ。それでも明日は巡ってくるって言うがね。
いやいやいや、こんなに心の中では嫌がってるけど、何故か私の足は彼の方向に動き始めた。何でだ……ご都合主義と言わんばかりの………しかし、「威圧感です!」と言わざるを得ないこの圧力に、私の足は彼の元に動き始めていた。
アーーーーもう駄目だ、もうここで叫んで交渉するしか無い……日本に逃げ帰ったって私にゃあ、後が無いのご存知?
私の理想だけど、この乙女ゲームにでも出てきそうな人、DIO様。イチコちゃんが貸してくれた雑誌にあったように、普通の女じゃ無いですよアピールをしたらイベント?が発生して『お前、面白いな』と訳わからんことを言ってお金くれ無いだろうか………絶対ないけど。
「あ………あの………」
「アッ、ちょっと待て女、貴様何型だ?」
DIO様の歩みが止まった。私ともう1人の彼女を見比べている。
「おっ、O型で御座います………」
「そうか……おい、お前は何型だ?」
「A型ですわ。」
「今はA型の女の血が飲みたい気分だ。おい、O型お前はベットで待機しろ。」
くぅ……やっぱりめっちゃ怖い…あと、いつのまにか私の名前はO型になってしまった………くうっ…怖い…なんか威圧感するぞ、逆らえない………
「………御意。O型待機しております。」
私はこのDIO様が私より圧倒的な力を兼ね備えていることを確信し、逆らわないほうがいいけれど、何もしなければ私はこのまま、あの女性同様体液をカラカラに抜かれ、乾物となることが決定している。まだ生きているもう一人も、指を首にめり込まされて、もうすぐ殺されるだろう…
アッ、刺された。
「あ………ああ…ありがとう…ございました…」
黒髪の女性がやられてしまった…
嗚呼…私の番が来てしまった…交渉だけでもするべきかも知れない…話だけでもしてみよう…
私の今の気持ちは、雇ってもらえるなら全力で働く気合いはあるのだけれど、なんだか未来の上司となる人が人外じみていて、今現在殺されそうな場面に直面しているので怖すぎて逃げたいが、希望は忘れずに取り敢えず交渉だけはしてみよう、という気持ちである。
「あの………」
「なんだ、東洋人の女よ」
「私に話す時間をくださいませんか?」
「ほぉ、この世に残したい言葉があると。」
違うわこのアホ。
「私、山田 花子という者なのですが…父が2年前まで貴方様にお世話になっておりまして………」
「それがどうした?自ら食べられに来たと言うことか?」
「違いま」
「黙れ女、何故距離を取っている?」
そりゃ逃げるわ。相手の立場に立って物事を考えようって教わらなかったの?どんな奴に育てられたか親の顔が見てみたいぞ。
「私はその…食糧志望というより使用人志望というか…」
「テレンスだけで間に合ってる」
いや嘘つけ、こんな広い屋敷掃除はどうしてんだよ無理だろ。1人じゃ、オーバーワークだよ。テレンスって人パワハラ受けてるんじゃあないか?
「くぅ…安月給でも構いませんから…」
「お前を食うのに金はいらない」
「私にはテレンスさんの悲痛な声が聞こえます……」
「何言ってんだお前」
「この屋敷を1人で請負うテレンスさんの激務を想像したことはありますか??」
「知るか金は払っている」
「そう言うところですよ、きっと彼は働きすぎて鳥インフルエンザか豚コレラにかかる寸前ですよ」
「お前テレンスを家畜だと思ってないか?」
「かわいそうに、テレンスさんは多分人間ですよ?………エッ、鳥インフルエンザって人間にかかるんですか?」
「俺に聞くな、どの口が言うんだ、クソうるさいなこいつ」
多分テレンスさんはパワハラを受けている(推定)
彼の態度から察するに、傲慢で女好き(食料)で、色々とヤバい奴に違いないだろう、あと、股間全開、見せつける趣味があるらしい……そんな奴がまともな上司のはずかないだろう。それと体液を吸い取る習性もある。
ん、そう言えば何で首に指をぶっ刺しただけで体液が吸い取れるんだ?
だいたい、体液を吸い取るってなんだよ体液を吸い取るって、このDIO様と言う男人間じゃ無いんじゃあ無いか?
あれ、すっかり魔法の存在を忘れていたけど、つまり、この男は私の同じく魔法が使えて、その副産物で吸血鬼みたいなことができると言うことなのか。つまり私が攻撃を仕掛けたら屋敷の外の番鳥の時みたいなバトルを繰り広げなければいけないという事になる。私の魔法自分から仕掛けたら勝ち目あんのかこれ………
というかこの屋敷、もしかしたら魔法使い結集してるのでは?
「………それで、お前は何が言いたいのだ、このDIOに下らない事伝える為に俺の時を奪っているのでは無かろうな?」
「………め、メイドでも清掃婦でも食料以外何でもいいので雇ってもらえないでしょうか…」
「先程言った通りテレンスで間に合っている。やつは鳥インフルエンザにも豚コレラにもかからん。貴様のようなスタンドも使えぬ小娘、腹の足しにする以外使い道など無いわ」
「ひえっ………」
この男、本当に私を殺すつもりだ。眼力が脅しじゃない、本気になって私をデザートにするつもりなのだ。
いかん、相手を怒らせてしまった。うそやん、さっきまで結構ツッコミしてくれてノリ良かったやん。
うそ、こっちに迫って来ている。
私はとにかく一旦距離を取る。この部屋逃げ場は無いが結構広いし、本が沢山あるから、投げたり障害物を作ればなんとか黒い赤ん坊の出汁をぶっかけられるかも知れない。
相手はまだ私が魔法使いだと気づいていないから、ワンチャン投げれば当たる。
「………えっ、何処にい」
「無駄なことはそろそろやめにしよう小娘」
「ギャーーーーーーッ!!!」
何てこったい、いつの間にか回り込まれていた。ホラーさながらの展開に私は叫び声を上げてビビった。
「うがっ」
右足を軽く払われ、視界が揺らいだ。こういう時人間は転ぶと分かっていても何もできないもので、重力に従っている時やけに周りがゆっくりに見えるのはお決まりである。
バランスを崩して背中から彼の胸筋にダイブする。アッ…これはもう駄目なヤツだ…そのまま顎を鷲掴みにされ固定、巷で噂の顎クイもコレじゃあ、全然嬉しく無い。何がいいんだこんなの、最近の女子みんなドMか。大きく振りかぶった手の先の鋭い爪の行方は私の首だ。そのままジエンド………
『うわーーーーーーッ!!』
の、ギリギリのギリで彼の爪が止まった。私は今さっき響いたどでかい叫び声、それと何か落下した音によって助かったのである。保留されただけかも知れないけれど………私の体からはどっと汗が流れ出した。
「な、何…誰の声………」
「テレンス?」
先ほどの叫び声の主は最近話題の人、テレンスさんだったらしく、彼は私の顎を締め付けるのをやめて、立ち上がった。あれ、何で私のことじっとみているんですか?
DIO様、直立不動で数秒間私を眺めた後、座り込んだ私の上着の胸ぐらを掴んで立たせた。
「………小娘一つ質問する。」
「な、なんなりと。」
「俺に人を殺せと言われたら、殺すか?」
…あれ……これはもしやチャンスというものでは?
生命の危機からテレンスさんの叫び声一つで面接っぽくなって来た。私への態度が急変したと言うことは、何かハプニングが起こってたであろうテレンスさんの穴埋めとして、今現在、私のDIOカンパニー入社試験が執り行われていると言うことで間違いございませんねーーーーーー☆
「も、もちろんでございます!」
私は間を入れず、相手に好印象をもたらすように、目を見開いて笑顔で答えた。
「そうか、ならばその言葉、試させてもらうぞ」
「有り難き幸せ!!」
DIO様はフッと軽く笑って私に背を向けた。私もおっきな声でしっかり答えたし、彼の返事からも私がとりあえず研修生として認められたことが伺えた。だって「試させてもらう」だから、まだテストはあるかも知れないけれど、これは結構期待できる展開ではないでしょうか。
「それでは小娘、半回転してドアの方を向け。」
「仰せのままに」
私は上機嫌になって直ぐに後ろを向いた。部屋の雰囲気はランプで薄暗かったけれど、私にはラメが入ったみたいにキラキラしている風に見えた。
「私がいいと言うまで目を瞑って耳を塞いでいろよ。」
「もちろんでございます。」
耳を塞いで目も瞑った。
しかし、これなんの儀式だろうか……聖水でも振りかけられる?これなんか何も分からん間に危害加えられるパティーンでは無いよね、平気よね。
「痛っ」
DIOに背を向けてから数秒後に、ハナコは背中を熱い何かで貫かれ、余りの体の熱さに耐えきれずに意識を失うのであった………
***
DIO様から見たハナコという女
俺がこの小娘を生かそうと思ったのは、本当に気まぐれからであった。他2人の女は気合を入れてきらびやかなドレスを纏う中、1人だけ日本の制服を着た、長い黒髪の女が入ってきた。そもそも、この屋敷に招いたのは、2人だけで、1人
知らない女が混ざっていると言う状況であったが、敵意は感じられず、わざと隙を見せた際、飛びかかって来なかった。
まあ、前に道で見かけてこの屋敷にたどり着いた女もいたから不思議なことでは無い。
もしや、この屋敷に引き寄せられたスタンド使いかとも思ったが、殺されそうになってもスタンドは出さなかった。つまりは、やはり、ただの女である。
つまらない、食ってしまおう。そう思った時、テレンスの悲鳴が屋敷に響いた。ここまでこんなにも大きく聞こえると言うことは、それ程遠くでは無い。にも関わらず、テレンスの足音は吸血鬼の聴力で耳を傾けても聞こえなかった。と、いうことは、テレンスは倒れているのか、蹲っているのかその場から動いていないと言うことである。
あの男が動けないほどの怪我をしたのか?
奴ならば、大変失礼致しました。と、この部屋に声を掛けるだろう。
普段は楽観視している事も、このヤマダ ハナコの先程の言葉、「私にはテレンスさんの悲鳴が聞こえます」から、「まさか………」と思ってしまった。
少しすると、立ち上がって歩き始めたが、アラ、ズッズッと足音は跋扈引いた様な怪我をした様な足音になっている。これは案外重症だったのかも、明日生きてるかしら?
ふむ、ここでもう一度ヤマダハナコを見る。
う〜む、この女、最初から俺に魅了されていたという訳じゃあ無さそうだ。目の前で殺人が起こっても冗談を言う余力のある、普通とは少しだけ変わっている女。
テレンスが本当にヤバそうだった場合、スタンド使いにして肉の芽を埋め込めば、使えんこともなさそうだ。
………よし、スタンド使いにしてしまえ。
少し希望をちらつかせて命令したらすんなりとこのDIOに無防備に背を向ける。案の定ヤマダハナコはすんなりと矢に打ち抜かれ、スタンド使いとなった。気絶しているが生きていると言うことは、スタンドに目覚めていると言うことである。
ヴァニラ・アイスに別室に運ばせたついでに、テレンスの身に起こった事を聞くと、どうやら何かの拍子にぎっくり腰をやってしまって現在酷く苦しんでいるらしい………
正直、ちょこっとだけ、この女はナイスタイミングだったのかも知れないと思った。
この小娘の父親、山田 太郎という名には確かに覚えがあった。日本に居る私の部下の1人でテレポート能力を有するスタンド使いである。本人は酒に溺れてはいたが、命令は律儀に遂行していたのと、中々に役立つ能力であったため、一応肉の芽を埋めて重宝していた。
しかし、一年前に何者かに殺されているのだ。山田太郎には、肉の芽を埋め込んでいた為、宿り主の死因は肉の芽を通じてある程度分かる。あれは他殺だ。包丁で何度も繰り返し刺されていたため、考えられるのは怨恨である。
………あの酒乱に1番の恨みがあったのはおそらく家族だろう。父親がアレではまともな家庭ではなかった筈だ。
その娘が俺を尋ねて来たと言うことは、この小娘、向こうで何かやらかして、父親の遺品から俺の手紙を発見してここを訪ねて来たのではないか?そうじゃなきゃ、ガクセー1人でエジプトに行こうなど考えないだろう。
例えば、父親を殺したことがうっかりバレたとか。それでパニックになって国外逃亡なんていうぶっ飛んだ方向に思考が着弾とかなぁ?
なるほど、話が見えて来たぞ、あの父親が雇ってもらえたなら自分なら楽勝だとか、とにかく楽観的な考えで、後先考えずにエジプトまで来たな、このバカ娘。だから雇ってください、雇ってくださいとやかましくねだって来たのだろう。そうだろうな、お前には後が無いからな。
このヤマダハナコという女は、肉の芽が無くても案外なんでもやる部類の人間かも知れないと、後のハナコの上司となる男、DIOは思ったのだった。
山田 花子
17歳 4月14日生まれ牡羊座 168㎝60kg
陸上部幽霊部員
好きなもの 絵を描くこと 読書 日本茶
嫌いなもの 声の大きな人 迷惑な人 そらまめ
恋愛感情を抱く人間のタイプ ちょっと意地悪な人、でも行
き過ぎたものは男性には求めない。女性も好き。
スタンド名 本人は自分のお気に入りの小説からドグラマグラと名付ける。
初期の能力 血塗れの赤子から血液が染み出し、触れると精神に異常をきたして異常行動をしてしまう。致死量に達すると黒い赤子となってハナコのスタンドに加わる。黒い赤子は割ると中から血塗れの赤子の血液と同じ働きをする液が漏れ出し、攻撃手段が増える。つまり、ストックすることが重要。あくまでも本体は血塗れの赤子なので黒い赤子を壊しても液体が溢れるだけで花子にダメージはない。
破壊力 なし スピード なし 射程距離 C (10m)
持続性 A
精密動作性 E 成長性 B