ぶっ飛び少女がDIO様のメイドになるお話   作:ふろんてぃあ

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第5話 DIOという男

 ハナコから見たDIOという男性

 

「おい、小娘。」

「ハナコです、DIO様。如何致しましたか?」

「死体になれているな。」

「もう10体以上片したので。」

「片付けたら下がれ。」

 

DIO様と私は、私が死体回収をしにDIO様の部屋に行く時くらいしか顔を合わせない。が、彼が毎度の事、私に話しかけてくるようになった。

私は誰にでも自分に興味を持ってもらえて嬉しいと言う感情を抱く女ではない。ましてや、彼のような吸血鬼に気に入られても、彼は乙女ゲームに出てくる厚かましいイケメンでは無いのだから、私を擁護してくれる訳でもないし、厄介ごとの前兆でしか無い。

 

今考えればそりゃそうだ。

最初は父のようなクズですら雇う心広い就職先と人生ナメ腐った考えをしていたけど、あんなクズ雇うところなんて、悪い事考えてるロクでもない組織に決まっていた。

 

「おい、小娘。」

「ハナコです、DIO様。如何致しましたか?」

「スタンドを見せろ。」

「どうぞ。」

「………赤子か。こいつを殴ったりぶつけたりして攻撃を加えるのか?」

「いえ、正確には黒いのは割って戦いますね。」

「割ってみていいか?」

「ウンコ垂れ流して死にたいならどうぞ。」

「………下がれ。」

 

「おい、小娘。」

「だからハナコですってば、DIO様。如何致しましたか?」

「そこの本を取れ。そしてこの本を左から3番目、1番上の棚、左から32番目の位置に閉まってくれ。」

「承知致しました。お預かりさせていただきます。」

「時に小娘、お前は本は好きか?」

「好きです。」

「好みは?」

「………後味のすっきりとするミステリは嫌いです。どうぞこの本ですね。」

「そうか、下がれ。あと本違うけどな。」

 

「おい、小娘。」

「ハナコでーす、DIO様。如何致しましたか?」

「何でもない。」

「DIO様もしかしてめっちゃ暇なんじゃ無いですか?」

「わかるか?」

 

おいおいおいおいおい、ちょっと待てよォ、お前遊び人設定じゃなかったのかよ、DIO様。

私が冗談で言った「暇ですか?」と言う言葉。しかし意外、それは図星であった。私は絶句した。こいつ、若い女の子の命を奪っておいて暇とか言ってるぞ、悠々自適な生活してるくせにな。

 

「…えーっと……………………遊びます?」

 

しかし、私にたてつく権利など無かったし、そんな事したら首が飛ぶこと間違いなしだ。

 

「正直めっちゃ遊びたい。しかし…だけど…それだとやっぱりこのDIOに憧れる者達に示しがつかない気がするのだ。」

「………………(めっちゃウズウズしてるやん)」

「このDIOが、この私がだぞ。実はニートしてるとか、可愛い方面までファンを開拓しちゃうだろ。」

「ファンのくだりは流石に冗談ですよね?」

「………………。」

「進路指導の教師ですか?目を合わせてくるのやめてください。本当にやめて………………そうですねぇ、秘密を共有する友を見つければいいんじゃ無いでしょうか?」

「友達…だと?」

「こう、DIO様が大口開けて笑い合えるって感じのお友達を、ですよ。」

 

彼はとても暇だったらしい。

今は屋敷に身を隠してゆぅっくり力をたくわえて、その間、部下への指示と金が入ってくるように根回しする仕事は有るけど、それ以外は基本本を読むしかする事が無かったらしい。

そうして、DIO様は私のアドバイスの元、気の合うお友達、と言うよりも秘密を共有して遊べるお友達を探しに、屋敷のメンバーを1人1人見て回ったらしい。

 

が、誰も応じてくれそうな人(実のところ本人の好みが大きいと思う)が居なかったらしく、彼はまた私に話しかけて来た。私が彼の部屋にしたい回収に通い始めて一週間くらいした頃から毎回毎回話しかけてくるので、この人私と話したいのかしら、と薄々感づいてはいたけど、結構寂しがり屋のくせしてDIOという男は、こだわりとプライドがロッキー山脈のように連なっている男なのであった。

 

後日、DIO様は私に

「俺は深く考えた。その結果、部下であるお前に暇つぶしを命じれば、お前はやるしか無いのだし、屋敷を夜な夜な見て回るよりも効率的だと言うことに気づいた。よし、お前を任命する、テレンスは人形遊びに忙しいからな。あと、ヴァニラはちょっと怖い。」

と仰った。

 

小学生でも分かるようなことを恥ずかしげも無く、いかにも素晴らしいものを発見したかのように言う、小5男子のようなこの上司に、私は深くため息をついた。

あと、知りたくもなかったテレンスさんの性癖を垣間見てしまい、

「WRYYYYYYY!!!」

と勝ち誇ったようにハイになっている彼とは真逆に私は、性癖暴露によるショックを受けてブルーになっているのであった。

 

この時、ハナコのDIOに対するイメージは悪のカリスマ、怖い、に「小5男子」「めんどくさい男」「ちょっとあんぽんたん」が追加された。

 

***

 

 2人の秘密の密会

 

「八つ裂きの刑……これが1番好き。」

「これは、パフォーマンスが目的だから派手だな。四肢を馬の馬力で引きちぎって殺すと……人間の身体というのは結構丈夫だから、間違って駄馬を用意されたらたまったもんじゃあ無いな。ククク…………地味なお前を処刑する時は、こう言う派手な殺し方がいいなァ?」

「引きちぎれなかったら健を刃物でぶち切って仕舞えばいいんですわ。それと、余計な言葉が混ざってますわ。大体、使用人を夜中にベッドに引き入れるなんて、いけない人ですね。」

「お前、そう言う言い方すると余計に昼ドラみたくなるぞ。」

「みたこと無いくせに何言ってるんですか。」

「………wryy…」

 

私は今、DIO様のベットでフランスパリの処刑の歴史という本を眺めている。シャルル・アンリ・サンソンは歴史人物の中でも好きな方の男性である。異性としてではなく、死刑執行人という特殊な職業に対する憧れからのものだ………彼は、慈悲深い人だったらしいけど。

 

話が脱線したが、メイド(格好だけ)に就任してから約1ヶ月。私は1週間に1度ほどの頻度でDIO様の部屋に呼ばれらようになっていた。決して卑猥な意味ではなくて、馬鹿みたいな理由である。

おっと、口が滑った。彼の、大事な大事な、暇つぶしの仕事ですわ、クソくらえ。(そんなに嫌でも無いけど)

彼の暇度は彼にとっての就寝前、ピークに達するらしく、私は朝の4時ごろに呼び出されることになっていた。

一週間に1回の呼び出しに関わらず、彼の夜型の生態により、私の生活習慣はボロボロで夜型人間になってしまった。彼の身の回りのお世話をしようとすると、どうしても夜型になるので、それは職場が人間向きでなかったと言うことで仕方ない。

 

最近、私の仕事は死体処理以外にも洗濯やら皿洗いやらでやっとメイドらしくなって来たところだ。なぜ仕事が増えたかと言うと、死体処理が板についてから、テレンスさんの仕事を3分の1ほど受け負うことになったからである。テレンスさんのオーバーワークには私もドン引きした。ヴァニラさんは手伝わないのかと思って尋ねてみると、彼は護衛や他の人間を円滑に勧誘するためや経理的な仕事などをしているらしい。ハイレグで。

 

いやいやいや、馬鹿にしているわけじゃ無い。人のファッションに口出ししちゃあいけないよなぁ?たとえ、二十代後半の男が毎日スクール水着みたいな格好してても、彼には信念があるかも知れないんだからね。

 

「おい小娘、お前他のことを考えているなァ?」

「いえいえ、シャルルがどうしたんでしたっけ?」

「結婚した。」

「そうそうそうそう。で?」

「小娘、飽き始めているなァ?」

「いえいえいえいえ、ぜーんぜん…………ふわぁ…ですわ。」

「眠いのか?」

「………眠く無いように見えますか?」

「見えはしないが、寝かせるわけにはいかない。」

 

彼との遊びは案外質素なものだった。お互いの好みの本を一緒に読んだり、外国版コックリさんみたいなものを試したり………(吸血鬼でも呼び出せなかった)

もっと夜の街に出てギャンブルでもするのかと思ったけれど、そんなこと全然無くて、たまにあやとりなんかもしちゃうくらい、落ち着いていた。

 

「DIO様、本がお好きですよね。」

「知識は有れば有るだけ良い。金と違ってな。」

「お金は、駄目なんですか?」

「このDIOには、金はいくらあっても身の丈に合っているが、お前のような下々の民が金を得たとて、持て余すだけだろう?」

「確かに………経済的なちょうどいい身の丈というものは、下には伸びませんが、人の素質によって上限はあると思います。私、お金がない惨めさは知っていますが、でも、お金というのはあり過ぎても努力をしないといけないんですから、難しいものです。」

「金に執着し過ぎると良い事はない。」

「昔、世界一の金持ちになりたいって短冊に書いた事があります。」

「タンザク?」

「ジャパンの願い事を書く紙ですよ。」

「叶ったのか?」

「叶っていたらこの屋敷を訪ねていません。」

「………お前の人生も波乱だな。願うことは悪いことじゃあ無いさ。」

「………ひとつだけ、「自分の好きなように生きてみたい。」という願いには、近づいていると思います。」

 

私は好きに生きるために、身内を3人殺したのだ。

弟を幸せにしてあげたい、というのは確かに「私の」願いであるならば、それは私が「好きに生きる」ことを願って実行したことだ。

 

「小娘、お前は17年という人生に、取り返しのつかないことがいくつか有るようだな。」

「わかります?実行したあとですから取り返しがつきませんよ………後悔もありませんが。」

「それを実行に移すか移さないか。また、どのような手段を取るのか………私は結果が全てだとは思わない。だが、社会は結果が伴わない実力は認めない。私も事を成し遂げる能力を持たぬ者には興味が無い。それは今も昔も私だけではなく、多くが認識していることであり、他人からの目線でもある。」

「………DIO様は私が、良い結果をもたらす人間だとお思いですか?」

 

彼は、私の目を数秒見つめた後、深くため息を吐いた。

 

「………お前を生かしたのは俺の気まぐれだ…ただ、お前はスタンド使いであり、あの状況を生き延びた運も有る。期待はしているさ。」

 

そう言った後、日が昇り始めていたのでDIO様は彼の寝床である棺に移動した。おやすみなさい、と声を掛けると珍しく、お前もな、良い夢を、と私も気を使うような言葉をかけて、頬に口付けた。

 

棺が不気味な音を立てて閉じる。

 

「………おやすみなさい…ませ………」

棺が閉まる音を聞くまで私は驚きで固まったままだった。このキスは、異性としての口づけでは無く、多分慈悲とかそういう類のもとだろう。しかし、彼のような殺人鬼に慈悲やら愛やら………そっちの部類の心が残っていたとは驚きである。

 

あの慈悲のじの字もなさそうな金髪男に、みじん切りしたキャベツのひとかけらほどでも相手を気遣う心があった事に、何となく気持ち悪い気さえしてくるのであった。

流石にそれはかわいそうかも知れないので、「DIOしゃまにも優しい気持ちくらいあるんでちゅね〜」くらいには思ってあげよう。

 

その後、私は眠りにつき昼の10時まで寝ていた。

 

***

 

ハナコとギャンブルの話

 

「………なんでこんな事になったの…」

 

元はといえば、私が口を滑らせてしまった事が原因だった。私がDIO様に対して抱いている、彼の遊びのイメージはギャンブルやら女あさりだと言う事を先程上記したと思うが、それをうっかりDIO様本人に伝えてしまったのだ。

 

「DIO様ギャンブルはなさらないんですね、強者をバッタバタ倒してカジノ王とかになれそうな雰囲気ありますけど。」

「ほぉ…お前がギャンブルに興味があったとはな、静かな顔をしておいて金遣いは荒い方か?」

「………私が金遣い荒いと思いますか?ましてやギャンブルなんて、すっからかんになるどころか借金負わされます。それで挙句1日300円の仕事に就かされますよ。」

「被害妄想は激しいな。」

「ギャンブルなどでお金を稼げたら人生楽チンですよ。」

「………行ってみるか?」

「エ…」

 

彼は思い出したかのような顔をしていた。新たな金稼ぎのツテを思いついたらしい顔である。

そこからは怒涛の勢いで遠出の支度が始まった。何が起きたか彼の気まぐれで、私はDIO様、テレンスさん、ヴァニラさんと一緒にラスベガスに行く事になってしまったのである。

 

「待ってください、お願いします、後生ですから…アアッ!」

 

飛行機はちょっとだけ楽しかったが、今現在、自慢の黒髪をズルズル引っ張られてカジノに連行されている現状に、喜びもへったくれも無かった。

いつものセーラー服を脱ぎ、私は露出度の高い黒いスケスケのドレスを着ている。乳首が見えそうでハラハラしながら歩くのは楽しいものでは無かった。

 

「貴様、ここまで来ておいて観光で終わらせるわけないだろう?私が負けても怒らないよ、と言っているのだから、お前は楽しめば良いだけだ。」

「エ、エ、楽しむって1万円くらいの安いギャンブルですよね?初心者でも出来るくらいの。」

「………そんなわけ無かろう。賭けるのは億単位だ。」

「ヒイィィィ!!!無理ですわ!私殺されてしまいます!」

「ククククク、安心しろ、安心しろよハナコ。もしお前が負けたせいでこのDIOが破産したら、お前をなるべく高く売って許してやるからな。」

 

どうやら私は負けたら売られるらしい。

嫌、嫌だ………ギャンブルなんてしたこと無いぞ。

負ける負けない以前に私は熟練のギャンブラーにルールも全然分からないまま挑むのだ。無理に決まってんだろ、そんなんルール聞いたって、カックカクの生まれたての小鹿vsヒグマみたいなもんだろ。

 

「DIO様許して………ギャンブルなんてしたこと無いんです…汚いおっさんに私の人生売られたく無いです……大体私なんて高値で売れるわけないじゃ無いですか………」

「スタイルは悪く無いぞ」

「やだホント?」

「何、私が負けるだけのギャンブルをする訳がないさ、勝てば一獲千金、負けてもマア………ちょっと食事が質素になるだけさ。」

「あ"あ"あ"あ"あ"………」

 

そうして私はDIO様に連行された。ロズウェル事件の宇宙人さながらの悲壮感が漂っていた。

同行者のテレンスさんとヴァニラさんが、両手にジュラルミンケースを持って来たのを見てもう意識が途切れそうだった。

 

「…ケ・セラセラ」

 

なるようになるさーーーーー☆

 

ハナコのギャンブル編 to be continued




ハナコのクソどうでもいい話 その②

承太郎君はハナコの名前と顔をバッチリ覚えています。席が隣になった時に行方不明になったので学校中の噂の的で、嫌でも覚えたからです。
また、承太郎君はハナコちゃんを好みの女だと思ってました。
物静かで頭も悪くなく、自分を見てもギャーギャーと鬱陶しく無い女だったので、俺はこういう女の方がいい、と思ったのでした。
ただ、「こういう女の方が好みだ」と思っただけなので別に好きな気持ちは全然無いです。
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