バッドエンドの未来から来た二人の娘 作:アステカのキャスター
漫画が売ってないヨォ!?(泣)
感想くれた『影龍 零』さん、『エクソダス』さん、ありがとうございます。いよいよ10話に突入!感慨深いね!!では行こう!
良かったら感想、評価よろしくお願いします!!
リィエルが編入してきた最初の授業は魔術の実践授業だ、今回の実践授業は200メトラ遠くにある人型ブロンズ製のゴーレムに魔術を当てる実践だ。当てるところは6か所あり、頭、胸、両手、両足だ。
「《雷精の紫電よ》──!」
広い競技場でシスティーナの呪文の詠唱が響いた、システィーナの結果は六分の六、つまりすべてに命中していた。
現在は魔術の実践授業。本来は座学なのだが、今朝の騒動の所為で大幅に時間が狂ったのとグレン先生のリィエルに対する気遣いで急遽予定変更になった。
座学より実技の方が色んなものが見えやすいということでこの授業なのだろう。うまくいけばクラスのみんなに溶け込めるし、それで守るという意識が芽生えるかもしれないし。
ちなみに今の所、トップはシスティーナとギイブル。その次でウェンディ。ただし、ウェンディは最後の狙撃でくしゃみをしたために狙いが外れたので普段通りならトップ二人と並んでいたことだろう。この三人はクラスの中でも文武共に高レベルだしな。
ワーストから数えればカッシュが一発も当たってない。溜めなしであそこまで寄せられるのだからもう少し落ち着いて撃てばいい所いくだろうとグレン先生もセラ先生フォローしてた。
「よし!」
「すごい、システィ! 六発撃って、全部的に当たったね!」
ルミアはまるで自分の事のように嬉しそうに言った。システィーナは魔術に関しては一級の才能を持つのは知っていたが、最近確かに調子がいいと思う。
「やるじゃねーか白猫。全弾命中は中々難しいのに」
「システィーナちゃん凄いね!」
セラもグレンも感心する。
確かに命中精度は中々いい。魔力のコントロールも詠唱の省略による劣化も見当たらない。学生レベルでは文句無しの実力だ。
「次、黒猫な」
「《一》《ニ》《三》《四》《五》《六》」
面倒そうに【ショック・ボルト】は数を数えただけで発動され、六つ連続で全弾命中された。連射速度も威力も狙う速度も尋常じゃない。クラスの全員は驚きに満ちていた。グレンもその速さに若干引いていた。
「……流石だな黒猫」
「……いえ、別に」
フィールは何故か少し機嫌が悪い。
態度に表してはいないが、ルミアぐらいなら気付いているだろう。ただ無表情に【ショック・ボルト】を撃つフィールが何処か寂しそうに見えてしまう。と言うか不機嫌にも関わらず全く精度が変わらないのがフィールの凄味だが。
「次、リィエルだな」
「(いや、出来るのかな? ……リィエル)」
「《雷精よ・紫電の衝撃以て・打ち倒せ》」
リィエルは詠唱の省略もなく普通に【ショック・ボルト】を撃った。しかしゴーレムに当たらない、4発くらい撃ったが、擦りもしない上に狙いが雑だ。
「グレン、これって【ショック・ボルト】じゃないと駄目なの?」
「ダメとは言わねーが、この距離じゃ、ほかの攻性呪文だとまともに届かねーぞ? 軍用魔術は禁止だぞ」
「つまり、呪文は何でもいいと」
猛烈に嫌な予感がしたのはフィールだけではなかった。グレンもセラも少しだけ冷や汗をかいている。
「《万象に希う・我が腕手に・剛毅なる刃を》」
「なっ……! ちょっリィエルちゃん!?」
リィエルは拳を地面にトンと付けるとウール鋼で出来た大剣が生成される。高速錬金術はともかく、フィールでさえ辛うじて分かるルーン語のバグまで取り入れたそれは等価交換の理論から逸脱している。
「いいいいいいいぃぃぃやあああああああぁぁぁぁ!!!」
「っっ!! 《見えざる手よ》!」
だが、予想外にも大剣を投げるリィエルにフィールは驚愕し、ゴーレムに当たる寸前でフィールは【サイ・テレキネシス】で大剣を止める。だが、【フィジカル・ブースト】も無しに投げられた大剣を止めた瞬間、予想以上のフィールドバックで右手が痺れた。
「(っっ!? なんて力!? 想像の三倍くらい止める魔力が奪われたんだけど……!?)」
「あのねリィエル! ゴーレムを壊そうとしないの!」
「でもゴーレムに当てるならこっちの方が」
「ハァ……右手を構えて」
リィエルは言われた通りに右手を構える。
フィールはリィエルの背中に立ち、狙い方を教える。
「イメージするのは銃、自分の重心を少しだけ下げ、狙いたいと思う場所に真っ直ぐに腕を伸ばす。もうちょっと……」
フィールがリィエルを後ろから抱き付くようにしながら、右手の位置を正確にしていく。それを見た生徒達は珍しいと言わんばかりの視線を浴びせるが、男子達は美少女と美少女の絡みにご馳走さまと言わんばかりに凝視していた。
「銃の弾は真っ直ぐにしか飛ばない。自分の意識は銃弾の進む方向に気を向ける。はい、そのまま動かずに詠唱をしてみて」
「《雷精よ・紫電の衝撃以て・打ち倒せ》」
リィエルの【ショック・ボルト】はゴーレムの頭に当たった。セラもグレンも感心していた。教えるのが上手い。魔術と言うのは超高度な自己暗示だ。イメージ次第では威力も使える魔術も変わる。
リィエルは
「……フィール」
「ん?」
「次、胸の場所に当てたい」
「その状態のまま下に18度右手を下げて、詠唱」
「《雷精よ・紫電の衝撃以て・打ち倒せ》」
六分の二とは言え、リィエルにとっては中々の成果だ。
リィエルはフィールを見ると、何処か疑問に思ったかのように首を傾げる。
「どうしたの?」
「……グレンに似てる」
「……はっ?」
「……フィール、グレンの教え方に似てる……いや、セラにも似てるし、グレンにも雰囲気が少しだけ似てる?」
「…………」
リィエルの勘については野生並みだ。
フィールは少しだけその理由に気付いていた。未来でフィールはグレンは兎も角、セラやセリカに魔術を教わったのだ。セリカから教わったのはグレンとフィールのみだ。解釈の仕方も似ているのは偶然か血筋なのか分からない。
けど、似ているのだ。2人から継いだ血が……
「……そんな事どうでもいいから、リィエルの番は終わり。次の人が来るからその場から退いてあげて」
「わかった」
フィールは少しだけ悲しそうな笑みを浮かべて誤魔化していた。チャイムが鳴り、結局授業は終わる。フィールは毅然とした表情に戻り、教室へ歩いて行った。
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授業のチャイムが鳴るとフィールはリィエルが他のみんなと一緒に食堂に行くのを見た後、校舎裏に移動していた。いつも通り、作ったサンドイッチを食べるそれは一種のルーティンのようだ。
「よっ、黒猫」
「……何の用ですかグレン先生。いつも食堂で食べる貴方が」
「偶にはここで食いたいと思っただけだ」
「じゃあ私は離れますよ」
本とサンドイッチの入ったバケットを持ち、離れようとするがグレンが腕を掴んで止める。
「まあ待てよ黒猫。お前の方から聞きたい。リィエルについてだ」
「……十中八九囮でしょうね」
「チッ、やっぱそうか。リィエルに細かい作業や任務は無理だし、敵を見たら斬るって奴に護衛させれねぇしな。上層部が絡んでんだろ」
まあ流石と言うべきだろう。
そこまで気付いているのは元帝国宮廷魔導師団だったからこその思考力だろう。上層部は恐らく……いや、正確には連中を一網打尽にする為にイヴが画策したものだ。それを上層部が同意した。身近にリィエルと言う護衛をしたのはあくまで牽制、階級の低い奴らは手を出せないだろう。
「……グレン先生、貴方もルミアを守るなら止めはしません。けど、中途半端な覚悟で此方にまで首を突っ込むなら、死にますよ」
「死なねえよ。それに……俺はお前を止めれなかった。だったら俺はある程度の事をしなきゃ立つ瀬がねえしな」
「……普段はロクでなしの癖に」
「うっせぇ!」
こう言う所が、やっぱり好きだ。
普通に甘える事は出来ないけど、今はこの人を見ていられる。私は未来を変える為に来た。だけどもし許されるなら……
「(お母さんとお父さんに……いや、それは叶わない夢だね)」
ただ幸せを願う事が今の私に出来る事だから。
そんな事に甘える程、余裕がある訳でもない。今はそれだけが私に出来る事だと、フィールは心を押し殺して少しだけ微笑む。
グレンにはそれが笑っているように見えてたかは分からないが……
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「で、こうなって……ここの元素配列式をマルキオス演算展開して……こう……で、こうやって算出した
時間は放課後。錬金術の授業の後、リィエルが実技授業での高速錬成が話題に上がってカッシュが昼休みに言ってた約束を早速使うことになり、リィエルの高速錬成の術式を教えてもらってるのだが。
「……わかった?」
「おう、全くわからん」
「同じく……」
錬金術は無機化学と似てる分、理論が分かると思っていたようだが、クラスの大半はリィエルの錬金術の仕組みをまるでわからないでいた。
「す、凄すぎる……」
「なんて事……こんな術式、誰が作ったのよ……」
学力抜群のセシルやシスティがリィエルの説明を受けて表情が驚愕に染まっていた。フィールもこの術式に顔を顰める。未来の資料には高速錬金術は使える事は知っていたが、実態はフィールの目視では分からなかった。
「恐れ入ったよ……どうやってウーツ鋼の大剣をあんな高速で錬成してたか不思議だったけど……魔術言語ルーンの仕様に存在するバグすら利用していたなんて……」
セシルの説明から全員がわかるのはリィエルが行った高速錬成は下手をすれば廃人になって壊れるレベルのものだ。改めて見ると凄いのだが……
「リィエル、あなたいつもこんな事やってるの? こんなの一歩間違ったら脳内演算処理がオーバーフローして、廃人確定よ?」
「そうなの? 全然知らなかった」
システィの説明はつまり、身体は無事だったとしても、心は死んでしまう可能性があるという事だ。そんな危ない術式をよく躊躇いもなく使えるのは、人形のように何も感じないからかもしれない。
「はぁ……みんな、真似しちゃダメよ。この術式使いこなすには、錬金術に対する圧倒的な天賦のセンスがいるから。ここまでくると、もうこれ、リィエルの
「出来るかよこんなの……」
フィールは少し考え込みながら右手を地面につける。
一応、理論は分かったがフィールではリィエルのように三節は無理と判断しながら、詠唱を開始する。
「《万象に希う・我が手に剛毅なる剣を・満たされるは力・我はその力を正しく知る者・我が燃ゆる手は・幻想集いし刃の如く》」
「ちょっ! フィール!?」
六節でリィエルの高速錬金術の詠唱を唱える。
演算能力に関してはリィエルより上を行く自信があるフィールだが、
だが、地面から形成されていくリィエルの大剣と同じものが浮かび上がった。
「「うおおおお!? 凄え!」」
「これ駄目だ。やったはいいけど、まだちょっと錬成されたウール鋼の強度と形作る精度が足りない。私には不向きだね」
「でも凄い……少し歪みがあるけど、リィエルの大剣にそっくりじゃない」
リィエルの大剣を模したのだが、予想より張りぼてだ。強度は鉄より硬いが、ウール鋼より脆い。形も刀身に若干の歪みが見られる。全力でやって模せたのが、コレなのだからフィールには不可能だ。
ガタン! と、突然教室内に荒々しく立ち上がる音が響く。今まで会話に入っていなかったギイブルが苛立たしげに荷物をまとめていた。
「おい、ギイブル……どうしたんだよ、突然?」
「……帰る。君達もそんな風に遊んでる暇があったら、帰って魔術の勉強に励むべきじゃないのか?」
「はぁ? お前、そんな言い方はねえだろ」
「……ふん」
カッシュの言葉も無視して教室を出て行こうとするが、何時の間にいたのか、リィエルがギイブルの制服を掴んで止める。
「……これ。落とした」
「〜〜〜〜っ!」
リィエルが羽ペンを差し出すとギイブルは顔に慍色を浮かべてぶん取ると、そのまま大股で教室を出ていった。
「何だよあいつ?」
「仕方ないよ。ギイブル、錬金術には絶対の自信があったから。それこそ、フィールにもシスティにも負けないって自信があったから」
ギイブルはプライドの高い奴だ。あんなデタラメな癖して自分の得意分野は勝ってるってなれば面白くないのも分かる。ため息をつきながら、フィールは錬成された大剣を元に戻した。万象の逆転、一度見た事象の魔術の反対はフィールの得意分野だった事もあり、元に戻す、回帰すると言った事は楽だった。
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リィエルが編入してから約一週間。二年次生二組の教室で数日後に行われる『遠征学修』についてのガイダンスが行われていた。
「まあ、そんなわけで……今度お前らが受講するお出かけ旅こ──ゲフンゲフン! もとい、遠征学修についてのガイダンスを行うぜ」
「って、先生! 言い直したつもりでしょうけど、ハッキリお出かけ旅行って言おうとしたのがバレバレです! アルザーノ帝国が運営する各地の魔導研究所に赴いて研究所見学と最新の魔術研究に関する講義を──」
「はいはい、ご丁寧な解説ありがとさ〜ん」
「あははは……グレン君、一応お勉強の場所だからね?」
相変わらずグレンが適当に『遠征学修』について話しそれをシスティーナが咎めるといったよく見るやり取りが見られていた。グレンがシスティーナに説教を受けている間、クラスの生徒たちは遠征先について雑談をしていた。
「なぁ、セシル。俺、白金魔導研究所よりもカンターレの軍事魔導研究所を見たかったなぁ……」
「仕方ないよカッシュ…… それを言うなら僕だってイテリアの魔導工学研究所の方が良かったんだよ?」
学院側も生徒たちに一応の希望調査は行うが個々の要望に応えられるほど余裕もなく自分がどこの研究所へ『遠征学修』に行くことになるかは完全に運任せなのだ。
必然的にあっちが良かった、こっちが良かったなどの話がクラス中で上がり始めた。しかしそんな中グレンが口を開いた。
「ふっ……甘いな。お前ら何も分かってねぇ。特に男子!」
「「「「…………?」」」」
グレンの急な発言にクラスの生徒たちはグレンに注目を集めた。
「お前らは別の研究所が良かったなどと言ったり思ったりしてるんだろうが、断言してやる。お前らは幸運だ、幸運の女神はお前らを見捨てなかったみたいだな」
「どういうことなんだ先生」
「お前ら冷静になって考えてみろ、白金魔導研究所がどこにあるのかを」
白金魔導研究所は名前の通り白金術を研究する施設である。
白金術とは白魔術と錬金術を利用して生命神秘に関する研究を行う複合術のことで、その研究実験には大量の綺麗で上質な水が欠かせない。よって、白金魔導研究所は地脈の関係で上質な水が簡単に手に入るサイネリア島にあるのだ。そしてサイネリア島といえば……
「サイネリア島はリゾートビーチとしても有名な……!」
「先生、まさか!」
フィールは何となく察したのか、ため息をつき、ギイブルはガン無視を決め込んで勉強をしていたがそんなのお構いなしにカッシュをはじめとした男子たちは目を輝かせた。
「ようやく気づいたかお前達! 更に、この『遠征学修』には自由時間がかなり多めに取られており少々シーズンには早えが海水浴も可能。さーらーに、このクラスはやたらレベルの高え美少女が揃ってるとなれば……あとは分かるな?」
「「「「せ、先生……!」」」」
「お前ら、黙って俺に着いてこい。
「「「「はい!」」」」
今、この瞬間。グレンとクラスの一部の男子生徒によるかなり奇妙な友情の絆が芽生えた。セラは少し怒りながら騒ぐ馬鹿どもに注意する。
「コラッ!グレン君も男子達も女子をダシにするんじゃありません!」
「だが断る!セラ、お前の水着姿も拝んでやるぜ!」
「ふぇ!?グ、グレン君!?」
セラは顔を赤くして少し照れる。
グレンが大胆発言をしたせいか、クラスに甘い空気が漂う。
「そ、それって……」
「まあ、下手したらルミアや黒猫に負けてるかもだけど」
「《グレン君の・バカァァァアアアアアアアア》──ッ!」
「ぬおぉおおおおおおおおおっ⁉︎」
巻き起こる暴風。吹き飛ぶグレン。セラとグレンの毎度恒例の痴話喧嘩が始まったのにフィールは苦笑する。セラも地味に気にしている。フィールやルミアも結構なものをお持ちで、嫉妬しているわけではない。無いったらない。セラも中々いい物を持ってるが、生徒に負けたくない謎のプライドがあった。その領域に至れない故に嫉妬している猫のような女の子はいるが、ジト目でグレンを睨むシスティーナに苦笑いするルミア、首を傾げるリィエルがいた。
「馬鹿しかいないの、このクラスは……」
「あはは……」
「海? ……それって美味しいの?」
「……サイネリア…………っ!」
フィールは思い出した。リィエルのオリジナルが殺された場所だ。未来の資料では確か、感情不要とされた為、ライネルがリィエルを操った後にアルベルトに襲わせたと書かれていた。
方法はルミアの『
「まさかリィエル、貴方海に行った事ないの?」
「ない」
「水着は?」
「持ってない」
「じゃあ今日買いに行かない? フィールも一緒に……? フィール?」
「(リィエルは多分、シオンの事を知らない……)」
あの時、グレン先生が言葉を切ったのは恐らく記憶が封じられているからだ。真実を知ってしまえばリィエルが壊れる。だからグレン先生は家族に関する事をリィエルに教えなかった。
だが、サイネリアでアルベルトが単独で逆上したリィエルを殺し、任務を完遂する。その結末だけは知っていた。
「(リィエルが量産兵器になったのは未来の話……この世界では)」
「フィール!」
「っ!? ああごめん。……聞いてなかった」
「珍しいね、フィールさんが。水着一緒に買いに行かない? リィエルも一緒に」
「うん。いいよ」
「うん、私も行くよ。子供の頃のしかないから今は着れなそうだし」
リィエルを見捨てる。絶対そんな事をさせない。
この世界は私が守るべき世界だ。ルミアさんにも誓った筈だ。あんな未来を壊す為にフィール=ウォルフォレンとしてこの世界に来たのだから、と心の中でいつも通りの使命を呟いていた。
「(フィールちゃん……?)」
セラも微かにしか分からなかった。
フィールは少し何かを覚悟したような顔をしていた。だが、それはさほど問題ではなかった。そんな顔をしていたフィールの片方の瞳だけが……
「(瞳の色が……変わってる?)」
フィール自身、それに気づく事は無かった。セラが目を擦ると、フィールの瞳はちゃんと金色のままだった。
ただ、セラには今の一瞬だけ