バッドエンドの未来から来た二人の娘 作:アステカのキャスター
大学の課題とバイトに疲れながらも22話です。何と、ロクアカ歴代人気ランキングの10位に入っているんですよ!?びっくりして二度見した後スクショしました。
ここから歯車は回り始める。ナムルスとフィールの邂逅です。
感想くれた『水野幸杜』さん、『エクソダス』さん、『坂田 歩』さんありがとうございます!!良かったら感想評価お願い致します。では行こう!!
グレンたちが《星の回廊》の扉をルミアの異能で開き、光の扉を潜り抜けた先に、グレンとセラは顔を軽く顰める。その光景を見て、システィーナとルミアは呆然とする。グレンたちの近くには、
「なんだこりゃ…あ……」
それ以上にこの場は悲惨と言わざる得ない。目の前には大量の干からびた死体が、無数のミイラが転がっていた。
「死後から大分経ってんな……下手したら数十年以上は」
それも姿からして魔術師だ。
グレンやセラ、リィエルは宮廷魔導師だった以上、そう言う耐性はあるが、システィーナやルミアは別だ。ルミアは強固な精神を持っているが、システィーナからすればあまり耐性がある訳でもない。
「セラに…白猫、使えるか?」
「私は大丈夫。システィーナちゃんは?」
「私も……大丈夫です。少し落ち着きました」
【マインド・アップ】で精神を強化して現状に耐える。
いい判断力だ。無理だと思った時は無理に強がらずに魔術を使う事も大事だ。やはりシスティーナに関しては魔術の取捨選択が上手くなってきた。
「システィーナちゃんは左、私は右を中心に」
「はい」
「「《我に従え・風の民よ・我は風統べる姫なり》」」
2人は黒魔改【ストーム・グラスパー】で周囲の風を操り、感知する。この場所は広過ぎる。感知でもしなければ張られた罠も気付かない可能性もある。グレンとの特訓の時、実はセラもシスティーナの指導をしていた。グレンは戦場の勘こそ教えられても、軍用魔術を教えれるのは限度がある。残念ながら魔術のセンスはからっきしなのだ。
セラとシスティーナは魔術の特性が似ている。システィーナに関しては素質だけならアルベルトすら超える。いつかセラやフィール以上の風使いになるだろう。
「この先に階段があります。ただ、階段の先までは分からないんですけど、多分階層みたいに下に通じてます」
「マジか……多少広い事は予想してたが……フィールとセリカを見つけるのに大分時間がかかるぞ」
「グレン君、話はあと。……来たよ」
死んでいる筈のミイラが動き出す。
この場所には何かあるとは思っていたが、やはりこの手の類いは当然と言うべきだろう。
『憎イーー!憎イーー!憎イィィィィィィィィィィ!』
女が片腕を物凄い速さで動かし、ゴキブリのような挙動と素早さでグレンへと襲い掛かる。中々グロテスクな光景だが、グレンはそれを躱し詠唱を紡ぐ。
「《紅蓮の獅子よ・憤怒のままに・吠え狂え》!」
黒魔【ブレイズ・バースト】でミイラを吹き飛ばす。
この程度は想定内、問題はこのミイラがどれだけの力を持っているかを調べる為に魔術を使ったが、これならルミアでも対処可能だろう。
「《明き光よ・かの者を導け・優しき祝福を》」
ルミアの白魔【セイント・フラッシュ】がミイラ達の足を止め、その瞬間にリィエルが斬りかかる。システィーナは風の魔術でミイラを吹き飛ばし、セラが上手く後方支援に回っている。下手したらこのメンツは帝国宮廷魔導師団に匹敵する。
「白魔【セイント・フラッシュ】……司祭とかが使うような魔術を使うとは俺も思わなかったわ」
「……実は戦い方をフィールさんから教えてもらってるんです。私は前線より後方支援の方が強さを出すって言われて、後方支援系の魔術を教わったんです」
グレン達はフィールから教わっている事に驚いているが、リィエルが「フィールは普通に私より強いし、私も朝鍛えてもらってる」と口にしてマジかと呆然とする。
「アイツは確かに魔術のセンスがアルベルト並みに凄いからな。……てか司祭や教会関連の魔術なんて何処で知ったんだよアイツ」
「フィールちゃんは霊感強いから覚えたんじゃない?」
「じゃあ何でリィエルより強いんだよ……?まあいい、フィールやセリカならこの程度で死なないが、心配に越した事はねぇし」
フィールもセリカも自分より強いし、セリカは兎も角フィールに関してはアルベルトのような戦闘スタイル。基本に忠実な攻めと狡猾な騙し討ちで翻弄し、確実に優位に立つスタイル。少なからず正面切って戦える猛者は少ないだろう。
「大丈夫、フィールちゃんは死んでない。死んではいない事は分かるから」
それに関しては絶対的な確信があった。
セラは小指に巻かれた赤い糸を指を見る。それに対してリィエルは質問する。
「セラ、小指のソレ何なの?」
「一種の魔導具なんだって。赤い糸に繋がれた人間は結ばれるって話を魔術で再現したらしいんだけど、結ばれた人間の安否で糸の縛りが強くなったり、死ぬと切れたりするってフィールちゃんがクリストフ君に教わったんだって」
「あー、アイツ結界や呪詛に詳しいからな」
クリストフは設置、時間差、呪いについては結界と何かと精通している。フィールも保険としてそのような魔術を覚えるのに何の不思議もない。ただ、フィールは普通に考えておかしい。いつも言及してもグレンには話さないし、周りの連中はフィールの正体を知っているにも関わらず、グレンにだけは教えてくれない。グレンはそこだけ引っかかっていた。
「…!揺れてる」
「セリカだな。少し急ぐぞ」
だが、今は気にしても仕方ない。
これだけの圧倒的な魔術の余波はセリカしか考えられない。グレン達は進む足を早めながら、最下層へと進み始めた。
────────────────────
「がっ……ああ……!」
「貴女は何者?何でグレンの近くに居たのかしら?」
迫り来る影に首を絞められて呼吸がままならないフィール。先程、黒い影の無数の手によって引き摺り込まれた。そして、今まさに死ぬ一歩手前まで来ていた。
黒い影の手に首を絞められ呼吸も詠唱も出来ない。酸欠になりかけて計算すらままならず、【女帝の世界】が使えない。
「
「っっ……!!」
ギリギリと絞められる苦しさから、セラが死んでいる事の方が想定内と言う目の前のルミアに似た邪神のような紫の羽をした女を睨みつける。
「ぐっ……あああ!!!」
目を見開いて、怒りが溢れ出すと左眼は青く染まり右眼は中途半端に青に染まりかけた。瞬間、自分の背中から
「っっ!?」
「ゲホッ、ゲホッ!ハッ、ハッ、ハッ……!」
呼吸するだけで肺が傷むくらいにフィールは一瞬、死の走馬灯が見えた。
心臓の鼓動が聞こえるくらい身体は限界を越えかけた。人間には死の境界線がある。限界を越えれば越えるほど、境界線から徐々に死へと近づいていく。呼吸もままならず、無理矢理力を解放したフィールの口からは大量に吐血していた。
「ルミア……
「私の台詞よ。貴女は何者?」
「初対面でいきなり殺そうとした奴に言う訳ないでしょ……」
ジャキ、とフィールの右手には赤いペネトレイターが構えられていた。呼吸を整え、傷んだ肺をゆっくり回復させながらも目の前の存在に最大の警戒をしていた。
「っっ……!が……はっ……!?」
ドクンッ!!と先程の反動で胸を押さえた。
フィールの中に眠っている力を無理矢理使ったのだ。普段は鎖で雁字搦めにされてるくらいに抑え込んでいる力だ。グレン達に会うまではそんな事は無かった。最近になってその力が
「……!『魔銃ペネトレイター』……?」
「……っ……!」
「何で貴女が……それはグレンの……」
よくよく見ると、
あの時の魔力も邪悪なものを感じたが、今はそれさえも薄れている。思念体?幻影?【女帝の世界】に必要な因果律さえ捉えきれない。そこに居るのは分かってる。
「がっ……■…っっ!?」
頭が割れるような頭痛がフィールに襲いかかる。脳が直接揺らされるような感覚、気が遠くなるような感覚にフィールの右眼が
引き金を引こうとした瞬間、その存在に向けた引き金が重くなる。自分の意識が停止し、引き金を向けたまま硬直する。
『─────馬鹿』
『どうして……貴女達は
『一つ。……貴女が、貴女自身でもあるその『鍵』を、心から”与えたい”と思える人が……いずれ貴女の前に姿を現すかもしれない。……いい?
『……最悪の結末を逃れたいんだったら、その『鍵』を使いなさいッ!』
これは……何だ?
頭の中に流れるこの記憶は。この胸を刺す悲しみは。必死にも自分に叫びながらも、悲痛な顔をしながらも説明する知らない貴女は?
これは何だ。
身体の中で『銀の鍵』が疼いている。知らない、知る筈もない。何処かで会ったかもしれないが私はこんな記憶を知らない。ルミアさんは、私に何を……?
「『私は……貴女を知っている……』」
「!」
気が付けば声が勝手に出ていた。
そしてそれは自分の声では無かった。透き通るような綺麗な声で最後に笑って私をこの世界に導いた……未来のルミアの声だった。
「『
「っっ……貴女、まさか……!」
「『だから、私はこの子に全てを託した。……
蒼い瞳がナムルスを捉える。
彼女は思念体だ。にも関わらず、頬に優しく触れる。ナムルスはそれに驚愕し冷や汗をかきながらもフィールの瞳を逸らせない。
「『私がこうならないように……あの子を。そして……この子を信じてあげて……』」
バチッ!と言う音と共に頭を押さえて右眼が金色に戻る。
激しい頭痛に顔を歪ませるが、それ以上にフィール自身も驚いている。今のは……『未来』のルミアさんだ。
『銀の鍵』の残留意思か、謎の力の影響かは知らないが、その記憶を垣間見た。未来のルミアさんはナムルスと面識がある。いや、近しい存在だと言う事に目を見開いた。
「ハァ…ハァ…ハァ……」
今のは一体何なのか?
私の身体の中は今どうなっている?『銀の鍵』は未だ身体の中、溢れ出し暴れる力は収まっているが、それを使おうとしただけで、このザマだ。
私は今……
「っっ、ああ〜〜もう!!なんで貴女が
「やっぱりここは……私の
「……貴女の進む未来と、この世界の未来は違い過ぎる。大体、セラが生きてる自体、未来が崩れたって言うのに……」
「私の世界はグレン先生が真っ先に殺されたからね……」
それを聞いて目を見開き頭をグシャグシャとしながら抑えるナムルス。どうやら聞きたく無かった情報のようだ。この世界は余りにも
「何で……」
「?」
「何で……貴女なのよ……!貴女がこの世界に来れば……!!」
「ストップ」
「!!」
「言わなくても分かるよ。私だって、
フィールは分かっているのだ。
先の、遠くない未来で起きる出来事。
フィールは殺される。否、
「だから!!その生き方が私は嫌いなのよ!!貴女は聖女にでもなったつもり!?間違ってる、そんな生き方は呪いでしかない!!貴女もわかってるんでしょ!!」
「分かってるよ……。だって、もう数えきれないくらいの絶望を知ったんだから」
「自分を押し殺してまで、そうまでして未来を変えるですって!?無理よ!!今の貴女には絶対に無理よ!!『鍵』も、『その力』さえ満足に使えない!!ただの無駄死によ!!」
「私だって!!」
フィールは押し殺していた感情を爆発させた。
ナムルスは思念体であるにも関わらず、フィールはナムルスの襟を掴んで叫び出す。
「私だって……死にたい訳がない……死にたくないよ……」
それはフィールの本音だった。
死ぬのは怖い。あの世界で絶望し、狂いそうな精神で人を殺して、それでもなお生き続けた理由は単純だった。
一人が死ぬ事で全てが救われる。
聖女さながら素晴らしい奇跡だ。誰もが拍手喝采モノかもしれない。経った一人で世界が救えるなら安いモノだろう。
だが、そんな生き方はただの呪いだ。
誰かの為にと告げた言葉には、全て救うと言った言葉の中には自分が含まれない。そこに幸福もなければ絶望もない。あるのはただの無だ。無意味で無価値で人形のようで、生きる価値すら見出せない人の果て。救われない人間は人間じゃない。ただの機械だ。
「ナムルス……貴女だって分かってるでしょ?この歴史は既に揺らぎ始めた。世界が歪みを許す時間は限られてる。
「っ………」
「私に出来るのは修正力に手を加えて、託すしかない。私は居ちゃいけない。それこそ抑止力が働く」
世界には抑止力が存在する。
抑止力は基本は働かないが、
ナムルスの襟を離し、ただ俯く。
悲痛な顔をしていながらも死ぬ覚悟を持つフィールがどこまでも気に入らない。そう告げたかった。けど、この子は
「……自分が招いた事、自業自得なんだよ。だから、いいんだよ」
「……やっぱり、私は貴女を好きになれないわ」
「知ってたよ」
多分、その生き方を気に入らないと未来のルミアさんにも言っていたのだ。やっぱり、優しい人だ。ルミアさんとは別ベクトルの、正反対の優しさを持つ人だ。
「セリカ伯母さんを探して、ここから出ないと」
「無理よ」
「えっ?」
「入るまでならまだしも、既に抑止力が
ズウウウウン!!
地面が揺れる。この魔力、魔術の余波だけでここまで揺れる程の魔術を使えるのは一人しかいない。
「セリカ伯母さん……!」
「なっ、まさか『門』の前まで!?」
フィールはセリカの下へ走り出すとナムルスも隣を浮きながら走り始めた。ナムルスにもセリカに対する
────────────────────
セリカが無数の亡霊・亡者たちを相手に戦っていた。無限に沸いてでる亡者がセリカに襲い掛かっており、セリカが倒し続けている。グレンが気にかけていたよりも冷静だ。
「《邪魔だ》」
たった一言の呪文で【プラズマ・カノン】、【フリージング・ヘル】、【インフェルノ・フレア】…上位のB級軍用
「全く……いつまで湧き出るが知らんが邪魔くさいな」
『アアア…憎イィ、憎イィ!!』
「私の過去を知っているのか知らんが、どうやらロクでもない記憶のようだな。確かに知りたい気持ちはある。だが、
セリカは冷静だった。最近、記憶のソレに悩まされていたセリカはこの場所が唯一の手がかりにも関わらず、冷静を貫いていた。
指を鳴らすと白魔【セイント・ファイア】によって全て焼き尽くされる。所詮は亡者、浄化系の魔術に弱い。セリカは案外冷静な状態のまま、この階層を突破した。
「セリカ!」
「ん?グレンたちか?」
セリカが振り返る。
追いついたグレン達が、セリカの下へとたどり着いた。
「どうやって入ったんだお前たち?」
「そりゃこっちのセリフだ!てかお前、フィール救う為に単独で乗り込んだと思ったら何でこんなところに一人で来てんだ!」
「フィールを探してるんだよ。だが探知の魔術は
繊細なパラメータを読み取る黒魔改【ストーム・グラスパー】は超パワー型のセリカには不向きだ。魔力の質が高過ぎて竜巻を起こしかねない。制御力はずば抜けてるが、不向きに変わりはない。
そして気が付けば最下層まで来ていた。
明らかに怪しいのはあの『門』だし、あの『門』の先にはセリカが探していた失われた記憶が存在する。
「
「その『門』の先にフィールはいるのか?」
「いや、私の記憶の答えがあるだろうが……それよりフィールの方が優先だ」
「!……まあそうだな。隠し通路とかあるのかもな……」
「ああ……未だ気にはなっているが、この『門』の先に私の全てがある筈だが、まだ残留的な記憶しかない。隠し通路の記憶とかあれば良かったんだがなぁ」
セリカは軽く『門』に触れる。
本当は調べたいし、記憶も取り戻したい。フィールが居なければ必死の形相でこの『門』を開けようとしただろう。いっそ無理矢理魔術で記録を読み取ろうかと考えたセリカが門に触れた瞬間––––
『その尊き門に触れるな、下郎共』
声が聞こえた。その声は冷たく、凍えるような寒気と、存在の格が違い過ぎる事を嫌でも理解してしまう。グレンとセラは身体を強張らせ、セラは無意識にグレンの服を掴む。身体が戦闘を拒否している。システィーナやルミアも同様、これまでの強敵と会わなかったらその時点で卒倒していただろう。
『愚者や門番がこの門、潜る事、能わず。地の民と天人のみが能う。–––––汝等に資格無し』
「っっ––––––––!?」
この場に居る全員がその存在に圧倒的なまでの死を連想させる。存在の規格が違い過ぎる。どんな魔術を放とうが、どんな剣術を挑もうが容易く捻じ伏せられる。
セリカは冷や汗を掻き、グレンとセラはルミア達を背に警戒を上げ、リィエルは既に剣を構えていた。だが、まるで意味などなさない。警戒したところで目の前の存在に通用すらしないだろう。
「……はっ、誰だお前」
そんな中、沈黙の時間を切ったのはセリカだった。冷や汗をかきながらも冷静だった。かつて邪神を倒したセリカの経験測でもこの存在には警鐘を鳴らしている。
「まあお前が誰だかなんて今はいい。私は黒髪の魔術師を探してる。お前、見なかったか教えてくれよ」
『……貴女は…』
セリカを認識したらしい魔人が、不意にその威圧的な雰囲気を緩めた。それはまるで知り合いに会ったかのような雰囲気で魔人は口を開いた。
『ついに戻られたか、
「…は?」
突然名前を呼ばれたセリカは困惑する。
その存在は明らかに格が違う。それは今のセリカより恐らく上だ。にも関わらず、この存在はセリカを知っている。
『だが…かつての主と今の貴女では比べるまでもない。今の貴女にその門を潜る資格無し……故に、お引き取り願おう」
「……
『……かつての主であれど、今の汝に用は無し』
記憶が無いから知らないというのに失礼な言葉に苛立ちを隠せないが、自分の頭に手を置き深呼吸する。大分失礼な奴だと思いながらも、今の心境を述べ、状況を質問する。
「私が誰で、何だったのか知りたいのはあるが
『フィール……?ああ、もしや【
「【黄昏の魔術師】?……黒髪で目が金色で、風使いが特徴ならフィールだが……」
『是、その者こそ【黄昏の魔術師】だ」
黄昏?その意味は分からないが、フィールは【黄昏の魔術師】と呼ばれ、黒いこの存在も知っている。明らかに格が違う筈にも関わらず、コイツはフィールを知っている。
「んじゃ話は早い。フィールが何処にいるか分かるか?」
『否、だがこの『塔』にいる事は確かとも言える』
「何だ……知らないのか。フィールは何処にいるか心当た––––」
『故に、この『塔』に入った時点で、我は排斥対象である【黄昏の魔術師】を排除する為に抑止力にて召喚された』
「……何?」
セリカは眼を細め、その言葉に魔人を睨むが魔人はこの場に現れた理由を述べた。その理由とは……
『我が召喚された理由はただ一つ』
––––【
フィールを殺す為に召喚された謎の魔人。
この時はまだ、ナムルスにしか知らなかった。『抑止力』は小さな歯車の音を立て、回り始めていた事に。