バッドエンドの未来から来た二人の娘 作:アステカのキャスター
お久しぶりです。
フィールの本質に迫った話を書いたはいい。だが、これはアカンと途中で書いた本人が見てられなくなりました。
良かったら感想、評価お願いします。
『我が召喚された理由はただ一つ』
––––【
その言葉を聞いてグレン達は硬直した。
今、何と言った?黄昏の魔術師はフィールの事だ。だが、それ以上に
「フィール……
『如何にも、我はフィール=レーダスを殺す為に『抑止力』より呼び出された』
「フィールが……はっ?いや、どういう意味だよ……!」
『これ以上語る意味無し』
グレンは突然の事で困惑する。
意味が分からない。フィールがグレンと同じ名前を持つ事も、この魔人がフィールを殺そうとする事も理解する事が出来ない。
『命が惜しくば疾く失せよ。この門に触れたその不敬、一度だけ免罪とする。だが、二度はない』
「だから、俺はその理由を聞いてんだよ!」
『去るがよい。汝に答える意味無––––』
魔人が言い切る前に灼熱の業火が魔人を呑み込む。
放ったのはセリカだった。事情は知っているとは言え、これ以上の問答をさせようとしなかったのもあるが、それ以上にフィールを殺そうと言う目的がある以上、この魔人は敵だ。
「せ、セリカ!?」
「いや悪い。フィールの敵っぽかったから…つい」
「いや、ついじゃねえよ!?ついで出す火力じゃねぇ!?」
「まあ悪い悪い。よし、フィールを探すぞ」
「……ハァ、分かった分かった。フィールに直接聞くしかないか……」
頭を掻きながらグレンはため息をついた。
どの道、フィールが何故レーダスの名前を持っているのか、何故魔人に狙われる理由があるのか。フィールから直接聞き出す事にして、この場から離れようとした。
『……愚者の民が蔓延る世界に居たとは言え、かつての力とは行かぬが健在とは、我も見誤ったものだ』
「なっ………!?」
灼熱の業火に焼かれた筈の魔人が平然と立ち上がる。
セリカの黒魔【プロミネンス・ピラー】は間違いなく当たった筈だ。それこそ、死体すら残さないくらいの強大な力だ。
『我も未だ未熟、
「どういう原理だよ……!再生…回復……いやまるでそれが無かったみたいに……!」
「リィエルちゃん!二人を守って!」
「わかった……二人とも下がってて!」
「う、うん!」
魔人の両手に剣が二本出現する。
赤い魔刀、黒い魔刀、どちらも異質さを醸し出している。だが、セリカのやる事は変わらない。
「《消えろ》」
『……児戯』
セリカの黒魔【プラズマ・カノン】を黒い魔刀が斬り裂いた。そもそも、B級軍用
だが、魔人の魔刀は容易くそれを斬り裂く。
B級軍用
「魔術そのものを打ち消す魔刀か?赤い魔刀もなんかヤバいかもな」
「セリカ、逃げるぞ!それが本当ならお前と相性が致命的に悪い!」
『聡いのは変わらね……だが愚者の牙を頼るその凋落ぶり、
「《失せろ》」
セリカは黒魔【フリージング・ヘル】で絶対零度にも等しい凍結結界で呑み込もうとしても黒い魔刀がそれを斬り裂く。
確かにグレンの言う通り、セリカと魔人の相性は最悪だ。セリカは超パワー型の魔術師、下手な小細工を弄する前に圧倒的火力で潰す強者だ。だが、魔人は圧倒的火力であろうが、黒い魔刀がそれを容易く斬り裂く。これ程の相性の悪さはグレン並みだ。
だが、逃げた所でフィールがこの魔人と出会わないとは限らない。セリカはそれが分かった上で、魔人を退けようとする。
「これも駄目、ならこれはどうだ?」
指を鳴らすと魔人が立つその場所が黒く染まる。
召喚儀【ゲヘナ・ゲート】現世に縁なき存在を問答無用で虚無へ堕とす外法、白魔【セイント・ファイア】のように浄化を与えないそれはあまりの外道さに禁呪指定されたものだ。
『虚無の怨嗟……失望したぞ
地面に黒い魔刀を突き刺す事で虚無の門は消え去る。
魔人は一瞬さえあれば、容赦なく魔術を斬り裂く。恐らくだが、【イクスティンクション・レイ】でさえ通じないだろう。
魔人がセリカに刃を向け、加速する。
「セリカ!」
「……《光れ》」
『ぬう……!?』
セリカが呟くように魔術を唱えると魔人の目の前で激しい閃光が目を晦ます。魔人はそれでも魔力を感じ取り、赤い魔刀で目の前のセリカを斬り裂く。
「それは幻影だ阿保」
『何っ……!ぐっ……!?』
セリカは白魔【セイント・フラッシュ】で目を潰した瞬間、詠唱無しで【イリュージョン・イメージ】とすり替わり、背後から剣姫エリエーテの技量を【ロード・エクスペリエンス】で引き出し、魔人の首を斬り裂いた。
『凋落したとは言え
「首を斬った筈なのにくっついてるし、死んでない!?」
「どういう事だ……?感触はあった筈。不死身かアイツは……」
「二つ……?」
システィーナはその言葉に引っかかる。
黒い魔刀、赤い魔刀、そして不死身。あまりにも類似点が多いがそれはある物語に登場するそれにまるでそっくりなのだ。
『児戯と言った事は撤回しよう。だが此処で汝等を逃がすわけにはいかぬ。よって、生かしては帰さぬ。《■■■––––》』
そう言って魔人は何やら聞き取れない言語で呪文を唱え始める。
すると、魔人の頭上に、太陽にも似た巨大で強大な熱の球体が形成されていく。馬鹿げた熱量が、この空間を支配し、グレンたちを照らしていく。
「なっ……コイツそんな力があんのか!?」
「(【愚者の世界】を使うか?いや、だが今対抗出来るのはセリカだけだ!ここで魔術を封じたらあとが続かねぇ……!どうする!)」
セリカも驚愕しているが、その魔力は核兵器にも等しい。
グレンの予想ならこれは魔術である以上、【愚者の世界】を起動させれば放つのを防げるが、問題はこんなもの放たれたら、セリカはまだ防げるが、グレン達が無事ではすまないと言う所だ。
「っ…!《其は摂理の円環へと帰還せよ・五素は五素に・象と理を紡ぐ縁は解離せよ》!!」
即座にセリカは黒魔改【イクスティンクション・レイ】を放つが、強大な太陽が堕ちてくるのを辛うじて防いでる程度だ。五素まで乖離する究極の
灼熱の球体は暴発寸前だ。
魔人は自分の被害を防げるが、セリカを除いた全員は魔術で防ごうが紙障子に等しいだろう。
「……っっ!ヤバっ…!!」
「くっ……《極光の隔壁よ》!!」
セリカが張った黒魔【インパクト・ブロック】でドーム状の結界を形成すると同時に、灼熱の球体は爆発した。
視覚が白く塗りつぶされる。
知覚が熱に浸食される。
まるで太陽そのものが出現したように。
熱がが凝縮し、解放した魔力の波は暴風となってその場にいた者たちに無差別に襲い掛かった。
「ぐっ……ああ……」
グレンとセラはシスティーナ達の前で風の結界と光の障壁を張ったが、それでも防ぎ切れなかった。セリカは自身に【トライ・レジスト】を強固に張っては居たが、衝撃に血を吐き右腕が火傷で爛れている。
「ぐっ……チッ…なんつー余波だよ……」
「先生!?」
「グレン、セラ…!?」
「マジで……キツいっての……」
「うっ……みんな大丈夫?」
身体を張って止めたが、衝撃は防ぎ切れなかった。
戦えなくはないが、それでも万全とはいかない傷にグレン達も余裕が無い。セリカはエリエーテの剣を持ってはいるが、恐らくは近接戦闘は半減もいい所だろう。
その中で無傷の魔人が全員を見下ろす。
『……今のを防ぐか。ならば、
その絶望的な状況で魔人は最悪な答えを出した。
魔人の右手には再び灼熱の球体が浮かび上がる。セリカの魔術で完璧に防げないあの魔術が再び放たれる。
「嘘……だろ」
『神妙に逝ね。《■■■––––》』
誰もが、死を覚悟したその瞬間
魔人の球体が焼き尽くそうとしたその瞬間。
カチリと音が響き渡る。
「えっ……?」
次の瞬間には魔人も魔術も
まるで時間が止まったかのように、魔人の反応も無ければ灼熱の球体が墜ちる事も無い。
辺りを見渡すと後ろから声が聞こえた。
『……貴方達。こっちよ、早く来なさい』
「先生!みんな!早く来て!」
そこに居たのはフィールとグレンが見たと言っていた謎の少女の姿があった。
★★★
「セリカ伯……アルフォネア教授、大丈夫ですか?」
「ああ、まあ火傷に関しては問題ないよ。フィールが霊薬持ってきてくれたおかげだ」
「……良かった」
グレン達の怪我は魔術で治したはいいが、セリカに至っては治癒限界に至っている。最近の事もあって心配したが、霊薬のおかげで火傷は治った。だが、これ以上は軽い怪我くらいしか治らない。治癒限界に至ってると言う事はそう言う事だ。
「なぁ、…お前、何者なんだ?その変な翼はなんだ?お前、なんで俺達を助ける?さっきのヤバげな魔人と、俺達を救った灰色の世界はなんだ?お前、なんで俺達のこと知ってるんだ?なぁ?お前、なんでルミアとそっくりなんだよ?何か関係があんのか?」
『……そうね、今はナムルスとでも名乗るわ。それ以上は教えられないわ』
「『
ナムルスと名乗る少女は、グレンの問いに対し、頑なに完全沈黙を決め込んでいた。ただ、その鬱屈した目で、ちらりとグレンを一瞥するだけ。
まさに、沼に杭を打っているような気分。
何を尋ねても、少女に関する情報は、まったく得られそうになかった。
「ちっ…可愛げのないやつだな……」
背中の異形の翼を除けば、その見た目は本当にルミアそっくりだし、異形の翼は明らかに
だが、その目つきと態度はまるで違う。世を儚み、失望し、擦れてしまったルミアというべきか…ナムルスは、どうにも鼻につく陰鬱で退廃的な空気を放っている。
「そういやフィール」
「?」
「お前……本当に
グレンはフィールの本質に迫る事を聞いた。
あまりの大雑把な質問にフィールは首を傾げている。
「何なんだ……って私は先生の生徒で––––」
「
「っ…!!?」
「何でお前は偽名を名乗るのか、何でお前が異能級の力を持ってるのか、何でお前がそこまで強いのか、この名前もそうだ。お前は一体––––」
動揺を押し殺したフィールグレンに問いかけられた質問に首を振った。それに苛立ちを覚えたのかフィールの肩を強く掴む。
「あのなフィール!俺はマジで聞いて––––」
「止めてください!」
フィールは叫ぶようにグレンを突き放した。
フィールもナムルスを通して
残酷過ぎる事だが、今はそれに従うしかないのだ。
「……少なからず、
「何で……」
『止めなさいグレン』
グレンが聞き出そうとするが、それをナムルスが止める。
『時に知ることが最悪の事態を、知らないことが最良の結果を招くこともある。そもそも、私は本来、こうして貴方達の前に姿を現すつもりもなかったし』
「だからそれが何だって……」
「……そうですね。簡単に言うなら、今私は世界に対して『
フィールが口にした言葉に呆けるグレン。
世界に対して『警報』を踏んだとは一体どう言う意味なのか。
「グレン先生、『運命』をどう思いますか?」
「あっ?運命……?いきなり何」
「いいから、答えてください」
「運命……、必ず出会う定めにある事象…とかか?」
運命と言われたらあやふやなものが多いが、グレンのそれは的を得ているだろう。フィールは続ける。
「仮に世界には一種の物語によって縛られているなら、例えるならいずれ到達する未来、到達しない未来、それを
漠然とし過ぎて理解が出来ない。
世界そのものが歴史を決めている。そんな誰かによって動かされた未来に、そんな物語に別の執筆が入ってしまったら。
「
未来を変えると言うのは禁忌に当たる。
多少の改変は世界が反応しないだろう。だが、分岐点や主人公と言った
その人に近づいただけで禁忌に触れかねないのだ。
「だからこそ、一番やってはいけないのは『先生に真実を話す』と言う事、『分岐点を変えてはいけない』や『試練に乱入してはいけない』と言う事です」
何故、グレンには話せないのか理解出来ない顔をしているが、過去の分岐点で、フィールが居た世界で実証されている。グレンが居たか、セラが居たかで、通らなければならない試練に到達しても、絶対に勝てないと言う状況にぶち当たるのだ。
例外さえなければ、歴史はそう決定した世界を肯定する。
「それを破ると物語の執筆を消しゴムで消すように、
既にグレンが生きる世界の歴史が肯定されている。
本来ならこの世界は
「今はまだ『警報』を踏んだに過ぎないでしょう。だけど時間が経ったり、グレン先生が真実に近づけば近づく程、世界の抑止力は私を消そうとする。私は唯一の
「アレで!?」
「本気じゃない修正でアレなんです。本腰入れたら私なんて一瞬で塵です」
グレンは渋々ながら理解した。
つまりはフィールを知れば知るほど、フィールを殺しかねないと言う事だ。逃れようにも逃れられないフィールの修正。あの魔人でさえまだ幼体レベルの修正なのだ。その事に驚愕する。
「フィール、一つだけ答えろ」
「?」
「お前は……俺達の味方か?」
グレンはフィールに真剣に問う。
その言葉にフィールは振り向かないまま、答えた。
「大丈夫ですよグレン先生。私は味方ですし、グレン先生を巻き込むつもりは無いです」
それは心からの言葉だった。
グレンはその言葉にため息をつきながらもホッとする。
「既に巻き込まれてるんだが……」
「アレは単純に門番ですよ。少しだけ抑止力の力を得てますが、殆ど素の力と変わりません」
「どっちにしろ絶望じゃねえか……」
逃げた先には小さな部屋があった。
その場所は狭くモノリス版は無い。あまり大きくもないその部屋はただ白かった。
「ここは……?」
「ナムルス、ここで転移出来るの?」
『………』
「ナムルス?」
ナムルスの案内の元、この場に来たが何も無い。一体この場所が何なのかナムルスに聞こうとするが、ナムルスは振り向かない。
『フィール』
「……ナムルス?」
『––––ごめんなさい』
ナムルスが指を鳴らすと、フィールの地面が突如崩れ去ったかのように『穴』へ堕ちていく。まるで落とし穴のようにフィールがその場から消えていく。
「なっ……!?」
「フィール!?」
「フィールちゃん!!」
「先–––––!」
グレン達が手を伸ばそうとするが、その『穴』はフィールが完全に落ちた瞬間、消え去っていた。手を伸ばしてもそこは硬い地面に戻っていた。
「ナムルス!てめぇ……まさか!?」
『そう、
「じゃあフィールちゃんは……!」
『あの魔人の前よ』
つまり最初からグレン達の敵だったのだ。
ナムルスを掴みかかろうとしたが、ナムルスは残留思念に過ぎない。触れる事は出来ない。グレンの切り札なら出来なくは無いかも知れないが、そんな事は後だ。
「戻るぞセリカ!リィエル!セラは白猫達と此処に居ろ!!」
「ああ!分かってる!!」
「うん!」
セリカとグレンは来た道を急いで引き返そうとしたが、部屋はナムルスが目を見開くと、扉が落ちてきて閉じ込められた。
「くそっ……ナムルスてめぇ…!!」
「退けグレン!《五素は五素に––––》」
『悪いけど、邪魔はさせない』
ナムルスが指を鳴らすと部屋の地面全てが消えた。先程の『穴』のようにグレンやセリカ、セラ達も例外なく落ちていく。
「ぬおおおおおおぉぉ!?」
「きゃあああああああああ!?」
「ルミアちゃん、システィちゃん、掴まって!」
「えっ、はい!!」
「グレン!ルミア!」
「クソっ!?フィール!フィールゥゥゥゥゥ!!!!」
全員が堕ちていく。
箒が無ければ飛べない愚者の民は天の巫女の画策によって、黄昏の魔術師をこの塔に残して消えていった。
『––––ごめんなさいルミア。貴女があの子を守りたかったとしても、私はあの子を認められない』
ナムルスは誰も居なくなった部屋で呟く。
ナムルスが一番良く分かっているのだ。ルミアがフィールに託した未来を視てしまったのだ。
地獄だった。
あんな少女の目の前には常に『死』しかなかった。
悪を殺せ。なれば世界はまた続く。
悪を殺せ。なれば世界はまた続く。
悪を殺せ。なれば世界はまた続く。
悪を殺せ。なれば世界はまた続く。
悪を殺せ。殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ。
少女の目の光すら奪う地獄。
手にしたもの全てを壊される運命にあると知らずにフィール=レーダスは世界の調和の為に、全てを奪われた。
救いなんてない。
確定された地獄と知らず、既に壊れてしまった歴史とは知らずに、振り向いた時には全てが遅かった。
――――これは世界を救うための戦いである。
彼女はこの狂気の舞台を用意した世界はフィールに全てを押し付けた。まるで終末装置のように、主人公達が受ける咎も罰も罪も全てを受け入れ、手遅れだと分かっている世界をそれでも救おうと手を伸ばした。
『怖いよ…助けて……、助けてお母さん……わたし、もう誰も……』
どれだけ弱音を吐こうが、誰も助ける事は出来ない。
フィールが死ねば、世界は剪定されまた新しい歴史を紡ぐように別の世界を選ぶ。辛うじて終わらない詰みゲーを保って、1%を保っているのだ。その1%を殺すために世界はフィールを見限った。
天秤で計ったように、フィールを天秤に置き世界は新しい歴史を作るためにフィールを殺さなければならなかった。
故にこれは世界を救う為に必要な犠牲。
世界にとってフィールを殺す事は聖戦に他ならないのだ。
フィールと言う人間はフィールの世界の歴史を存続させる最後の愚者なのだ。癌を取り除くように、一つの世界を消す為にフィールが邪魔だから殺す。それが世界の総意だった。
そして、フィールが死ねば………
フィール=レーダスは
『––––私は私のやり方を貫くわ。だから、私はフィールを選べない』
救いなんてない少女に哀れみの手すら差し出さない。
ナムルスはそんな自分の意思に吐き気すら催すくらい、酷く傲慢で残酷で気持ち悪いくらい自分が悪いと知りながら……
ただ、無意識に頬に伝う涙にナムルスは気づく事は出来なかった。
世界に愛されながらも世界の為に戦い世界に殺される終末装置。
救いがあるのなら、救われてもいい世界があるのなら。
そんな事すら世界は許さない。
フィール=レーダスは哦驪Q虧■pmw曬ーーーー