祭と聞いたら参加せずにはいられない。

どうも。cheeです。

今度は完全に短編なので緋色とんぼみたいに続けることはないと思いますが、とりあえずお納めください。

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何やら楽しそうな祭をやってると聞きまして……

テンションのままに書き上げた短編です。



とあるライオットブラッド初心者のGH;Cデビューの話

『あー、えー……ライオットブラッドを飲めばプロゲーマーにも善戦できます、皆も是非』

 

 

『ライオットブラッド・リボルブランタンのお陰でここまで来ました!』

 

 

テレビで見た()の姿は、俺の目にはとても輝いて見えた。もちろん、彼自身が光っていたわけじゃない…たまにカボチャを模したヘルメットの目を光らせてはいたが。

 

声や身体から見て俺と同世代でしかない若者が、あんな全世界規模での活躍ができるものなのか。何も変わり映えのしない毎日を送っている俺とは大違いだ。

 

その堂々とした姿に、傲慢な態度に、憧れた。

 

()のようになりたくて、()のように輝きたくて、

 

 

 

気が付けば俺は、GH;Cのパッケージと、ライオットブラッド各種をネットで注文していた。

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「…届いちゃったよ」

 

目の前に積まれているのは大小二つのダンボール。小さい方はGH;Cのパッケージ。大きい方は………

 

……大きすぎない?このダンボール。

 

おそるおそる開けてみると、中に敷き詰めれている缶、缶、缶。

 

 

 

ライオットブラッド(無印)(日本産)…10本

 

ライオットブラッド(無印)(米国産)…10本

 

ライオットブラッド・アンデッド(日本産)…10本

 

ライオットブラッド・アンデッド(米国産)…10本

 

ライオットブラッド・バックドラフト(日本産)…10本

 

ライオットブラッド・バックドラフト(米国産)…10本

 

ライオットブラッド・クァンタム(日本産)…10本

 

ライオットブラッド・クァンタム(米国産)…10本

 

ライオットブラッド・トゥナイト(日本産)…10本

 

ライオットブラッド・トゥナイト(米国産)…10本

 

ライオットブラッド・リボルブランタン(日本産)…10本

 

ライオットブラッド・リボルブランタン(米国産)…10本

 

 

 

「うわぁ……」

 

計120本の缶。並べて見ると本当に壮観だな……

 

 

とりあえず日本産無印のライオットブラッドを一本開ける。エナドリ特有の匂いが立ち込めてくる。ここまでは他のエナドリと変わらない。さぁ、どんなもんか、と一気に煽ってみる。

 

「………思ったより飲みやすい?」

 

エナドリ特有の苦味やエグみはある。だけど喉に引っかかる感じがない。後味も思ったよりスッキリしている。喉を刺激する炭酸が心地よく、意外と何本も飲めてしまいそうだ。ただ、何本も飲んではいけないらしいので、一旦ここでやめておこう。

 

「うーん………とりあえず、ゲームの方を始めてみるか」

 

GH;Cのパッケージをダンボールから取り出し、開封。VRギアにインストールをしていく。

 

思わず期待に胸が高鳴る。

 

GH;C。アメコミキャラを使って戦う格闘ゲーム。前作のGH;Bは未プレイだから完全な初心者ではあるが、使いたいキャラはすでに決まっていた。

 

「待っていろ…俺のカースドプリズン!!」

 

 

インストールが終わると、すぐさまログインをする。そのままチュートリアルを終わらせると、早速トレーニングモードでカースドプリズンの身体を動かしてみた。

 

「おぉ……すげぇ……体がヌルヌル動く……」

 

流石はシャンフロシステム搭載世代。今までのVRゲームでは考えられないほど自分の挙動に違和感がない。

 

イメージするのはテレビ画面の中で鮮やかに戦っていた()。走ったり、殴ったり、蹴ったり、()をイメージした挙動で体を慣らしていく。

 

……まぁ流石に完コピは無理だけど、ある程度戦えるかな?ってくらいには仕上がったと思う。

 

「よし……行くか。ランクマッチ!!」

 

早速ランクマッチに潜る。

 

すぐにマッチングした。

 

記念すべき初戦に胸が踊る。

 

フィールド内を歩きながら、流行る気持ちを抑える。

 

「よっしゃ。行くぞ」

 

 

()の事を考えながら、とりあえず俺は白バイ隊を薙ぎ払った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………勝てねぇっ!!!」

 

ランクマッチに潜って七戦。ストレート負けを繰り返してしまった。

 

自分の集中力は十分。ライオットブラッドのおかげか、いつものゲーム中よりも集中できていたと思う。そもそも、カースドプリズンの本領を全く発揮できていなかった。頼みの綱である超必殺(ウルト)脱獄(プリズンブレイク)を使わせてすらもらえない。

 

「………くっそ、なんでだ」

 

カースドプリズンの持ち味とも言えるオブジェクト吸収もたくさん試した。()の使った白バイモード、ヘリコプターモード、戦車・重火器カスタム、金庫の盾はもちろん使ったが、うまく使いこなせていなかった。それだけでなくて、自販機カスタム、重機カスタム、電車カスタム………もうたくさん試した。それでも勝てない。

 

こんなとき、()ならどうする……

 

 

 

『ライオットブラッド・リボルブランタンのお陰でここまで来ました!』

 

 

 

「…これしかない!!」

 

そうと決めれば行動は早い。即ログアウトして本日二本目のライオットブラッド。それも、効き目がバツグンと名高いライオットブラッド・リボルブランタンを一気に飲み干す。

 

そして気を取り直して再ログイン。ランクマッチにもう一度潜る。ほどなくしてマッチングした。

 

「次の対戦相手は……ミーティアス!!!!!」

 

脳裏によぎるのは全米一のミーティアス使いと、彼女を相手に劇的な試合を繰り広げた()

 

これはテンションが上がってきたぁ!!!!

 

俺はケイオースシティにスポーンすると既に行きつけのお店である家電量販店に行き、大量の家電製品を吸収する。

 

「よし。俺はコイツ(カースドプリズン)で、ミーティアスを倒す!!!!」

 

わはははははは!!!!!テンション最高潮!!!負ける気がしねぇ!!!

 

 

 

 

家電量販店での吸収を終え、町を破壊しながら散策していると、割とすぐにミーティアスと遭遇した。

 

「…またカースドプリズンかよめんどくせぇ!!!」

 

そういってミーティアスが駆けだす。

 

「…!!!やっぱ速ぇな!!!」

 

床に、壁に、たまに空中に足をついて縦横無尽に駆け回るミーティアスの攻撃をいなす、いなす、いなす。

 

「クッソ、防戦一方じゃねぇか!!」

 

だが、耐えろ!!脱獄(プリズンブレイク)しなきゃ不利マッチだなんて百も承知だろ!

 

だが、それでも体力差はじりじりと開いていく。やばい。このままじゃマジで何もできずに負ける。

 

「ふざけんなぁ!!!!」

 

とっさの反撃。たまたまつかむことのできたミーティアスを思い切りすぐそばにあったビルの柱に打ち付ける!!

ミーティアスのHPが大きく削れた。紙耐久のミーティアスにとっては致命傷のはずだ。だが、ミーティアスの顔から余裕は消えない。

 

「なぁ、お前初心者だろ?」

 

「あ?それがどうした」

 

「お前、このゲームなめすぎ」

 

「は?」

 

急に何言ってんだコイツ。ただの煽りか?いや、何か違和感が……

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!!!!」

 

そう言われてハッとする。まさか…………

 

ふと耳に何かが崩れるような大きな音が聞こえてくる。

 

「まさか、ビルが倒壊して…!!!」

 

さすがはシャンフロシステム搭載世代のゲーム。そう都合よく対戦フィールドを守ってはくれない。アイツが言っていたのはそういうことか!!やばい。やばいぞ!!これは確実にライフ全損だ!

でも待てよ。逆に何でこいつは()()()()()()()()()()!?こいつだってこの状況はやべぇだろ!!

 

「そういうことだよ!!じゃあ一人で生き埋めになってろ!!『スターロード』!!!」

 

『スターロード』……確か……ミーティアスのゲージ技で……効果は……

 

 

……五秒間の歩数無制限の空中歩行!!!!

 

 

サッと顔から血の気が引く。ミーティアスはすでに脱出を終えていて、俺は一人で生き埋めになってライフを0にした。

 

 

 

 

 

 

リポップすると、全く違う場所にいた。さすがにゲームの中とはいえ、生き埋め体験はビビったわ。

このゲームは二ラウンド先取だからまだ負けたわけじゃない。だが、

 

「…やべぇ。勝てる気がしねぇ」

 

さっきは手も足も出せずに負けた。

 

どうにかしよう。

 

考えろ。

 

目をつぶる。

 

集中しろ。

 

 

 

その時、

 

 

 

 

 

 

…………頭の中を月明かりが照らした

 

 

 

 

 

 

なんだこれ。

頭が冴えわたる。

感覚が鋭敏になる。

集中力が格段に上がる。

 

 

今までとは、何もかもが違う!!!!

 

 

「すげぇ……」

 

何が起こったかは()()で察した。

 

 

 

()()()()()()()()()だ。

 

 

 

ネットの情報で見たことがある。禁忌とされるライオットブラッドの四つの服用法の一つ、()()()()()。これは、時間を空けて二本のライオットブラッドを飲むことで、カフェインが普段より格段に()()()らしい。

 

「そうか。一本目の無印を飲んでからさっきリボルブランタンを飲んだから…」

 

だが、調べてみた限りでは、ジョイントという飲み方は何度も試して効果時間の検証を行わないと成功しないという技らしい。偶然の成功か??なら、ついてるな。

 

「勝てる…カフェインの神が俺に味方する限り!!!」

 

これだけの集中力があれば、できるかもしれない。()のように。

 

ちょうど、目の前に白バイ隊が現れた。これは、そういうことなのか?やれということなのか?初日に試してその操作難易度の高さからすぐに自滅し、以降封印した()の用いた白バイスタイル。だが、今の俺の状態ならあるいは……

 

 

「『ハロー白バイ隊員ズ、ちょっと傷心の俺にバイクを寄付してくれないか。拒否権はない』」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「白バイ……やっぱ顔隠し(ノーフェイス)に影響されただけの雑魚かよ。そんなん使って勝てると思ってんのか」

 

どうやらミーティアスさんは俺の衣装がお気に召さなかったらしい。

 

「確かに否定はしない。実際それが動機でこのゲーム始めたからな。だが、それでもあえて言わせてもらうぞ」

 

 

 

 

「『キック ユア アス』」

 

 

 

 

「調子乗んなnoobがぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

 

 

駆けだすミーティアスに俺はタイヤを全力で回して待ち構える。

 

大丈夫。落ち着け。

 

 

 

俺にはライオットブラッドがついてる!!!!!!!!

 

 

 

飛んでくるのは右足の蹴り!!次に左手パンチ!!

 

「……見える!!」

 

二発の攻撃を紙一重でかわして思い切り拳を振りかぶる。

 

「はぁ!?」

 

「喰らえや!!!!」

 

クリーンヒット。ミーティアスが吹っ飛ぶ。初めてきれいに攻撃が入った。

 

「てめえぇぇぇぇぇ!!!!!」

 

ミーティアスは完全に頭に血が上ったようだ。だが、俺は冷静だ。ちらりと、視界端の()()()()()()()()()()()()

 

「……よし」

 

相手は前回のラウンドの最後にゲージ技を使ってしまっている。

 

 

だが、()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

脱獄(プリズンブレイク)!!!」

 

 

鎧がはじけ飛ぶ。中から現れるのはあの日テレビで見た緋色の凶星。

 

相手の顔が衝撃に歪む。

 

「さっきの仕返しだオラァ!!!!!」

 

一瞬硬直したミーティアスの体を殴って浮かし、死に体になった体にコンボを叩き込む。殴り五発、蹴り三発の豪華なコンボの末に、ミーティアスの体を投げ飛ばす。だが、ミーティアスのHPは削り切れない。投げ飛ばされる相手の顔に笑みが戻る。このまま再逮捕まで逃げ切れば勝ちだとでも思ってるのか?

 

もし本当にそう思ってるならーーー

 

「ーーーお前、このゲームなめすぎ」

 

手に持っているのはさっきはじけ飛んだ鎧の破片。シャンフロシステム搭載世代のこのゲームなら、鎧の破片でさえオブジェクトとして残る。つまり……

 

 

……()()()()()()()ってことだよ!!

 

 

「はぁ!?」

 

全力で破片を投げる。完全に不意をついた一撃を相手は避けれない。確かに、大してダメージは入んないが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

攻撃を受けたミーティアスが再び体の制御を失う。その時間があれば、プリズンブレイカーのスピードで再び距離を詰めることができる。

 

「もう一回!!!!」

 

ミーティアスの顔から笑顔が消える。先の展開が読めたんだろうな。

 

俺はもう一度ミーティアスの体を浮かし、コンボをキメる。

 

 

 

そして、ミーティアスのHPがなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

再びリポップする。最終ラウンドにもつれ込ませることができたのは初めてだ。

 

相手ももう俺を侮ってはいないだろう。

 

さっきよりも更に厳しい戦いが予想される。

 

だが、負ける気がしねぇ……

 

 

 

 

そして始まった最終ラウンド。

 

勝利の女神がどちらに微笑むかはわからない。

 

だけど………

 

 

カフェインの神は俺に微笑んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「てめぇ……なんで急に強くなるんだよ……」

 

 

 

 

 

「俺には、ライオットブラッドがあるからな」

 

 

 




ライオットブラッドは信じる者を救うのです!!
カフェインの神は信じる者に微笑むのです!!
さぁ…みんなもライオットブラッド飲もうぜ!!

感想とかいろいろよろしくです!!



おまけ:考えるだけ考えたカスプリ衣装

・家電カスタム……右手に掃除機、左手にコンロを模した火炎放射器、背中には洗濯機っぽいものを背負っていて、首周りはホースがうじゃうじゃ。肩にホースの口があって、放水攻撃も可。

・電車カスタム……完全物理型。カスプリ内で最高クラスの速度とそこそこのパワー、耐久を誇るが、絶望的に小回りが効かないので扱いにくい。

・自販機カスタム……手の甲の発射孔から缶をすげー勢いで飛ばすネタカスタム。残弾補充はゴミ箱の空き缶からどうぞ。

・重機カスタム……僕の過去作を読んでね♡


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